(・▽・)<少し報告です。設定が変わります。
(#ー#)<何の?
(・▽・)<前に解説した刀剣系のアーティファクト。
(㈩*㈩)<かなり前に詳しく解説してたね。
(・▽・)<それに+αします。ちょっと追加したくなったので。
(#ー#)<……。まあいいけど何を追加するんだ?
(・▽・)<魔法が使える剣で、魔剣を追加。後はちょこちょこ。
(・▽・)<それについては追々。
オウカの脳裏に過るのは、カヤの言葉。
『あの子は普通に言えば拒否します。でも何かしら益があれば引き受けるのですよ』
だからこそ、最大の目的で釣る事にする。
「何だったらチカラをあげる。丁度使っていない冥刀が幾つかある」
その言葉にピクリとヒナタが身じろぎする。
「それと、お前が使っている冥刀、メンテナンスしていないだろう?」
これもカヤ情報。自己修復に任せているそうだ。
「友人が冥刀のメンテナンスが得意でな。紹介してやる」
報酬を上乗せしていく。
「その代わり、俺にも協力させろ」
その言葉にヒナタは何も言わない。
そして、暫しの静寂後。
「何で?」
漏れたのは疑問。
「どうしてそこまでしてウチに関わろうとするの?」
狸のお面のせいで表情はわからない。
だが、その顔は泣いているようにオウカには感じられた。
「そんな事してもアンタに益なんてないでしょう?」
その疑問にオウカは答える。
「人付き合いってのはな、与えたり、貰うだけじゃない」
確かに損得勘定の付き合いもある。
だが、それ抜きの関係だってある。
「それに放って置けないんだよ。お前みたいな復讐者がさ」
だから、と前置きしてオウカは告げる。
「俺は役に立つぜ。だから協力させてくれ」
その言葉にヒナタは――。
「わかった」
了承してオウカの手を取った。
義手なので、温もりは無いが少し暖かく感じた。
それにオウカは少し微笑む。
「そっか」
「でも約束して」
「何を?」
「もし危なくなったら、ウチを見捨てて逃げて」
それを聞いてオウカはカヤの言葉を思い出す。
『あの子は一人を気取ってますけど、本当は寂し屋でとっても優しい子なんですよ』
本当にその通りだった。
なので、オウカはこう答える。
「安心しろ」
「?」
「俺がいる限り千パーセントそんな事態にはならない」
彼の断言にヒナタの気配が変わり、少し震える。
お面でわからないが笑っているように感じられた。
そうして二人でカチコミとなる。
「じゃあ今渡すか?」
「……持ってるの?」
「うん。どれがいい?」
学外実習で手に入れた機体型の冥刀を差しだす。
その数は残り十二本。
それを手に取ろうとしたヒナタだったが、途中で止まる。
「後でいい。今はこっちに集中する」
「そっか。わかった」
オウカは仕舞う。
そして、ニヤリと笑う。
「さ、久しぶりのカチコミだ。暴れるぞー」
「……経験あるの?」
「おう」
オウカがモンセラートの助手をしていた時は、しょっちゅうしていた。
なので慣れている。
「今回は雑魚は俺がやる。強敵は頼む」
「わかった」
そうして二人は乗り込む。
普段のカチコミでは、ヒナタは暗殺者スタイルで行く。
なのだが、オウカのスタイルは――それとは真逆。
オウカが扉を蹴破る。
「皆! 死のう! 諦めよう!」
「何だ?」
「カチコミか!」
「諦めるかぁ!?」
正面突破。
それにヒナタは、オウカの申し出を受けた事を、少し後悔し始めていた。
だが、それは一瞬で覆る。
「今日は……これで行こう」
出した武器は――メイス。オウカはメイド師匠から武芸百般習っているので、大抵の武器は使える。更に〈冥肌鏤骨〉で刻まれた糸による経験と技術まで存在する。
対する相手は銃火器を出す。プレイヤーやモンスターにも有効な特殊製もあれば、《ブルークロス》まである。
「死ねぇ!」
「蜂の巣じゃあ!!」
弾丸が襲い掛かる。
喰らえばひとたまりもないだろうが、素人の弾丸など当たる訳がない。
「目線と殺気で丸わかり」
オウカは全弾回避し、手近にいた相手の頭部にメイスを叩きつける。
「脳みそぶちまけろ」
「げぎゅ!?」
そのままオウカは暴れる。メイスで相手を一撃で仕留めていく。
それをヒナタは食い入るように見つめる。
彼女はオウカと意図に気づいていた。
(彼はウチの参考になるようにこうしているんだ)
そうして雑魚をオウカが始末し終えると、奥から二人の人間が出て来る。
「なんだオマエら……」
「よくも部下を殺してくれたな」
それは取引をおこなっていた二つの組織のボス。
片方は、眼の白黒が反転しており、青紫に輝いている――クルセイダー。手にはエモノである日本刀を二刀流にしているのだが、左右の刀は妙に禍々しい。
もう片方は、普通の眼なのでクルセイダーのようではない。ただ手に持った斧が妙な圧を放っているので恐らくは――デュナミスト。
(ふうん。中々強そうだな)
そんな事を思っていると、ヒナタがオウカの前に出た。
「ここからはウチがやる」
それにオウカは提案する。
「二人だから二対二で行くか?」
「ううん。ウチだけで十分」
この程度の相手が倒せないのなら、自分は仇を取れない。
そんな彼女にオウカは了承する
「……わかった。でも危なくなったら割って入るぞ」
「うん」
メイスを仕舞い後ろに下がるオウカ。入れ替わるようにヒナタは更に前に出る。そして手に持った棍棒をメイスへと変える。
「テメエら舐めてんのか?」
「一人で勝てると思ってんのか?」
そんな二人へヒナタは告げる。
「気に食わないなら掛かってこい雑魚共」
ヒナタの挑発に二刀流と斧使いが逆上する。
「何だとテメエ!」
「死ねぇー!!」
襲い掛かる二人。二刀流が真っ先にヒナタの所に到達。
「真っ二つだ!」
「!」
右手の斬撃をメイスで防ぐヒナタ。そのまま押し込みにかかる。
(重!? コイツ、この細腕でどんな腕力してんじゃ……)
二刀流は片手では防げないと判断し、もう片方の腕も使う。だがそれでもパワーは片手のヒナタが上。
(コイツ……何かトリックがあるな……)
そこへ斧使いがヒナタ目がけて斧を振るう。
距離的に届かない。普通なら。
「死ね!」
「!」
斧が巨大化。リーチが伸びる。それをヒナタはバックステップして避ける。
だが、それは隙となる。
「チェリャアア!」
「っ!」
襲い掛かって来た二刀流の突き攻撃をどうにかメイスで防ぐ。
そこからは膠着状態となる。
二刀流が連続攻撃を打ち込んでくる。
それをヒナタがどうにか避けたり、防いだところで、斧使いの巨大斧が降って来る。
(お互いの隙を潰し合っている)
スピードの二刀流とパワーの巨大斧。中々の連携。
内心感心していると、オウカから声が掛かる。
「どうする? 加勢するか?」
その言葉にヒナタはこう答える。
「平気。この程度ピンチですらない」
そして、彼女はもう一つの冥刀を使用を決意する。
「【パダルン・レドコウト】」
言葉が紡がれると同時、纏っていた黒い外套が形を変える。背から無数の帯が伸び、相手に一気に襲い掛かる!
「! 不味い!」
二刀流が前に出る。そして、帯を捌く。だが、帯の攻撃は一度で終わらず、連続で襲い掛かる。二刀流は完全に捌ききれず体中に傷を負っていくが、致命傷は避けていく。
そこへ斧使いが斧を巨大化させ、ヒナタを叩き斬ろうとする。
「隙ありだぁー!」
だが。
「そんなものはない」
外套が更に変化。現れたのは巨大な獣の顎。口を開ける。
「ギャア!?」
彼を一撃で噛み砕いた。
「次」
獣が引っ込み、増殖した帯が二刀流使いに迫る。
「ギョバアア!」
二刀流は遂に捌ききれなくなり、こちらもバラバラにされた。
あっという間に二人を片付けると、ヒナタはふうと息を吐く。
そんな彼女の耳に聞こえたのは拍手。
振り向くとそこにはオウカが手をパチパチと叩いている。
「凄いな」
素直な称賛。
それにヒナタはこう答える。
「まだまだ」
そんな彼女にオウカは苦笑した。
そうして、二人は協力して戦利品を搔き集める。
斧、刀、銃、アクセサリー、そしてクロス。
ヒナタは狸のお面を外し、その下に付けているバイザー越しにモノクルを付ける。鑑定のスキルを持つアーティアクトらしい。
そして、物品の鑑定を始めるが。
「斧は冥刀。銘は【リサナウト】。巨大化が可能」
「似たようなの知っているけど、何が違うのかな?」
「ウチに言われても……」
冥刀には鑑定スキルが効かないので、戦闘時と、刻んである銘を見て判断する。
因みに、オウカが言ったのはストックにある【オルナ】であり、こちらも巨大化能力を持っている。
そして、ヒナタは刀を持って鑑定する。
「刀は妖刀」
「どのタイプ?」
「呪いの武器の方。能力は高いステータスバフ。右が防御力低下、左が呪怨付与」
妖刀には四種類がある。
・モンスターが憑依したり、封じ込められている
・使い手が次々死んでいる曰く付き
・呪いや怨念を吸って変質した、もしくはさせた
・妖怪の素材を使って作った
カナタが使っていたのは一番目で、二刀流使いが使っていたのは三番目。
「相手の一人が、《ヴァイオレットクロス》持っていたでしょう」
「あ、もしかしてそれで呪いを無効にしてた?」
こくりと頷くヒナタ。
二刀流のクロスは《ヴァイオレットクロス〔耐性薬〕》。
呪い耐性の薬のチカラを使う事で、妖刀をデメリット抜きで使っていたらしい。
納得するオウカに、ヒナタが胡乱な視線を向ける。
「?」
「ウチが妖刀持っている事には、何も突っ込まないなって」
「え、あ!」
「知ってるのね? この手のチカラ」
その言葉にオウカはバツの悪そうな顔をした後、説明する。
「さっき言ったメンテナンスできる奴いるって言っただろう」
「(こくり)」
「ソイツは冥刀に恐ろしく詳しい。だから教えてくれた」
一拍置き続ける。
「その腕は【ダス・メッチェン・オーネ・ヘンデ】。能力は穢れの除去」
オウカの言葉に、ヒナタの眼が見開かれる。
ソレは毒、呪い、穢れ、汚れを消せ、応用も色々効く。
本来なら、呪いの武器を持つどころか、浄化まで可能だが、今回はしない。妖刀は呪いや怨念こそが武器なのだから。
「メイスは【テーセウス】。応報系の一つ。ストックが可能」
冥刀とクロスは、似た能力になる事はあるが、全く同一にはならない。
「そんで、その外套は【パダルン・レドコウト】。形状操作により色々できる」
無数の帯を伸ばし、相手を切り裂いたり、獣の顎や腕を出して攻撃・防御も可能。
隠し事は面倒な事になりやすいのでちゃんと話したオウカだった。
それにヒナタは驚いていたが、暫くして平静を取り戻す。
(聞いただけで、それだけでそこまでわかるのか。いや、映像とかで見たのかもだけど)
どうやら基本的な能力はバレている。……オリジナル技である畢竟はわからないが。
だが、そこまでわかるとは。その人物に興味が出て来た。
なので、
「サクヅキ君……でいいのよね?」
「ああ。そっちは、ソラナキさん……でいいのか?」
「ええ、それでいい」
聞いてみる事にする
「その冥刀に詳しくて、メンテナンスしてくれる人には会えるのよね?」
「ああ」
「今からに会える?」
「起きてるかな……。つーかもう明日になるよ?」
時刻は夜遅く。本来、マユには睡眠は必要ないのだが、気分の問題で、毎日数時間は眠っている。
そして、今日は金曜日なので明日は土曜日。
プレイヤー育成高校は完全週休二日制なので休みである。
「大丈夫。予定は特にないから」
「じゃあ……家に来る?」
「行く」
そういう訳で残りの物品――クロスを鑑定する。
ヒナタが持ってき特殊な容器に、骸から抉り出した眼球を一つ一つ入れていく。ちゃんとどんな能力だったのかは覚えているので、メモ書きも忘れない。
クロスはナノマシン移植が一般的だが、眼球移植して、適合すれば使えるようになる。だからこそ、クルセイダーの眼は能力によってはかなりの値段で売れる。
「あまりレアなのはなさそうだな」
そう呟いたオウカ。だが、ヒナタがそれを否定する。
「そうでもないみたい」
「え」
「ほら、今回は二つの組織の取引だったでしょ?」
「あ」
そういえばそうだった。
「何の取引だったんだ?」
「レアなクロス」
クロスでも《
「一体何なんだろう?」
「この中にあるみたい」
アタッシュケースをヒナタは開ける。そこには容器に入った眼球がある。色は――灰色。
「乗り物・建物か……。何かはわかる」
「書いてある。えっと……」
暫し沈黙後、口を開く。
「人型ロボットだって」
「マジ?」
ちょっと驚くオウカ。
《グレークロス》はスケボーや自転車から、戦闘機やUFOなど幅広い。ロボットになる事例も確認されている。
「高く売れそうだな」
「いや、ウチが使う」
「ふうん」
カヤの話では複数のクロスを使う術を確立しているらしい。気になる所だが、プレイヤーによっては切り札や必殺技を隠し持っているものであり、それを詮索するのはマナー違反。
なのでオウカは何も聞かない事にした。
【TIPS:ダス・メッチェン・オーネ・ヘンデ】
(㈩*㈩)<義手型の冥刀。まあ今は義足にもなっているから義肢だけど。
(#ー#)<これ元ネタなんだ?
(・▽・)<グリム童話の「手無しの娘」ですか?
(㈩*㈩)<うん。能力は上記の通りなんだけど、実は戦闘以外の応用が凄い。
(#ー#)<?
(㈩*㈩)<穢れと汚れ消去だから、泥、埃、汚れ、返り血が付かなくなる。
(㈩*㈩)<そして――汗、垢、老廃物も出る度に消去されるから。体を清潔に保てる。美肌効果あり。
(・▽・)<女性が欲しがりそうですね。
(#ー#)<美肌と手足って引き換えにするものじゃねえだろう。
(㈩*㈩)<そして……これは追々。まだ早い。
(#ー#)(・▽・)<??