冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【前書】
(・▽・)<過去編が暫く続きます。

(・▽・)<大雑把ですし、前も少しやりましたけど。

(・▽・)<まあ復習代わりにどうぞ。


lⅹⅹⅰ

 昼食を終え洗い物。BGM代わりと、ヒナタの暇潰しにテレビを付ける。

 

『次のニュースです。**選手がホームランを三本打ちました』

 

 最近は平和なニュースばかり。

 

(まあそれがいいんだけど……)

 

 戦わなければならない(ソルドアット)殺さなければならない(モンセラート)皆殺しにしなければならない(コジュウロウ)は平和な世界で生きて行けない。だが、自分やヴィシュヴァカルマン、ディアンは平和な世界でも十分に生きて行ける。

 

(アイツらがいればな……)

 

 少し感傷的になったので、首を振って振り払う。

 そして、洗い物を終えた当たりだった。

 

 何か弾け飛ぶ音が聞こえる。

 

「!? ……っ!?」

 

 その方向を向き、すぐさま目を逸らす。

 そこにはヒナタがいるのだが、バスタオルが弾け飛んでいた。つまりは全裸。

 だが、ヒナタは動じない。

 

「ごめんなさい。時間切れ」

「あ、ああ……」

「弁償するわ」

「いいよ別に」

 

 弾け飛んだバスタオルを片付けていると、ヒナタが口を開く。

 

「サクヅキくん」

「ん?」

「アンタはウチの事、どこまで知っているの?」

 

 どう答えるかは迷う。

 調べたため結構知っているのだが、正直に言うのは気が引ける。

 そうしていると。

 

「結構知っているみたいね」

「……まあ」

「別に攻めている訳じゃないの。ただ……」

 

 一拍置いて続ける。

 

「気になるの。アンタはどうしてウチを助けようとするのか」

「当然だな」

「ねえ、どうして?」

 

 その疑問にオウカは答える。

 

「俺の親友(ダチ)に、お前みたいな復讐者がいた」

「! ……いたって過去形?」

「ああ。ソイツの死に際に頼まれたんだよ。復讐者を助けてやってくれってな」

 

 自分みたいにならないように、と言われたと付け加える。

 

「そっか……」

「でも、それが無くても助けたと思う」

「何で?」

「放って置けないから」

 

 そう言ってオウカはヒナタを真っ直ぐに見る。

 

「これも俺の親友の話なんだが、ソイツは誰かれ構わず助けようとして、しくじった」

「……しくじる?」

「ああ。一番守りたかった孤児院の仲間達(家族)を亡くした」

「!?」

 

 その結果、彼女は――修道女(マリア)は狂った。

 

「んで、この世に救いはないって悟って、皆殺して救うんだって言い出した」

「……。その人は?」

「止めたよ。どうにか」

 

 思いっきりぶん殴り、どうにか考えを改めさせた。

 

「アイツの失敗から、俺は学んだんだ。手の届く範囲の人は助けるってな」

 

 その言葉にヒナタはこう言う。

 

「ウチは手が届く人?」

「ああ」

「……腕無くなっちゃったけどね」

「笑えないジョークやめて!?」

「……。ねえ、アンタの事、教えて」

「?」

「友達の事とか、どうして強くなれたのかとか」

 

 それにオウカは頷いた。

 

 そして、オウカは確認する。

 

「……どこから話す?」

「アンタはウチの事結構知っているんでしょう?」

「うんまあ……」

 

 保護者のカヤや、情報に詳しいリアから半生は聞いている。

 

「だったら、そっちも同じように」

「ん」

 

 公平にいこうとオウカは説明を始める。

 

「俺の生まれは名門のノーブルの家に生まれたんだ」

「……自慢?」

「でも、すぐさま忌み子扱いで軟禁状態になった」

「ごめんなさい」

 

 頭を下げるヒナタ。

 

「気にすんな」

「何で忌み子扱いされたの?」

「双子だったうえに、禁術のせいで無能になったから」

「……何それ」

 

 あまりの酷さに、ヒナタの声音は怒っている。

 そんな彼女に少し笑みを見せてから、オウカは説明を続ける。

 

「それで絡繰人形に育てられたんだ」

「実の親は?」

「俺の事を人間とすら思ってねえ」

「……」

 

 ヒナタが沈黙。

 

「その人と、友人達のおかげでどうにかなってたんだけど」

(友人ってなんだろう?)

 

 疑問に思ったが、聞かない事にしたヒナタ。

 流石にゴキブリ、ドブネズミ、シロアリが友人だとは思わなかっただろう。

 

「このままじゃ不味いって、皆が命を懸けて時間を稼いでくれた隙に家出した」

「家出というか……脱獄?」

「そうとも言う」

「そうとしか言わない」

 

 かもしれない。

 

「とは言え、一人で幼子が生きている訳がない。野垂れ死ぬ寸前だったんだけど……」

「……誰が助けてくれたの?」

「師匠」

「さっきの針治療教えた人?」

「ああ」

 

 それ以外にも色々習った。

 

「今でもその教えは生きている」

「……今いないの?」

「生きてはいるだろうけどな……」

 

 一年位前に置手紙一枚残して消えた。

 

「どこで何してるんだか……」

 

 とは言え、置き土産として、必要な物が幾つも残してあったので、生活には困らなかった。とは言え、いずれはその資金も尽きてしまうので。

 

「プレイヤー育成高校に通う事にしたんだ」

「そう簡単には入れるものじゃないわよね?」

「師匠の教えのおかげだよ。あの人実戦形式だったから」

「どういう事をやったの?」

「そうだな……」

 

 オウカは説明する。

 

 

 武器は基本的な使い方を習った後は、ひたすら実戦。

 毒耐性を手に入れるため、微量の毒を飲む。

 一カ月サバイバル生活。

 筆記は覚えてテストの繰り返し。

 

 

「とまあこんな感じ」

「……」

 

 その説明に納得したヒナタだったが、彼女は知らない。これがまだ序の口である事を。

 

「無事に入学出来て、クロスも手に入れたんだ」

「え、アンタ、デュナミストじゃないの?」

「昔はクルセイダーだったんだよ」

 

 一拍置いて続ける。

 

「誰かに盗まれたんだ」

「!?」

 

 《ブルークロス〔蛇腹剣〕》

 オウカが手に入れたクロス。まあまあな部類らしい。

 だが、気が付けば、跡形も無く消えていた。

 

「犯人は?」

 

 ヒナタの疑問に、オウカは肩を竦める。

 未だに不明。その犯行以来全く動かなくないので、尻尾はつかめない。

 

「それ以外も悪い事が重なってな、退学、もしくは転学危機になった」

 

 

 一部の生徒以外からは嫌われている教師や、柄の悪い奴に目を付けられた。

 アーティファクトを頼んでいた職人に、素材を持ち逃げされた。

 初っ端問題や面倒に巻き込まれた自分の、面倒見てくれていた担任――アシヤ=キョウコがゴタゴタで暫く学校に来れなくなった。

 

 

 アレは不味かった、とケラケラ笑うオウカ。……笑えない。

 

「それで?」

「そんな時、【オートクレール】(現れた冥刀)が取引を持ちかけて来たんだ」

「取引?」

「自分の(パーツ)を取り返すのを手伝ってくれってな」

 

 渡りに船だったので、応じた。その結果、いきなり異世界に飛ばされた。

 

「だ、大丈夫だったの?」

 

 嘘だとは言わないヒナタ。元々嘘か本当かを判断するスキルを持っているうえ、彼の戦闘力的に歴戦の猛者。異世界で長時間過ごせば、そうなると思った。

 

「全然。そもそも別世界なうえに、過去に飛んだせいでかなり消耗してた」

「……」

「その状況で猛者と勝負だぜ?」

 

 とは言え、こうなる事を【オートクレール】はわかっていた。

 だからこそ、他の冥刀を保管していた。

 更に、(パーツ)を取り戻すためにチカラを取り戻していった。

 

「それでチカラを手に入れたんだ……」

「いや、取り戻した瞬間、用済みだって消されそうになった」

「!?」

 

 【オートクレール】の前身――【アロンダイト】は時の天剣。時から拡張させ、空間や次元まで操作可能。そのあまりに大きすぎるチカラのせいで二つの人格が生まれた。

 

「それで死に掛けたんだけど、友達が冥刀を移植してどうにか復活出来た」

「ウチみたいな?」

「ああ」

 

 手足や臓器を代替してどうにか復活。

 

「そこからは冥刀集め。このままだと勝てないから」

 

 そんな彼にヒナタは気になった事を訊ねた。

 

「どうして沢山冥刀を使えるの?」

「ん? ああ、俺な、魂が欠けてるんだよ」

「!?」

 

 胎内にいた頃に喰らった禁術。それのせいで魂が穴だらけになった。その結果、冥刀を幾つも使えるようになったのだ。

 

「それって大丈夫なの?」

「全然。プレイヤーとしての才能はなくなったし、スロットだって盗られた」

 

 実はそれ以外にも寿命がごっそり削られた。実は実家家出の際に、追手が来なかったのは、放っておけば野垂れ死ぬと思われたからである。

 ……実家が、彼が生きている事を知り、大騒動が起こるのはまだまだ先。

 

「まあ今は平気だけど」

 

 今も元気に生きている理由は三つある。

 

 

 一つ目が、師匠のおかげ。

 彼女が持っていた、レアなアイテムのおかげで、完全とはいかないがある程度は回復した。

 

 二つ目が、友人の処置。

 闇医者であるディアンは、魂魄に関する知識があった。だからこそ、彼女は処置をしてくれた。

 

 三つ目が、冥刀の置き土産。

 彼女らが殉じた際に、穴だらけの魂にパテのように張り付いた。チカラだけを遺した訳ではない。

 

 

 閑話休題。

 

「じゃあ話を戻すぞ」

「うん」

「異世界に行ってからさ、最初は一人旅してたんだけどな」

 

 一拍置いてヒナタに訊ねる。

 

「対校戦でさ、俺が戦っていた相手覚えている?」

「忘れられる訳ない」

「それもそうか……」

 

 あの戦いは、未来永劫語り継がれる事になる。

 

「ソイツ――ソル、ソルドアットと出会ったんだ」

 

 戦闘狂の彼女に喧嘩を売られた。

 それが全ての始まり。

 それに応じて戦っていると、乱入者が現れ、四つ巴となった。だが、それは決着つかず、二人が去り、残ったのは二人。

 

 一人はオウカ、もう一人は盲目の剣士。

 【アロンダイト】の一部が使われている冥刀【ガスティガ=フォッリ】の使い手。そして――

 

「復讐者カスミ。それが俺の最初の友達」

「その人が……」

「うん」

 

 探していたモノを持っていたので、倒して奪うと言う選択肢もあった。だが、それはしたくなかった。

 なので、交流する事になった。

 因みにその仇とも交流する事になってしまったが。

 

 ヒナタが訊ねる。

 

「その人は誰を追っていたの?」

「兄弟子」

「……何をしたの?」

「兄弟姉妹弟子、師匠、親、友達。アイツが暮らしていた村の人間皆殺した奴」

「!」

 

 自分よりも凄まじい。それに目が見開かれる。 

 

「殺した理由……何だと思う?」

「……わからない」

「最強になるため」

「は?」

 

 意味が分からない。

 それにオウカは説明する。

 

「全ての知的生命体を抹殺すれば、最強って証明できるだろう?」

 

 たった一人になれば、その存在は最強である。

 

「だから、全てを殺そうとしたんだ」

 

 何も言えなくなったヒナタだった。

 彼女がまず思ったのは――カスミの思い。

 

(親しい人を殺す事になるなんて……)

 

 人の不幸は比べられない、と言うがこれは別。

 自分より辛いかもしれない。

 そんな事を思っていると。

 

「どうした?」

 

 オウカが聞いて来た。

 なので、ヒナタは答える。

 

「その人の辛さを思ったの」

「……そうか」

 

 沈黙してしまう二人。

 何か切り出さないと、と迷うヒナタはある事を思い出した。

 それは復讐者はもう一人いる。

 

「ねえサクヅキくん」

「ん?」

「もう一人復讐者いるっていってたよね?」

「ああ」

「その人はどういう人なの?」

 

 彼女の疑問にオウカは答える。

 

「アレイナの事か?」

「……(コクリ)……」

 

 そして、その説明にヒナタは何も言えなくなる。

 

 とある冥刀(正確に言えば、その上位交換の天剣)を手に入れようと、自作自演で自身の国を滅ぼした大国を滅ぼした復讐者。

 そして、黒幕と生き残りを追いかけた人。

 

「しかもな、殺し方も酷いもんだった」

「酷い?」

「ああ。【スラエオータナ】って冥刀を使われてな」

「どんな能力なの?」

「細菌の生成と散布」

 

 唖然とするヒナタ。

 

「アイツの国と仲良かった国の二つの国は、タンパク質を喰らう細菌によって、皆骨だけになった」

「人ってそこまで残酷になれるの?」

「あの世界の人間は皆狂ってたから」

「……」

 

 沈黙したヒナタ。その時ふと気になる事があった。

 

「その人はどうやって生き残れたの?」

「持っていた剣が重力操作の能力を持っていたんだ」

 

 【エッケザックス】は通常の抜錨時には、チカラの半分を防御に回す。そのため反重力フィールドが常に発生しているため、生半可な攻撃は通らない。勿論、細菌も通さない。

 

「そうなんだ……」

「でも、アイツいつも言ってた。〔妾は皆と一緒に逝きたかった〕って」

「……その気持ち痛い程わかる」

 

 何で自分だけ生き残ったのか。何で一緒に逝けなかったのか。

 きっと辛かったのだろう。悲しさを怒りと憎しみに変え進み続けたのだろう。

 

「正直、見てられなかった。放っておけなかった」

「……」

「だから協力した」

 

 カヤの言葉が無くても協力した。それは絶対。

 

「……ねえ」

「うん?」

 

 改めてヒナタは聞いた。

 

「その二人は、復讐を果たせたの?」

 

 それにオウカはコクリと頷く。

 続けて訊ねる。

 

「その後は?」




【コソコソ話】
(㈩*㈩)<これがサクが沢山使える理由。

(#ー#)<どういう事だ?

(㈩*㈩)<例えるなら普通の人なら、魂一つにフック一つがあって、

(㈩*㈩)<そこに冥刀を、一つ、上手く相性が合えば二つ三つ付けられる。

(㈩*㈩)<でも、サクの場合、魂魄が穴だらけになったせいで

(㈩*㈩)<疑似的なフックになって、沢山引っ掛けられるようになった。

(#ー#)<……それ大丈夫なのか?

(㈩*㈩)<そんな訳ないでしょう? 後にディアンが診断した結果、

(㈩*㈩)<三十歳まで生きられないって言われてたもの。

(#ー#)<は!?

(㈩*㈩)<本当はもっと短かったけど、メイド師匠の処置で伸びて、

(㈩*㈩)<ディアンの処置で更に伸びた。

(㈩*㈩)<今は冥刀のおかげで、人並みには生きられる。

(#ー#)<全然死にそうにないけどな……。

(㈩*㈩)<否定できない……。
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