冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【前書】
(・▽・)<描写されない人がいたりしますけど。

(・▽・)<ちゃんといます。忘れている訳じゃないです。

(#ー#)<じゃあ何してるんだ?

(・▽・)<他の人の護衛とか……?

(㈩*㈩)<疑問形?


lⅹⅹⅹ

 実の所、エドリーゲインは今回の待ち伏せに薄々気づいていた。

 

「第六感って言うのか? 危機察知っていうのか?」

 

 彼は昔からこういう勘が鋭かった。

 

「稀にいるだろう? スキルじゃない能力を持つ奴って」

 

 スキルや冥刀ならば鑑定すれば見える。

 だが、そういうので見えないモノを持つ人がいる。何かしらの要因で覚醒したり、先天的に持っていたりする。

 どんな能力になるかは千差万別で、エドリーゲインの場合――危機察知。自身の命に係わる事が迫る事が何となく感じられるとの事。

 因みに、オウカのクロスを奪った奴の場合――強奪能力。条件を満たした相手のスキルを奪う事が出来る。

 

 ただし、持っている人は少ないうえ、隠している人がほとんど。 

 だからこそ、残念な事(?)にエドリーゲイン以外の面々で、該当者はいなかった。

 

「説明はこれくらいか? 他に何か聞きたい事はあるか?」

 

 気分が良いから答えてやるというエドリーゲイン。

 それに、逃げ遅れた一人が、老人が咆えた。

 

「なぜじゃ!」

「あん?」

「なぜこんなにも酷い事ができるのじゃ!」

 

 彼は長く生きている。

 そして、彼は被害者遺族であった。

 だからこそ、彼が何をしていたかも、知っていた。

 

 それにエドリーゲインはこともなげに答える。

 

「楽しいから」

「は」

 

 老人がポカンと口を開けた。

 それに構わず彼は続ける。

 

「ほら、人が死ぬのを見るのって楽しいだろう?」

 

 到底理解できない事を。

 

「人の断末魔は良い音楽になる」

 

 聞くに堪えない戯言を。

 

「人を殺すとテンションが上がって、イキそうになる」

 

 耳が腐りそうになる言葉を。

 

「そして俺はな、苦しむ人間を見るのが好きなんだ」

 

 ここにいる誰もが感じた。

 

「趣味だからな、人を甚振って殺すんだ」

 

 喋っているのは人間ではないと。

 

「だからこそ、面白い事(酷い事)をしてるんだ」

 

 理解できたか? わかったか?

 そう言うエドリーゲインに老人は鬼の形相で叫ぶ。

 

「ふざけるなぁー! 死ぬべきはお前だろうがぁー!」

 

 杖を片手にエドリーゲインに襲い掛かるが。

 

「答えたのに酷いねえ」

 

 剣を持っていない左手に拳銃を持つ。そして発砲。老人を撃ち殺さず足の関節を狙って撃つ。

 

「ぐう……」

 

 倒れたと老人へと、近づきながら告げる。

 

「死ぬのはお前」

 

 ファルシオンを老人目がけて振るった。

 それは老人を一刀両断するはずだった。

 だが。

 

「あら」

「ぐ……」

「……お前さん」

 

 ヒナタが老人を庇った。

 どうにか外套を集中させ、腕を盾にしてダメージを抑える。

 それでも、今までのダメージが積み重なり、ヒナタは崩れ落ちそうになる。

 

(体が……。お願い!)

 

 外套と義足のチカラでどうにか立ち上がる。更に、自身の手に戻って来たメイスを杖替わりにする。

 

「へえ、やるじゃない」

 

 笑いながらエドリーゲインはそう言った。そんな彼を憎悪が籠った視線で見るヒナタ。

 

(? 何か覚えがあるな……)

 

 その視線に何かを思い出しそうになるエドリーゲイン。

 

(なんだっけな~)

 

 恐らくあの老人と一緒で、自分が仇なのだろう。

 

(まあいいや。だったら……)

 

 ある事を思いつき、実行する事にしたエドリーゲイン。

 視線を動けない人達に向ける。

 そして、指を弾いて出したのは、骨の兵士達に持たせている銃器

 対プレイヤー・モンスターを想定している代物。

 

「おい、お前達。死にたくない?」

 

 答える間もなくエドリーゲインは続ける。

 

「だったら、こいつ等を殺せ」

 

 指さしたのは二人――ヒナタと老人。

 

「そうすれば助けてやるよ」

 

 そう言って武器を彼らに放り投げる。

 それに即答したのは、息子を殺された女性。

 

「出来る訳ないでしょう! このゴミ野郎!」

「ゴミになるのはお前」

 

 投げナイフを投げる。女性の胸部に直撃し、永遠に黙らせる。

 悲鳴が上がったので、周りの数人も同じようにした。

 

「さあどうする? 死ぬか? 生きるか?」

 

 それに彼らが選んだのは――

 

「……」

「貴様ら! 恥はないのか!」

 

 ヒナタは沈黙し、老人が咆えた。

 彼らはヒナタと老人に銃を向けた。

 

 そんな彼らにエドリーゲインはゲラゲラ笑う。

 

「そりゃそうだろうよ。大抵の奴は人を押しのけても生きていたいんだよ」

 

 銃器が発砲される。

 それをヒナタは、老人を庇うように立ち、外套を広げる。

 普段なら余裕で守れた。だが、今はもう限界寸前の【パダルン・レドコウト

】。それでもどうにか貫通はしないが――

 

「ゴフ……」

 

 

 衝撃は来る。防弾チョッキで弾丸は防げても衝撃は防げないように。

 

「お前さん! わしはいいから逃げなさい!」

 

 老人はそう言うがヒナタは逃げない。

 

 そんな彼女に笑いながら、エドリーゲインは喋る。

 

「残念だったな! コイツら見捨てて戦ってりゃこんな事になってなかったのになあ!」

 

 ゲラゲラ笑い嘲る。

 

「お前の人生はぜーんぶ無駄だった! 復讐は叶わない!」

 

 その言葉にヒナタの眼から涙が零れた。

 

(ウチの全ては無駄……だったの?)

 

 絶望で崩れ落ちそうになる。

 そんな時、思い出したのは――

 

『地獄の先にも希望はあるんだよ』

 

 自分の友達――オウカの言葉。

 そして、ヒナタは――

 

「助けて……」

 

 この言葉が漏れた。

 それをエドリーゲインは嘲笑う。

 

「助けなんて来ねえよ。この結界は時空や次元すら遮断するんだよ!」

 

 これがエドリーゲインのクロス。

 単純な分強度が高い。

 

「だからお前はここで死n」

「死ぬのはテメエだ下衆野郎」

「うお!?」

 

 後ろからの声。そして剣での一閃。

 それを転がるように避ける。

 

(危なかった……)

 

 内心冷や汗をかく。表情には出さないが。

 無様でも避けられたのは――鉄火場を潜り抜けたからと、【タナトス】のチカラで強者の経験や技量を取り込んだこと、自前の能力である危険察知の三つがあったからこそ。一つでも欠けていたら首が胴体から離れていた。

 

 エドリーゲインに攻撃したのは――長い髪をした少女のような少年。その顔は能面のように無表情だった。

 彼の事をヒナタは知っていた。

 

「……サクヅキくん?」

「おう。助けに来たぜ」

 

 ヒナタに少しだけ笑みを見せる。

 そして、彼はエドリーゲインに向き合う。再び能面に戻る。

 

 そんな彼にエドリーゲインは訊ねる

 

「誰だ? つーかどうやってk」

「うるせえ。外道は言葉を吐くな」

 

 オウカは相手――敵とすら会話をしようとする。理解するのが親友の教えだから。

 だが、今回は会話すら拒絶してそのまま連続攻撃を仕掛ける。

 

「臭い息をするな。空気が腐る」

「そんなんで腐るかよ」

 

 パワーとスピードを兼ね備えた致死攻撃。

 それをどうにか攻撃を捌いていくエドリーゲイン。

 古代剣とファルシオンがぶつかり合う。

 

(中々やる……。能力頼りじゃないな……)

(スゲエな。経験豊富だな。見た目によらないのか? それとも……)

 

 お互い分析し合う。

 エドリーゲインはある事に気づく。

 それは相手の技量。

 打ち合ってこそわかる。戦闘経験値が凄まじい。

 これはおそらく……。

 

「ハア!」

「フッ!」

 

 お互いの一撃がぶつかり合う。そして間合いが離れる。

 とは言え、この二人ならすぐに詰められる距離。

 なのでエドリーゲインは話しかける。

 

「オレはよ、【タナトス】(コイツ)のチカラで倒した相手の経験や技量を積み重ねている。お前も似た事しているんだろう?」

「一緒にすんなボケ」

 

 吐き捨てるオウカ。

 だが、相手が答えたので――

 

「こっちは複写した武器から使い手の経験を読み取っているだけだ」

 

 きちんと答えたオウカだった。

 そして、オウカは内心しかめっ面をする。

 

(なるほど。だからコイツ強いのか)

 

 同時に納得する。

 そして、どう倒すかを構築していく。

 

(ここまで来るのに無理しすぎたからな……)

 

 手に持つ剣――【アロンダイト】を見やる。

 実は今、能力が使用不可能だった。

 

 

 △▲△

 

 

 時間は戻る。

 オウカとコウが向かったのは、一番早く決着したキョウコの所。

 そこで、分身体を回収した。

 

「できますか?」

「任せときでありんす」

 

 コウの得意分野は呪い。

 それに付随して、対象がどこにいるかもわかる。

 

 そして、しばらくして遂に特定完了。

 

「ここでありんすね」

「「え!?」」

 

 驚くキョウコとオウカ。そこは何とヒナタの担当地点。

 

「何の因果でありんす……」

「日頃のおこないが~、良かった~?」

「……多分そんな良くないですよ」

 

 そうして全員に連絡し、突入する事になったのだが。

 

「……(絶句)……」

「これほど~、とはね~」

「オイオイ! 何だコレ!」

「……マサカ、ビクトモシナイトハ」

「嘘でありんしょ……」

 

 結界の硬度が凄まじい事になっていた。

 “かきくけこ”の集中砲火でもびくともしない。

 

「我の奥の手なら……」

「旦那はもう無理でござんしょ……」

 

 恐らくノワールの心牙なら突破できる可能性があるだろう。

 だが、かなり消耗しているので、継続しての戦闘は無理。

 

「何かない?」

「ない」

 

 オウカの言葉に無貌が返答。

 

 このままでは不味い。

 そういう訳で相談した結果……。

 

「全員の連携で行こう」

「「それしかない……」」

 

 そして。

 

「「コウ!」」

「任せなさいでありんす!」

 

 “かきくけこ”の五人には連携術技が存在する。

 その一つが〈一点集中〉。

 メンバーの一人に全ての力を集中させて、パワーアップさせる荒技。

 とは言え、四人かかなり消耗するうえ、集中させる一人も反動が凄まじい。

 

 コウは結界にありったけのデバフを掛ける。

 そこへ、ノワールが〈心牙〉を叩き込む。

 そうしてやっとこさ小さな裂け目が出来た。

 

「旦那の本気であの程度!?」

 

 マックスの叫びを聞きながら、オウカは飛び出す。

 

「死力を尽くせ! オートクレール!」

『言われるまでもありません!』

 

 そして、裂け目に剣を振るうと同時、オウカは飛び込んだ。

 そんな彼に【アロンダイト】は告げる。

 

『申し訳ありません。暫く休みます。肝心な時に……』

「気にすんな」

 

 これが、オウカがここにいる理由だった。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 至近距離での斬り合いによって、金属音が連続して響く。

 純白の古代剣と、先端が鎌のファルシオンがぶつかり合う。

 

「やるねええ!」

「……」

 

 エドリーゲインの称賛にオウカは答えない。

 普段なら、何かしら返答するのが常なのだが、今回の相手はただ殺すと決めているため答えない。

 

(呼吸している事が許せない。生きている事が許せない)

 

 それは徹底的な拒絶。

 

(コイツと同じ所の空気を吸うのも嫌だ)

 

 見て分かる。コイツは快楽殺人者。

 そんな奴は死んだ方が良い。

 

 そして、エドリーゲインは思考する。

 

(しかしどうするかね……)

 

 このままでは埒が明かない。

 実は第六感が警鐘を鳴らしていた。時間をかけたら不味い。

 

 因みに、彼が逃げなかった理由は、逃げたら更にヤバイ気がするから。

 それは大正解。

 逃げた場合、追跡され万全な状態の強者達が殺しに来る。

 

 ならば、早い所決めよう。

 

「おい!」

 

 斬り合いながら、エドリーゲインが声を掛けたのは、逃げ遅れた人達。

 先程与えた銃器を持っている。

 

「死にたくなきゃコイツを殺せ!」

 

 その言葉に先程の銃撃でブレーキが壊れてしまっていたのだろう。

 オウカ目がけて撃とうとしたが。

 

「おい」

 

 地の底から出てきたような言葉にその手が止まる。

 

「一発でも撃ってみろ」

 

 オウカは凄まじい圧を掛ける。

 

「その時は――全員殺すぞ」

 

 その言葉に、撃とうとしていた者は、気絶したり、銃を落としたり、失禁する。

 

「隙あり!」

「ねえよ」

 

 エドリーゲインが打ち込んだ一撃を、吹っ飛ばすことで防ぐオウカ。

 そのまま間合いが離れる。

 

((さて……どうする?))

 

 お互いが相手を倒す……否、殺す算段を思考する。

 

(このまま続ければ殺れるか?)

 

 実はオウカ、手札がまだ残っている。

 【アロンダイト】は切れ味の良い剣としてしか使えないが、ミメーシスやオストラコンが残っている。

 

(そろそろ使うか?)

 

 そんな事を思う。

 

(不味いな……。このまま続けたら負けるな)

 

 エドリーゲインも同じ事を思っていた。

 時間が経てば経つだけ不利になる。

 

(駒も少ない)

 

 実は今回の活動で、今までのストックを粗方使っている。

 

(使うか?)

 

 それは彼の奥の手。

 とある強敵から手に入れたモノ。

 

(というか使うしかねえな……。じゃねえと殺される)

 

 使う事を決意した。




【コソコソ話】
(#ー#)<これさ、逃げ遅れた奴らが撃ってたらどうしてた?

(㈩*㈩)<問答無用で全員殺していた。

(#ー#)<え……。

(・▽・)<サクは敵と認識した奴には容赦ないので。

(#ー#)<だ、だからって……。一般人だぞ?

(・▽・)<だから?

(#ー#)<だって、脅されて撃たされたんだから……。

(・▽・)<関係ないですよ。私にとっても彼にとっても。

(・▽・)<撃っていいのは殺される覚悟がある奴だけです。

(㈩*㈩)<その通り。

(#ー#)<……(殺伐としているな)……。
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