冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS】

<スキル>
(・▽・)<術技・能力の事。……ですよね?

(#ー#)<あってる。まあ<邪眼>とかの特殊体質も含むな。

(#ー#)<種類も色々だ。消費コストやインターバル制。

(#ー#)<発動方法で持続、任意、条件、複合などなど。

(㈩*㈩)<素朴な疑問なんだけど、どうやって覚えるの?

(#ー#)<これも色々だ。特定行動や思考錯誤で習得。

(#ー#)<<モンスター>のドロップアイテムや撃破。

(#ー#)<他者から習う、譲り受けるもあるな。

(㈩*㈩)<……奪うのは可能?

(#ー#)<可能。でも無制限じゃねえ。何かしらリスクがある。

(#ー#)<そして、それらは<鑑定>で見れる。

(#ー#)<まあ練度とか、強さとか、隠蔽とかでどれだけ見れるかが変わる。

(#ー#)<んで問題は、高位のソレで見れないモノもある。

(・▽・)<? どういう事です。

(#ー#)<自分では理解しているし、自由に使える。

(#ー#)<でもステータスで見れないモノだな。

(・▽・)<ゲームの隠しコマンド? 後はA○の心○システム?

(#ー#)<それが近いか? これが厄介でな。

(#ー#)<例えば、これを使って悪事をしてもバレない。

(#ー#)<現行犯を抑えるしかない。

(#ー#)<もしくは目には目を歯には歯を。

(・▽・)<……なるほど。だから。

(㈩*㈩)<……。


捌〜刀鬼と三重奏〜

 ******

 

 

 楽しい食事会が終わった次の日

 学校への道を歩くオウカ。いつものようにマユと念話。

 

[昨日の今日でどうなるか……]

[マシにはなっていると思う]

 

 試合後や放課後の反応を見る限りは大丈夫そうではあるのだが。

 そうしてオウカはテクテク歩いていると、

 

「おはよう、オウカ」

 

 ジンナがやって来てオウカに挨拶する。

 そんな彼女にオウカは挨拶を返す。

 

「おはよーさん、ジンナ」

 

 自然と並んで歩く事になる二人。

 

「……」

「……」

「「……」」

 

 とは言え共通する話題がないのでお互い無言。

 オウカはマユに助けを求める。

 

[どうすれば……]

[共通する話題でも話せば?]

(話題……、あ、そうだ)

 

 マユの助言にオウカは思いついた。なので聞いてみる事にする。

 

「そういえばさ、昨日聞けなかったんだけど」

「? 何?」

「ジンナは<冥刀>をどうやって手に入れたの?」 

 

 <冥刀>は簡単に手に入るモノではない。だからこその疑問。それにジンナは、

 

「ちょっと縁があったんだ」

 

 そう答えた。

 

「……縁?」

「うん」

 

 ジンナが説明を始めた。

 曰く、無事に高校入学が決まった時に、ザンカが武器屋に連れて行ってくれた。

 その武器屋、掘り出し物が偶にあるらしい。

 

「姉さんはそこで【ウルナッハ】と出会ったんだって」

「へえ」

「もしかしたら何かあるかもって行ってみたんだ。そしたら……」

 

 何でも店に入った途端、何かに呼ばれた気がしたらしい。

 その声の主を探すと、そこにあったのがナマクラの両刃剣。これが【エスペ・アヴァンチュルーズ】だったそうだ。

 

「詳しいキミなら知っていると思うけど、擬態している時があるからね」

「それなあ」

 

 <冥刀>は持ち主がいない状態だと、普通の武器や朽ちた武器に化ける時がある。中にはアクセサリーなどの、武器には見えない状態になっているモノまである。

 

「契約するまではナマクラだったよ」

 

 苦笑するジンナ。

 

「そんなナマクラでザンカさんは納得したの?」

 

 因みに、オウカはザンカからも名前で呼ぶ許可を貰った。

 

「うん。すんなり。何でも【ウルナッハ】もそうだったんだって」

 

 経験者はかく語りき。

 

「オウカは?」

「俺は……色々」

 

 思い出していく。

 

「最初に出会った【オートクレール】(アイツ)はいきなり現れて俺に契約持ちかけて来た」

「そんな場合もあるんだ……」

「後は、貰ったり、受け継いだり……」

 

 そして、一際印象深いアレを思い出す。

 

「後、移植されたり」

「は?」

 

 何か似つかわしくない言葉に目が点になるジンナ。そんな彼女にオウカは苦笑する。

 

「色々あったんだ。本当に」

 

 その後、話題を変え話しながら建物の中に入り、外履きから内履きを履き替えるために下駄箱を開けた時だった。

 

「ん?」

[これって……]

 

 手紙が入っていた。

 それを見たマユが少しだけ目を輝かせる

 

[もしかしてだけど、これって]

「果たし状」

[……違う]

 

 マユはオウカのボケにツッコミを入れる。

 

[こういうのって普通ラブレターって思うものだと思うけど?]

(ラブ)ねえ]

 

 自分に好かれる要素はあるのかと首を捻るオウカ。

 因みにオウカは普通じゃない人から好かれやすい。異世界での愉快な仲間達は全員、一癖二癖どころか個性の塊の奇人、変人、狂人。である。

 

[とりあえず、後で見る]

[それがいい]

 

 そういう訳で手紙を鞄に入れて、教室に向かう。

 教室に入り、

 

「おはようさん」

 

 挨拶をして席に着く。

 今日は、返事が返って来た。

 

「おはよう」

「おはよーさん」

「おはようございます」

 

 そして、休憩時間などに、同級生と多少の雑談が出来た。

 

 

 ******

 

 

 午前授業を終えて昼休憩となる。

 授業と授業の休憩時間に封筒を開けて手紙を見た所。

 

[昼の休憩時間、屋上で待ってます]

 

 とあった。ご丁寧に屋上への鍵まで同封されている。

 なので取り敢えず向かう事にしたオウカ。

 無視してもよかったが、

 

[気にならないの?]

[気になる]

 

 そういう訳で行ってみる事にした。

 

「鬼が出るか、蛇が出るか」

[前門の虎後門の狼じゃなければいい]

 

 そうして鍵を開けて扉を開ける。

 そこには手紙を出した人物がいた。

 

「良かった、来てくれたのね」

 

 そこにいたのは、腰ほどまである長い金髪と金眼をした少女。服装は当然の如く高校のセーラー服。

 

[誰?]

[知らん。というか昨日のメンツにいたか?]

 

 マユとコソコソ話し合うオウカ。彼の記憶の限り、入学式や合同授業を見ても彼女のような人物はいなかったと思われた。

 なので無礼を承知で確認する事にしたオウカ。

 

「ええと初対面……だよな? ……どこかで会っている?」

 

 その問いに少女は答える。

 

「初対面よ。一応は」

「一応?」

「通りがかったのを見かけた位だから。確か食堂で男子生徒の舌を切ってたわよね?」

「あの時の。……なるほど」

 

 心当たりに納得するオウカ。

 そんな彼に少女は自己紹介を始めた。

 

「私はクドウ=カナタ。二年生。貴方の名前は?」

「サクヅキ=オウカ。一年生」

「……興味本位で聞くのだけど」

 

 一拍明けて少女は尋ねた。

 

「どんな漢字を書くのかしら?」

「新月の朔と月。そんで桜の牙」

 

 漢字で書くと『朔月桜牙』。幼少時、自分の面倒を見てくれた人が付けてくれた名前である。結構お気に入り。

 それを聞くとカナタは少し微笑み言った。

 

「良い名前ね。あ、私は〔久遠(クオン)彼方(カナタ)〕そのままよ」

「なるほど」

 

 久遠はクドウと読む事があると聞いた事がある。

 

 閑話休題。

 

「それで本題は……」

「ああ……そうね。話さないと」

 

 一拍置いてカナタは声を発した。

 

「貴方の力を貸してほしい」

 

 頭を下げた。

 その言葉にオウカは湧いた疑問を聞く。

 

「力というのは戦闘力をって事?」

「ええ」

 

 どこで知ったのかと思ったが、そもそもちょっかいを掛けて来る人は、どこでもかしこでも容赦なくぶちのめしていたうえ、昨日の模擬戦でも随分と派手にやった。というか食堂でやったタンカットを見られていたのならしょうがない。

 

[もう少し隠すべきだった]

[……返す言葉もありません]

 

 相棒(マユ)の指摘はごもっともである。

 とは言え、今はカナタの件。

 なので取り敢えず質問をする。

 

「幾つか疑問があるんだけど。いいか?」

「ええ」

 

 こういう事は聞かないと後で大変な事になる。

 

「まず一つ目」

 

 指を一本上げる。

 

「何で俺なんだ? もっと腕利きを雇わないのか?」

[サク程の腕利きはそうはいない]

 

 マユのツッコミを今回は無視するオウカ。

 それにカナタは答える。

 

「今まで見て来た中で貴方が一番強いから。そうね、言っておかないと……」

 

 そういうとマリカは自分の秘する手札を明かす。

 

「私は相手の事を何となく感じ取れるの」

「……<スキル>?」

「<鑑定>しても見れないモノだけど」

 

 <スキル>は術技・能力を指し、<鑑定>すれば見る事ができる。だが、稀に<鑑定>しても表示されない、術技・能力が存在する。ゲームで言う隠しコマンドみたいなモノである。カナタが持っているのはその類である。

 

「それで、相手の強さもわかるの」

「なるほど」

 

 納得するオウカ。

 カナタは答えを続ける。

 

「そして、もう一つ。この件は内密にどうにかしたいの」

「……」

 

 その言葉に沈黙するオウカ。それにマユがコメント。

 

[そういうのって大惨事になる前振り]

(同意したくはないけど、その通り)

 

 心の中で同意するオウカ。

 

「だからお願い、貴方の力を貸して」

「……(どうするか……)」

 

 頭を下げるカナタ。

 だがオウカは沈黙し思考を巡らす。

 

(アイツだったらどうするか……)

 

 思い出したのは友人の一人。何でも屋をやっていた彼女は、人の頼みを何でもかんでも引き受けていたが、大切な物を取りこぼしてからは、安請け合いはしなくなった。事前に報酬を貰ったり、無理な事は無理というようになった。……それでもだいぶ甘々だったが。

 そんな彼にカナタはもう一つの手札を切る事にした。

 

「勿論、報酬は用意する」

 

 そういうと彼女は、セーラー服に手を掛ける。そして、服を脱ぎ始めた。

 

「!?」

[こういうのって本当にあるのね]

 

 オウカは驚き、マユは感心する。

 

「体で払う。好きにして良いから。お願い」

 

 カナタは全裸になって頭を下げた。

 恥ずかしいのか顔を赤くしながら、両手を使い大切な部分は隠している。だが、スタイルが良い事が災いして体を完全に隠せていない。特に胸部。

 

 オウカは自身の目を右手で隠し、目を瞑り、どうにかカナタを宥める。

 

「……ええとクドウ先輩? 落ち着いt」

「わ、私は落ち着いているわ。れ、冷静よ」

 

 どう見てもどう聞いても冷静ではない。

 

「あ、貴方こそ、私が見せているんだから、きちんと見て頂戴!」

 

 何か滅茶苦茶言っているカナタ。

 行動と言動がエスカレートする。

 

「そ、そう見てくれないの。だったら隠さなければ良いんでしょう!?」

[何か凄い事言っている。あ、隠すのやめた]

「え!?」

 

 マユが実況する。

 

「サクヅキ君!」

「は、はいぃ」

「私にここまでさせているんだから、見て頂戴!」

 

 その言葉にオウカは観念して手をどけて、目を開ける。そして、目に入ったのは、

 

「男性経験はないわ。だから安心して頂戴」

 

 安心して良い要素がない。

 白くきめ細やかな肌、大きく膨らんだ双丘、綺麗な臍、長く形の良い太腿。腕は後ろにあるので全てが丸見え。顔は真っ赤だった。

 そんな彼女にオウカは溜息を一つ吐き、カナタに近づく。ビクっとするカナタ。

 オウカは近づきながら上着を脱ぎ、カナタに被せる。そして、溜息一つ。

 

「ハァ……」

「っ!」

「そういう事はしない方がいい。俺が獣だったら今頃エライ事になってますよ」

 

 そして、こう言った。

 

「事情を聞かせてくれませんか?」

「え」

「出来る範囲なら協力します。報酬は」

 

 一拍置いて続ける。

 

「後払いでいいですから」

 

 その答えにカナタは震えながら頷いた。

 

 

 ******

 

 

 その後、事情を聞く。そして、昼食にカナタが作って来た弁当を頂いた。

 お手製で、中身は酒粕に付けた焼き鮭、肉団子、ポテトサラダ、卵焼き、枝豆、ミニトマトが入ったボリュームのある物。当然美味しく頂いた。

 そして、午後授業を終え放課後。

 オウカは部活に入っていないのでそのまま帰宅する。

 

「今更だけど、聞いてい良い?」

「うん?」

 

 人間形態のマユがオウカに訊ねる。

 

「部活には入らなかったの?」

「……そんな暇がなかった」

「納得」

 

 オウカの説明に納得するマユ。

 

 オウカは入学して早々に《クロス》を盗まれ、退学・転学阻止のために動いていたため、新入生歓迎会などに参加出来なかった。落ち着いていた時にはもう終わっていた。

 

「入らなくて良いの?」

「理由があるなら良いんだとさ」

「理由」

 

 因みにオウカの理由は、

 

『何か怖がられているので入れません』

 

 である。クラスメイトとはある程度打ち解けたとは言え、まだ完全ではない。因みにキョウコもそれには苦笑して納得した。

 そんな雑談をしながら、オウカは昼の事を思い出す。

 

(色々準備しておかないとな)

 

 

 ★☆★☆★

 

 

 <プレイヤー>は人知れず遥か昔から存在した。そして、<モンスター>や<ダンジョン>に対処していた。それ以外に副業で色々やっていた。

 そんな昔は陰陽師、霊能者、退魔士などと呼ばれ(今も呼ぶ事がある)ており、そういう<プレイヤー>を現在は<ノーブル>と呼ぶ。

 

 <ノーブル>は長い歴史を持ち、固有・秘伝の術技・能力・武器を継承している事が多い。家によっては様々な手段で強化しようとしている。

 だが、諸々あって衰退したり、断絶したりしている事もある。今は時代が時代。なので復権しようと、一発逆転を狙ってヤバイ事をして、他家(ヨソ)巻き込んで大惨事を引き起こす事もある。

 

 今回の件は正にそれだった。

 

 久遠(クドウ)家は長い歴史を持つ名門。

 武器を主体として、補助系の術を使い戦う。そして、この家には他にはない特徴がある。自分の武器(剣、槍、斧など。変わり種有)は自分で作り、自分の戦闘技法は自分で練り上げる。流石に基礎は教えられるが、そこから発展させる。

 カナタも基礎を習ってからは、自分で全て練り上げた。

 

 武器を作る際は、特殊な金属を主体に、浄化した<モンスター>の素材を使用する。だが、ある人物は、「クドウ=コナタ」はそれだけでは足りないと思った。曰く。

 

『強い武器を作るには、もっと強い素材が必要だ』

 

 コナタは秘伝書の中でも閲覧禁止の禁書を盗み見た。そして、素材として、ヤバイ系・呪い系の<オブジェクト>や<アーティファクト>を手に入れ、更に裏のルートで生贄となる人を幾人も買った。

 そして、それらを元に特級呪物と呼べるモノを作り出した。本人に言わせれば<冥刀>を超えるシロモノ。だが、あまりに呪いと怨念が凄まじ過ぎて暴走を起こした。

 

 久遠家一同どうにか止めようとしたが、止めきれず死傷者が発生。まともに動けるのは、遠出しており、その場にいなかったカナタのみ。

 だからこそ、久遠家当主は他家を頼ろうとした。だが、それに待ったをかけたのはカナタだった。

 コナタはカナタにとって年の離れた兄のような存在。だから、どうにかしたかった。出来る事なら助けたい、それが無理なら自分の手で止めたい。

 だが、コナタは恐ろしく強い。次期当主候補だったうえ、“久遠家最強”、“最高傑作”とも言われる戦闘力の持ち主。

 だからこそ、どうにか出来る人を探していた。そこで目を付けたのがオウカだった。




【コソコソ話】
(#ー#)<<ノーブル>がおこなってきた強化手段なんだが……

(・▽・)<競走馬や金魚みたいな事をしたんですか?

(#ー#)<その程度なら可愛いもんだ。もっと凄まじい事している所もある。

(㈩*㈩)<例えば?

(#ー#)<いずれ出て来るが、まあ多少ならいいか。こんな感じ。

(#ー#)<蟲毒、禁忌使用、異種姦etc

(・▽・)<その程度?

(#ー#)<お前は倫理観狂いすぎ。……まあいいや。

(#ー#)<実は既存キャラで禁術使用の影響をモロに受けている奴がいる。

(・▽・)<……それは良い風に? 悪い風に?

(#ー#)<……後者だな。

(・▽・)<なるほど。……そういう事か。

(㈩*㈩)<わたしは間違っていなかった。彼は幸せになるべき。
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