(#ー#)<聖霊教の戦闘部隊の精鋭、円卓の一人というか一匹。
(#ー#)<実は最古参メンバー。魔力で知能が上昇しまくっている。
(・▽・)<木○脳幹みたいですね。
(#ー#)<言わんとしていた事言うなよ……。因みに雑種。狼の血も混ざってる。
(㈩*㈩)<戦い方は犬や狼の機動力を活かした戦いかな?
(#ー#)<ああ。尻尾が蛇腹剣になっていて相手を斬り刻む。爪牙も鋭い。
(#ー#)<更にまだ手札がある。それについては追々。
■□■□
時間は少し戻る。
ヒナタは担当場所である客船の上にいた。
服装はいつも通り。目立つ格好だが、認識阻害の呪符を使っているので、バレない。……一応バレても大丈夫なように仮の身分(船の護衛)はあるにはある。
(いつまでこうするんだろう……)
事態が動かないのが歯がゆい。
そんな事を思った時だった。
突如、客船を覆うように結界が張られる。
「!」
これをヒナタは知っている!
忘れる訳がない。
(来た!)
【テーセウス】を取り出し、即座にメイスに変える。
そして――
「刃金の誓い、今此処に」
詠唱を始める。
「棍棒、八つ裂き、猪、海亀、レスリング。そして切断」
これなるは、とある英雄の旅路。
「目には目を歯には歯を。因果応報の旅路は続く」
残虐な方法で人を殺めていた者達に対し、彼は同じ目に遭わせて殺した。
「復讐するは我にあり」
ここで本来なら締め。だが、彼女は違う。
「黒い外套身に纏い、私は旅に出よう」
詠唱は続く。
「卑怯者には似合わない。正々堂々立ち向かう」
彼女が持つのは三つの冥刀。
「立ちはだかる物全てを喰らい、捕食する」
しかも一つは二つが合体したモノ。
「それは血となり、肉となり、骨となる」
だからこそその分長くなる。
「私の手足はなくなった。もう前には進めない」
同化型の冥刀は本来詠唱はいらない。
「代わりに銀の手足を付けよう」
だが、彼女の場合、複数使っているので必要になる。
「これでどこでも行けるはず」
そして、三つ(実質四つ)分の詠唱が終わる。
「光へ堕ちろ、闇を照らせ」
ヒナタの眼が輝く。
「
メイスが震えた。
「
外套が揺れた。
「
手足が輝いた。
そして、そのまま結界の中心地点に行こうとした時だった。
『ソラナキ聞こえるか?』
友達の声が聞こえた。
『返事する暇ないならそのまま聞け』
切ろうかとも思ったが、聞く事にした。
『他の場所でも外道が出た』
「は!?」
思わず声を出してしまう。
『恐らく分裂か分身。下手をすると――』
「……まさか」
オウカの懸念にヒナタも考え付く。
『加勢はどうする?』
それにヒナタは答える。
「いらない。ウチ一人で十分」
『わかった。気を付けろ』
「もしもの時はお願い」
『ああ』
通話は切れた。
◇◆◇◆
他の面々にも伝え、オウカはフウと息を吐く。全員加勢はいらない、との事。
コウは各地の映像をモニターに移す。実はコレ、ネラが関わっている。だからこそ、映像や通信が出来ている。
その映像には……。
「!」
「おいおい」
八か所に有色透明の結界が張られている。色は――赤、橙、黄、黄緑、緑、青、藍。
映像を見る限り、内や外からどうにか破ろうとしている者はいるが、びくともしていない。
「だから八か所だったでありんすね」
納得したコウ。
あの二人の協力占いの精度は高いのに、八までしか絞れないのはおかしい、と思っていた。まさかこうなるとは。
「こんな事例今までなかったよな……」
オウカの疑問にコウが同意。
「ないでありんすよ」
実際壁際にあった資料を見たが、なかった。
「つまり今回が初めて?」
顔を見合わせ。
「「迷惑
二人で咆える。
だが、いつまでもこうしている訳にはいかない。
「どうするでありんす? 加勢は断られたでありんすよね」
「はい。それで問題は……」
オウカは、ヒナタなど一部の者と一致した意見を言う。
「本体がどうしているか、です」
「本体? ……あ」
「単なる分身なら八か所のどこかに本体がいる。分裂なら八か所全員倒せばいい」
それがセオリー。
だが問題は……。
「問題は――本体が別の場所にいる時です」
それが一番不味い。
キョウコから色々聞いているコウが問いかけて来る。
「どうにかできないのでありんす? 手札色々あるって聞いたでありんす」
「ありますけど……」
実はオウカの手札は増えている。
ソルドアットが死ぬ前に【チャンドラハース】のストックにあったモノを託している。だからこそ、分体や使い魔越しに、本体にダメージを届かせるモノがある。だが……
「完全に死んだかはわかりません」
「今回の件といい、手札が色々ありそうでありんすし……」
何かしらの手段を使われて生きていたら不味い。
「どうにか本体に接敵して、傷つけられれば」
「逃がさない?」
「はい」
これもソルドアットの手札。
相手を絶対に逃がさないモノ。
それにコウは何かを考えていたが。
「わかりんした」
「……?」
「あちきも出るでありんす」
「え、何を……」
それにコウは鉄扇を広げ、口元を隠しフフフと笑う。
「呪いの本質……見せるでありんす」
そして、二人はこの場から消えた。
■□■□
各地の結界内部は阿鼻叫喚となる。
立ち向かう者はいるが、出現した死体の兵隊――骨の数と、屍の質によって倒される。
骨の兵士は単純なステータスに優れている。屍の兵士はステータスに加え、生前の能力・技術を使える。
もう死んでいるので、肉体の反動を無視して動けるのでステータスは高く、余程の損傷じゃなければ、再生可能なので厄介である。
戦闘者を倒せば、後は殺戮が始まる……はずだった。
だが、今回は違った。
******
赤の結界。
逃げ惑う人の声や叫び声がこだます。
その中で。
「刃金の誓い、今此処に」
一際響く声が聞こえる。
「奇矯に生きる歌舞伎者。仁義に生きる任侠者」
それは冥刀の詠唱。
「煌きながら、輝きながら、太く短く生きようか」
煙が結界内を充満していく。
「光へ堕ちろ、闇を照らせ」
煙の中、その主の眼が光り輝く。
「
骨と屍の兵隊達は煙に捕らわれていく。どうにか外そうとするが、単純な腕力や能力で外せない。
しかも、この死体兵は思考は簡易的なAIなのでルーティン化している。ゲーム風に言うなら、攻撃や防御力が上がり、器用と賢さが下がっている。
「まさかこんな事になるとは……」
捕らわれた兵隊達の前に現れたのは――マックス。
手には喧嘩煙管である冥刀――【エル・フマドール】。
特殊な煙を出して操る事で、様々な事が可能。
「さあ死んでくれ……」
そして長ドスが抜刀。
骨と屍をバラバラにした。
「死んでいるから、木っ端微塵でござんすね」
そうして煙で前が見えない中、スムーズに歩いていく。
そんな中で思考するマックス。
(他の場所もこうなっているとは)
今回の件ははっきり言えば、余裕だと思っていた。
先輩含めて腕利きもいるうえ、事前準備や支援物資もある。
なのに結果は――
「他の場所も似たような事になってるでござんすね」
どうにかこちらは相性が良くて被害を減らせた。
だが、他の所がどうなっているのか。
「とりあえず結界w」
最後まで言えなかった。
突如現れたローブの人物が持つ剣――先端が鎌のようになったファルシオンで斬り付けて来た!
だが。
「!?」
「無駄でござんす」
ローブはマックスを何度も斬り付ける。だが、まるで擦り抜けてしまう。煙を斬り付けているかのように。
そして。
「終わりでござんすよ」
長ドス一閃。一刀両断。
それと同時、赤の結界は解除された。
戦いは終わったが、彼は煙を解除しない。
まだやる事があるからだ。
「さて確認でござんす」
そのままローブの中を見る。
「こっちは偽物か」
その中にいたのは、エドリーゲインではない人物。
ただ姿と形は似通っている。
(と言う事は、能力を転写できるでござんすか?)
つまりエドリーが複数いるという事。
「先輩達は大丈夫でござんすかね……」
とりあえず分かった事を各地に送った。
******
橙の結界。
そこは骨や屍の兵隊が人間ではなく、様々な獣、鳥、竜となっていた。
戦える人々はどうにか対抗するが、人外の再生力と高いステータスに押されていた。
そんな状況下。
何かが通り過ぎる。それと同時、兵隊達は細切れになる。
「な、なんだ!?」
「何が起こっている!?」
透明な訳ではないが、あまりに早すぎて見えない。
それに兵隊達を操っているローブ姿の人物は、隊列を組ませ対抗。
それに対してその“何か”は兵隊達の前に出現。
戦闘者達もその姿を視認する事が可能になる。
「「犬?」」
「「狼?」」
それは黒い犬。尻尾が蛇腹剣となっている。
彼こそが、聖霊教の円卓が一人(一匹?)であるノワール。
ノワールは息を吸い込み……
「アオオオオオン!!」
咆哮を放つ。ただ放つだけではなく、前方に収束させる。もはや咆哮というより超振動波。
それにより雑兵は殲滅。だがまだローブは健在。
彼は手に持つファルシオンを振るう。すると亜空間の裂け目が広がり、そこから十メートル程の骸骨の怪獣が出現。
「こんなものまでストックしているのであるか……」
あまり喋らないようにしているノワールだったが、思わず言葉を漏らしてしまう。
更にローブは骨の兵隊を増やす。
(不味い……)
雑兵の狙いは戦えない一般市民。
このままでは人が死ぬ。
だが、怪獣も放って置けない。
その時だった。
「おーい! そこのワン公」
骨の雑兵と戦っていたプレイヤーがノワールに声を掛ける。
「言葉がわかる前提で話すぞ!」
首肯する事で肯定の意を示す。
「俺達に雑魚は任せろ! あんたは大物を頼む!」
それに、首肯する事で感謝を示すノワール。
(これで大物に集中できるである)
そして、怪獣とローブに向かい合う。
それと同時に思い出したのは
(本当に厄介な冥刀である)
オウカの説明だった。
▼▽▼
それは九人と一匹での話し合いの最中。
オウカはある事を話す事にする。
「ちょっといいですか」
「「?」」
「「もしかして……」」
オウカの事を知らない大半は首を捻るが、よく知る二人――キョウコとヒナタは思い至る。
「あの冥刀の事~」
「……知ってるの?」
「ええ。説明しておきます」
そして、彼は説明を始める。
「さて。俺が話すのは、あの豚野郎の冥刀です」
「わかるのか?」
クラマの疑問にオウカは頷く。
「知り合いが詳しいので。アレは――【タナトス】」
「? 冥刀ハ神話や伝説ノ武器ノ名前ガ付クノデハナイノデスカ?」
「例外もチラホラあります」
「~の剣」としか伝わっていない場合、その使い手――神や英雄の名前が付く事がある。
「コレはその一つ。決戦型のチカラを持ちます」
「「決戦型?」」
「あ、そこからか……」
全員の疑問にオウカは説明をする。
「冥刀の分類方法の一つです。皆知っているのは形での分類でしょう?」
「武器、機体、同化とかでありんすね」
「はい。他にも分類方法ってあるんです。それが――戦闘方法による分類です」
その一つが、決戦型。
「決戦型は何かしらのリソースを蓄積して、戦いの際に使う事で、格上や複数敵にも対処できます。後、その分代償も控えめな場合が多いです」
「その充電期間が~、代償って訳ね~」
具体例を挙げるなら、カスミの奥の手であった【アル・マヒク】。アレは納刀時間が長ければ長い程、凄まじい事になる。
「【タナトス】の場合……死体の収集です」
「「……」」
その言葉に全員の顔が曇る。彼の所業は有名だからこそ知られている。
「アレは殺した相手の死体を操作できます」
だからこそ決戦型である。
「しかも少数なら生前の戦闘まで再現可能です」
逆を言えば、数で攻める場合、骨の兵隊を使う。
どちらも厄介。
「……アイツは自分の趣味を楽しむのと同時、自分のチカラを貯めているのですね」
「心底屑野郎だ」
大事な人を殺されているキョウコとヒナタが吐き捨てる。
「能力はソレだけなんですけど、問題は
「アレは人によって違うでござんすからね~」
「デュナミストが言うと説得力があるである」
マックスの言葉にノワールが呟く中。
「なあ一ついいか?」
無貌がオウカに質問する。
「何?」
「決戦型の逆もあるんだよな?」
「ありますよ。安定型って呼ばれてます」
リソースをあまり消費せず、自身のポテンシャルを最大限発揮できる型。爆発力は低いが、連戦や長期戦に向いているのだ。
【TIPS:エル・フマドール】
(㈩*㈩)<世にも珍しい煙管型の冥刀。とは言えかなり頑丈だから鈍器にもなる。
(・▽・)<能力はどこぞの巨大パイプ持った人と、某ハ○ンぽいですね。
(㈩*㈩)<一部六章のアレは悲しかった。それはともかくモロにそれ。
(㈩*㈩)<拡張性が高いから、色々可能。例えば――
・特殊な煙による攪乱。使い手には影響なし。
・煙による生物や道具の創造。
・自身の煙化による攻撃の透過。
(㈩*㈩)<こんな感じ。
(・▽・)<でもこれ刀剣じゃないですよね。
(㈩*㈩)<実は刃物が仕込んである。だからギリギリ刀。