(#ー#)<前回登場したカモノ=カヤ。ノーブルで陰陽師で御馴染みの賀茂家出身。
(㈩*㈩)<と言う事は……キョウコの知り合い?
(#ー#)<それどころか、友達だ。“かきくけこ”と呼ばれた五人組の一人。
(㈩*㈩)<え? あんなのが後三人もいるの?
(#ー#)<あんなの言うな。各高校に散らばっている。優秀だからな。
(㈩*㈩)<プレイヤーの高校は強い奴を配置しなきゃならねえから。
******
そして、翌日の放課後。
リアから連絡があり、情報が集まったとの事で、校舎裏に来て欲しいとの事。
「渡船」
「渡りに船?」
「ベストタイミング」
と言う訳でオウカはいつもの三人で向かう。
実は昨日、カヤから色々話を聞く事が出来た。
マユとネラにはもう十分に思えたが、オウカに言わせればまだ足りない。
彼曰く。
『裏を取った方がいいし、他の視点ももっと知らなきゃならない』
『それはそうかも……』
『殺すにしろ、仲良くなるにしろな』
『『
その言葉には二人がツッコミを入れたが。
それにはオウカはフフフと笑うだけだった。
そうして校舎裏にやって来たのだが、誰もいない。人っ子一人いないうえ、隠れている気配もない。
「まだ来ていないのか?」
「珍しい」
そういう訳で待っていると、人が近づいてくる気配がする。それは二人。恐らくはリアとランコ。
そして、物陰で止まる。オウカ達からは見えない。
「「?」」
取り敢えず近づいて行くと、物陰近くで声が掛けられる。
「止まってください」
それはリアの声。
疑問に思いながら、とりあえず止まる。
すると、資料を持った手がぬっと出て来る。
「お求めの資料です」
「……ありがと」
礼を言って、受け取った資料を流し読みする。
資料はかなり分厚く、色々な情報がある。
「おお。想像以上」
「そう言って頂けると嬉しいです」
リアが物陰から笑う気配がする。
そんな彼女にオウカは気になった疑問をぶつける。
「ところでさ、一ついい?」
「はい? 何でしょう?」
一拍置いてオウカは訊ねる。
「何で姿見せないの?」
素朴な疑問に答えたのは、ランコ。
「好きなドラマに影響されてな……」
何でも、そこには腕利きの情報屋が登場するのだが、この人物は顧客に姿を見せず、背中合わせだったり、今のリアのように資料を横から渡すそうだ。
「なるほど……」
一応納得するオウカ。
それと同時、気になった事が出来たので訊ねる。
「もしかして、これからずっとこの方式?」
「はい」
「「
マユとネラが思わずツッコミを入れる。
それにリアはフフフと笑うだけだが、ランコは苦笑い。
そんな四人を後目にオウカは資料を速読していく。
そして、読み終わった途端。
「これが」
ポツリと言葉が漏れた。
それに疑問符を浮かべる、マユ、ネラ、ランコ。
だったが。
「人間が出来る事なのか……」
そう言葉を漏らした瞬間、オウカから怒りが漏れだした。
あまりにも凄まじい圧に四人は怯んでしまう。
それは、一流の戦闘者であるネラやランコすら怯む程。
そんな状況下で、口を開いたのは――マユ。
「サク。落ち着いて。皆怯えている」
「あ、ああ。悪い」
一瞬で圧が霧散。
それに何人かが安堵の息を吐く。
そして、ネラがオウカに訊ねる。
「資料、何書?」
「昨日聞いただろう? アレの詳しい奴」
この資料を見る限り、カヤの説明は嘘はない。
だが、敢えて言わなかった事幾つもがあった。そして、ヒナタの仇の資料も存在した。
資料を知っているリアが顔を顰める。
「調べて吐きそうになりました。かなり胸糞悪いです」
「糞とか言わないでください。リアs……ちゃん」
「では話します」
ランコの言葉をスルーしてリアは説明を始めた。
▼▽▼
ソラナキ=ヒナタには父母が四人いる。
本当の両親は、彼女が生まれたその日に死んだ。
父は麻薬中毒者の飲酒運転の暴走運転に巻き込まれ死亡、母は体が弱かったためヒナタを産むと引き換えに命を落とした。
そんな彼女を引き取ったのは父の義弟。義兄の忘れ形見を放って置けなかったのだ。
一人で悪戦苦闘しながら子育てをしている中、とある女性と運命の出会いをした。それが賀茂家の双子姉妹の一人。カモノ=カヤの妹。
そして二人は紆余曲折の末、結婚して子供が二人生まれた。
ヒナタは両親に血のつながりが無い事を、幼い頃からちゃんと知っていた。義父がきちんと伝えたのだ。
曰く。
『彼らが生きていた事を忘れてはいけない。彼らの存在を無かった事にしてはいけない』
との事。
それでも仲は良かった。
優しい両親と、可愛い弟と妹。
毎日が幸せだった。
だが、それはある日突然失われた。
休日に家族で遊びにいった遊園地で大惨劇に巻き込まれたのだ。
『さあゲーム、スタートォォォォォォ!』
エドリーゲイン=バンディー=ルーカスジョン。愛称はエドリー。通り名は“
シリアルキラーにして、快楽殺人鬼。
世界を渡り歩き、殺人……どころか、
なのだが、頭が良いうえに恐ろしく強い。デュナミスト兼クルセイダのプレイヤーで、持っているチカラの特性上、下手に刺客を送ると逆に強化されてしまうので、討伐隊すら組めない。
かつて超大規模な討伐隊が組まれた際、返り討ちにされ、エドリーを増強させてしまい、更に手が付けられなくなってしまったので、専守防衛しか出来なくなった。
しかも彼のやり方は質が悪い。
シリアルキラーであったオウカの親友――モンセラートよりも遥かに酷い。
彼女の場合、殺しまくってはいるが、それは楽しむためではなく、生きるための生理現象のようなもの。
だからこそ、無差別殺人をするにはするが、悪人狙いが多いうえ、苦しまないよう一瞬で殺す。更に一人も残らず皆殺しにするため、恨みはあまり買わなかった。……災害の一種と思われていた。
人は地震、雷、火事は恨まない。親父は憎むかもしれないが。
そして、仕置人に転職(?)してからは、依頼がなければ正当防衛でしか殺さなくなった。その代わり、量を質で補うためターゲットに壮絶な拷問を掛けるようになったが、対象は生きる価値のない下衆だらけ。
だからこそ、恨まれる事は少なく、恐れられていた。
だがエドリーは違う。
彼が殺す理由は楽しいから。
苦しむ人や悲しむ人が好きだから。人の死ぬ瞬間が面白いから、絶望する人を見るのは楽しいから。
そして、ターゲットは弱い者、何の罪もない一般市民。特に家族連れ、恋人連れ、友達沢山伴っている幸せに生きている者
しかもそういう人達を大量虐殺するため、レジャー施設や客船などを狙い、そこに結界を張ってから自分の趣味を始める。
そして、やり方は最低最悪。
自分で殺す場合は、甚振り嬲って殺すが、それはまだマシな方。
対象を意志のあるままに操作して、家族や恋人を殺させる。
子供の目の前で親を殺し合いさせたり、自殺させる。
対象を動けなくしてから、その大切な人を甚振り殺す。
しかも、皆殺しにはせず、毎回多少の生存者を出す。その理由は唾棄すべきもの。
曰く。
『誰かにオレの犯行を語り継いで欲しいからなぁぁぁぁぁぁ』
との事。
そんな彼の犯行にヒナタは巻き込まれた。
操られて弟妹を自分の手で殺す事になった。
手足を斬られ、人質にさせられ、エドリーの要求により、殺し合いをする事にんった父母間近で見た。
生き残った母親がエドリーの要求で自殺するのを見た。
そしてその大惨劇唯一の生き残りとなったが、心も体も大きな傷を負った。
精神崩壊してもおかしくなかっただろう。だが、憤怒と憎悪が彼女の精神を留めた。
そして、決意する。
『アイツを――殺す』
そして、チカラを欲した。
とは言え、彼女には才能がない。ならば、どうするか?
だからこそ、冥刀を手にした。
リスクがある複数持ちに手を出し、他のチカラまで彼女は手に入れた。
そして、今も牙を研ぎ続けている。
目的を果たすために。
◇◆◇◆
聞き終えた全員が黙り込む。
その顔は皆一様に歪んでいる。
リアがまず言葉を漏らす。
「わたくし、全ての人間には生まれて来たからに、は幸せになる権利があると思ってました」
誰に対しても優しいリアだからこその重い。だがそれは過去形。
「この世界には、生きているだけで害悪が存在するのですね」
その言葉を肯定するのはマユ。
「まさか、あの世界の住人並に狂った人間がいるとは思わなかった」
彼女の世界は末期の世界。自分さえ良ければ後はどうなっても良いという人……否、ケダモノばかり。
そんな彼女にネラは訊ねる。
「
「何?」
「下衆、彼方、出身?」
「……どうだろう?」
そもそもこちらとあちらの人間は違いはほとんどない。
強いて言うなら、プレイヤーの割合が少ないくらい。
それに加え。
「向こうの住人は精神汚染を大なり小なり受けてたし」
「「そうなの!?」」
「アレ? 言ってなかったけ?」
言ったよね? と首を捻るマユに、リアが何かを思い出す。
「そういえば、世界が滅んだ元凶とか言ってましたけど、物理的じゃなくて、精神的だったんですか?」
「両方」
「でも今は関係ない。それよりその屑の話」
「ああそうだな」
その時だった。
パタリと音が聞こえた。
それと同時、ランコの叫びが響く。
「リアちゃん!?」
何か不味いと物陰を見ると、そこには倒れたリアを受け止めているランコがいた。
「きゅ、救急車!?」
慌てふためくランコにオウカは、デコピンを打って落ち着かせる。
「痛!?」
「落ち着け。とりあえず保健室へ」
そして保健室へ連れていき、診察してもらう。その結果は――
少しして、オウカ達が見守る中、リアは目覚めた。
「ここは?」
「保健室。お前何も食べてない……訳なかったな。吐いたな」
「……」
沈黙。
少しして。
「今は吐き気はありません。けど食欲がなくて」
そんな彼女にオウカは謝ろうとする。
「w」
「言わないでください!」
リアはそれを遮って告げる。
「これはわたくしの心の弱さが招いただけ。だから断じてあなたのせいではない」
「でも……」
「でももへちまもない。だからまた頼んでくださいね」
その言葉にオウカは頷くしかない。
「わかった」
「それでいいです」
そして、笑っていた顔を真剣な物にする。
「それと、サクさん。ここには書きませんでしたけど、もう一つ追加の情報が」
「うん?」
「まだ未確定なのですが――」
それを聞いてオウカは口元を歪めた。
■□■□
夜の街を一人の外套姿の人物が歩いていた。
それはソラナキ=ヒナタ。
とは言え、いつものバイザーだけでなく、今は誰だかわからないようにフードとマスクをしている。
彼女の目的はある場所でおこなわれる、裏組織の取引を叩き潰す事。
これが彼女の副業(?)。
復讐のためにチカラを求めるのだが、それを手に入れるのは、彼女にとっては、表立って手に入れるより、非合法な裏取引を潰す方が手っ取り早い。……一応表立ってもやってはいる。
目的のモノがなくても、戦闘経験が積めるうえ、要らないモノならば金に換えればいいのでやっている。
因みに、この事を叔母であり、保護者代わりのカヤは知っているが、見て見ぬ振りをしてくれている。
『良いですか? 重傷を負ったらすぐにやめさせますよ?』
との事。
そして、目的の廃倉庫にやって来た時だった。
「よお」
挨拶の声と人の気配。
すぐさま、亜空間から棍棒を抜き、後ろに振るう。
「危ないね」
相手は棍棒をしゃがむ事で避ける。
「お前は……」
その人物に覚えがある。
それは――
「確か昨日の……」
「覚えていたか」
昴咲高校の制服を着た少女。
夏休みから、バイカと稽古をしているのは、ヒナタも気づいていた。
そして、叔母が仲良くなるよう頼んだ人。
その事まで思い出し、彼女は思い至る。
「まさか叔母さんが?」
「ああ」
彼女からヒナタの事を聞いた際に、この事も聞いていた。
「仲良くなるにはまずは共同作業。一緒に
「いらない」
その少女を振り切ろうとした時だった。
「強くなりたいんだろ?」
その言葉にヒナタは足を止め、少女を見る。
「隠し事は後でバレるとこじれるからな。誠意を見せよう」
少女は指をパチンと弾いた。
すると、昴咲高校の女子用ブレザーが、男物の黒い戦闘衣に変わる。そして、縛っていた髪を流し、ティッシュで化粧を取る。
あっという間に少女が少年となる。彼をヒナタは知っている。
「サクヅキ=オウカ……!」
あの対校戦で人智超越した戦いをした少年だった。
呆然としているヒナタに続ける。
「貴方の目的は聞いた」
「叔母さん、余計な事を……」
しかめっ面の彼女に告げる。
「わかってるんだろ? このままじゃ復讐には足りないって」
「……」
「だから、手を貸してやる」
復讐者の手助けなら経験があるんだ、と手を差し出す。
そんな彼にヒナタは訊ねる。
「なぜウチを? 他人なんて放っておけばいいのに」
「誰かれ構わず助ける気はないが、手の届く範囲の人は助けたいんだよ」
【コソコソ話】
(#ー#)<因みにコイツの狙いは――クロス、アーティファクト、冥刀だ。
(#ー#)<特に、クロスはとある理由から欲しがっている。
(・▽・)<N○RUTOの、やる事成す事裏目に出た、アイツの右腕みたいになっているんですか?
(#ー#)<いや、それは別人。
(㈩*㈩)<そんな奴いるの!?
(#ー#)<まあそれはいずれ。どう利用しているかは追々判明する。