(㈩*㈩)<叢雅は冥刀を作成した刀工。十三人いる。
(・▽・)<刀工じゃないのいますよね。
(#ー#)<アクセサリーデザイナーとか、建築士とか、医者とか。
(㈩*㈩)<……黙って。全員仕事名として「~叢雅」と名乗る。
(㈩*㈩)<「~」には大数や小数は付く。
(㈩*㈩)<リーダーは無量大数叢雅。
(㈩*㈩)<そして、わたしは刹那叢雅。
(・▽・)(#ー#)<さりげなく名乗った!?
どうして手に入れたのかはわかった。
方法については論ずるまでもない。
[何かしら奪ったスキルを使ったんだろうさ]
「邪眼なりクロスなりですか……」
[ああ。アレらは同じモノでも人によってかなり違う]
例えば――《ヴァイオレットクロス〔ミラー〕》の場合。
ある者は――攻撃の反射。
ある者は――鏡の中を移動。
ある者は――分身。
ある者は――対象の姿と能力の模倣。
ある者は――太陽光の光線化。
ある者は――上記の幾つか。ただし条件や制限あり。
完全同一はおらず、何かしらが変わる。
「でもよ。そんなにスキルがあるのって容量どうなってんだ?」
ジョージが呟く。
「奪うのだって条件があるだろうし、キャパシティ・スロット限界だってあるだろう?」
[本来ならね。でもスキルでないチカラの場合は違う]
スキルではないチカラ。
稀にプレイヤーに覚醒する術技・能力の事。
スキルとの違いは、鑑定などを使っても見れない事。
カナタの相手の強さを測るチカラが良い例。
他にも、予知に近い第六感、睡眠貯蓄、パワー増強など色々確認されている。
[アレは結構インチキなのも多いからね。そもそもスキル封じ喰らっても使えるし]
「……でも無制限って訳じゃないでござんしょ?」
[それはそうだろうね。それは賭けても良い]
シロが断言するのも無理はなかった。
そもそもノーリスクなどあり得ない。
[それに今回は幾らなんでもやりすぎだ。何かしら代償を支払っているのは間違えない]
そもそもそうでなければ、幾ら弱っているとは言え、オウカからチカラを奪う事など不可能。
「つまりは狙うなら早い内がいいのですね」
「そのようでござんす」
「じゃあ早速作戦立てましょうや。……情報屋さんも協力してくれるんでしょう?」
[協力させて貰うよ]
そうして円卓と情報屋の話し合いが始まろうとする。
そんな中。
「忘れる所だったのである」
ノワールがオウカの方を向く。
「サクヅキ=オウカ。今回は外れるのである」
「……」
沈黙するオウカ。
理由はわかる。
今の彼のチカラは半減どころでは済まない。
残っているのは経験と技術、そして、かき集めた武器位。
「それにまだ狙われているでござんしょ?」
実は謎の人物に襲われ、オウカは死に掛けた。
その状態だからこそ、チカラを奪われたのだ。
「アレ?」
ルラがある事を思い出す。それは彼の相棒二人。
「ネラさんとマユさんは?」
その言葉にオウカは顔を伏せる。そして懐から何かを出す。
「……」
掌に乗せて無言で見せる。
それは、│櫛《マユ》と│機械アリ《ネラ》。なのだが二つ共色褪せていた。そしてどちらもピクリとも動かない。
「生きてはいますが、動けません」
「……一体何が?」
それにオウカは説明する。
△▲△
その日、クエストを受けた帰り道、突然二人に異変が起こった。
「これは!?」
「不味!?」
「どうした!?」
今思えばソレは装置の発動。だが、この二人は効きが悪かった。
「認識が……、変わる……」
「は?」
「│主人《サク》……、殺害……」
「大丈夫か!?」
だからこそ、正気な内に自らを休眠させた。
「ごめ……なさ……、しばらく……眠……」
「足引……、絶対……、駄目……」
だからオウカは異変に気づく事が出来た。そこへ謎の人物の襲撃を受け、死にかけたところへ、今回の黒幕にチカラを略奪されたのだ。
◇◆◇◆
「ん? ちょっと待て。じゃあ天剣もか!?」
「アイツも似たような感じです」
目を伏せる。
どうやら地雷だったらしい。
なのでルラは。
「お馬鹿!」
「痛!? 姐さん! 足、足砕ける!!」
ジョージの足を踏んづけた。何度も何度も。……一応手加減はしているが、常人なら恐らく骨が砕ける程の威力。
それを見たオウカは苦笑い。
「こちらに牙をむく事はないので安心してください」
「そ、そうでござんすか」
「なら安心ですね」
ほっとした一同。
流石に数多の手札に加え、時間と空間まで操ってきたら手に負えない。
そして、ノワールが喋る。
「つまり今は戦いに使えるチカラはないのであるな?」
「……三つほどは残っています」
今残っているのはディアンの
数多の経験と、修羅の戦闘技術、糸巻き付きによる死に辛さの三つが今のオウカの手札。
「「……」」
それに円卓は沈黙。
足手纏いにはならないだろうが、やはり物足りない。
そう思っていた。
そんな時だった。
シロが口を挟む。
[何かしら予備の武器とか、アーティファクトとか持っていないのかい?]
「全部匣に仕舞っていたので……」
オウカの匣は能力みたいなモノ。
それまで盗られてしまったのだ。
(一応自宅にもあったんだけど……)
一旦戻ってみた所、完膚なきまでに壊されており、武器や金目の物まで奪われていた。
(こんな事になるんなら、ソルを見習ってあちらこちらに隠しとくべきだった)
戦闘狂の彼女は、武器や金目の物をあちらこちらに、栗鼠や百舌鳥のように隠していた。
その時だった。
突如大声を出すオウカ。
「ああ!!」
「「!?」」
オウカは思い出した。
「ど、どうしたのである?」
「戦力増強……できるかもしれない」
「「え!?」
△▲△
それはソルが消える前に託したモノ。
「あ、忘れ物、忘れモノ」
「?」
首を捻るオウカにソルは続ける。
「何かあった時のために隠しておいたんだ」
「……もしや?」
「うん。武器と換金出来る物」
「こっちでもやっていたのか……」
それにソルは真顔になり続ける。
「何があっても良いようにさ。それに……」
オウカを真っ直ぐに見る。
「ソルが消えてもサクの役に立つだろう?」
「お前……」
「迷惑かけちゃったからね。色々と。だからその償いさ」
そして、彼女は隠してある場所を言う。
「もしチカラが欲しい時は行ってみて」
「わかった。でも何があるんだ?」
「冥刀と武器。後金目の物。それと……」
にんまり笑うソルドアット。
「面白いものがあるから」
◇◆◇◆
「――てな感じです」
「「なるほど」」
そういう訳でオウカがやって来たのは、近くにある山。標高はそこまでなく、雪も積もらず、モンスターもいない、ハイキングにピッタリの山。
装備を整え、山登りをしている訳だが……。
「……皆、ついて来たんですね」
オウカ以外もメンバーがいた。
ルラ、ジョージ、マックス、ノワールの円卓勢。
そして。
「興味があるんだろうね。まあそれは自分もだけど」
シロまでそこにいた。
曰く、
『面白いものが見れそうだから』
との事。
この人物、こういう嗅覚が鋭い。
因みに長老はいない。流石に留守番である。
そうして暫く歩き、辿り着いたの場所にあったのは洋館。幽霊とか出てきそうな雰囲気。
立入禁止のテープが張ってあるが、それをオウカは無視して入っていき、他の面々も続く。
ギシギシと鳴る床を踏みしめ進み、奥に到達。そこは大広間。
「ええと確か……」
オウカは呟きながら、床を踏んでいく。すると一際大きな音が鳴る所があった。
「ここだな」
オウカは床を外す。
「あった!」
彼の大きな声に、他の面々が何だ何だとやって来た。
彼らの目線の先にあったのは……
「階段?」
どうやら地下空間があるらしい。
そうして階段を降りる六人。
明かりが人の気配に反応して付く。
ジョージが呟き、それにノワールがしみじみと言う。
「至れり尽くせりだな。それにしても……こんな部屋があったとは」
「今の時代は色々な道具や素材があるであるからな。その気になれば一日もかからずに作れるのである」
彼はこの世界に、モンスターやダンジョンが流入する前から生きている。だからこその言葉だった。
そうして階段を降り終わると、そこは小さな部屋。机とベッドしかない。
「……何もないでござんすよ?」
首を捻ったマックス。
だが、オウカはそれに構わず、机に近づき、上の板を外す。そこには手紙が入っていた。
オウカはそれを読んでいく。
興味を持ち、覗き込むルラだが……
「読めない……。なんて書いてあるんです?」
読めなかった。
それはそうだろう。異世界の文字で書いてある。恐らくこの世界で読めるのは、オウカやマユくらいだろう。
「要約すると、ここに居るって事は困っている時。だから、必要になりそうな物を置いておいておくと」
因みに、この場所の権利も買ったので、好きに使えとある。
この事態……もしくは似たような事になる事を、ソルドアットは予想していたのかもしれない。
「叶わないな……」
そう呟いたオウカ。
他の面々は辺りを見渡す。だが、それらしい物は見えない。
((一体どこに?))
一方、オウカはわかっているのか、迷う事なく動き出す。
「ここかな?」
そこにあるのは簡素なベッド。
マットをひっくり返すと、そこは収納のようになっている。
そこには幾つかの匣らしき小さな鞄がある。どれも懐、腰、足など目立たないように装着できる。
「……何が入っているのかな?」
一言呟き、中を物色し、広げていく。
「武器ですね」
「武器だな」
「武器でござんす」
「武器であるな」
「武器だね」
様々な武器が入っていた。
シンプルな剣、刀、双刃剣などの武器、金砕棒、ウォーハンマー、モーニングスターなどの打撃系、拳銃、機関砲、重火器などの兵器、手裏剣、鉤爪、鎖分銅などの暗器、ハルバード、アパッチ・リボルバー、鎖鎌などのマルチウェポン、盾、鎧、ガントレットなどの防具etc。
対校戦の際に、似たような光景を見たルラとジョージは平然としていたが、他の面々は少し面食らっていた。
「……武器屋でも始めるのかい?」
シロのツッコミをもっともである。
「俺の普段仕込んでいる量に比べれば少ないな……」
「武器屋経営しているんでござんすか?」
オウカの言葉に呆れるマックス。
それにオウカはこう言う。
「気分とか、相手によって武器を使い分けしたくなるので」
「でも、その場合熟練度が低くならないのかい?」
シロの疑問はもっとも。
幾つもの武器を極めるのは難しい。一つか二つを極めるのがやっとだろう。
それにオウカは苦笑し、
「俺はインチキしているので」
「インチキ?」
気になるシロ。
だが、それにオウカは答えず、武器を匣に戻し、体の各所に装備する。
それが終わると、ベッド自体をひっくり返す。
「……まだ何かあるのであるか?」
「そういえば……今までの武器は普通の物でしたね」
ノワールの疑問に、ルラが思い返す。
どれもこれもプレイヤーやモンスターには通用するだろうが、術技や能力はない。補正はあったが。
「冥刀があるのか?」
ジョージの言葉と同時だった。
独特の圧がベッドのあった場所から発せられた。
ここにいる面々のものではない。つまり……
「あった。しかも二つも」
そこには何かを包んである布の塊と、手で持てるサイズの箱。
「……凄いね。一つでも手に入れようとすると大変なのに」
「大……変……?」
「姐さん姐さん、アンタは例外」
シロの言葉に首を捻るルラ。それにジョージがツッコミを入れた。
実はルラの冥刀は、ある日突然彼女の目の前に現れた。だからこその言葉だった。
「あっしもそこまで大変だった記憶はないでござんすね」
マックスの場合、常連の煙草屋から貰ったモノ。
因みに、ジョージはガンショップで偶然見つけて購入した。
閑話休題。
そうして、オウカは中に入っている冥刀の確認をする事にする。
まずは布を解く。そこに入っているのは大きなハンマー。ウォーハンマーと呼ばれるシロモノ。
なのだが、鈍器部分が回転弾倉のようになっており、柄には折りたためるギミックと、引鉄がある。
(もしかして瞬息の作品?)
マルチウェポンかもしれないと思いながら、次のに取り掛かる。
箱を開けるとそこに入っているのはペンダント。
金色の小さな正四角形が鎖に繋がれている。よく見ると四角形はボードゲームに使う盤のようにマス目があった。
(これは須臾の作品だな)
そう思ったオウカだった。
【後書】
(㈩*㈩)<サクに何が起こったのかをわかりやすくまとめると……
①オウカ、クエストで遠出
②黒幕、装置を起動
③認識改変。マユとネラは休眠に入る。
④■■■、オウカを襲撃。
⑤対決は痛み分け。
⑥黒幕、チャンスと見てオウカを襲撃。チカラを奪う。
⑦
⑧オウカ、どうにか自宅に戻る。
⑨オウカ、会えた知り合い全員、自分を知らなくなっているので身を隠す。
⑩オウカ、長老に拾われる。
(㈩*㈩)<こんな感じ。
(#ー#)<詳しくはやらねえの?
(㈩*㈩)<作者、心が痛むからあまり書きたくないらしい。
(#ー#)<おいおい……。
(㈩*㈩)<要望が(沢山)あれば、カクヨムサポパスでやるかもしれない。
(#ー#)<何か付け足した!?