冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:高校のクエスト】
(#ー#)<単位を取るために必要な物なんだけど、前言った通り難易度は様々。

(・▽・)<教師引率はやっぱり難しかったりするのですか?

(#ー#)<それもあるし、特殊な物も多い。

(㈩*㈩)<例えば?

(#ー#)<護衛依頼とか、特殊なモンスター討伐とかだな。


lⅹⅹⅴ

 ******

 

 

「ギリギリセーフ!」

 

 その日、タナカは時間ギリギリに教室に滑り込んだ。 

 その後ろからイオリがやって来た。

 

「五分前行動にしようね」

 

 その言葉に反論する者が数名。

 

「先生! それ言う筋合い無い人が結構いますよ!」

「教師と生徒含めてです!」

 

 それにイオリは苦笑。

 

「……そういう人を反面教師にしようね。じゃあ朝のホームルームだ」

 

 そうして始めようとした時だった。

 ジンナが訊ねる。

 

「イブキ先生。アシヤ先生と、サク……ヅキ君は?」

「ああ。その二人なら暫く休み。ちょっと特殊なクエストでね」

「教師引率って……」

 

 プレイヤー養成高校では、単位を取るためのクエスト斡旋をしているのだが、物によっては教師引率の物がある。それらはかなり難易度が高い。

 

「まあ心配しないで。二人共強いから」

 

 そして、ホームルームが始まった。

 

 

 ******

 

 

 昼休憩時の屋上。

 いつもなら、オウカとカナタ+αで食べるのだが、今日はオウカがいない。

 

「え、先輩は知っていたんですか?」

「サク君、暫くお弁当いらないって言ってたから」

 

 ジンナの問いに、カナタはそう言った。

 

「どんなクエスト受けてるのですわ?」

「「知らない」」

 

 ほぼ全員そう答えた。

 言わなかったのは二人。

 リアとランコ。

 

「二人は何か知っているの?」

「ええまあ……」

「多分アレだな」

 

 苦い顔をしている二人。

 この顔を見る限り、どうにも普通のクエストではない。

 カナタが訊ねる。

 

「……聞いていいかしら?」

「口止めはされてませんけど……」

「今回の件はちょっと言うのが憚られる」

 

 そんな二人にベニバナはこう言う。

 

(わてくし)は、聞くなら本人からにしますわ」

 

 全員の視線を受けながら、ベニバナは続ける。

 

「信じて待つ事も、友達ですわ」

 

 それに他の面々も納得する。

 

「そうですね」

「全部終わったら、問い詰めよう」

 

 ジンナとカナタは納得。

 一方、リアとランコはコソコソと相談。

 

「聞かれなくて良かったです」

「実際かなり大事になってますからね。ワタクシもここまでになるとは思ってませんでした」

聖霊教(ウチ)の円卓まで出動命令出ましたものね」

 

 実は、今回の件はかなり大事になっていた。

 大聖女の耳に入り、エドリー討伐に円卓を差し向ける事になったのである。

 理由は、彼が円卓から奪った加護ノ翅を所持しているから。

 取り返すまたとない機会だった。

 

「ですけど……」

 

 リアの顔が曇る。

 問題は人選だった。

 オウカとも面識がある、ルラとジョージではなく、別の人達が動く事になっていた。

 

「大丈夫でしょうか……」

「……大丈夫ですかね」

 

 心配そうな二人だった。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 時間は少し戻り、高校では授業がおこなわれている時間。

 オウカとヒナタはとある場所に向かっていた。

 オウカは私服のジャージ姿、ヒナタはいつも通りの外套。

 

「それにしても」

 

 オウカは呟く。

 

「カヤさんには感謝だな」

 

 今回の件をクエスト扱いにしてくれたので、授業は免除になっている。おかげで自由に行動できる。

 

「まあレポートは書かなきゃだけど」

「……思い出させないで」

 

 ヒナタの言葉にオウカは頭を抱える。

 そんな彼にヒナタは少しだけ顔を歪める。

 一応彼女、これでも笑っている。

 

(アイツを殺さなきゃ、笑えないんだな……)

 

 そんな事を思い決意を新たにする。

 

(地獄を見せないとな……)

 

 そして、目的地へ辿り付く。

 

「ここみたい……」

「見た目は普通のビルだな」

 

 それは少し古びたビル。

 ここに集合となっていた。

 

「確かカヤさんが借りているビルだっけ?」

「名義上は。集まって話したり、模擬戦したりする場所がいるって事で皆で借りてるらしい」

 

 そのためか、認識阻害がかかっており、五人の署名が入った招待状を持った人でないと、辿り付けないとの事。

 更に……

 

「うわ……」

 

 オウカが絶句する。

 中はトラップまみれで、下手しなくても死にかねない。

 

「……わかるの?」

「師匠に鍛えられてますから」

「今度会ってみたい」

 

 ヒナタの言葉にオウカは寂しそうな顔をする。

 

「俺も会いたい」

「……もしかして?」

「ああ誤解させたか? 生きてはいる。行方知れずなだけ」

 

 入学祝いに色々な物を送って来て以来、音信不通ではある。

 だが。

 

(あの人、殺せる人がいると思えない……)

 

 昔から凄まじく強い人、というイメージだったが、異世界で戦ってきてからもそのイメージは変わらなかった。

 というか、未だに底が見えない。

 

(今なら勝てる……? いやどうだろう?)

 

 オウカとソルドアットの二人掛かりでどうにかした相手すらも、一人で勝ってしまうかもしれない。

 

(何しているのかな。会いたいな。話したいな)

 

 そんな事を思うオウカだった。

 

 再開は未だ遠い。

 

 そうして二人は階段を昇り、集合場所に付く。

 そこには五人の女性と、一人の男性、一人の性別不詳、一匹の犬がいる。

 今回のメンバー全員集合済み。どうやらオウカとヒナタが一番最後らしい。

 

 少し不安になったオウカが問いかける。

 

「アレ? 集合時間過ぎてます?」

「大丈夫だよ~。皆早くに来すぎただけ~」

 

 キョウコが手をひらひらさせて答えた。

 

 そして、話し合いが始まる。だが、その前に……。

 

「まずは自己紹介から始めましょう。初見の形もいらっしゃいますし」

 

 カヤの提案に全員頷く。

 

「まずは私から始めます。カモノ=カヤと申します」

 

 ペコリと頭を下げる敏腕女性秘書のような恰好の人。

 

「戦闘方法は式神です」

 

 指に挟まれた人型の呪符から、和装の童女が実体化する。

 その童女はスムーズな動きで、出て行った。

 

「「え、あの式神は?」」

「お茶とお菓子を頼みました」

 

 ツッコミに平然と答えるカヤだった。

 

「じゃあ次は~、わたし~。アシヤ=キョウコ~」

 

 狩衣のおかっぱ女性が手をひらひらと振った。

 

「戦闘方法は~、折紙~」

 

 手に乗った折り鶴がふよふよと飛び、大爆発を起こした。

 

「「おい!? 他にやりようあっただろう!?」」

「これしか思いつかなかった~」

 

 友人達のツッコミに、平然と答えたキョウコだった。

 

「オレはシゲオカ=クラマ」

 

 体育教師のような恰好をした中性的な女性が、手をポケットに突っ込んだまま言った。

 

「戦闘方法は――」

 

 その言葉を合図にするかのように、キョウコがクラマ目がけてまだ折り鶴を飛ばす。

 

「格闘だ」

 

 折り鶴が砕けた。どうやら居合のように拳を繰り出したようだ。

 

「デハ、ワタシデスネ。ユゲ=ケイリラト申シマス」

 

 絡繰人形のような女性が、頭を下げる。

 

「戦闘方法ハ、五行ヲ使イマス」

 

 口から火を噴き、右手に花を生やし、左手に岩を纏い、右足が氷を纏い、左足から金属の刃が出て来た。

 

「あちきの番でありんすね。ミヨシ=コウでありんす」

 

 花魁のような女性が鉄扇を広げる。

 

「戦闘方法は、デバフや呪い、状態異常を使うでありんす」

 

 鉄扇で友人達を扇ぐ。

 

「「ZZZ~」」

 

 四人が睡眠状態に陥った。

 

「これ以外も毒とか、麻痺とかできるでありんす。呪いも得意でありんす」

 

 パンッっと鉄扇を閉じると、四人が目覚めた。

 

「いきなり何をするのですか?」

「友達だって~、やっていい事と~、悪い事~、あるよ~」

「ブチ殺すぞ? テメエ」

「流石ニ許セマセンヨ?」

 

 そうしてコウに詰め寄った。

 

 こうして五人組の紹介が終わる。

 

 そして次に名乗りを上げたのは。

 

「じゃあ、あっしの番でござんすね」

 

 渡世人のような恰好をした男。左手には喧嘩煙管を持っている。

 

「あっしはマックス。聖霊教の円卓の一員でござんす」

 

 そして、懐から懐紙を出して投げ、そのまま左腰の長ドスの柄を右手で握り、抜刀の構えを取る。

 

「剣術が得意でござんす」

 

 一閃。懐紙が真っ二つになる。しかも紙を単純に真っ二つにした訳ではなく、横から斬り二枚の薄い紙にした。

 

 そして、マックスは近くにいた犬に声を掛ける。

 

「次は先輩の番でござんすよ」

 

 それは狼のような黒い犬。尻尾が蛇腹剣になっている。そして、口を開く。

 

「ああ」

「「!?」」

 

 喋った。ほぼ全員が驚く。

 オウカだけはそういう存在をよく知っているので驚かなかった。

 

「吾輩はノワール。聖霊教の円卓の一員である」

 

 前傾姿勢になり、跳ぶ。

 そのまま天井や壁を蹴り、凄まじい機動力を見せる。

 

「スピードファイターである」

 

 そう言って元いた場所に器用に着地。

 そして、まだ紹介をしていない三人を見て訊ねる。

 

「次は誰であるか?」

「我だな」

 

 答えたのは無貌の面をした忍者装束の人物。

 

「我に名はない。無貌とでも呼べ」

 

 そして、壁目がけ棒手裏剣を投げる。

 

「戦闘方法は忍者が使う物全般」

 

 連続して投げ、棒手裏剣にぶつけていく。

 

 そして、残り二人。

 オウカとヒナタは相談する。

 

「どうする?」

「ウチからでいい?」

「いいけど……」

 

 そういう訳でヒナタは名乗り出る。

 

「ウチはソラナキ=ヒナタ」

 

 棍棒をメイスに変え振るう。

 

「冥刀を使う」

 

 そして最後。

 オウカは名乗る。

 

「どうも。サクヅキ=オウカです。名前だけでも覚えてください」

 

 手にするのは【アロンダイト】。これを振るう。

 

「こっちも冥刀を使う」

 

 こうして自己紹介が終わったタイミングで、カヤの式神である童女がお盆にお茶とお菓子を載せて帰って来た。

 

「狙ったの~?」

「何がでしょう」

 

 キョウコの問いかけにフフフと笑ったカヤ。

 そうして一旦お茶とお菓子の時間になる。

 お茶は緑茶。飲みやすい丁度良い温度。

 お菓子は栗羊羹。お茶に丁度良い甘さ。

 

 マックスがボソリと呟く。

 

「美味い……」

「確かに」

 

 オウカも肯定した。

 すると、ノワールがカヤに問いかける。

 

「どこで売っているのか、教えてくれないか?」

「構いませんよ」

 

 こうして少しの間和やかに過ごした。

 

 そうして好評だったお茶とお菓子が食べ終わる。

 そして、カヤが口を開く。

 

「じゃあ発起人である私が仕切りをします。意義はありますか?」

 

 反対意見はなさそう。

 なので続ける。

 

「ないようなので、始めます」

 

 そして、映像を投影する。

 そこに映った写真の男を見て、ヒナタがギリリと奥歯を噛みしめ、手を血がにじむ程(生身の腕なら)握る。

 そんな彼女の手をオウカは握る。

 

(!)

 

 少し驚くも、柔らかく握り返すヒナタ。

 それを見ない振りをして説明は続く。

 

「この男が今回のターゲットである、エドリーゲイン=バンディー=ルーカスジョン。通称“死の収集家(デッド・コレクター)”」

 

 一見すれば普通の紳士といった感じ。だが、オウカにはわかる。目が外道特有の濁り方をしている。

 

「世界各地に出没して惨劇を起こしています。そして、今回はこの国で目撃されました」

 

 目撃情報は各地。どうやら動き回っているらしい。

 

「出来る事なら起こす前にどうにかしたい所ですけど、それは……不可能です」

 

 そんな事が出来るのならもうやっている。

 

「だからコトを起こしたタイミングで――どうにかします」

「どうにか? つまり各自の判断という事であるか?」

 

 ノワールの疑問にカヤは首肯。

 

「はい。生け捕りが望ましいですけど、無理な場合は……」

 

 カヤが親指を首に向け、横に動かす。

 それには誰も否定しなかった。

 

「なので出没しそうな場所に、手分けして待ち伏せします」

「待ち伏せでござんすか?」

「はい。今までの犯行から駆け付ける事が不可能なのです」

 

 その言葉にオウカが答えを言う。

 

「転移封じ」

「はい」

 

 頷き捕捉する。

 

「エドリーゲインは犯行をおこなう場所を、特殊な結界で覆うのですが、彼以外出入りが出来ないのです」

 

 これのトリックは知られてる。

 

 《レッドクロス〔結界〕》

 彼の場合、結界を檻のように展開する。

 これには外と内を分けて覆うしか効果がないが、その分強度は高い。

 それにふと気になった事があり、キョウコがオウカに問いかける。

 

「ねえ~、サクヅキクン~」

「はい?」

「その結界~、斬れない~?」

 

 その問いに答えるのは【アロンダイト】。

 

『斬ります。斬れます』

「お前が答えるんかい」

 

 ツッコミを入れるオウカに、他の面々が一体誰だ? という視線が刺さるのでオウカは説明する。

 

「これが俺の冥刀です。時空・次元操作を持っているので、ワンチャンあります」

「普通に喋ってなかったか?」

 

 クラマの疑問に答えるのはキョウコ。

 

「そういうのも~、あるのさ~」

「ふうん」

 

 深くは聞いてこなかった。




【TIPS:レッドクロス〔結界〕】
(#ー#)<自然を操るレッドクロスだが、こういう場合もある。

(#ー#)<クロスは同一でも個性が出るんだが、コイツの場合は檻。

(#ー#)<これがマジで厄介なんだ。張られるとどうしようもない。

(#ー#)<まあこれと言って特殊な能力がないのは救いだがな。
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