冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:ノワール】
(#ー#)<聖霊教の戦闘部隊の精鋭、円卓の一人というか一匹。

(#ー#)<実は最古参メンバー。魔力で知能が上昇しまくっている。

(・▽・)<木○脳幹みたいですね。

(#ー#)<言わんとしていた事言うなよ……。因みに雑種。狼の血も混ざってる。

(㈩*㈩)<戦い方は犬や狼の機動力を活かした戦いかな?

(#ー#)<ああ。尻尾が蛇腹剣になっていて相手を斬り刻む。爪牙も鋭い。

(#ー#)<更にまだ手札がある。それについては追々。


lⅹⅹⅶ

 ■□■□

 

 

 時間は少し戻る。

 ヒナタは担当場所である客船の上にいた。

 服装はいつも通り。目立つ格好だが、認識阻害の呪符を使っているので、バレない。……一応バレても大丈夫なように仮の身分(船の護衛)はあるにはある。

 

(いつまでこうするんだろう……)

 

 事態が動かないのが歯がゆい。

 そんな事を思った時だった。

 

 突如、客船を覆うように結界が張られる。

 

「!」

 

 これをヒナタは知っている!

 忘れる訳がない。

 

(来た!)

 

 【テーセウス】を取り出し、即座にメイスに変える。

 

 そして――

 

「刃金の誓い、今此処に」

 

 詠唱を始める。

 

「棍棒、八つ裂き、猪、海亀、レスリング。そして切断」

 

 これなるは、とある英雄の旅路。

 

「目には目を歯には歯を。因果応報の旅路は続く」

 

 残虐な方法で人を殺めていた者達に対し、彼は同じ目に遭わせて殺した。

 

「復讐するは我にあり」

 

 ここで本来なら締め。だが、彼女は違う。

 

「黒い外套身に纏い、私は旅に出よう」

 

 詠唱は続く。

 

「卑怯者には似合わない。正々堂々立ち向かう」

 

 彼女が持つのは三つの冥刀。

 

「立ちはだかる物全てを喰らい、捕食する」

 

 しかも一つは二つが合体したモノ。

 

「それは血となり、肉となり、骨となる」

 

 だからこそその分長くなる。

 

「私の手足はなくなった。もう前には進めない」

 

 同化型の冥刀は本来詠唱はいらない。

 

「代わりに銀の手足を付けよう」

 

 だが、彼女の場合、複数使っているので必要になる。

 

「これでどこでも行けるはず」

 

 そして、三つ(実質四つ)分の詠唱が終わる。

 

「光へ堕ちろ、闇を照らせ」

 

 ヒナタの眼が輝く。

 

剣轟抜錨(デュナミス)――《六なる応報を与えよ・混鉄棍(コンテツコン・テーセウス)》」

 

 メイスが震えた。

 

剣轟抜錨(デュナミス)――《衣食慟玄・掃霞衣(ソウカイ・パダルン・レドコウト)》」

 

 外套が揺れた。

 

剣轟抜錨(デュナミス)――《銀姫手足(ハシヒメ・ダス)(・メッチェン)宇治橋姫(・オーネ・ヘンデ)》」

 

 手足が輝いた。

 

 そして、そのまま結界の中心地点に行こうとした時だった。

 

『ソラナキ聞こえるか?』

 

 友達の声が聞こえた。

 

『返事する暇ないならそのまま聞け』

 

 切ろうかとも思ったが、聞く事にした。

 

『他の場所でも外道が出た』

「は!?」

 

 思わず声を出してしまう。

 

『恐らく分裂か分身。下手をすると――』

「……まさか」

 

 オウカの懸念にヒナタも考え付く。

 

『加勢はどうする?』

 

 それにヒナタは答える。

 

「いらない。ウチ一人で十分」

『わかった。気を付けろ』

「もしもの時はお願い」

『ああ』

 

 通話は切れた。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 他の面々にも伝え、オウカはフウと息を吐く。全員加勢はいらない、との事。

 コウは各地の映像をモニターに移す。実はコレ、ネラが関わっている。だからこそ、映像や通信が出来ている。

 その映像には……。

 

「!」

「おいおい」

 

 八か所に有色透明の結界が張られている。色は――赤、橙、黄、黄緑、緑、青、藍。

 映像を見る限り、内や外からどうにか破ろうとしている者はいるが、びくともしていない。

 

「だから八か所だったでありんすね」

 

 納得したコウ。

 あの二人の協力占いの精度は高いのに、八までしか絞れないのはおかしい、と思っていた。まさかこうなるとは。

 

「こんな事例今までなかったよな……」

 

 オウカの疑問にコウが同意。

 

「ないでありんすよ」

 

 実際壁際にあった資料を見たが、なかった。

 

「つまり今回が初めて?」

 

 顔を見合わせ。

 

「「迷惑(でありんす)!」」

 

 二人で咆える。

 だが、いつまでもこうしている訳にはいかない。

 

「どうするでありんす? 加勢は断られたでありんすよね」

「はい。それで問題は……」

 

 オウカは、ヒナタなど一部の者と一致した意見を言う。

 

「本体がどうしているか、です」

「本体? ……あ」

「単なる分身なら八か所のどこかに本体がいる。分裂なら八か所全員倒せばいい」

 

 それがセオリー。

 だが問題は……。

 

「問題は――本体が別の場所にいる時です」

 

 それが一番不味い。

 キョウコから色々聞いているコウが問いかけて来る。

 

「どうにかできないのでありんす? 手札色々あるって聞いたでありんす」

「ありますけど……」

 

 実はオウカの手札は増えている。

 ソルドアットが死ぬ前に【チャンドラハース】のストックにあったモノを託している。だからこそ、分体や使い魔越しに、本体にダメージを届かせるモノがある。だが……

 

「完全に死んだかはわかりません」

「今回の件といい、手札が色々ありそうでありんすし……」

 

 何かしらの手段を使われて生きていたら不味い。

 

「どうにか本体に接敵して、傷つけられれば」

「逃がさない?」

「はい」

 

 これもソルドアットの手札。

 相手を絶対に逃がさないモノ。

 それにコウは何かを考えていたが。

 

「わかりんした」

「……?」

「あちきも出るでありんす」

「え、何を……」

 

 それにコウは鉄扇を広げ、口元を隠しフフフと笑う。

 

「呪いの本質……見せるでありんす」

 

 そして、二人はこの場から消えた。

 

 

 ■□■□

 

 

 各地の結界内部は阿鼻叫喚となる。

 立ち向かう者はいるが、出現した死体の兵隊――骨の数と、屍の質によって倒される。

 

 骨の兵士は単純なステータスに優れている。屍の兵士はステータスに加え、生前の能力・技術を使える。

 もう死んでいるので、肉体の反動を無視して動けるのでステータスは高く、余程の損傷じゃなければ、再生可能なので厄介である。

 

 戦闘者を倒せば、後は殺戮が始まる……はずだった。

 だが、今回は違った。

 

 

 ******

 

 

 赤の結界。

 

 逃げ惑う人の声や叫び声がこだます。

 その中で。

 

「刃金の誓い、今此処に」

 

 一際響く声が聞こえる。

 

「奇矯に生きる歌舞伎者。仁義に生きる任侠者」

 

 それは冥刀の詠唱。

 

「煌きながら、輝きながら、太く短く生きようか」

 

 煙が結界内を充満していく。

 

「光へ堕ちろ、闇を照らせ」

 

 煙の中、その主の眼が光り輝く。

 

剣轟抜錨(デュナミス)――《煙デ惑エ、煙ニ酔え、前田慶次(ケイジ・エル・フマドール)》」

 

 骨と屍の兵隊達は煙に捕らわれていく。どうにか外そうとするが、単純な腕力や能力で外せない。

 しかも、この死体兵は思考は簡易的なAIなのでルーティン化している。ゲーム風に言うなら、攻撃や防御力が上がり、器用と賢さが下がっている。

 

「まさかこんな事になるとは……」

 

 捕らわれた兵隊達の前に現れたのは――マックス。

 手には喧嘩煙管である冥刀――【エル・フマドール】。

 特殊な煙を出して操る事で、様々な事が可能。

 

「さあ死んでくれ……」

 

 そして長ドスが抜刀。

 骨と屍をバラバラにした。

 

「死んでいるから、木っ端微塵でござんすね」

 

 そうして煙で前が見えない中、スムーズに歩いていく。

 そんな中で思考するマックス。

 

(他の場所もこうなっているとは)

 

 今回の件ははっきり言えば、余裕だと思っていた。

 先輩含めて腕利きもいるうえ、事前準備や支援物資もある。

 なのに結果は――

 

「他の場所も似たような事になってるでござんすね」

 

 どうにかこちらは相性が良くて被害を減らせた。

 だが、他の所がどうなっているのか。

 

「とりあえず結界w」

 

 最後まで言えなかった。

 突如現れたローブの人物が持つ剣――先端が鎌のようになったファルシオンで斬り付けて来た!

 だが。

 

「!?」

「無駄でござんす」

 

 ローブはマックスを何度も斬り付ける。だが、まるで擦り抜けてしまう。煙を斬り付けているかのように。

 そして。

 

「終わりでござんすよ」

 

 長ドス一閃。一刀両断。

 それと同時、赤の結界は解除された。

 

 戦いは終わったが、彼は煙を解除しない。

 まだやる事があるからだ。

 

「さて確認でござんす」

 

 そのままローブの中を見る。

 

「こっちは偽物か」

 

 その中にいたのは、エドリーゲインではない人物。

 ただ姿と形は似通っている。

 

(と言う事は、能力を転写できるでござんすか?)

 

 つまりエドリーが複数いるという事。

 

「先輩達は大丈夫でござんすかね……」

 

 とりあえず分かった事を各地に送った。

 

 ******

 

 

 橙の結界。

 

 そこは骨や屍の兵隊が人間ではなく、様々な獣、鳥、竜となっていた。

 戦える人々はどうにか対抗するが、人外の再生力と高いステータスに押されていた。

 

 そんな状況下。

 何かが通り過ぎる。それと同時、兵隊達は細切れになる。

 

「な、なんだ!?」

「何が起こっている!?」

 

 透明な訳ではないが、あまりに早すぎて見えない。

 それに兵隊達を操っているローブ姿の人物は、隊列を組ませ対抗。

 

 それに対してその“何か”は兵隊達の前に出現。

 戦闘者達もその姿を視認する事が可能になる。

 

「「犬?」」

「「狼?」」

 

 それは黒い犬。尻尾が蛇腹剣となっている。

 彼こそが、聖霊教の円卓が一人(一匹?)であるノワール。

 ノワールは息を吸い込み……

 

「アオオオオオン!!」

 

 咆哮を放つ。ただ放つだけではなく、前方に収束させる。もはや咆哮というより超振動波。

 それにより雑兵は殲滅。だがまだローブは健在。

 彼は手に持つファルシオンを振るう。すると亜空間の裂け目が広がり、そこから十メートル程の骸骨の怪獣が出現。

 

「こんなものまでストックしているのであるか……」

 

 あまり喋らないようにしているノワールだったが、思わず言葉を漏らしてしまう。

 更にローブは骨の兵隊を増やす。

 

(不味い……)

 

 雑兵の狙いは戦えない一般市民。

 このままでは人が死ぬ。

 だが、怪獣も放って置けない。

 

 その時だった。

 

「おーい! そこのワン公」

 

 骨の雑兵と戦っていたプレイヤーがノワールに声を掛ける。

 

「言葉がわかる前提で話すぞ!」

 

 首肯する事で肯定の意を示す。

 

「俺達に雑魚は任せろ! あんたは大物を頼む!」

 

 それに、首肯する事で感謝を示すノワール。

 

(これで大物に集中できるである)

 

 そして、怪獣とローブに向かい合う。

 それと同時に思い出したのは

 

(本当に厄介な冥刀である)

 

 オウカの説明だった。

 

 

 ▼▽▼

 

 

 それは九人と一匹での話し合いの最中。

 オウカはある事を話す事にする。

 

「ちょっといいですか」

「「?」」

「「もしかして……」」

 

 オウカの事を知らない大半は首を捻るが、よく知る二人――キョウコとヒナタは思い至る。

 

「あの冥刀の事~」

「……知ってるの?」

「ええ。説明しておきます」

 

 そして、彼は説明を始める。

 

「さて。俺が話すのは、あの豚野郎の冥刀です」

「わかるのか?」

 

 クラマの疑問にオウカは頷く。

 

「知り合いが詳しいので。アレは――【タナトス】」

「? 冥刀ハ神話や伝説ノ武器ノ名前ガ付クノデハナイノデスカ?」

「例外もチラホラあります」

 

 「~の剣」としか伝わっていない場合、その使い手――神や英雄の名前が付く事がある。

 

「コレはその一つ。決戦型のチカラを持ちます」

「「決戦型?」」

「あ、そこからか……」

 

 全員の疑問にオウカは説明をする。

 

「冥刀の分類方法の一つです。皆知っているのは形での分類でしょう?」

「武器、機体、同化とかでありんすね」

「はい。他にも分類方法ってあるんです。それが――戦闘方法による分類です」

 

 その一つが、決戦型。

 

「決戦型は何かしらのリソースを蓄積して、戦いの際に使う事で、格上や複数敵にも対処できます。後、その分代償も控えめな場合が多いです」

「その充電期間が~、代償って訳ね~」

 

 具体例を挙げるなら、カスミの奥の手であった【アル・マヒク】。アレは納刀時間が長ければ長い程、凄まじい事になる。

 

「【タナトス】の場合……死体の収集です」

「「……」」

 

 その言葉に全員の顔が曇る。彼の所業は有名だからこそ知られている。

 

「アレは殺した相手の死体を操作できます」

 

 だからこそ決戦型である。

 

「しかも少数なら生前の戦闘まで再現可能です」

 

 逆を言えば、数で攻める場合、骨の兵隊を使う。

 どちらも厄介。

 

「……アイツは自分の趣味を楽しむのと同時、自分のチカラを貯めているのですね」

「心底屑野郎だ」

 

 大事な人を殺されているキョウコとヒナタが吐き捨てる。

 

「能力はソレだけなんですけど、問題は畢竟(アリストテレス)です」

「アレは人によって違うでござんすからね~」

「デュナミストが言うと説得力があるである」

 

 マックスの言葉にノワールが呟く中。

 

「なあ一ついいか?」

 

 無貌がオウカに質問する。

 

「何?」

「決戦型の逆もあるんだよな?」

「ありますよ。安定型って呼ばれてます」

 

 リソースをあまり消費せず、自身のポテンシャルを最大限発揮できる型。爆発力は低いが、連戦や長期戦に向いているのだ。




【TIPS:エル・フマドール】
(㈩*㈩)<世にも珍しい煙管型の冥刀。とは言えかなり頑丈だから鈍器にもなる。

(・▽・)<能力はどこぞの巨大パイプ持った人と、某ハ○ンぽいですね。

(㈩*㈩)<一部六章のアレは悲しかった。それはともかくモロにそれ。

(㈩*㈩)<拡張性が高いから、色々可能。例えば――


・特殊な煙による攪乱。使い手には影響なし。
・煙による生物や道具の創造。
・自身の煙化による攻撃の透過。


(㈩*㈩)<こんな感じ。

(・▽・)<でもこれ刀剣じゃないですよね。

(㈩*㈩)<実は刃物が仕込んである。だからギリギリ刀。
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