冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【前書】
(・▽・)<新章開幕。新キャラが結構出ます。主人公は……。

(・▽・)<というか既存キャラが……。

(・▽・)<そして、暫くの間、前書と後書はおさらいをやります。

(・▽・)<色々ぶち壊しになるので。

(#ー#)<何が起こるんだよ……。

(㈩*㈩)<何がどうなるの……。


85~無尽蔵の略奪者と破滅の装置~

 ■□■□

 

 

 ある日突然、モンスターやダンジョンが出現し、オブジェクトやアーティファクトがあって、危険なプレイヤーが現れた。

 事前の準備もあり、黎明期は少し酷かったが、今では平和になっている。……まあ国や街にもよるが。そして似たような状況で完全にポストアポカリプスとなってしまった異世界とは大違い。

 

 プレイヤーでない一般人は、普通に働き、普通に生活をしていた。とは言え、全員が職に着ける訳ではなく、やはり非正規や日雇いで生計を立てる人はいる。そして、ホームレスもいた。

 

 一月半ばの日が沈む寸前。寒さが厳しい。

 

「今日は大量だった……」

「ああ。一本付けられるな!」

「感謝だな」

 

 ホームレスの老人達が話し合っていた。その顔はどことなく明るい。

 そして、居場所にしている河川敷に戻ると、食事の支度を始める。

 河川敷に仕掛けた罠を見に行った老人の顔がほころぶ。

 

「おお! 結構取れたな」

 

 罠の中には魚がかかっている。

 そうして雑談をしながら、料理を作る。

 そんな中話題になったのは……。

 

「そう言えばあの若いのがいないな」

「まだ帰っていないのか?」

 

 新入りの話題だった。

 ここ最近、ここにやって来た少年の事。

 まだ二十代どころか十代の少年。

 河川敷に座り込んでいる所を仲間にしたのだ。

 

「何があったんじゃろうな……」

 

 リーダー格の老人――皆から長老と呼ばれる人が呟く。

 まだ若いんだからどうにかなるだろう、という意見もあったのだが……。

 

(友人の連帯保証人になって借金背負わされたあげく、会社の負債押し付けられて、嫁さんと子供に逃げられたシンちゃんより酷い顔しとったな)

 

 一体何があったんだろう。

 気になる所だが……

 

「まあ人それぞれじゃ」

 

 過去は詮索しないのがここのルール。

 まあ自分から話す分には止めないが。

 

「それに……」

 

 彼の眼を思い出す。

 アレはまだ完全に死んでいない。

 眼の奥で火種がまだ燃えている。

 

「あの子はきっと大丈夫」

 

 シンちゃんのようにな、と呟く。

 因みに、そのシンちゃんこと、ハラノ=シンタロウはどん底状態だったが、なんとか這い上がれた。

 未だに差し入れを持って感謝を伝えに来る。

 

「ワシらはなーんもしとらんのにな」

 

 背中を軽く押した位。

 だが、それが支えになる時があるのだ。

 

 そうして夕飯を作り終わり、ワイワイ言いながら食べている時だった。

 

「食事中失礼しますぅ~」

 

 声が聞こえた。

 そこにいたのはチンピラ数名。その手には角材や金属バットなどの武器を持っている。

 

「清掃業者で~す。ゴミを片付けに来ました!」

 

 そして、彼らは老人達に襲い掛かった。

 

「死ねよゴミ共!」

「ぐへ!?」

「家が無いんなら死んでいいだろう」

「ぎゃあ!」

 

 彼らは歪んだ思想を持っていた。

 だからこそ、このホームレス達を狙ったのだ。

 この場にいるのは全員が老人なうえ、碌な自衛手段など持たない。

 彼らが全滅するのも時間の問題だった。

 

 そして、一人が持って来たポリタンクの蓋を開け、灯油をかけようとする。

 

「ゴミは焼却滅菌しなくちゃなあ」

「ああその通りだな」

 

 後ろから声が聞こえた。

 聞き覚えのない声に振り向くと、そこにいたのは見覚えのない者がいた

 フードを目深に被った性別不詳。

 

「それ貰うわ」

「あ……」

 

 フードは灯油の入ったポリタンクを奪い、持っていた奴にかける。

 

「冷た!?」

 

 そして、ライターとティッシュを出す。火を灯し、ティッシュに引火させ……

 

「ゴミは焼却滅菌って言ってたな」

「や、やめ……」

「ゴミはお前らだろう」

 

 フードは燃えるティッシュを男に落とす。すぐさまその火は全身に燃え広がる。

 

「あ、熱い―!?」

「うるさい。静かに燃えろ」

 

 燃える男の膝を蹴り、関節を逆にする。これで歩けない。

 

「み、水をかけて―!?」

 

 男は叫びながら焼け死んだ。

 

 それに仲間達は喚き始める。

 

「い、いきなり殺しやがった!」

「テメェ、何なんだ!?」

 

 それにフードは答えず、問いを投げかける。

 

「なあ、何でお前らは懸命に生きてる人を殺そうとするんだ?」

 

 フードは老人達を庇うように立つ。

 

「わかるように答えてみろ」

 

 それに彼らが返した言葉は……

 

「オレ達はボランティアをしてるんだよ!」

「ゴミ掃除は立派な社会貢献だろう?」

 

 耳が腐る戯言だった。

 この言葉を聞き、フードは静かに告げる。

 

「よくわかった。お前らは汚物だ。この世に居ちゃいけない」

 

 そして、

 

「惨たらしく死ぬがいい」

「うるせえ! 死ぬのはお前ー」

 

 その言葉にチンピラの一人が突っ込んで来た。

 

「何だ視力がいらないのか。では眼球を潰そう」

「アギャ!?」

 

 フードはカウンターで光を奪う。

 そして、眼を付いた状態で――

 

「フン!」

「ガボォ!」

 

 チンピラを後頭部を地面に思いっきり叩きつけた。

 汚い薔薇を地面に咲かせたフードはそのまま残りのチンピラ達を睥睨する。

 

「今まで大人数で弱者を虐げて来たんだろう?」

 

 本気の圧を出す。

 

「大人数が強者一人に蹴散らされる絶望を体験しておけ」

 

 ゆっくりとチンピラ達に近づいてく。

 それに――

 

「こ、コイツやべえ!」

「逃げるぞ!」

 

 逃げ出そうとするチンピラ達。

 だが、全ては遅い。

 

「どうした怖気づいたのか?」

 

 一瞬で回り込む。

 そして、前にいた男に繰り出したのは。

 

「外道に肋骨はいらない」

「ゴゴゴゴ!」

 

 正拳突きの連打。肋骨を全て砕かれ内臓に突き刺さる。

 二人目。

 

「お前に内臓があるのが我慢できない」

「ハレツゥ!?」

 

 浸透勁。内部破壊の打撃で内臓が破裂。

 三人目。

 

「顔なんてお前らが持つ権利はねえ」

「ギャアアア!」

「ゲアアア!」

 

 二人を掴み顔面をぶつけ合う。顔面が破壊され陥没。

 四人目と五人目。

 

 そして、最後の一人――気の弱そうな男に近づく。

 

「ヒッ」

 

 怯え動けない男をじっと見る。

 その男の頭部を掴んで問いかける。

 

「おい、お前らの組織の事を全部話せ」

「へ……?」

「そうしたらお前は見逃してやる」

 

 殺されるかもと怯えていた顔が一瞬で変わる。

 

「俺はな、沢山の糞野郎を見て来た。だから分かる。お前」

 

 一拍置いて続ける。

 

「まだ誰も殺してないだろう? それに一人嫌そうにしてたし」

「!」

 

 図星だった。

 実は、先輩に無理矢理入らせただけで、ずっと抜けたくてたまらなかった。

 だが。

 

「い、言ったら殺される……」

 

 それにフードはアイアンクロー。

 

「イタタタタ(、なんつー力……)!」

「話さなきゃ、ここで脳漿をぶちまけて貰うが?」

「ひぃ……言う! 言います!」

 

 曰く。

 社会活動と称して、ホームレス狩や親父狩をしているそうだ。

 規模も少しずつ増えているとの事。

 更に。

 

「リーダーが腕利きの半グレや傭兵を雇っていて……」

「報復が怖くなったのかね……」

 

 とりあえず聞きたい事は聞けたので、フードは頭から手を離す。

 

「じゃ、どっか行け。真面目に生きろよ」

 

 最後に凄まじい圧をぶつける。

 

「次同じような事したら……」

 

 周りの命だったものに目線をやって告げる。

 

「この程度じゃ済まねえぞ?」

「ヒ、わ、わかりました!」

 

 逃げていくフードを見送って、ホームレス達に目を向ける。

 

「じゃあ、いってきます」

 

 そして背を向けたフードに、ホームレス達が問いかける。

 

「ど、どこに行くんじゃ? サクラちゃん」

「まさかアイツらの所へ……」

「危ないぞ! 怪我だけじゃ済まないぞ!」

 

 今の光景を見て出たのはこの言葉。

 自分を心配する言葉に少しだけ微笑むフード――サクラという人物。

 

「大丈夫です。これでも腕っぷしには自身があるので」

 

 サクラはそう言う。

 それに止めても無駄だと悟ったとのか、長老がこう言う。

 

「武器はあるのか?」

「ないですね」

 

 このサクラという人物、かつて武器を数多に持っていたが、色々あってほぼ全部お釈迦になっていた。

 だが……

 

「素手でも戦えますので」

 

 その言葉に長老が口を開く。

 

「わかった。なら何か武器になる物を持っていきなさい」

「え……」

「鉈くらいならあるじゃろ」

 

 そう言って自宅(ダンボールとブルーシートで作った物)に戻り探し始める。

 他の人達も

 

「こっちにはナイフがあったはず……」

「何かないか見てみるから、ちょっと待ってろ」

「お、警棒があったぞ!」

「これなら武器としてもいけるだろ」

 

 探し始める。

 なのでサクラも

 

「じゃあ俺はこっちを……」

 

 チンピラ達の死体を漁る。

 

 しばらくして、サクラの前に並べられたのは――

 

 

・様々な種類・大きさのナイフ

・鉈

・包丁

・マチェーテ

・折り畳み警棒

・金属バット

・拳銃

 

 

 探せば結構ある物である。

 

「これだけあれば十分です。本当にありがとう」

 

 ダブった物、要らない物、持ち運べないと判断した物は、持ち主に返し、欲しがる人に渡し、準備を整える。

 腰に下げたり、服の内側に仕込んだりしていく。

 

「前みたく出来ないな……」

 

 ボソリと呟いた。

 そして、出かけようとした時だった。

 

「サクラちゃーん!」

 

 長老の声が聞こえた。

 振り向くと、彼は細長い包みを持っていた。

 

「これ持っていけ!」

 

 受け取るとずっしり重い。

 包みを開けると、そこには長物が入っていた。

 とは言ってもそれは槍でもないし、薙刀でもない。

 

「鯨包丁ですよね?」

「知っとったか……」

 

 鯨を捌くための包丁であり、一見すると武器に見える。

 

「これ、打ち直す際にモンスターの素材が混ぜてあるんじゃよ」

 

 モンスターとダンジョンが出現した際、普通の武器は通用しづらかったので、それらにモンスターの素材を混ぜる事が黎明期に結構おこなわれた。今は滅多におこなわれない。

 

「何かの役に立つじゃろ」

 

 なので彼は持って行く事にした。

 

 そして、サクラが鯨包丁を包み直す。そして、彼はホームレス達を見渡し。

 

「じゃあ行ってきます」

 

 カチコミに出かけた。

 その背に彼らは声を掛け、手を振る。

 

「いってらっしゃーい。気を付けろよー」

「怪我すんじゃないぞー。無事に帰ってこい!」

「飯は残しておくからな~。飲みながら待っとるぞー」

 

 そんな彼らを見て長老は笑う。

 

(馴染んで良かったわい……)

 

 そして、サクラを拾った時の事を思い出していた。

 

 

 ▼▽▼

 

 

 その日の夕方頃、長老は家路に着いていた。そして、自宅の傍の河川に座り込んでいる人を見つけた。

 フードを付けた人。後ろからなので性別がわからない。

 何をするでもなく、座り込んでいる。

 

(何かあったかのう?)

 

 とりあえず訊ねてみる事にした。

 なので近づき、聞いてみる。

 

「おーい、そこの人ー」

「……」

 

 その人物は振り向きもせず、答えもしない。

 

「聞こえてるかー」

「……っ」

 

 肩に手を置いて問いかけると、反応した。

 そして、こちらを向く。

 目深に被ったフードのせいで顔は完全に見えないが、その顔は憔悴していた。

 心配になって訊ねる長老。

 

「お、お前さん! 大丈夫か?」

「……はい。大丈夫です。御心配かけてすいません」

 

 その声は完全に掠れており、どう見ても聞いても大丈夫には見えない。

 

「……そうは見えんし、聞こえんが?」

「……暫くこうしたい気分なんです。大丈夫ですので」

「……」

 

 心配だったが、そうフードの人物は言うので

 

「わかった。ワシはこの近くにいるから、何か困った事があったら何でも言って来なさい」

「……ありがとうございます」

 

 そうしてこの日は家に帰った。

 

 次の日の朝。

 

「ふわあ……」

 

 外に出て、ふと気になる。

 

(まさかの……)

 

 フードがいた方を見ると――いた。

 

「!?」

 

 驚いたが、思い直す。

 

(流石に朝早くから来たんじゃろう……。きっと)

 

 そう思っていつものように、食料集めと金稼ぎに出かけた。

 そして、夜に家に帰ると、そこには――

 

「!?!?」

 

 まだいた。しかも動いていない。

 どうやらずっとそこにいたらしい。

 

(丸一日座っとったのか!?)

 

 もう放って置けない。

 

「おい! お前さん、ちょっと来い……」

「あ……」

 

 手を引っ張って彼を連れて行ったのは、自分の仲間のところ。

 丁度夕飯と酒盛りをしていた。

 

「長老? その子は?」

「新入りじゃ」

「え」

 

 驚いたようなフードに長老はこう言う。

 

「行く所ないんじゃろ? なら暫くはここにいれば良い」

 

 その言葉に仲間達もそうだそうだと言った。




【TIPS:打ち直しのモンスター素材混ぜ込み】
(#ー#)<捕捉説明。魔石を緩衝材にしてやるんだ。

(・▽・)<牙とか爪とか骨とかを混ぜるんですか?

(#ー#)<それが多いな。まあ今はあんまりやんないけど。

(・▽・)<何でです?

(#ー#)<無かった頃ならともかく、今は技術も確立したから、

(#ー#)<最初から混ぜて作った方がコストも時間もかからない。

(・▽・)<……確かに。でも言い方的にやる事があるんですか?

(#ー#)<ああ。昔の業物とか、人を斬った事がある物とかだと、

(#ー#)<変化起こして、とんでもないシロモノが出来る事があるからな。

(#ー#)<後、もう一つあるが、これについてはまだ先だな。
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