(㈩*㈩)<良い機会だから解説。ちゃんと説明してなかったから。
(#ー#)<これってどういう事なんだ?
(㈩*㈩)<元々、冥刀には変形機構があるモノが多いのは知ってるよね?
(#ー#)<ああ。オレのが巨大化してもサイズ合わせてたな。
(㈩*㈩)<その機能を活かして、形を変える。例えばそこの拷○ソムリエ。
(・▽・)<誰が伊○院先生ですか。私は彼ほど凄い人じゃありません。
(・▽・)<……オホン。まあ確かにそうですね。私の【ルンペル】。
(・▽・)<私は体内に埋め込む事で装備品全部を強化可能にしましたし、
(・▽・)<オウカは本来、片腕義手の【アガートラム】をディアンが
(・▽・)<両腕にしてましたね。
(#ー#)<これ誰でも出来るのか?
(㈩*㈩)<ううん。腕の良い職人じゃないと無理。
(㈩*㈩)<ディアンの場合、義手、義足、義臓、義眼を作れるから。
(㈩*㈩)<後、ヴィシュヴァカルマンと技術交流していたから。
この時、マユは離れで作業をしていたが、ネラはいた。
テーブルの上で作業をしたのだが、オウカの様子に気づく。
「如何?」
「……」
言うべきが迷ったオウカだが、少し考え口を開く。
「ソラナキの仇……腐れ外道がこの国で目撃された」
「!?」
眼を見開くネラ。
「何かしら起こるぞ」
元より、エドリーは何かしらの長距離移動手段を持っているらしく、世界各地に現れる。そして、
「これヒナタに伝えるべきかな?」
「貴方、隠事、嫌悪」
隠し事は禄でもないタイミングでバレるとエライ事になる。
だからこそ、オウカは隠し事を好まない。
なのだが、今回はちょっと例外。
「まあな。でも先走る可能性もある」
ヒナタは最近落ち着いてきたが、それでも仇を見たり聞いたらどうなるかわからない。
どうするかと考えていると、マユが入って来た。
「ちょっと休憩~」
冷蔵庫から、シュークリームを出して食べ始める。そして二人の様子に気づく。
「何かあった?」
「実は――」
理由を聞いたマユはこう言う。
「だったらそうする前提で動けばいい」
そう言いながら、自分のシュークリームを飲み込み、更に二つ出して、オウカとネラに放る。
「サクは忘れたの? あの毒舌メイドの言葉を?」
「え……。あ」
毒舌メイド――アンジェリカ。彼女は恐ろしく頭が回る。そんな彼女はオウカへ名言を残している。
『サク様。宜しいですか』
色々あって一緒に働いてた時に掛けられた言葉。
『無駄を削ぎ、確率を高め、確実に完璧な作戦というのは不可能です』
先輩風を吹かせて、色々教えてくれたうちの一つ。
『成功と失敗。プランAとB。二択どっちに転んでも美味しい思いを出来るようにするのが一番です』
今でも思う。彼女が味方で良かったと。
『好きにやらせ、奇跡が起こっても良いようにする。それが策を練るという事です』
その言葉を思い出した。
「よし!」
そして、オウカは奮起する。受け取ったシュークリームを丸のみして、紙を出し、何かを書いていく。
その紙には計算式とやる事のリストが書かれていく。混ざり合って暗号のようになり、オウカ以外には解読不可能。
暫くして
「マユ、ネラ」
二人に声を掛けた。
「お前達も頼むぞ。あの腐れ外道に地獄を見せる」
「わかった」
「承知」
手始めにオウカはヒナタに連絡。
「用事あるんだけど、今から言っても大丈夫?」
『? いいけど』
そうして場所に行こうとするオウカ。
だが。
「手始? 普通、最後」
「同意見。こういうのって最後に言うものじゃない?」
ネラとマユにはそう言われたが、これに反論する。
「そうしているうちに、変なタイミングでバレたら困る」
それには二人共何も言えなくなる。
そして、ヒナタの自宅に転移で向かう。
そこは昴咲高校の近くにあるマンションの一室。
「よ」
「急にどうしたの?」
「用事があってな……」
いつもの外套とバイザー姿。
とりあえずオウカを中に上げるヒナタ。
このマンションは、トイレと風呂の部屋以外は一室しか部屋がないうえ、そこまで広くない。とはいえ、今は匣のおかげで収納はどうにかなるため、意外に快適に暮らせる。
ヒナタは折り畳み式の卓を出し、その上にお茶を置く。そして向かい合う。
「それで? 何があったの?」
「……」
少し沈黙後、オウカは口を開く。
「お前の仇が日本で目撃された」
「!」
バイザー越しにも目を見開いているのが分かる。
暫く呆然としていたヒナタだったが、一分後再起動。
「……確かなの?」
まずは確認。
「(いきなり飛び出さないだけマシか。)ああ。確かな筋の情報だ」
聖霊教の聖女からの情報とは言わなかった。
それにヒナタは――いきなり立ち上がり窓を開け外に出ようとする。
「待て」
やはりこうなったと、オウカは引き留める。
実はカナタが動きを停止している間に、【クリドゥノ・アイディン】で罠を張っていた。そのおかげで赤い糸にヒナタは絡めとられていた。
「離して! ウチはこのために……」
「落ち着け」
藻掻くヒナタの目の前で、オウカは手合わせて音を鳴らす。
「!」
動きが止まる。
「落ち着け。やみくもに動いても変わらない。ちゃんと考えているから」
その言葉に、ヒナタは暫く沈黙していたが。
「サクヅキくん。糸外して」
「……勝手に出て行かない?」
「行かない」
「本当に?」
「本当」
それに疑わしい顔をしたオウカは小指を出す。
「だったら指切りげんまん」
「……わかった」
そういう訳で二人は指切りげんまんをする。
お互いの小指が絡み合う。
「「指切りげんまん~、嘘付いたら針千本飲~ます、指切った!」」
そして、指が離れ、赤い糸の拘束も解かれる。
この時、ヒナタは知らなかった。これが自分の命を救う事になるとは。
その後、ヒナタは約束を守り、出て行かなかった。
だが、何かしないといられない表情をしていたので。
「落ち着け。どうすかは考えてある」
「……どうするの?」
それにオウカはメモ書きを出す。
「何コレ?」
「やる事のメモ書き」
「読めないんだけど」
文字と計算式が混ざり、組み合わさり、もはや暗号になっている。多分本人しか読めない。
「わかってる。説明する」
オウカの説明が始まった。
●○
「まず前提としてあの屑は人が沢山来るところで、胸糞悪いゲームを始める」
「だったら簡単だ。そういう場所を張っていればいい」
「知り合いに頼んで、そう言う所に見張りを配置する」
「人なり、使い魔なり、カメラなり……な」
「心当たりあるって顔してるな。俺もある。だからありったけ……な」
「そして、もう一つは戦力確保」
「少数精鋭で行く。……顔を顰めるな。わかってんだろう?」
「アイツに数は愚策だ。とは言え一人じゃ論外」
「本当に厄介だよな……あの冥刀。代償もデカいけど」
「え? 代償あるのかって? 当たり前だ。どんなモノにもある」
「お前だって高い代償支払っているだろう」
「……え? そこまで高くない?」
「元々、手足は切られて、肘や膝から先が無かったのが、完全に消えて」
「服がコレしか着れなくなっただけ。後は試練があったくらい?」
「そう言えるお前は凄いよ。まあ、そっちは完全先払いと常時払い系」
「あっちは完全後払いっていう違いがあるけどさ」
「え? 代償は何かって? 死後の安寧が奪われるんだ。死後に永劫苦しむ」
「話ズレたな。戻すぞ。だからこそ複数で行く。まあ十人未満だな」
「え? 二人でも大丈夫? ……かもしれないがな確実にいくぞ」
「伏兵とかもいるだろうし。逃げられたら嫌だろう? まあ対策はするけど」
「納得してくれたようで嬉しいよ」
◇◆◇◆
説明を終え、オウカは出して貰ったお茶を一気に飲む。
「ウチももう一杯飲むけど、ソッチはどうする? もう一杯いる?」
「貰う」
そして二人でお茶を飲む。ゆっくりと飲み干し二人は立ち上がる。
オウカはヒナタに声を掛ける。
「ソラナキ」
「……」
「勝つぞ」
「うん」
頷いた後、ヒナタは口を開く。
「地獄の先にも希望がある。それを見せてね」
「任せろ」
そうして二人は行動を開始した。
******
こうして二人は動き始める。
初めに二人が訊ねたのは――
「あら? 二人揃ってどうしました?」
カヤの所だった。
因みに今日も高校にいた。
「実は……」
理由を話すオウカ。カヤの顔はドンドン曇っていく。
「そうですか……。いずれこうなるとは思ってましたけど……」
溜息を吐く。そして、ヒナタを見て訊ねようとする。
「ヒナタ。一応確認ですが、私達に任せるk」
「ウチがやる」
最後まで言えないカヤ。もう一度溜息を吐く。
「わかりました。協力させて貰います」
その言葉にオウカはほっとする。
「ですが!」
カヤはヒナタを見て告げる。
「ヒナタ。今更ですし、止められないのはわかってます」
「……」
「だから勝手な行動はしないでください」
「サクヅキくんにも言われた」
「あら」
カヤの視線がこちらを向く。
「本当にすいません」
「好きでやっているので気にしないでください」
「キミはウチの保護者?」
ヒナタの言葉を無視して、オウカは次の目的地へと向かおうとする。すると、そこへカヤが声を掛けて来た。
「次はどこへ行くつもりですか?」
「アシヤ=キョウコ先生のところです。担任なので」
その言葉にカヤの眼が少し大きくなる。
「そうですか……。キョウコのところですか」
「知り合いですか?」
オウカの問いかけにカヤは頷く。
「はい。友達です」
そして、少し何かを考えて、二人を見る。
「キョウコへ私が連絡します」
「いいのですか?」
「はい。こうなったら皆巻き込みます」
「「皆?」」
首を捻るオウカとヒナタにカヤが説明する。
「私とキョウコ、後三人で“かきくけこ”って呼ばれていたのです」
曰く、仲良し五人組のプレイヤー。全員歴史あるノーブルであり、陰陽師タイプ。そして、名前の頭文字でか行になる。
「強さは保証します。サクヅキ君はキョウコの強さをわかってるなら、大丈夫だとわかるはずです」
「それはまあ」
オウカはキョウコの強さを知っている。なら安心。
一方ヒナタは。
「でも……」
流石に躊躇っていた。やはり他人を巻き込みたくないのだろう。
それにカヤは告げる。
「ヒナタ。貴方の母親は、私の妹なんですよ」
「!」
「私だって怒っているのです」
圧が放たれる。が、数秒で霧散。
「だから私も……私達も協力します」
その言葉にオウカとヒナタは頭を下げた。
■□■□
オウカとヒナタを見送ってから、カヤは動く。
端末で確認を取り、複数人で話せる状態にする。
四つのディスプレイが投影され、そこに四人の顔が浮かぶ。
『急に~、何~?』
代表して、キョウコが訊ねる。
なので、カヤは単刀直入に言う。
「手を貸して欲しいのです」
そして、事情を話すと、全員顔を顰める。
特にキョウコは凄まじい。
『本当に彼は色々巻き込まれる』
糸目が開眼し、間延び口調が無くなっている。
それに他の三人も反応する。
『確カ、前ニ話シテタ人デスヨネ?』
人工音声めいた口調で話す女性。
彼女はユゲ=ケイリラ。
『うん~、そうだよ~。皆にも手を貸してもらおうと~、話したっけ~』
『覚えあるな。オマエ、オレらにも頼って来たんだよな』
男口調で話す女性。
彼女はシゲオカ=クラマ。
『あちきも覚えてるでありんす。チカラを盗まれたんでしょう?』
廓詞で話す女性。
彼女がミヨシ=コウ。
この五人が“かきくけこ”。
『まあその件は~、どうにかなったんだけど~』
はあ、と溜息を吐くキョウコ。
チカラを手に入れた後も色々問題が発生している。。
彼が問題を引き起こしているわけではないが、巻き込まれている。
『思イ出シマシタ! 対校戦デ凄マジイ戦イヲシタ人デスネ』
『見損ねたんだよな~、オレ』
『あちきも』
五人共教師であるのだが、役職は全員違う。
学長、担任、副担任、非常勤、学年主任。
その時間、予定があったり、単純に興味がわかなかったりなどで、見ていない人もいる。
『でもよぉ、そんなに強いんなら、独りでやればいいじゃねえの?』
『念には念を入れたいんじゃないかな〜』
『相手ガ相手デスモノネ』
『色々煩くなりそうでありんす』
そんな四人にカヤは机に頭をぶつける勢いで頭を下げる。
「お願いします。手を貸してください」
『『……』』
「私は、妹を殺されました」
あの時は、ヒナタが壊れる寸前だったので、感情を表す暇がなかった。
「その亡骸まで弄ばれています」
涙すら流せず、ズルズルとここまで来てしまった。
「怒りが収まらないのです。悲しみが尽きないのです」
妹が死んだのに悲しくないんだな、と言われた事が何度もある。
そんなわけがない!
「優しいあの子が、なぜあんな死に方をしなくちゃならない! 許せる訳がないのです!」
カヤは絶叫する。
「お願いします。力を貸してください!」
それは大切な人を奪われた者の、魂の咆哮だった。
│四人の女性《友達》は。
「わかった〜」
「言ワレルマデモアリマセン」
「力を貸すに決まってんだろ」
「当たり前でありんす」
二つ返事で引き受けた。
【TIPS:かきくけこ】
(#ー#)<丁度全員出たからまとめる。ネタバレ含む。
か:カモノ=カヤ(学長)丁寧口調。式神使い。
き:アシヤ=キョウコ(担任)間延び口調。折紙呪符。
く:シゲオカ=クラマ(副担任)男口調。格闘。
け:ユゲ=ケイリラ(非常勤講師)カタカナ口調。五行使い。
こ:ミヨシ=コウ(学年主任)花魁口調。呪いの達人。
(・▽・)<この名字ってもしかして?
(#ー#)<ああそうだ。全員先祖が陰陽師。
(㈩*㈩)<マイナーなのもいる……。