(・▽・)<過去編が暫く続きます。
(・▽・)<大雑把ですし、前も少しやりましたけど。
(・▽・)<まあ復習代わりにどうぞ。
昼食を終え洗い物。BGM代わりと、ヒナタの暇潰しにテレビを付ける。
『次のニュースです。**選手がホームランを三本打ちました』
最近は平和なニュースばかり。
(まあそれがいいんだけど……)
(アイツらがいればな……)
少し感傷的になったので、首を振って振り払う。
そして、洗い物を終えた当たりだった。
何か弾け飛ぶ音が聞こえる。
「!? ……っ!?」
その方向を向き、すぐさま目を逸らす。
そこにはヒナタがいるのだが、バスタオルが弾け飛んでいた。つまりは全裸。
だが、ヒナタは動じない。
「ごめんなさい。時間切れ」
「あ、ああ……」
「弁償するわ」
「いいよ別に」
弾け飛んだバスタオルを片付けていると、ヒナタが口を開く。
「サクヅキくん」
「ん?」
「アンタはウチの事、どこまで知っているの?」
どう答えるかは迷う。
調べたため結構知っているのだが、正直に言うのは気が引ける。
そうしていると。
「結構知っているみたいね」
「……まあ」
「別に攻めている訳じゃないの。ただ……」
一拍置いて続ける。
「気になるの。アンタはどうしてウチを助けようとするのか」
「当然だな」
「ねえ、どうして?」
その疑問にオウカは答える。
「俺の
「! ……いたって過去形?」
「ああ。ソイツの死に際に頼まれたんだよ。復讐者を助けてやってくれってな」
自分みたいにならないように、と言われたと付け加える。
「そっか……」
「でも、それが無くても助けたと思う」
「何で?」
「放って置けないから」
そう言ってオウカはヒナタを真っ直ぐに見る。
「これも俺の親友の話なんだが、ソイツは誰かれ構わず助けようとして、しくじった」
「……しくじる?」
「ああ。一番守りたかった
「!?」
その結果、彼女は――
「んで、この世に救いはないって悟って、皆殺して救うんだって言い出した」
「……。その人は?」
「止めたよ。どうにか」
思いっきりぶん殴り、どうにか考えを改めさせた。
「アイツの失敗から、俺は学んだんだ。手の届く範囲の人は助けるってな」
その言葉にヒナタはこう言う。
「ウチは手が届く人?」
「ああ」
「……腕無くなっちゃったけどね」
「笑えないジョークやめて!?」
「……。ねえ、アンタの事、教えて」
「?」
「友達の事とか、どうして強くなれたのかとか」
それにオウカは頷いた。
そして、オウカは確認する。
「……どこから話す?」
「アンタはウチの事結構知っているんでしょう?」
「うんまあ……」
保護者のカヤや、情報に詳しいリアから半生は聞いている。
「だったら、そっちも同じように」
「ん」
公平にいこうとオウカは説明を始める。
「俺の生まれは名門のノーブルの家に生まれたんだ」
「……自慢?」
「でも、すぐさま忌み子扱いで軟禁状態になった」
「ごめんなさい」
頭を下げるヒナタ。
「気にすんな」
「何で忌み子扱いされたの?」
「双子だったうえに、禁術のせいで無能になったから」
「……何それ」
あまりの酷さに、ヒナタの声音は怒っている。
そんな彼女に少し笑みを見せてから、オウカは説明を続ける。
「それで絡繰人形に育てられたんだ」
「実の親は?」
「俺の事を人間とすら思ってねえ」
「……」
ヒナタが沈黙。
「その人と、友人達のおかげでどうにかなってたんだけど」
(友人ってなんだろう?)
疑問に思ったが、聞かない事にしたヒナタ。
流石にゴキブリ、ドブネズミ、シロアリが友人だとは思わなかっただろう。
「このままじゃ不味いって、皆が命を懸けて時間を稼いでくれた隙に家出した」
「家出というか……脱獄?」
「そうとも言う」
「そうとしか言わない」
かもしれない。
「とは言え、一人で幼子が生きている訳がない。野垂れ死ぬ寸前だったんだけど……」
「……誰が助けてくれたの?」
「師匠」
「さっきの針治療教えた人?」
「ああ」
それ以外にも色々習った。
「今でもその教えは生きている」
「……今いないの?」
「生きてはいるだろうけどな……」
一年位前に置手紙一枚残して消えた。
「どこで何してるんだか……」
とは言え、置き土産として、必要な物が幾つも残してあったので、生活には困らなかった。とは言え、いずれはその資金も尽きてしまうので。
「プレイヤー育成高校に通う事にしたんだ」
「そう簡単には入れるものじゃないわよね?」
「師匠の教えのおかげだよ。あの人実戦形式だったから」
「どういう事をやったの?」
「そうだな……」
オウカは説明する。
武器は基本的な使い方を習った後は、ひたすら実戦。
毒耐性を手に入れるため、微量の毒を飲む。
一カ月サバイバル生活。
筆記は覚えてテストの繰り返し。
「とまあこんな感じ」
「……」
その説明に納得したヒナタだったが、彼女は知らない。これがまだ序の口である事を。
「無事に入学出来て、クロスも手に入れたんだ」
「え、アンタ、デュナミストじゃないの?」
「昔はクルセイダーだったんだよ」
一拍置いて続ける。
「誰かに盗まれたんだ」
「!?」
《ブルークロス〔蛇腹剣〕》
オウカが手に入れたクロス。まあまあな部類らしい。
だが、気が付けば、跡形も無く消えていた。
「犯人は?」
ヒナタの疑問に、オウカは肩を竦める。
未だに不明。その犯行以来全く動かなくないので、尻尾はつかめない。
「それ以外も悪い事が重なってな、退学、もしくは転学危機になった」
一部の生徒以外からは嫌われている教師や、柄の悪い奴に目を付けられた。
アーティファクトを頼んでいた職人に、素材を持ち逃げされた。
初っ端問題や面倒に巻き込まれた自分の、面倒見てくれていた担任――アシヤ=キョウコがゴタゴタで暫く学校に来れなくなった。
アレは不味かった、とケラケラ笑うオウカ。……笑えない。
「それで?」
「そんな時、
「取引?」
「自分の
渡りに船だったので、応じた。その結果、いきなり異世界に飛ばされた。
「だ、大丈夫だったの?」
嘘だとは言わないヒナタ。元々嘘か本当かを判断するスキルを持っているうえ、彼の戦闘力的に歴戦の猛者。異世界で長時間過ごせば、そうなると思った。
「全然。そもそも別世界なうえに、過去に飛んだせいでかなり消耗してた」
「……」
「その状況で猛者と勝負だぜ?」
とは言え、こうなる事を【オートクレール】はわかっていた。
だからこそ、他の冥刀を保管していた。
更に、
「それでチカラを手に入れたんだ……」
「いや、取り戻した瞬間、用済みだって消されそうになった」
「!?」
【オートクレール】の前身――【アロンダイト】は時の天剣。時から拡張させ、空間や次元まで操作可能。そのあまりに大きすぎるチカラのせいで二つの人格が生まれた。
「それで死に掛けたんだけど、友達が冥刀を移植してどうにか復活出来た」
「ウチみたいな?」
「ああ」
手足や臓器を代替してどうにか復活。
「そこからは冥刀集め。このままだと勝てないから」
そんな彼にヒナタは気になった事を訊ねた。
「どうして沢山冥刀を使えるの?」
「ん? ああ、俺な、魂が欠けてるんだよ」
「!?」
胎内にいた頃に喰らった禁術。それのせいで魂が穴だらけになった。その結果、冥刀を幾つも使えるようになったのだ。
「それって大丈夫なの?」
「全然。プレイヤーとしての才能はなくなったし、スロットだって盗られた」
実はそれ以外にも寿命がごっそり削られた。実は実家家出の際に、追手が来なかったのは、放っておけば野垂れ死ぬと思われたからである。
……実家が、彼が生きている事を知り、大騒動が起こるのはまだまだ先。
「まあ今は平気だけど」
今も元気に生きている理由は三つある。
一つ目が、師匠のおかげ。
彼女が持っていた、レアなアイテムのおかげで、完全とはいかないがある程度は回復した。
二つ目が、友人の処置。
闇医者であるディアンは、魂魄に関する知識があった。だからこそ、彼女は処置をしてくれた。
三つ目が、冥刀の置き土産。
彼女らが殉じた際に、穴だらけの魂にパテのように張り付いた。チカラだけを遺した訳ではない。
閑話休題。
「じゃあ話を戻すぞ」
「うん」
「異世界に行ってからさ、最初は一人旅してたんだけどな」
一拍置いてヒナタに訊ねる。
「対校戦でさ、俺が戦っていた相手覚えている?」
「忘れられる訳ない」
「それもそうか……」
あの戦いは、未来永劫語り継がれる事になる。
「ソイツ――ソル、ソルドアットと出会ったんだ」
戦闘狂の彼女に喧嘩を売られた。
それが全ての始まり。
それに応じて戦っていると、乱入者が現れ、四つ巴となった。だが、それは決着つかず、二人が去り、残ったのは二人。
一人はオウカ、もう一人は盲目の剣士。
【アロンダイト】の一部が使われている冥刀【ガスティガ=フォッリ】の使い手。そして――
「復讐者カスミ。それが俺の最初の友達」
「その人が……」
「うん」
探していたモノを持っていたので、倒して奪うと言う選択肢もあった。だが、それはしたくなかった。
なので、交流する事になった。
因みにその仇とも交流する事になってしまったが。
ヒナタが訊ねる。
「その人は誰を追っていたの?」
「兄弟子」
「……何をしたの?」
「兄弟姉妹弟子、師匠、親、友達。アイツが暮らしていた村の人間皆殺した奴」
「!」
自分よりも凄まじい。それに目が見開かれる。
「殺した理由……何だと思う?」
「……わからない」
「最強になるため」
「は?」
意味が分からない。
それにオウカは説明する。
「全ての知的生命体を抹殺すれば、最強って証明できるだろう?」
たった一人になれば、その存在は最強である。
「だから、全てを殺そうとしたんだ」
何も言えなくなったヒナタだった。
彼女がまず思ったのは――カスミの思い。
(親しい人を殺す事になるなんて……)
人の不幸は比べられない、と言うがこれは別。
自分より辛いかもしれない。
そんな事を思っていると。
「どうした?」
オウカが聞いて来た。
なので、ヒナタは答える。
「その人の辛さを思ったの」
「……そうか」
沈黙してしまう二人。
何か切り出さないと、と迷うヒナタはある事を思い出した。
それは復讐者はもう一人いる。
「ねえサクヅキくん」
「ん?」
「もう一人復讐者いるっていってたよね?」
「ああ」
「その人はどういう人なの?」
彼女の疑問にオウカは答える。
「アレイナの事か?」
「……(コクリ)……」
そして、その説明にヒナタは何も言えなくなる。
とある冥刀(正確に言えば、その上位交換の天剣)を手に入れようと、自作自演で自身の国を滅ぼした大国を滅ぼした復讐者。
そして、黒幕と生き残りを追いかけた人。
「しかもな、殺し方も酷いもんだった」
「酷い?」
「ああ。【スラエオータナ】って冥刀を使われてな」
「どんな能力なの?」
「細菌の生成と散布」
唖然とするヒナタ。
「アイツの国と仲良かった国の二つの国は、タンパク質を喰らう細菌によって、皆骨だけになった」
「人ってそこまで残酷になれるの?」
「あの世界の人間は皆狂ってたから」
「……」
沈黙したヒナタ。その時ふと気になる事があった。
「その人はどうやって生き残れたの?」
「持っていた剣が重力操作の能力を持っていたんだ」
【エッケザックス】は通常の抜錨時には、チカラの半分を防御に回す。そのため反重力フィールドが常に発生しているため、生半可な攻撃は通らない。勿論、細菌も通さない。
「そうなんだ……」
「でも、アイツいつも言ってた。〔妾は皆と一緒に逝きたかった〕って」
「……その気持ち痛い程わかる」
何で自分だけ生き残ったのか。何で一緒に逝けなかったのか。
きっと辛かったのだろう。悲しさを怒りと憎しみに変え進み続けたのだろう。
「正直、見てられなかった。放っておけなかった」
「……」
「だから協力した」
カヤの言葉が無くても協力した。それは絶対。
「……ねえ」
「うん?」
改めてヒナタは聞いた。
「その二人は、復讐を果たせたの?」
それにオウカはコクリと頷く。
続けて訊ねる。
「その後は?」
【コソコソ話】
(㈩*㈩)<これがサクが沢山使える理由。
(#ー#)<どういう事だ?
(㈩*㈩)<例えるなら普通の人なら、魂一つにフック一つがあって、
(㈩*㈩)<そこに冥刀を、一つ、上手く相性が合えば二つ三つ付けられる。
(㈩*㈩)<でも、サクの場合、魂魄が穴だらけになったせいで
(㈩*㈩)<疑似的なフックになって、沢山引っ掛けられるようになった。
(#ー#)<……それ大丈夫なのか?
(㈩*㈩)<そんな訳ないでしょう? 後にディアンが診断した結果、
(㈩*㈩)<三十歳まで生きられないって言われてたもの。
(#ー#)<は!?
(㈩*㈩)<本当はもっと短かったけど、メイド師匠の処置で伸びて、
(㈩*㈩)<ディアンの処置で更に伸びた。
(㈩*㈩)<今は冥刀のおかげで、人並みには生きられる。
(#ー#)<全然死にそうにないけどな……。
(㈩*㈩)<否定できない……。