冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【前書】
(・▽・)<前回少しだけ出た、相手を初めから無かった事にする荒技。

(・▽・)<コレで神刃の事が無かった事になりましたから、一応全員蘇りましたけど……。

(#ー#)<タイトルってそういう事か。アレ? じゃあ冥刀は?

(・▽・)<アレは特殊な代物だから残った。そして、そっちに流入した。

(#ー#)<だから妙に増えたのか!

(・▽・)<そうです。それと、アイツはソルドアットの事です。

(#ー#)<それは大抵わかってんじゃねえの。……ん? 一応? どういう意味だ?

(・▽・)<これについては伍ノ章で明らかになる。

(・▽・)<ちょっとだけネタバレになりますけど。

(・▽・)<仮○ライダービルドの彼らみたいな状態になった人が、

(・▽・)<ソルドアット以外に後もう一人いる

(#ー#)<??


lⅹⅹⅲ

 ★☆★☆★

 

 

 プレイヤー同士の戦いを、安全にする方法で一般的なのは、やはりV.F.(バリア・フィールド)の利用だろう。

 値がゼロになったら負けというシンプルかつ、特殊なアクセサリーを装備すれば良い、手軽な方法。

 

 なのだが、欠点はある。

 

 内部破壊の術技や、一部の状態異常、関節技は防げず、戦闘スタイル的に――カウンタータイプや、回復系など――噛み合わない者もいる。

 

 だからこそ、もう一つの方法が存在している。

 

 それがVR空間を利用した戦い。一昔前からVRはあったが、完全再現は難しいなどの制約があった。だが、色々な専門家が力を合わせ、様々なオブジェクトを使い、遂に実現した。

 

 だが、設備は高価で、場所をかなり取る。なので、プレイヤー養成高校でも、導入している所は、道立光ヶ星高校と、都立昴咲高校の二つだけである。

 

 ◇◆◇◆

 

 

 という事で、VR空間で向かい合うオウカとヒナタ。因みに学長権限で無理矢理ねじ込んだ。

 

 オウカは、昴咲高校のブレザー姿。

 今更だが、プレイヤー養成高校の制服は、結構頑丈に出来ており、生半可な防具を付けるよりは、防御力は高い。

 その右手には、【アロンダイト】。つまりは結構│本気《ガチ》である。

 

 ヒナタは、いつもの服装――外套姿。ただし│邪眼とクロス《手札》を隠すために付けているバイザーは付けてない。

 これも今更だが、プレイヤー養成高校では、デュナミストの場合、代償による行動――食事や睡眠など――を授業中に取る事は、黙認されている。だからこそ、彼女の服装はセーフである。……え、ベニバナ? アレは例外と言うか、放任。

 その右手には、抜錨状態の【テーセウス】。つまりはメイスになっている。更に残り二つの冥刀も使える状態。かなりの本気である。

 

 そんな彼女に、オウカは声を掛ける。

 

「じゃあいつ始める?」

「いつでも」

「よし、じゃあ十数えてスタート」

「……(コクリ)……」

 

 オウカが数え始める。

 

「│一《ひー》、│二《ふー》、│三《みー》、│四 《よー》、│五《いー》、│六《むー》、│七《なな》、│八《やー》、│九《ここの》」

 

 そして。

 

「│十《と》」

 

 それと同時、オウカの姿が消えた。現れたのはヒナタの真後ろ。手に持つ剣を振り下ろす。

 それに対して、ヒナタは予想していたのか、振り向きもせずにメイスで受け止める。

 

「予想していたのか?」

「消えた人が現れるのなんて、大抵後ろでしょ」

「確かにな」

 

 オウカはケラケラ笑った。

 そして、再び消える。今度は真正面……否、四方! 四人になり、ヒナタを前後左右で挟み攻撃。時間遡行による応用で自身の可能性を具現化する事による分身。

 

 それをヒナタは紙一重で全て回避する

 普通であれば不可能。四人がかりなうえ、自分自身で連携という意味不明な事をやっているのだから。

 その不可能を可能にするのが、彼女の手札。

 

(確か《邪眼〔連慟〕》だっけ?)

 

 彼女の右眼。

 その能力は、対象のスピードと同じスピードで動く事。だからこそ、スピードタイプの利点を殺せる。副産物で、視力向上効果もあるらしい。

 

(それだけじゃないよな……)

 

 ヒナタの左眼を見るオウカ。白黒が反転して、青紫の十字の紋様が光っている。

 《ヴァイオレットクロス〔演算機〕》。

 そのチカラは思考加速と並列思考。その気になればスパコンに匹敵する演算が可能。

 一見地味に思えるが、相手のパターンを予測する事で、擬似的な未来予知が可能。

 

 この二つ――連動と演算を合わせる事で、スピードタイプの利点を殺し、攻撃を回避する事も出来る。

 残りのパワーは、装備補正で補い、必中・貫通などの攻撃は冥刀で防ぐ。

 ソラナキ=ヒナタは、戦闘に必要な要素の一つであるステータス差による負けを防いでいる。

 更に、冥刀三つ(+α)で、遠近と360°をカバーしている。

 

 そして、今まで回避と防御に徹していたヒナタが動く。

 地面から棘のようなモノが剣山のように生え、オウカを刺し貫く。だが、貫かれたのは三体。本体はギリギリ射程範囲から逃れていた。

 

「あら残念。取ったと思ったんだけど」

「師匠からの教えでな。リズムを変えろ、掴ませるなってな」

 

 戦いの中で、動き、癖、型を見切って来る相手の対策。因みに、メイド師匠はもっと上手い。

 

「というかそんな技あったんだな」

「他にも色々あるよ」

 

 そういうと外套が揺らめく。獣の顎が出現する。かつて出したモノに比べると小さいが、数が多い。

 

「では、どうぞ」

 

 その言葉と同時、顎がオウカ目がけて襲い掛かる。

 それにオウカは居合抜刀の構えを取る。そして――

 

「ハッ」

 

 蜘蛛の巣のような斬撃が剣から放たれる。

 それらは顎を斬り刻む……と思われたのだが、幾つかの顎が斬撃を噛み砕いた。

 

「おおお……」

『そんな……』

 

 驚くオウカと、絶句する【アロンダイト】だった。

 

 それにヒナタが解説する。

 

「【カリュブディス】は空間すらも噛み砕く。応用すれば……」

 

 大きな顎が噛む動作をする。その途端、オウカはいつの間にかヒナタの目の前にいた。

 

「!?」

「こういう事もできる」

 

 メイスを振り下ろすヒナタ。それを剣で受け止めるオウカ。そのまま鍔迫り合いとなる。

 だがパワーではやはりヒナタが上。元々のスペックに加え、冥刀の補正はパワー寄り。押され始めるオウカ。

 だが。

 

「だったら……パワー全開!」

 

 血液の【イーコール】をパワーに回す。

 

「ッ!」

 

 驚くヒナタ。だがそれを捻じ伏せどうにか渡り合う。そのまま拮抗。

 

「手札はメイスだけじゃない」

 

 外套が帯のようになり、オウカに襲い掛かる。それに彼は複数の刃を未来に送る事で防ぎ切る。そのままバックステップで距離を取る。

 帯は追跡してきたが、途中で止まりスルスルと縮む。

 

(本当に厄介だな……)

 

 内心オウカは呟く。

 ヒナタはパワーファイターであるが、スピードは相手に合わせられ、防御も中々であり、距離も問わない。更に戦闘経験もある。

 

(どうするかね……)

 

 本来なら色々手札を持つオウカ。

 だが、今回は自分に縛りをして、【アロンダイト】と多少の冥肌鏤骨(オストラコン)だけで戦っていた。

 それに加え、実質何でもありなため、術技も絞っている。

 

 そんな彼にヒナタが話しかける。

 

「サクヅキくん」

「ん?」

「本当はもっと色々出来るんでしょ?」

「……」

 

 沈黙の肯定。

 

「ここなら死んでも平気。だから本気でやって」

 

 少し間を置き、ヒナタは続ける。

 

「でないと、ウチはあの下衆に勝てない」

 

 その言葉にオウカは少し逡巡した後。

 

「わかった」

「ありがと」

 

 そして、次の瞬間オウカが消える。

 現れたのは真正面。襲い掛かるのは幾つもの斬撃。

 それをヒナタは、メイスと外套で対応。更に巨大な顎で空間ごと噛み砕く!

 だが、それはなぜかオウカに当たらず、彼は後ろにいた。

 

「袈裟斬りじゃあ!」

「ッ!」

 

 咄嗟に空間噛み砕きで間合いを離して避けた。

 

「応用効くね」

「……」

 

 ヒナタは先程の攻防を分析する。

 

(何をしたの? 確実に捉えたはず。まさか)

 

 ヒナタの脳裏にある可能性が過る。

 

「時間停止、もしくは飛ばした、削り取った?」

「そ。正解」

 

 オウカが笑って答えた。

 

 その答えにヒナタは顔を顰めながら思考する。

 

(時間と空間。やっぱり厄介。しかも次元まで)

 

 どうするかを考える。

 手段は一つ。

 

「畢竟しかないか」

 

 奥の手の使用を決意したヒナタ。

 そして。

 

「〈畢竟〉」

「!」

 

 ヒナタの口から紡がれた言葉に、オウカの動きが止まる。

 

(何が出る?)

 

 そして外套から出た幾つもの顎。それがオウカの方を向く。

 

「ッ」

 

 嫌な予感が過り、横っ飛びに回避。先程までいた場所に、数多の火球が着弾・爆発。火は避けたものの、爆発は避けきれずゴロゴロ転がるオウカ。

 

「チャンス」

 

 外套が形を変え炎を纏う鳥の翼となる。それにより凄まじいスピードで飛翔し、オウカへ迫る。そして、外套が巨大な腕となりオウカに襲い掛かる。

 

「させるか!」

 

 剣から斬撃放たれ、巨腕が切断される。すると切り離された巨腕が大量の蝙蝠になった。

 

「そんなのアリ!?」

「あり」

 

 オウカを囲んだ蝙蝠の口から超音波が放たれる。

 

「ゴフッ(内部破壊か)……」

 

 体のあちこちから血を噴き出すオウカ。普通の蝙蝠ではなく、吸血鬼が使役する蝙蝠だからこそできる芸当。

 

『オウカ!』

 

 【アロンダイト】が自分の判断で時間停止を使う。世界が色を失くす。

 

「ありがと」

 

 その間に射程から逃れ、その間に思考する。

 

(一体これどういう事だ?)

 

 炸裂火球、鳥の翼、吸血鬼。

 能力に共通項がない。

 

(待てよ。アイツ、クロスを集めてるって言っていたな)

 

 クロスなら三つの能力を再現可能。つまり……

 

「そういう事か」

 

 それと同時に世界の色が戻る。そして、訊ねるオウカ。

 

「お前、クロスを使えるのか」

「ええ。これが【パダルン・レドコウト】の畢竟」

 

 彼女のパーソナルと、【カリュブディス】と融合した事が要因により目覚めた。

 喰らい吸収したクロスを使用可能になる。ただし制限時間があるうえ、容量限界も存在する。

 

「だからそっちも色々使って? その方が鍛錬になる」

「う~ん、悪くはないけど……」

 

 チラリと【アロンダイト】を見る。

 

「コイツが拗ねる」

「……」

「だからまあ、コッチだけで我慢してくれ」

「だったら使わせてやる」

 

 それにオウカは凄絶な笑みを浮かべる。

 そして、二人はぶつかり合う。

 

 その後、決着は付かなかった。

 二つの万能型――一つの手札(時空操作)により様々な技を繰り出すオウカと、多彩な手札(様々なクロス)を状況に合わせ、使い分け組み合わせるヒナタ――なので当然ではある。

 

「結局使わせられなかった……」

 

 不満そうなヒナタだった。

 

 

 ■□■□

 

 

 それからソラナキ=ヒナタは変わった。

 まず、雰囲気が少し柔らかくなった。因みに、これは同級生であるバイカと、保護者であるカヤ談。

 次に、今までは話しかけられても無視していたが、ちゃんと言葉を返すようになった。……自分から話しかける事は稀だが。

 

 そして、これが最大の変化。それは人と交流するようになったこと。

 

 初めは、保護者代わりの叔母であるカヤ。

 昔は同居していたが、今では一人暮らしをしているヒナタ。様子を見に行っても、邪険にされるか、居留守を使われる。食事に誘っても断るうえ、会話も挨拶が精々だった。

 だが、変わってからは、会話を交わせるようになり、食事に誘うと毎回は無理だが、応じてくれる事も増えて来た。何より、訊ねるとちゃんと迎えてくれる。

 

『カヤが~、凄いキミに~、感謝してたよ~』

 

 これはキョウコ談。

 

 次に、同級生であるバイカ。

 共通の友人がいるせいか、雑談したり、食事を取ったり、クエストをこなしたり、模擬戦をするようになった。

 

『友達、なれたかも』

 

 バイカ談。

 

 そして、同級生。

 今までは、制服着てないうえ、話しかけられても無視していたため、凄い変わった奴と思われていたが、バイカが話すようになった事と、話しかければ答えるようになった事から、少しずつ交流するようになった。

 

 更に、オウカ。そして、その知り合い達。

 オウカとは日に一度は連絡を取り、偶に模擬戦をするようになった。

 マユには、副業で手に入れた冥刀の修理を頼むようになった。

 他の面々とも、話をしたりするようになった

 

 そうしたおかげか、いつも張り詰め、トゲトゲしかったヒナタだったが、少し柔らかくなり、笑えるようになった。……まだ上手に笑えないようだが。

 

 こういった日々を過ごしていたある日、遂に事態が動く。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 この日は休日。

 オウカは自宅(トレーラーハウス)でのんびりとしていた。

 

「♪~」

 

 愛用のビーズクッションに寝転がり、雑誌を読んでいた。

 

 その時だった。端末が鳴る。

 見てみると、相手はリア。

 

『お休み中すいません』

「どうした?」

『伝えた方が良いかと思いまして。実は――』

 

 リアの言葉を聞き、オウカの顔が曇り、歪んでいく。

 そして、端末を切ると。

 

「さてどうするか」

 

 そう呟いた。




【TIPS:邪眼】
(#ー#)<特殊な術技・能力を宿した眼の事。魔眼とも言うな。

(㈩*㈩)<どういうチカラがあるの?

(#ー#)<本当に様々。対象を固定したり、燃やしたり、石にする。

(#ー#)<暗示をかけたり、洗脳したり、魅了したり。

(#ー#)<そして、ほぼ先天的なモノだな。移植して手に入れる人もいるけど。

(#ー#)<因みに、人工的に作れる人もいるらしいが、あくまで眉唾の噂だな。

(・▽・)<眼……。もしかしてクロスって邪眼の一種何ですか?

(#ー#)<ああ。そうだよ。人工的な邪眼と言えるな
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