冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(#ー#)<因みに《クロス》は〈鑑定〉で見れる。

(・▽・)<というか見ればわかりますね。

(#ー#)<まあな。高位になれば種類もわかる。

(㈩*㈩)<……ところで、再現なく覚えられるモノ?

(#ー#)<無理だ。人によって容量の大小がある。

(#ー#)<通称――<スロット>。そんで高位になると

(#ー#)<占める量がデカくなる。だから慎重になる。

(・▽・)<覚え直しとか、上書きって出来ないのですか?

(#ー#)<難しい。特殊なモノを使うしかない。

(#ー#)<上書きは同系統で出来る事もある。

(㈩*㈩)<これを奪う奴は頭がおかしい。




 ▼▽▼

 

 カナタが戻ってきた時には終わっていた。

 実家の外観は行く前と変わっていないが、内部は正に大惨事。屋敷は半壊、庭はズタズタ、死傷者まみれ。どうにか動ける者は動けない者の看病をしていた。

 

「い、一体何が……」

 

 近くにいた使用人に事情を聞いて言葉を失った。

 

(コ、コナタ兄さん……)

 

 あの優しい人がこんな事をするなんて。

 そんな事を思っていると、当主に呼ばれたので向かう。

 今代当主は包帯塗れのミイラ男状態で布団の上で臥せっていた。

 

「当主様、ご無事で何よりです」

 

 身を起こした当主の第一声は、

 

「命は繋いだ。それにしても、お前があの場にいなくて良かったよ」

 

 結構な人格者である。どこかの自称人格者とは大違いである。

 そうしてこれからの話し合いが始まる。

 

「それで兄さんは?」

「どうにか≪阿鼻山≫に結界を張って閉じ込めてある」

 

 ≪阿鼻山≫は久遠家が使っている訓練用の山。因みに下級クラスながら<モンスター>も住んでいる領域型の<ダンジョン>である。

 

「それで、これからどうするのですか?」

「奴を討つしかない。とは言え戦力は今はないから、他家に助けを求める」

 

 久遠家は武器鍛冶師としても有名である。更に歴代当主が収集した貴重な<アーティファクト>がある。それらを報酬として渡せば協力はしてくれるだろう。様々な他家と交流があるからこその言葉である。だが、それにカナタは待ったをかけた。

 

「当主様。この件、私に任せて頂けませんか?」

「お前はコナタと仲が良かったからな。気持ちは分かる。だがな」

 

 一拍置いて続ける。

 

「お前では勝てん」

「……!」

 

 それはわかっている。それでも何かしなければ気が済まない。そんな彼女に当主は溜息を吐いて続けた。

 

「張った結界は見積もって一週間は持つ」

「!」

「やれる事があるならやってみろ。出来る範囲でなら何とかしてやる」

 

 そうして時間を貰った彼女は、自身に協力してくれる人を探し始めた。

 コナタに匹敵する戦闘力を持つ人が良い。そんな人は簡単に見つかるとは思ってなかったが、

 

「人の食事を邪魔した奴は、タンカット~♪」

「ホォォオオ!」

「もう何も食べなくていいし、喋らなくていい」

 

 いた。

 食堂でガラの悪そうな奴に馬乗りになり、舌を切っている髪の長い少年。

 しかも、戦闘力は今まで見た人の中でも高い。

 

(凄い力! 彼なら……)

 

 早速あの少年の事を調べてみる。

 名前はサクヅキ=オウカ。乱暴者で有名なヨシムラ=シゲユキとその取り巻きをフルボッコにして、ここの卒業生であるクロガネ=ザンカとも渡り合った強者という事がわかった。

 だからこそ、カナタはオウカに助けを求めたのだ。

 

 

 ■□■□

 

 

 カナタは家に帰ると、四十秒程で支度をする。すぐにオウカを迎えに行こうとする。そんな彼女を呼び止める声があった。

 

「カナタ……」

 

 当主だった。ミイラ男状態で杖を付いている。

 

「!? 当主様!? 大丈夫n」

「私の事はいい。戦力に当てがあったようだな」

「はい。とても強い人です」

「そうか……」

 

 それを聞き、カナタの表情を見ると、彼は大きな箱を出した。それにカナタは眼を見開き驚く。

 

「それh」

「その人物にこう言え。報酬は私からも用意する。それと“これ”を持っていけ。何かの役に立つはずだ」

「え、ですがこれは……」

「いいから。死なないために、死ぬ程準備するのは当然なんだ」

 

 カナタはそれを聞くと、細長い箱を受け取り、頭を下げてその場を後にした。

 

 

 ******

 

 

 太陽が完全に沈んでいる頃。外は街灯があるのでそこまで暗くはない。

 そんな夜道に一人の少女が歩いていた。セーラー服姿で、歩く度に金髪が揺れる。戦闘服で行こうかとも思ったが、出来るだけ隠密行動が良いため、換装できるようにだけしておく。

 彼女はクドウ=カナタ。昼にオウカに事情を話した後、昼食を取りながら、どうするかを相談し、早速どうにかする事になった。

 

『夜に合流しましょう。早い方がいい』

『わかったわ。私の準備が出来たら迎えに行く』

 

 そういう訳で準備を整えてオウカの家に向かっていた。こちらが無理を言ったのだから、これくらいはしなければならない。

 

「確かこの辺n」

 

 言葉が途中で止まる。

 カナタの目に飛び込んだのは、建物と建物の間にある小さい土地。そこに廃バスが鎮座していた。

 

「……家?」

 

 どう見てもバスである。ただ小さな小屋が二つくっついていた。

 バスの近くに郵便受けも付いている。……ご丁寧に大きな荷物用のボックスまで併設している。

 

(とりあえず近づいてみましょうか)

 

 そういう訳でバスに近づく。そして、入口(らしき場所)に立つと、扉が開き、そこからオウカが出て来た。

 

「あ、先輩。こんばんわ」

「ええ、こんばんわ」

「……とりあえず上がってください。あ、土足厳禁です」

 

 そういう訳で廃バスの中に入るカナタ。

 中は完全に居住スペースになっていた。座席はほとんど取り外され生活用品が置いてあった。一部外されていない座席がベット代わりになっている。そして、外から見えた小屋はどうやらトイレと風呂らしい。

 

(完全に暮らせるようになっているわね)

 

 感心するカナタは出された座布団に座る。オウカは飲み物とお菓子を持って来て座卓に置く。コーヒーとチョコクッキーだった。

 

「とりあえず長丁場になりそうなのでコーヒーを淹れました。砂糖とミルクどうします?」

「ありがとう。ブラックでいいわ」

「了解です」

 

 オウカも自分の所に座り、コーヒーに砂糖とミルクを入れる。そうして話し合う。

 

「どこにいるかはわかってるんですよね?」

「ええ。(ウチ)が所有している山にいるわ。特殊な結界の中に閉じ込めているから外には出られない」

「破られる事は?」

「無いわ」

 

 曰く、一族の重傷を負った何人かが、「もう自分は助からない、ならば一助にならん」と、命を対価とした結界術を発動させたとの事。

 

「でも長くは持たない。だから早急に決着を付けたい」

「わかりました。それで、確認なんですけど……」

「!?」

 

 オウカはカナタに強烈な圧をぶつけ確認する。

 

「俺は倒す事は出来ても助ける事は出来ない。殺す事は出来ても救う事は出来ない。本当に良いんですね?」

 

 その圧に怯まずカナタは返事をした。

 

「……ええ。構わない。覚悟は出来ている」

 

 その言葉にオウカは頷いた。

 

「わかりました。全てを終わらせます」

 

 そして、打ち合わせをして二人は立ち上がる。

 

「じゃあ行きましょう」

 

 そういうとカナタは左指で呪符を掴む。そして、右手を差し出す。

 

「〈転移〉するわ。だから手を握って」

「わかった」

 

 オウカはその手を取る。そして、二人の姿はバスから消えた。

 

 

 ******

 

 

 二人が現れたのは《阿鼻山》の中。

 

「今は結界を張ってあるから、入るためには〈転移〉を使わないといけないの」

「なるほど。他の人が入山している事は?」

「立入禁止にしているから大丈夫……だと思う」

 

 立入禁止にしているのに、入って死んだら自業自得である。

 

 そうして山の中を歩いていく二人。

 

「どこにいるかはわかるのですか?」

「ええ。感知できる」

 

 曰く、まだ遠くにいるらしい。

 ならば、

 

「準備しなくちゃ」

 

 カナタは歩きながら準備をしていく。

 初めに服を戦闘用の衣服に換装。本格的な戦闘の時に着る場合が多い。致命傷を避けたり、ステータスを上昇させる効果がある。

 そして、左腰に自分の愛刀を下げる。自分で作刀した定寸の打刀。

 最後に、当主から渡された箱を出す。それを短く言葉を唱えて開封。

 

「解」

 

 出てきたのは六本の刀。刀身の長さは、小さい物では長脇差程、長い物では腰に佩刀できるギリギリの長さ。それぞれ鞘・柄・鍔・目貫の色と形が違う。刀身は鞘で見えないが、恐らく刀身の色や刃紋も違うだろう。その六刀を特殊なベルトを使って腰に下げる。

 興味が湧いたのかオウカが訊ねる。

 

「その刀は?」

久遠家(ウチ)に伝わる<霊刀>と<妖刀>。<名刀>もあるけど」

 

 <アーティファクト>には色々種類がある。<霊刀>と<妖刀>はその一つ。

 

 魔力が集まって生まれる霊系の<ユニークモンスター>が死んだ時、その力が近くの器物に宿る時がある。天然の<アーティファクト>の一つであり、そういうモノを<霊具>と呼び、刀剣系は<霊刀>と呼ぶ場合が多い。

 

 強力な<アーティファクト>を作成する際、<モンスター>を中に封じて作る時がある。それらは短時間しか使用できない、乗っ取られる可能性がある、など欠点はあるがとても強力。それらを<妖刀>と呼ぶ。……形状は別に刀でない場合もあるが、大体が刀剣なのでこう呼ばれる。

 

 そして、<名刀>は言わずもがな。

 コレらの上位ともなれば<冥刀>に匹敵するモノもある。

 

「能力の説明をするわね。m」

「ちょっといいですか?」

 

 説明を使用とするカナタを止めるオウカ。

 

「……何?」

「少し時間を貰えます?」

 

 その言葉にカナタは少し逡巡した後に頷いた。

 それにオウカは相棒に声を掛けた。しかもカナタにも聞こえるように。

 

「マユ。開けろ」

『! いいの?』

 

 マユが声を出す。突如響いた声に驚くカナタ。

 

「だ、誰!?」

 

 だがその反応をオウカは無視して続ける。

 

「ああ。頼む」

『わかった』

 

 その言葉に頷くマユ。そして、櫛から人間に戻る。

 

「!!??」

 

 驚くカナタにやっとフォローするオウカ。

 

「後で話すので」

 

 その様子を横目にマユは手と手を合わせ合掌。すると、前方の空間に四角いゲートが開く。

 

「どうぞ」

 

 入れと言うマユだが、流石に躊躇うカナタ。なのでオウカは、

 

「大丈夫ですよ」

 

 先に入る。そして、手だけをゲートから出す。それを見たカナタは、

 

(……ええい、女は度胸!)

 

 オウカの手を掴み中に入る。

 それを確認するとマユも中へ入った。

 

 

 ******

 

 

 そこは一面の青い空間。マユが『虚空叢雅』の作品を元に編み出したモノ。彼女が使える<スキル>である。専ら二人は秘密基地及び訓練施設として使っている。

 辺りを見渡すカナタにマユは説明する。

 

「この中は時空が歪んでいるから、ここでの一分は一秒以下」

 

 因みに外の時間と合わせる事も可能だが、今回はそうしない。やる事があるのだから。

 

「わ、わかった。ところで君は一体?」

「わたしはオウカの<冥刀>」

「人型とは……珍しい」

 

 実のところ、人型の<アーティファクト>は昔からある。だからこその反応だった。

 そうしてカナタはオウカを見て訊ねる。それにオウカは答える。

 

「それで一体何をするの?」

「取り敢えず……戦ってみようと」

「え」

 

 それに驚くカナタ。

 

「今はそんな事している場合じゃ……」

「お互いどう戦うかわからないので、多少知っておかないと連携も取れない」

「それはまあ……」

「それにあの刀達の慣らしも兼ねてです。……気になるので」

「絶対そっちが本題でしょう……」

 

 不承不承に納得するカナタ。とは言え消耗しては駄目な気もする。そんな彼女にマユが続ける。

 

「大丈夫。そこまで本格的にはしない」

「そう、ならいいわ」

 

 そういう事で向かい合うオウカとカナタ。

 オウカは鉄棒を背中から抜く。ジンナとの戦いでも使った物。それの柄頭のスイッチを操作すると丸かった部分が鋭利になり長ドスとなる。

 カナタは腰の愛用の刀を抜こうとしたが、止めた

 

「……せっかくの慣らしだから、こうしましょう」

 

 腰から一本の刀を抜く。

 

「お望み通り見せてあげるわ」

 

 その言葉にオウカは歯を剥き出して笑う、嗤う、哂う。

 

「面白い。こっちも使おうか」

 

 

 ●○

 

 

「え、サクについて?」

 

「助手みたいな事もして貰ってますけど、私の大切な親友です♪」

 

「まあ最初の出会いはアレでしたけど」

 

「アレ? 殺し合いです♪」

 

「サクがぶち殺していた相手が私のターゲットだったので」

 

「ほら、貴方は知っての通り、私には殺人衝動があります」

 

「だから代わりにぶち殺そうと思いまして♪」

 

「……まあ結局止めて、助手としてスカウトしました♪」

 

「そんな出会いでしたけど、今はお互い愛称で呼び合う程仲良しです♪」

 

「私は彼をサクと呼び、彼は私をセラと呼びます」

 

「家族と友達しか許していなかったのですけど」

 

「彼なら呼んでもいいかなって」

 

「まあ、彼もサクって人にあまり呼ばせませんけど」

 

「命を懸けて懸けられる相手なら呼んでもいい」

 

「これ、私が言ったんですよ?」

 

「それを真似しているんです」

 

「別にいいんですけどね」

 

「真似と言えば、もう一つ」

 

「私が彼によく言っている事があるんです」

 

「それが〔相手を理解する事〕です」

 

「それは味方である友達、仲間、相棒(<冥刀>)は勿論、敵も理解しろと」

 

「え、理解する必要はない? 同情する余地があったらどうするって?」

 

「良いんです。それでも理解しなければならないと」

 

「しなければいずれ、訳が分からないモノに殺されると」

 

「……これは私の反省なんですけどね。フフ」

 

「それにしても、サクの強さ。アレ凄いですよね。複数の<冥刀>を使えますから」

 

「移植されたモノと遺されたモノ。後、彼が持っているアレらのチカラ」

 

「……まあその分色々あるようですけど」

 

「確かに手数は多い。でも、その分隙はあります」

 

「彼には癖があるんです。それが手札の出し惜しみ」

 

「将棋とかすると、取った駒を全然使わないんです」

 

「戦いでもそう。手札を絞って戦います」

 

「万能なのにもったいないですよね」

 

「まあ、そこが彼らしいのかもですけど」




【TIPS】

虚空叢雅の作品
(㈩*㈩)<出ていないけど、説明する。

(㈩*㈩)<彼女の作品は言ってしまえば特殊空間。

(㈩*㈩)<自分だけの秘密基地、訓練場、決闘場に出来る。

(・▽・)<……領○展開? 生○領域?

(㈩*㈩)<違う。そっちは別にある。

(#ー#)<あるのかよ……。

(㈩*㈩)<でも今回は説明しない。長くなるから。

(㈩*㈩)<ただ一言。<ダンジョン>がそれ。

(・▽・)<……じゃあ、4○元マンション? 近年のウ○トラマンのアレ?

(㈩*㈩)<それが近いと思う。本格登場はまだ先。
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