(・▽・)<オブジェクトはダンジョンの素材の事です。
(・▽・)<モンスターの素材やドロップアイテムも含みます。
(#ー#)<アーティファクトはオブジェクトから作った武器・道具の事。
(#ー#)<まあ自然に生成される事もあるけどな。
(㈩*㈩)<そして――冥刀について。
(㈩*㈩)<一応アーティファクトの一種。ダンジョンから見つかる超常兵器。
(㈩*㈩)<意志と魂を持ち、代償と引き換えに能力を授ける、
(㈩*㈩)<とある異世界で作られた異物にして遺物。
******
数時間程睡眠を取り、長老は早速行動を開始した。
彼が繋ぎを取ったのは――情報屋。
路地裏で会う。
「久しぶりじゃのう……シロちゃん」
「長老。アンタから呼び出してくるとは珍しい」
そこにいたのは――どこか掴みどころのない人。
男か女かもわからない、性別不詳。
一房単位で黒白に別れた髪の毛に、モノクロな服、何より印象的なのは黒白のオッドアイをしている事。
この人物の名前は――クロサキ=シロ。表裏問わずに活動する情報屋。
とは言え、伝手が無いと接触するのも難しいのだが、長老は気軽に会える仲であった。
普段は長老が情報源の一つであり、彼が得た情報を、シロが聞きに行く方式を取っていたのだが、今回は逆。
「実はのう……」
長老は話し始める。
最近仲間になった新入り……サクラの事。
彼に何があったのかを話す。
それを静かに聞くシロ。
「信じられないかもしれんが……」
「いや、信じるよ」
即答するシロ。
その顔にあるのは――確信。
「これで辻褄があった。なるほどそういう事か……」
「何か知っとるのか?」
「ああ」
そう言って話し始めるシロ。
何でも、とある時期から色々ゴタゴタが続いているとの事。
「ゴタゴタ?」
「ああ」
まずはノーブルの名門の騒動。
「次期当主が妖刀に乗っ取られたんだってさ」
「……初めて聞いたぞ」
「被害がそこまでもなかったからね」
怪我人は出たが、死者は乗っ取られた奴以外には出なかった。
「山一つ犠牲に討伐したそうだよ」
山は跡形も無く消えたけど、と続けるシロ。
次に、聖霊教の大聖女暗殺未遂。
「大聖女暗殺!? 正気か!?」
「No.2が組織を乗っ取ろうとしたんだってさ」
自分の息のかかった人間を大聖女にしようとしたらしい。
そして、大聖女候補の聖女の一人が暗殺されかけた。
「有名な傭兵団まで駆り出した。しかも天ノ角高校の学外実習の時にだ」
「生徒ごと皆殺しにしようとしたのか」
「そ。でもそれは阻止された」
最終的には機体型冥刀同士がぶつかり合ったそうだ。そして、大爆発の末、実習場所のトロルの森は消滅。
こちらも怪我人は出たが、死者は傭兵団の団長だけ。
更に、世界的犯罪者討伐。
「エドリーゲインって知ってるだろう?」
「ああ最近討伐されたの」
「聖霊教と陰陽師複数が討伐したって言うのが表向きの話なんだけど」
一拍置いてシロは続ける。
「今の件全てに関わっている奴がいるんだ」
シロが長老に渡したのは写真。
そこには一人の少年が映っていた。
「コイツの名前はワクイ=サクタ。天ノ角高校の一年」
「もしや?」
「ご推察の通り。彼が解決に貢献したって事になってる」
知っている人は僅かだけどね、と続けるシロ。
その情報を取得したこの人物の凄まじさが伺える。
「でもね、何か……ナニかが変なんだよ」
恐らくシロしか感じ取れないような違和感。
「細部まで……極々細部まで徹底的に調べると辻褄が合わないんだ」
喫煙者であるので、煙草を出して火を付けるシロ。
長老にも一本渡す。
「すまんの」
「いいさ」
そうして二人で一服。
シロが続ける。
「まるで誰かからその功績だけ奪い取ったかのようにね」
「……まさか!?」
「恐らくそういう事だろうね……」
このワクイがサクラから全てを奪い取ったのだろう。
「でも分からない事がある。どうやって周囲を改竄したのかが……ね」
「そうか……」
「引き続き調べてみる。気になるからね」
「助かる。ところで、この男の詳細な資料はあるか?」
それにシロはニヤリと笑みを浮かべた。
★☆★☆★
ワクイ=サクタ。
先天的な異能を持つタイプのファントム。
偶にいる一般家庭からの突然覚醒タイプであり、家族構成は普通の父母と双子の兄が一人。因みに二卵性なのであんまり似ていない。
どちらもプレイヤーとしての才能があったのだが、いつも優秀な兄に比べると微々たるモノだったせいで、比較されてきた。
何でも出涸らしだの、搾り滓だのと呼ばれていたそうだ。
それだけならまだ良い――あんまり良くないかもしれない――が、この兄は外面――自分以外には良いのだが、本性は劣悪。
サクタはいつも暴力を振るわれ、搾取されて、玩具やお菓子を盗られていたそうだ。
しかも周りの人は優秀な兄ばかりを可愛がっていたので、自分の訴えは無かった事にされた。
そんなある時、兄が死んだ。表向きには事故死なのだが、これも何かしら違和感があるとの事。
更に、彼が死んだ後からサクタは、優秀な兄が乗り移ったかの如く、優秀になったそうだ。
それでもプレイヤーの中では中堅であり、そこまで目立つ存在ではなかった。
なのだが、前述した騒動を解決し、対校戦で凄まじい戦いを繰り広げてから多少知られるようになった。
ただ、その映像が残っていない。どうやら対戦相手が仕込みをしたせいで、映像に残せなかったらしい。
■□■□
長老が色々活動し始めて、数日後。この日は聖霊教主催の炊き出しだった。
「よし行くか」
「今日は何が出るかな」
仲間達が河川敷から出掛けて行く中、長老はサクラの自宅前で声を掛ける。
炊き出しの日は、一日中家の中に引きこもっているサクラだった。
「サクラちゃん、行かないのか?」
「……行きません。お気持ちだけ貰っておきます」
「本当に行かないのか」
返事はあったが、それ以降は言葉は返って来ない。
「……じゃあ行ってくるぞ」
「……いってらっしゃい」
ようやく返って来た言葉に少しだけ微笑んで長老は、河川敷を後にした。
******
公園の炊き出しには聖女だけでなく、手伝いや護衛も参加している。
メンバーはリアという聖女と、ランコという同年代の槍使いが毎回いるのだが、それ以外は毎回違う。今回いたのは……
「うん?」
「はい?」
「ほえ?」
仲間達が変な声を出すのも無理はない。
教徒数名の他に異様に目立つものがいる。
それは――黒い狼のような犬。
尻尾が蛇腹剣になっている、大型の犬。
当たりを見渡し、匂いを嗅いでいる。
気になったのか、炊き出しに並んでいた一人が訊ねる。
「なあ聖女さん。そこに犬? 狼? は一体……」
「今回の護衛の一人です」
「一人?」
「はい」
何でも、かなり賢く、長生きしており、聖霊教の幹部であるとの事。
「すっごく強いんですよ」
「へえ……」
そんなこんなで炊き出しが始まる。
並んだ人が食事を貰っていく中、長老の番になった。
「はいどうぞ」
「すまんの」
礼を言う長老にリアが問いかける。
「あの……」
「うん?」
「……あの人は?」
その言葉に誰の事を言っているのか察する長老。
それに答える。
「……用事があるんじゃと」
オブラートに包んでおく長老。因みに毎回何かしら理由を言っている
それにリアは残念そうな顔をする。
傍らにいたランコも同じような顔をしている。
「そうですか……」
「残念でしたね」
「はい……」
そんな二人に長老は聞いてみる。
「彼と知り合いなのか?」
「あの時が初対面……のはずなのですけど、どこかで会った気がするのです。」
「私もです。だからそれを確かめたいんですけど……」
少女二人はどうやら何か違和感を感じているらしい。
(記憶改竄が完全には聞いておらんのかもしれんな)
少しだけ希望が見えたと思う長老だった。
そんな時だった。
「!」
「わ」
「ノワール様!?」
いつの間にか、彼らの傍に黒い犬――ノワールがいた。
「ど、どうされたのですか……?」
ランコの疑問。……なぜか丁寧に喋っている。
ノワールと呼ばれた犬は長老をじっと見る。
「……」
そして匂いを嗅いでから、少しだけ目を見開き。
「ワン」
それだけ言って、離れて行った。
「な、何だったんじゃ?」
長老の疑問に二人は答える。
「何か感じ取ったのではないでしょうか」
「あの
「ワ、ワシよりもか?」
長老、御年七十である。
それに二人は曖昧に笑った。
******
そして、帰宅する長老。
引きこもっているサクラの前で、今日あった事を述べていく。
相変わらず返事は相槌位しか返って来ない。
だが。
「そういえば黒い犬がいたぞ」
「犬ですか……」
言葉が返って来た。
それに長老は彼の特徴を述べていく。
そして。
「名前は確か……」
「……ノワールですか?」
「知っとるのか?」
「……まあ」
どうやら知っているらしい。
(聖霊教と縁があるのかもしれんな……)
シロウに頼んで調べて貰おうかと思う長老。
そこから何か出てくれば御の字。
「完全無欠、最強無敵は存在しないからの」
そう呟いた長老だった。
******
夜遅く。
夕食が終わり、酒盛りをしていた仲間達も眠ってしまい、起きているのは長老一人。
焚火の前でマシュマロを焼いていると、そこにサクラがやって来た。
「……どうも」
「ようやっと出てきたか……。ほれ」
食べ頃の焼きマシュマロを渡すと、サクラは素直に受け取る。
「ありがとうございます。……熱、熱、美味しい」
「そりゃあ良かった」
「「……」」
暫くお互い何も言わない中、サクラがボソリと呟く。
「あの犬、ノワールさん。知り合いなんです」
「そうなんか?」
「はい。生きる資格のない外道の討伐で協力しあったんです」
その言葉に思い当たる節があったので、意を決して訊ねる長老。
「もしや……エドリーゲインか?」
「……」
沈黙の肯定。
やはりあの事件に彼は関わっている。
そう思った時だった。
「ようやく見つけたのである」
「「!?」」
第三者の声が響く。
警戒する長老と、何か思い至るサクラ。
「誰じゃ! 姿を見せろ!」
「……」
「今見せるのである」
そして、暗がりから現れたのは黒い犬――ノワールだった。
その目はサクラを映す。
そして、口を開く。
「エドリーゲイン討伐戦以来である。サクヅキ=オウカ」
声を掛けられたサクラ――否、サクヅキ=オウカは眼を見開く。
「……」
口を引き結び沈黙。
そして、暫くしてから口を開く。
「覚えて……いるのですか?」
それは万感が籠った言葉だった。
チカラを奪われ、命からがら帰って来た所、友人のほぼ全員が自分の事を覚えていなかった。
本当に自分はいたのか、とずっと不安になっていた。
「覚えているんですね。ノワールさん」
「ああ。しっかり覚えているのである」
そして、彼は語る。あの時の事を。
「我の奥の手でエドリーゲインの結界に亀裂をいれ、そこにお前が突入してソラナキ=ヒナタに助太刀したのである」
「その前に、あの五人がデバフ掛けたの忘れてますよ」
「ああ、そうであったな」
あの戦いに参加した人しか知らない事話す二人。
それを黙って聞いていた長老が口を開く。
「どうやらその改変? 改竄? をお主は喰らっておらんようじゃの……」
「……長老?」
「ほう、ご老体は何かに気づいているようであるな」
ノワールの言葉に長老は今まで自分が調べた事を話す。
そして、自分の考えを付け加える。
「喰らっている者もやはり違和感を持っているようじゃな……」
「そっか……。リア……、ランコ……」
「……そのワクイという者が犯人で間違えないのであるか?」
「まだ確証はないがの」
それにオウカの顔が能面のようになり、ノワールは目を伏せる。
「アイツか……」
「知っているのであるか?」
「クラスメイトです。席が近いんですけど、あまり話した事ないです」
そこまで目立つ生徒ではない。いつも一人でいる地味な生徒。
「ならば、ソイツがアレを持っている可能性が高いであるな……」
「「アレ?」」
何か心当たりがありそうなノワール。
それにオウカはある事を思い出す。
「そういえば、ゴタゴタがあってルラさんとジョージさんが動いているって……」
もしかして、と目を向けるとノワールはコクリと頷く。
「ドンピシャリである」
そして、背を向ける。
「ここで話す訳には行かないのである。場所を変えるのである」
「……話してはくれるんですね」
オウカの言葉にノワールは苦笑を返す。
「我々の失態もあるうえ、お前は完全被害者である。ならば話さない訳には行かないのである」
「……勝手に判断して大丈夫なんですか?」
「我はこれでも結構エライのである」
実は聖霊教の大幹部であるノワールだった。
【後書】
(・▽・)<既存キャラの二人目登場。それとキーマンも出てきました。
(#ー#)<キーマン?
(・▽・)<それについては追々。さあ事態が動いていきます。
(#ー#)<……なあ。そういえば、お前どうしてるの? あのアリ女は?
(㈩*㈩)<……それは追々。