(・▽・)<前回少しだけ出た、相手を初めから無かった事にする荒技。
(・▽・)<コレで神刃の事が無かった事になりましたから、一応全員蘇りましたけど……。
(#ー#)<タイトルってそういう事か。アレ? じゃあ冥刀は?
(・▽・)<アレは特殊な代物だから残った。そして、そっちに流入した。
(#ー#)<だから妙に増えたのか!
(・▽・)<そうです。それと、アイツはソルドアットの事です。
(#ー#)<それは大抵わかってんじゃねえの。……ん? 一応? どういう意味だ?
(・▽・)<これについては伍ノ章で明らかになる。
(・▽・)<ちょっとだけネタバレになりますけど。
(・▽・)<仮○ライダービルドの彼らみたいな状態になった人が、
(・▽・)<ソルドアット以外に後もう一人いる
(#ー#)<??
★☆★☆★
プレイヤー同士の戦いを、安全にする方法で一般的なのは、やはりV.F.(バリア・フィールド)の利用だろう。
値がゼロになったら負けというシンプルかつ、特殊なアクセサリーを装備すれば良い、手軽な方法。
なのだが、欠点はある。
内部破壊の術技や、一部の状態異常、関節技は防げず、戦闘スタイル的に――カウンタータイプや、回復系など――噛み合わない者もいる。
だからこそ、もう一つの方法が存在している。
それがVR空間を利用した戦い。一昔前からVRはあったが、完全再現は難しいなどの制約があった。だが、色々な専門家が力を合わせ、様々なオブジェクトを使い、遂に実現した。
だが、設備は高価で、場所をかなり取る。なので、プレイヤー養成高校でも、導入している所は、道立光ヶ星高校と、都立昴咲高校の二つだけである。
◇◆◇◆
という事で、VR空間で向かい合うオウカとヒナタ。因みに学長権限で無理矢理ねじ込んだ。
オウカは、昴咲高校のブレザー姿。
今更だが、プレイヤー養成高校の制服は、結構頑丈に出来ており、生半可な防具を付けるよりは、防御力は高い。
その右手には、【アロンダイト】。つまりは結構│本気《ガチ》である。
ヒナタは、いつもの服装――外套姿。ただし│邪眼とクロス《手札》を隠すために付けているバイザーは付けてない。
これも今更だが、プレイヤー養成高校では、デュナミストの場合、代償による行動――食事や睡眠など――を授業中に取る事は、黙認されている。だからこそ、彼女の服装はセーフである。……え、ベニバナ? アレは例外と言うか、放任。
その右手には、抜錨状態の【テーセウス】。つまりはメイスになっている。更に残り二つの冥刀も使える状態。かなりの本気である。
そんな彼女に、オウカは声を掛ける。
「じゃあいつ始める?」
「いつでも」
「よし、じゃあ十数えてスタート」
「……(コクリ)……」
オウカが数え始める。
「│一《ひー》、│二《ふー》、│三《みー》、│四 《よー》、│五《いー》、│六《むー》、│七《なな》、│八《やー》、│九《ここの》」
そして。
「│十《と》」
それと同時、オウカの姿が消えた。現れたのはヒナタの真後ろ。手に持つ剣を振り下ろす。
それに対して、ヒナタは予想していたのか、振り向きもせずにメイスで受け止める。
「予想していたのか?」
「消えた人が現れるのなんて、大抵後ろでしょ」
「確かにな」
オウカはケラケラ笑った。
そして、再び消える。今度は真正面……否、四方! 四人になり、ヒナタを前後左右で挟み攻撃。時間遡行による応用で自身の可能性を具現化する事による分身。
それをヒナタは紙一重で全て回避する
普通であれば不可能。四人がかりなうえ、自分自身で連携という意味不明な事をやっているのだから。
その不可能を可能にするのが、彼女の手札。
(確か《邪眼〔連慟〕》だっけ?)
彼女の右眼。
その能力は、対象のスピードと同じスピードで動く事。だからこそ、スピードタイプの利点を殺せる。副産物で、視力向上効果もあるらしい。
(それだけじゃないよな……)
ヒナタの左眼を見るオウカ。白黒が反転して、青紫の十字の紋様が光っている。
《ヴァイオレットクロス〔演算機〕》。
そのチカラは思考加速と並列思考。その気になればスパコンに匹敵する演算が可能。
一見地味に思えるが、相手のパターンを予測する事で、擬似的な未来予知が可能。
この二つ――連動と演算を合わせる事で、スピードタイプの利点を殺し、攻撃を回避する事も出来る。
残りのパワーは、装備補正で補い、必中・貫通などの攻撃は冥刀で防ぐ。
ソラナキ=ヒナタは、戦闘に必要な要素の一つであるステータス差による負けを防いでいる。
更に、冥刀三つ(+α)で、遠近と360°をカバーしている。
そして、今まで回避と防御に徹していたヒナタが動く。
地面から棘のようなモノが剣山のように生え、オウカを刺し貫く。だが、貫かれたのは三体。本体はギリギリ射程範囲から逃れていた。
「あら残念。取ったと思ったんだけど」
「師匠からの教えでな。リズムを変えろ、掴ませるなってな」
戦いの中で、動き、癖、型を見切って来る相手の対策。因みに、メイド師匠はもっと上手い。
「というかそんな技あったんだな」
「他にも色々あるよ」
そういうと外套が揺らめく。獣の顎が出現する。かつて出したモノに比べると小さいが、数が多い。
「では、どうぞ」
その言葉と同時、顎がオウカ目がけて襲い掛かる。
それにオウカは居合抜刀の構えを取る。そして――
「ハッ」
蜘蛛の巣のような斬撃が剣から放たれる。
それらは顎を斬り刻む……と思われたのだが、幾つかの顎が斬撃を噛み砕いた。
「おおお……」
『そんな……』
驚くオウカと、絶句する【アロンダイト】だった。
それにヒナタが解説する。
「【カリュブディス】は空間すらも噛み砕く。応用すれば……」
大きな顎が噛む動作をする。その途端、オウカはいつの間にかヒナタの目の前にいた。
「!?」
「こういう事もできる」
メイスを振り下ろすヒナタ。それを剣で受け止めるオウカ。そのまま鍔迫り合いとなる。
だがパワーではやはりヒナタが上。元々のスペックに加え、冥刀の補正はパワー寄り。押され始めるオウカ。
だが。
「だったら……パワー全開!」
血液の【イーコール】をパワーに回す。
「ッ!」
驚くヒナタ。だがそれを捻じ伏せどうにか渡り合う。そのまま拮抗。
「手札はメイスだけじゃない」
外套が帯のようになり、オウカに襲い掛かる。それに彼は複数の刃を未来に送る事で防ぎ切る。そのままバックステップで距離を取る。
帯は追跡してきたが、途中で止まりスルスルと縮む。
(本当に厄介だな……)
内心オウカは呟く。
ヒナタはパワーファイターであるが、スピードは相手に合わせられ、防御も中々であり、距離も問わない。更に戦闘経験もある。
(どうするかね……)
本来なら色々手札を持つオウカ。
だが、今回は自分に縛りをして、【アロンダイト】と多少の
それに加え、実質何でもありなため、術技も絞っている。
そんな彼にヒナタが話しかける。
「サクヅキくん」
「ん?」
「本当はもっと色々出来るんでしょ?」
「……」
沈黙の肯定。
「ここなら死んでも平気。だから本気でやって」
少し間を置き、ヒナタは続ける。
「でないと、ウチはあの下衆に勝てない」
その言葉にオウカは少し逡巡した後。
「わかった」
「ありがと」
そして、次の瞬間オウカが消える。
現れたのは真正面。襲い掛かるのは幾つもの斬撃。
それをヒナタは、メイスと外套で対応。更に巨大な顎で空間ごと噛み砕く!
だが、それはなぜかオウカに当たらず、彼は後ろにいた。
「袈裟斬りじゃあ!」
「ッ!」
咄嗟に空間噛み砕きで間合いを離して避けた。
「応用効くね」
「……」
ヒナタは先程の攻防を分析する。
(何をしたの? 確実に捉えたはず。まさか)
ヒナタの脳裏にある可能性が過る。
「時間停止、もしくは飛ばした、削り取った?」
「そ。正解」
オウカが笑って答えた。
その答えにヒナタは顔を顰めながら思考する。
(時間と空間。やっぱり厄介。しかも次元まで)
どうするかを考える。
手段は一つ。
「畢竟しかないか」
奥の手の使用を決意したヒナタ。
そして。
「〈畢竟〉」
「!」
ヒナタの口から紡がれた言葉に、オウカの動きが止まる。
(何が出る?)
そして外套から出た幾つもの顎。それがオウカの方を向く。
「ッ」
嫌な予感が過り、横っ飛びに回避。先程までいた場所に、数多の火球が着弾・爆発。火は避けたものの、爆発は避けきれずゴロゴロ転がるオウカ。
「チャンス」
外套が形を変え炎を纏う鳥の翼となる。それにより凄まじいスピードで飛翔し、オウカへ迫る。そして、外套が巨大な腕となりオウカに襲い掛かる。
「させるか!」
剣から斬撃放たれ、巨腕が切断される。すると切り離された巨腕が大量の蝙蝠になった。
「そんなのアリ!?」
「あり」
オウカを囲んだ蝙蝠の口から超音波が放たれる。
「ゴフッ(内部破壊か)……」
体のあちこちから血を噴き出すオウカ。普通の蝙蝠ではなく、吸血鬼が使役する蝙蝠だからこそできる芸当。
『オウカ!』
【アロンダイト】が自分の判断で時間停止を使う。世界が色を失くす。
「ありがと」
その間に射程から逃れ、その間に思考する。
(一体これどういう事だ?)
炸裂火球、鳥の翼、吸血鬼。
能力に共通項がない。
(待てよ。アイツ、クロスを集めてるって言っていたな)
クロスなら三つの能力を再現可能。つまり……
「そういう事か」
それと同時に世界の色が戻る。そして、訊ねるオウカ。
「お前、クロスを使えるのか」
「ええ。これが【パダルン・レドコウト】の畢竟」
彼女のパーソナルと、【カリュブディス】と融合した事が要因により目覚めた。
喰らい吸収したクロスを使用可能になる。ただし制限時間があるうえ、容量限界も存在する。
「だからそっちも色々使って? その方が鍛錬になる」
「う~ん、悪くはないけど……」
チラリと【アロンダイト】を見る。
「コイツが拗ねる」
「……」
「だからまあ、コッチだけで我慢してくれ」
「だったら使わせてやる」
それにオウカは凄絶な笑みを浮かべる。
そして、二人はぶつかり合う。
その後、決着は付かなかった。
二つの万能型――
「結局使わせられなかった……」
不満そうなヒナタだった。
■□■□
それからソラナキ=ヒナタは変わった。
まず、雰囲気が少し柔らかくなった。因みに、これは同級生であるバイカと、保護者であるカヤ談。
次に、今までは話しかけられても無視していたが、ちゃんと言葉を返すようになった。……自分から話しかける事は稀だが。
そして、これが最大の変化。それは人と交流するようになったこと。
初めは、保護者代わりの叔母であるカヤ。
昔は同居していたが、今では一人暮らしをしているヒナタ。様子を見に行っても、邪険にされるか、居留守を使われる。食事に誘っても断るうえ、会話も挨拶が精々だった。
だが、変わってからは、会話を交わせるようになり、食事に誘うと毎回は無理だが、応じてくれる事も増えて来た。何より、訊ねるとちゃんと迎えてくれる。
『カヤが~、凄いキミに~、感謝してたよ~』
これはキョウコ談。
次に、同級生であるバイカ。
共通の友人がいるせいか、雑談したり、食事を取ったり、クエストをこなしたり、模擬戦をするようになった。
『友達、なれたかも』
バイカ談。
そして、同級生。
今までは、制服着てないうえ、話しかけられても無視していたため、凄い変わった奴と思われていたが、バイカが話すようになった事と、話しかければ答えるようになった事から、少しずつ交流するようになった。
更に、オウカ。そして、その知り合い達。
オウカとは日に一度は連絡を取り、偶に模擬戦をするようになった。
マユには、副業で手に入れた冥刀の修理を頼むようになった。
他の面々とも、話をしたりするようになった
そうしたおかげか、いつも張り詰め、トゲトゲしかったヒナタだったが、少し柔らかくなり、笑えるようになった。……まだ上手に笑えないようだが。
こういった日々を過ごしていたある日、遂に事態が動く。
◇◆◇◆
この日は休日。
オウカは自宅(トレーラーハウス)でのんびりとしていた。
「♪~」
愛用のビーズクッションに寝転がり、雑誌を読んでいた。
その時だった。端末が鳴る。
見てみると、相手はリア。
『お休み中すいません』
「どうした?」
『伝えた方が良いかと思いまして。実は――』
リアの言葉を聞き、オウカの顔が曇り、歪んでいく。
そして、端末を切ると。
「さてどうするか」
そう呟いた。
【TIPS:邪眼】
(#ー#)<特殊な術技・能力を宿した眼の事。魔眼とも言うな。
(㈩*㈩)<どういうチカラがあるの?
(#ー#)<本当に様々。対象を固定したり、燃やしたり、石にする。
(#ー#)<暗示をかけたり、洗脳したり、魅了したり。
(#ー#)<そして、ほぼ先天的なモノだな。移植して手に入れる人もいるけど。
(#ー#)<因みに、人工的に作れる人もいるらしいが、あくまで眉唾の噂だな。
(・▽・)<眼……。もしかしてクロスって邪眼の一種何ですか?
(#ー#)<ああ。そうだよ。人工的な邪眼と言えるな