(#ー#)<単位を取るために必要な物なんだけど、前言った通り難易度は様々。
(・▽・)<教師引率はやっぱり難しかったりするのですか?
(#ー#)<それもあるし、特殊な物も多い。
(㈩*㈩)<例えば?
(#ー#)<護衛依頼とか、特殊なモンスター討伐とかだな。
******
「ギリギリセーフ!」
その日、タナカは時間ギリギリに教室に滑り込んだ。
その後ろからイオリがやって来た。
「五分前行動にしようね」
その言葉に反論する者が数名。
「先生! それ言う筋合い無い人が結構いますよ!」
「教師と生徒含めてです!」
それにイオリは苦笑。
「……そういう人を反面教師にしようね。じゃあ朝のホームルームだ」
そうして始めようとした時だった。
ジンナが訊ねる。
「イブキ先生。アシヤ先生と、サク……ヅキ君は?」
「ああ。その二人なら暫く休み。ちょっと特殊なクエストでね」
「教師引率って……」
プレイヤー養成高校では、単位を取るためのクエスト斡旋をしているのだが、物によっては教師引率の物がある。それらはかなり難易度が高い。
「まあ心配しないで。二人共強いから」
そして、ホームルームが始まった。
******
昼休憩時の屋上。
いつもなら、オウカとカナタ+αで食べるのだが、今日はオウカがいない。
「え、先輩は知っていたんですか?」
「サク君、暫くお弁当いらないって言ってたから」
ジンナの問いに、カナタはそう言った。
「どんなクエスト受けてるのですわ?」
「「知らない」」
ほぼ全員そう答えた。
言わなかったのは二人。
リアとランコ。
「二人は何か知っているの?」
「ええまあ……」
「多分アレだな」
苦い顔をしている二人。
この顔を見る限り、どうにも普通のクエストではない。
カナタが訊ねる。
「……聞いていいかしら?」
「口止めはされてませんけど……」
「今回の件はちょっと言うのが憚られる」
そんな二人にベニバナはこう言う。
「
全員の視線を受けながら、ベニバナは続ける。
「信じて待つ事も、友達ですわ」
それに他の面々も納得する。
「そうですね」
「全部終わったら、問い詰めよう」
ジンナとカナタは納得。
一方、リアとランコはコソコソと相談。
「聞かれなくて良かったです」
「実際かなり大事になってますからね。ワタクシもここまでになるとは思ってませんでした」
「
実は、今回の件はかなり大事になっていた。
大聖女の耳に入り、エドリー討伐に円卓を差し向ける事になったのである。
理由は、彼が円卓から奪った加護ノ翅を所持しているから。
取り返すまたとない機会だった。
「ですけど……」
リアの顔が曇る。
問題は人選だった。
オウカとも面識がある、ルラとジョージではなく、別の人達が動く事になっていた。
「大丈夫でしょうか……」
「……大丈夫ですかね」
心配そうな二人だった。
◇◆◇◆
時間は少し戻り、高校では授業がおこなわれている時間。
オウカとヒナタはとある場所に向かっていた。
オウカは私服のジャージ姿、ヒナタはいつも通りの外套。
「それにしても」
オウカは呟く。
「カヤさんには感謝だな」
今回の件をクエスト扱いにしてくれたので、授業は免除になっている。おかげで自由に行動できる。
「まあレポートは書かなきゃだけど」
「……思い出させないで」
ヒナタの言葉にオウカは頭を抱える。
そんな彼にヒナタは少しだけ顔を歪める。
一応彼女、これでも笑っている。
(アイツを殺さなきゃ、笑えないんだな……)
そんな事を思い決意を新たにする。
(地獄を見せないとな……)
そして、目的地へ辿り付く。
「ここみたい……」
「見た目は普通のビルだな」
それは少し古びたビル。
ここに集合となっていた。
「確かカヤさんが借りているビルだっけ?」
「名義上は。集まって話したり、模擬戦したりする場所がいるって事で皆で借りてるらしい」
そのためか、認識阻害がかかっており、五人の署名が入った招待状を持った人でないと、辿り付けないとの事。
更に……
「うわ……」
オウカが絶句する。
中はトラップまみれで、下手しなくても死にかねない。
「……わかるの?」
「師匠に鍛えられてますから」
「今度会ってみたい」
ヒナタの言葉にオウカは寂しそうな顔をする。
「俺も会いたい」
「……もしかして?」
「ああ誤解させたか? 生きてはいる。行方知れずなだけ」
入学祝いに色々な物を送って来て以来、音信不通ではある。
だが。
(あの人、殺せる人がいると思えない……)
昔から凄まじく強い人、というイメージだったが、異世界で戦ってきてからもそのイメージは変わらなかった。
というか、未だに底が見えない。
(今なら勝てる……? いやどうだろう?)
オウカとソルドアットの二人掛かりでどうにかした相手すらも、一人で勝ってしまうかもしれない。
(何しているのかな。会いたいな。話したいな)
そんな事を思うオウカだった。
再開は未だ遠い。
そうして二人は階段を昇り、集合場所に付く。
そこには五人の女性と、一人の男性、一人の性別不詳、一匹の犬がいる。
今回のメンバー全員集合済み。どうやらオウカとヒナタが一番最後らしい。
少し不安になったオウカが問いかける。
「アレ? 集合時間過ぎてます?」
「大丈夫だよ~。皆早くに来すぎただけ~」
キョウコが手をひらひらさせて答えた。
そして、話し合いが始まる。だが、その前に……。
「まずは自己紹介から始めましょう。初見の形もいらっしゃいますし」
カヤの提案に全員頷く。
「まずは私から始めます。カモノ=カヤと申します」
ペコリと頭を下げる敏腕女性秘書のような恰好の人。
「戦闘方法は式神です」
指に挟まれた人型の呪符から、和装の童女が実体化する。
その童女はスムーズな動きで、出て行った。
「「え、あの式神は?」」
「お茶とお菓子を頼みました」
ツッコミに平然と答えるカヤだった。
「じゃあ次は~、わたし~。アシヤ=キョウコ~」
狩衣のおかっぱ女性が手をひらひらと振った。
「戦闘方法は~、折紙~」
手に乗った折り鶴がふよふよと飛び、大爆発を起こした。
「「おい!? 他にやりようあっただろう!?」」
「これしか思いつかなかった~」
友人達のツッコミに、平然と答えたキョウコだった。
「オレはシゲオカ=クラマ」
体育教師のような恰好をした中性的な女性が、手をポケットに突っ込んだまま言った。
「戦闘方法は――」
その言葉を合図にするかのように、キョウコがクラマ目がけてまだ折り鶴を飛ばす。
「格闘だ」
折り鶴が砕けた。どうやら居合のように拳を繰り出したようだ。
「デハ、ワタシデスネ。ユゲ=ケイリラト申シマス」
絡繰人形のような女性が、頭を下げる。
「戦闘方法ハ、五行ヲ使イマス」
口から火を噴き、右手に花を生やし、左手に岩を纏い、右足が氷を纏い、左足から金属の刃が出て来た。
「あちきの番でありんすね。ミヨシ=コウでありんす」
花魁のような女性が鉄扇を広げる。
「戦闘方法は、デバフや呪い、状態異常を使うでありんす」
鉄扇で友人達を扇ぐ。
「「ZZZ~」」
四人が睡眠状態に陥った。
「これ以外も毒とか、麻痺とかできるでありんす。呪いも得意でありんす」
パンッっと鉄扇を閉じると、四人が目覚めた。
「いきなり何をするのですか?」
「友達だって~、やっていい事と~、悪い事~、あるよ~」
「ブチ殺すぞ? テメエ」
「流石ニ許セマセンヨ?」
そうしてコウに詰め寄った。
こうして五人組の紹介が終わる。
そして次に名乗りを上げたのは。
「じゃあ、あっしの番でござんすね」
渡世人のような恰好をした男。左手には喧嘩煙管を持っている。
「あっしはマックス。聖霊教の円卓の一員でござんす」
そして、懐から懐紙を出して投げ、そのまま左腰の長ドスの柄を右手で握り、抜刀の構えを取る。
「剣術が得意でござんす」
一閃。懐紙が真っ二つになる。しかも紙を単純に真っ二つにした訳ではなく、横から斬り二枚の薄い紙にした。
そして、マックスは近くにいた犬に声を掛ける。
「次は先輩の番でござんすよ」
それは狼のような黒い犬。尻尾が蛇腹剣になっている。そして、口を開く。
「ああ」
「「!?」」
喋った。ほぼ全員が驚く。
オウカだけはそういう存在をよく知っているので驚かなかった。
「吾輩はノワール。聖霊教の円卓の一員である」
前傾姿勢になり、跳ぶ。
そのまま天井や壁を蹴り、凄まじい機動力を見せる。
「スピードファイターである」
そう言って元いた場所に器用に着地。
そして、まだ紹介をしていない三人を見て訊ねる。
「次は誰であるか?」
「我だな」
答えたのは無貌の面をした忍者装束の人物。
「我に名はない。無貌とでも呼べ」
そして、壁目がけ棒手裏剣を投げる。
「戦闘方法は忍者が使う物全般」
連続して投げ、棒手裏剣にぶつけていく。
そして、残り二人。
オウカとヒナタは相談する。
「どうする?」
「ウチからでいい?」
「いいけど……」
そういう訳でヒナタは名乗り出る。
「ウチはソラナキ=ヒナタ」
棍棒をメイスに変え振るう。
「冥刀を使う」
そして最後。
オウカは名乗る。
「どうも。サクヅキ=オウカです。名前だけでも覚えてください」
手にするのは【アロンダイト】。これを振るう。
「こっちも冥刀を使う」
こうして自己紹介が終わったタイミングで、カヤの式神である童女がお盆にお茶とお菓子を載せて帰って来た。
「狙ったの~?」
「何がでしょう」
キョウコの問いかけにフフフと笑ったカヤ。
そうして一旦お茶とお菓子の時間になる。
お茶は緑茶。飲みやすい丁度良い温度。
お菓子は栗羊羹。お茶に丁度良い甘さ。
マックスがボソリと呟く。
「美味い……」
「確かに」
オウカも肯定した。
すると、ノワールがカヤに問いかける。
「どこで売っているのか、教えてくれないか?」
「構いませんよ」
こうして少しの間和やかに過ごした。
そうして好評だったお茶とお菓子が食べ終わる。
そして、カヤが口を開く。
「じゃあ発起人である私が仕切りをします。意義はありますか?」
反対意見はなさそう。
なので続ける。
「ないようなので、始めます」
そして、映像を投影する。
そこに映った写真の男を見て、ヒナタがギリリと奥歯を噛みしめ、手を血がにじむ程(生身の腕なら)握る。
そんな彼女の手をオウカは握る。
(!)
少し驚くも、柔らかく握り返すヒナタ。
それを見ない振りをして説明は続く。
「この男が今回のターゲットである、エドリーゲイン=バンディー=ルーカスジョン。通称“
一見すれば普通の紳士といった感じ。だが、オウカにはわかる。目が外道特有の濁り方をしている。
「世界各地に出没して惨劇を起こしています。そして、今回はこの国で目撃されました」
目撃情報は各地。どうやら動き回っているらしい。
「出来る事なら起こす前にどうにかしたい所ですけど、それは……不可能です」
そんな事が出来るのならもうやっている。
「だからコトを起こしたタイミングで――どうにかします」
「どうにか? つまり各自の判断という事であるか?」
ノワールの疑問にカヤは首肯。
「はい。生け捕りが望ましいですけど、無理な場合は……」
カヤが親指を首に向け、横に動かす。
それには誰も否定しなかった。
「なので出没しそうな場所に、手分けして待ち伏せします」
「待ち伏せでござんすか?」
「はい。今までの犯行から駆け付ける事が不可能なのです」
その言葉にオウカが答えを言う。
「転移封じ」
「はい」
頷き捕捉する。
「エドリーゲインは犯行をおこなう場所を、特殊な結界で覆うのですが、彼以外出入りが出来ないのです」
これのトリックは知られてる。
《レッドクロス〔結界〕》
彼の場合、結界を檻のように展開する。
これには外と内を分けて覆うしか効果がないが、その分強度は高い。
それにふと気になった事があり、キョウコがオウカに問いかける。
「ねえ~、サクヅキクン~」
「はい?」
「その結界~、斬れない~?」
その問いに答えるのは【アロンダイト】。
『斬ります。斬れます』
「お前が答えるんかい」
ツッコミを入れるオウカに、他の面々が一体誰だ? という視線が刺さるのでオウカは説明する。
「これが俺の冥刀です。時空・次元操作を持っているので、ワンチャンあります」
「普通に喋ってなかったか?」
クラマの疑問に答えるのはキョウコ。
「そういうのも~、あるのさ~」
「ふうん」
深くは聞いてこなかった。
【TIPS:レッドクロス〔結界〕】
(#ー#)<自然を操るレッドクロスだが、こういう場合もある。
(#ー#)<クロスは同一でも個性が出るんだが、コイツの場合は檻。
(#ー#)<これがマジで厄介なんだ。張られるとどうしようもない。
(#ー#)<まあこれと言って特殊な能力がないのは救いだがな。