冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:復習】
(・▽・)<プレイヤーを育成する養成高校は五つあります。

(#ー#)<四つの県にしかないから、近場で一人暮らししている人もいる。

(㈩*㈩)<この時代の移動はモンスターやダンジョンのせいで一苦労だけど。


88

 ◇◆◇◆

 

 

 ノワールの案内を受け、オウカと長老がやって来たのは廃ビル。

 エレベーターやエスカレーターはないので、自分の足で上がっていく。

 

 オウカが長老に気を使う。

 

「大丈夫ですか? 長老。おんぶしましょうか?」

「何の。若い者には負けんわい」

 

 そうこうしている内に、廃ビル最上階の一室に辿り着く。

 そして、その中にいたのは――

 

「お久しぶりですね。オウカさん」

「元気そうで何よりだよ……」

外側(ソト)はでござんすよ。内側(ウチ)は傷ついているでござんす」

 

 モップを持ったメイド、革ジャンリーゼント、喧嘩煙管を吹かす渡世人。

 その三人をオウカは知っている!

 

「ルラさん……」

「はい。メイドさんです」

「ジョージさん……」

「あのカチコミ以来だな」

「マックスさん……」

「ごめんなすって」

 

 どうやらこの三人も覚えているらしい。

 

 それにオウカは目を伏せる。

 少しして顔を上げる。

 

「すいません。少し取り乱しました」

「構いません。私達はともかく貴方は完全なる被害者ですから」

 

 ルラはそう言ってから、モップを仕舞い、床にしゃがみ土下座した。

 

「本当に申し訳ありませんでした!」

 

 ジョージとマックスの二人も巻き込み、頭を掴んで下げさせた。……力付くでやったせいで、二人は床に顔が埋まる。

 

「ゴベ!」

「ギャガ!」

 

 悲鳴をあげた二人を無視してルラは続ける。

 

「まさか、まさか、こんな事態になるとは思わなかったのです!」

 

 ルラは自分の頭を床に何度も叩きつける。そのせいで額から血が出るが、そんな事をお構いなし。……ついでに二人も床にガンガンぶつける。

 

「姐さ! 痛い! 死ぬ! 死んじゃう」

「痛死ぬ! 痛死ぬ!」

「誰も予想出来ないのである。それと」

 

 ノワールはツッコミを入れる。

 

「ジョージとマックスの二人が死に掛けているのである」

「あ」

「「……」」

 

 そんなやりとりにオウカはクスクス笑う。

 久しぶりに笑ったオウカ。

 そして、彼はルラを止めにかかる。

 

「もういいです。謝罪は受け取りました」

「ですが……」

「今は解決するのが先決です」

 

 その言葉にルラは立ち上がり微笑む。

 額からの血を流したままなので、若干怖い。

 

「ええその通りですね」

 

 そして、血をハンカチで拭い、床に顔を埋め、気絶した二人を見下ろし。

 

「二人共いつまで寝てるのです……か!」

「ぎゃあ!」

「ぎべ!」

 

 尻を蹴っ飛ばし叩き起こす。勿論手加減はしている。しなかったら尾骶骨粉々である。

 

「……はあ」

 

 そんなやり取りにノワールは溜息を付いた。 

 

「ケ、ケツが、わ、割れる……」

「元から割れているでしょう?」

「横に割れるでござんす……」

「……横に割れたら尻じゃないのである」

 

 どうにかジョージとマックスが起き上がり、改めて話しが始まろうとした。

 

「……なあワシも聞いてええんか?」

 

 それに長老が待ったをかけた。

 

「席を外すが?」

 

 部外者なうえ、今から話される内容はかなりの機密。

 だからこその提案だった。

 

「大丈夫である。無暗に口外しないのなら」

 

 ノワールがそう言う。

 なので、長老はこう返す。

 

「わかった。ただ……」

「「ただ?」」

「もう一人聞かせなきゃならない者がおるんじゃが……」

「もしや……」

 

 ルラが思い当たったのか聞く。

 

「情報屋さんですか?」

「ああ。改竄の違和感に気づいた子じゃ」

 

 それにノワールは少し考え。

 

「わかったのである。その人物が守秘義務を担ってくれるなら構わんのである」

 

 なので長老は連絡。少しの会話後、端末の設定を変える。

 すると、端末から声が響く。

 

[構わない。単に気になるだけだから口外はしない]

 

 情報屋の声が響く。

 

[ああ、申し遅れた。自分はクロサキ=シロ]

「! もしや“情報屋黒白”ですか?」

 

 ルラとかは知っていたらしい。

 

[そう呼ばれてるけどね。そこまで大層な者じゃない]

 

 謙遜するシロ。

 そして、この場の面々に提案する。

 

[もし自分を利用する機会があったら、初回サービスしよう]

「……良いのであるか?」

 

 ノワールの疑問は最も。この性別不詳は超凄腕の情報屋なのだから。

 利用出来るだけでなく、サービスまでしてくれるとは、至れり尽くせり。

 それにシロはこう答える。

 

[今回は良い情報が貰えそうなうえに、色々な人と繋ぎが取れたからね]

 

 そういう訳で聴衆が揃った所で話が始まる。

 

 

 ******

 

 

「さて……まず話すのは│吾輩《円卓》の仕事である」

 

 ノワールの言葉にオウカは口を開く。

 

「確か聖女や信者の護衛……だよね?」

「ええ、その通り」

 

 ルラが答え、付け加える。

 

「そして、外法の抹殺です」

「外法?」

 

 首をひねる長老。

 それにシロが発言。

 

[異端者だよ。禁忌の技術に手を出したり、魔に堕ちた奴を粛清してたんだ]

 

 公的機関が動く時は、手遅れだったり、犠牲が出た後が多い。

 聖霊教はそれらを前もって狩っていた。

 

「それは昔の話さ」

「今はあまりしてないでござんすよ」

 

 円卓二人の捕捉。

 更に。

 

「今は身内の外道狩りが主です。権力持つと腐るので」

 

 ルラがこの言葉にオウカはある事が思い至る。

 なので訊ねる。

 

「……それってこの間の?」

「ええ、それです」

「ドンピシャリ」

 

 ルラとジョージ――オウカと共闘した面々が答える。

 それにノワールが口を開く。

 

「真面目な人もいるのであるが、なぜか定期的におかしなのが湧くのである」

「……いやいや害虫じゃないんじゃから」

 

 長老のツッコミ。

 だがそれに円卓はこう言う。

 

「「害虫の方がマシ」」

「「……」」

[だろうね]

 

 沈黙してしまうオウカと長老に対し、同意したのはシロ。

 そして具体例を挙げる。

 

[子供を去勢して海外に売る神父だの、ホームレスの内臓を取って臓器売買するシスターだの、リア充を殺す奴だの変なのが出るんだよ]

 

 それに円卓全員の雰囲気が変わる。

 

「……なぜそれを?」

「……どうして知っているのである?」

「その塵屑共は内密に始末したはずなのに」

「事と次第によっちゃ容赦しないでござんすよ?」

 

 四人が発する凄まじい圧。それにオウカは長老を庇うように立つ。

 するとシロが平然と答える。

 

[一般人に被害が出てるんだ。そこから辿ればわかるさ]

「「……」」

 

 それに何も言えなくなる円卓。

 上記の三人はどうにかこの世から消去出来たのだが、犠牲が出てしまった。

 

 雰囲気が暗くなったので、オウカは手を叩いて場の空気を変える。

 そして、ノワールに話し掛ける。

 

「話を戻しましょう」

「あ、ああ。そうであるな。まあ無関係ではないのであるが……」

 

 その言葉にオウカは思い至る。

 

「もしかして今回の件は、そういう外道が関わっているのですか?」

「……ああ」

 

 それに答えたのはジョージ。

 

「俺の前任者のやらかしが原因なんだ」

 

 ジョージは円卓では新参である。

 

「円卓は腕っぷしが必要なんだ。武力がいるからな」

「そりゃあそうじゃろうな……」

[力がなければ大聖女を守れないだろうからね]

 

 長老とシロの言葉に円卓は同意。

 その人物を思い出すように話す。

 

「だけどソイツ自体は弱かった」

「よく言ってましたね。普通のポメラニアンと殴り合って負けたとかなんとか」

「「弱!?」」

 

 それは弱すぎる。

 多分一般人の子供でも勝てる。

 

 だが、シロがこう言う。

 

[本人は弱くても、使い魔なり、ロボットなりに戦わせればいいだけだ]

「はい。その通りです」

 

 そうして円卓の説明が始まった。

 

 

 ★☆★☆★

 

 

 イザク=ビクトル

 通称“大教授”

 かつての円卓のメンバーであり、現在は故人。

 実際に大学で教授を務めていた事もある。

 

 本人は貧弱なのだが、発明品のチカラで戦う。

 

 本人曰く。

 

『最強になる必要はない。最強を作り出せばいいのだ』

 

 との事。

 

 実際、人工モンスターや無人機ロボットを使った戦闘力は凄まじかった。

 

 だが、問題があった。

 それはその性格。簡単に言えばマッドサイエンティストだった。……二つの意味で。

 

 まず倫理観が狂っており、自分の発明のためなら、幾らでも人を犠牲にしていいと思っている。

 そもそも、聖霊教に入信した理由も、異端者で人体実験が出来るという禄でもないもの。

 だからこそ、発明品で成り上がり、遂には円卓まで上り詰めたのだが、一部止める声もあった。

 だが、彼の研究――狂っているモノばかりだったが、実現した結果、かなりの益を聖霊教にもたらした。

 だからこそ、ある程度は黙認されていた。

 

 だが、問題が発生した。

 人体実験を異端者以外にもおこなったのだ。

 

 きっかけは、やはり異端者や外道だけでは数が足りない。

 なので、思いついた。

 

『そうだ! 居ても居なくても困らない人間を使えばいい』

 

 そうすればバレずに出来る、と。

 だから、ハードルを下げ始めた。

 

 最初は住所不定者。

 次に、孤児や引きこもりの人。

 そして、交友関係が少ない者。

 

 そうしてハードルはドンドン下がっていき、ついには過疎の村の住人全員を使い人体実験をした。

 その結果、遂にバレた。

 流石にもう庇い切れない、許す訳には行かないと、討伐指令が下された。

 大聖女自ら指揮を取り、円卓も全員出動する事態となった。

 だが。

 

『私は死なない! まだ成し遂げたい事があるのだから!』

 

 イザクも抵抗。

 その結果、円卓の半数が再起不能になってしまった。

 それでも討伐は出来たのだが、後日ある問題が発生した。

 

 それが、7彼の発明品の一部が外部に流出してしまった事。

 どれもこれも、ヤバイモノや不味いモノばかり。

 どうにか回収・破壊に動いていた。

 

 そんな中、とある一つの発明品が最近見つかった。

 それが、『改変装置』。

 一定範囲の人間の記憶や認識を改竄し、あたかもその人物が最初からいたようにするモノだった。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

「ずっと行方知れずだったんでござんすが……」

「最近見つかったんだ」

 

 最近、勢力を拡大している、半グレ……というかマフィアが所持していた。

 

[ああ知ってるよ。≪愚理威度(グリード)≫だね]

「……本当によく知ってますね」

 

 ≪愚理威度(グリード)≫はこの装置を使う事で、麻薬や臓器売買などの、違法のシノギを上手いことやっていた。

 相手の認識を改変する事で、色々な組織を吸収したり、潰したり、取引したりしていた。

 

「ええ。そのせいで規模が大きくなりすぎて、手が出しづらくなっていたのです」

「それがゴタゴタの正体か……」

「その通りである。まあ、どうにか準備や後始末の準備を整えてカチコんだのであるが……」

 

 聖霊教側は、多少の負傷者を出すぐらいで、壊滅に成功した。しかし、問題が発生した。

 

「目的であった装置が無くなっていたのです」

「オイ」

 

 本末転倒してしまっている。

 

「どういう事じゃ?」

「幹部を拷問……じゃない尋問した所……」

[あまり変わっていないよ]

 

 シロの指摘は無視。

 

「知らないようでした」

 

 曰く、装置の存在を知っている者全員寝耳に水だった。前日にはあるのを確認した、との事。

 

「つまり一日で何者かが盗んだ?」

「でも、そういうモノは警備とか厳重じゃったんじゃろ?」

「ええ」

 

 何でも貴重品の保管室に入れ、警備も厳重にしていた。集中を切らされては困るので一日に四回交代させていたとの事。

 それでも無くなっていた。

 つまり……

 

「内部犯?」

「その可能性はあります。実は密告があったのです」

 

 中の間取り、人数、武装、注意すべき相手などが書かれた紙が投書されていたらしい。

 それのおかげで、死者はゼロだった。……肝心の目的は果たせなかったが。

 

「だが、逃げ出した者は居なかったようである」

行方不明(飛んだ奴)も居なかったでござんす」

 

 それにシロが口を挟む。

 

[サイコメトリーとかで情報を盗られたとかは?]

「「あ!」」

 

 確かにその可能性はある。

 そういうのを防ぐ事が出来るアイテムは存在するが、普段から好き好んで付けている人はあんまりいない。

 

「つまりそれを使って幹部の一人から仕入れた?」

「……そう言えば、幹部の一人が飲んだ帰りに、酔っ払って朝まで道端で眠っていたそうです」

「「それだ!」」




【TIPS:イザク・ビクトル】
(#ー#)<マッドサイエンティスト。因みに大学ではモンスターについてを教えていた。

(#ー#)<機械工学にも詳しく、教えられる。

(・▽・)<この成し遂げたい事とか、他の発明とかどうなっているんですか?

(#ー#)<それについてはいずれ。まだ出て来る。

(㈩*㈩)<死んでもなお、存在感を放つのか。
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