冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:須臾叢雅】
(・▽・)<どんな人だったんですか?

(㈩*㈩)<変態。ロボマニアに匹敵する変態。終わり。

(#ー#)<もっとちゃんとした説明しろ! 馬鹿!

(㈩*㈩)<……はあ。フェミニストでロリコン。男はそんなに好きじゃない。

(㈩*㈩)<売れっ子アクセサリーデザイナーだったんだけど、

(㈩*㈩)<どこか空虚さを感じてた。そんな時に無量大数にスカウトされた。

(㈩*㈩)<実は恒河沙以上に冥刀の真実を知っている。

(・▽・)<……それにしては今回態度が普通ですね。

(㈩*㈩)<サクはわたしの相棒だからって配慮と、彼は男らしくないから。

(・▽・)(#ー#)<そんな理由!?

(㈩*㈩)<中性的な人と、男の娘にも態度が軟化するから。あの変態。


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 須臾の作品は、アクセサリー。

 オウカの親友であるモンセラートが使っていた【ルンペルシュティルツヒェン】のように、間接的、補助的な能力を持つモノが多い。……例外もあるが。

 

 後ろから覗き見ていたルラが聞いてくる。

 

「ハンマーとペンダント……。どんなチカラなんですか?」

「わかりません。アイツがいれば解説してくれるんですけど……」

 

 オウカは作成者と、有名どころならわかるが、全部はわからない。

 

「何か解説とかないでござんすか?」

「ないようだな……」

 

 マックスとジョージが冥刀が入っていた場所を見てみるが、何もない。

 

「何かしらありそうであるが……」

「そうなんですよね……」

 

 ノワールの言葉に、同意するオウカ。

 あのソルドアットが手抜かりをする訳がない。

 

 そんな時だった。

 

表銘(ナマエ)が知りたいのかね? ならば答えようか』

 

 第三者の声が聞こえた。

 

『ハンマーは【ムジョルニア】、ペンダントは【グウェンゾライ・アプ・カイディオ】だ』

「「!?」」

 

 警戒する一同。円卓勢は即座に武装を展開する。

 それに、その声は続ける。

 

『そんなに警戒しないでくれ。害する気はない。というか出来ないのだから』

「だったら姿を見せなさい」

 

 モップを構え言い放ったルラ。

 それに声の主は嘆息し、答える。

 

『わかった。今から姿を見せるから……』

 

 そして、六人の前に突如として声の主が現れる。

 

『驚かないでくれたまえ』

「「!?」」

 

 それは長身の男。痩せ気味で線が細い針金のような印象がある。服装は奇抜ではなく、スーツに薄い色のサングラスを掛けている。

 その人物に対し、真っ先に声を掛けたのは――ジョージ。

 

「……姿を見せろと言ったぜ?」

『見せているが?』

「本体を見せろよ。匂い、鼓動、呼吸が不自然、体重(重さ)がねえ。立体映像だろう?」

 

 ジョージは加護ノ翅のチカラで感覚が恐ろしく鋭敏。だからこそ気づけた。

 それに男は苦笑。

 

『今はこれが本体だよ。体は大分前に失くしている』

「「……!」」

 

 警戒を解かない()()全員。

 それに男はやれやれと首を振る。

 ノワールが訊ねる。

 

「何者であるか?」

『よく聞いてくれた! とは言えここで知っている者はそうは居ないが。拙は』

 

 名乗ろうとしたのだが……

 

「な、何で……」

 

 男が出て来たから、動かなくなっていたオウカが再起動した。

 

「アンタがここにいる!」

 

 その顔は驚愕している。

 

「須臾……叢雅!」

 

 名乗る前に言われてしまった男――須臾叢雅は驚きを顔と表情で示す。

 そのまま、押し黙ってしまう。

 

 オウカの言葉に驚いたのはルラとジョージ。

 この二人はオウカやマユから冥刀について聞いている。

 だからオウカに訊ねる。

 

「叢雅……というと、冥刀を作った鍛冶師か!」

「その名前は確か……アクセサリーデザイナーでしたっけ?」

 

 二人の言葉にオウカは頷く。

 

「はい。俺の親友(ダチ)が使っていた【ルンペル】を作った刀工です」

 

 刀工……と呼ばれるが、実際はアクセサリーデザイナー。鍛冶技術なんて持っていない(笑)。……まあ一門では幾人がそういうのがいるが。

 

 それに聞き捨てならないのが数名。

 

「え!? 冥刀を作った奴でござんすか!?」

「ほう。なるほどである……」

「……その話詳しく聞かせて貰っていいかい?」

 

 一方、須臾は表情を戻して苦笑する。

 

『名乗る前に名前を言われてしまうとは……』

 

 そして、オウカを見る。

 

『この世界で拙の事を知っているとは……。君は何者だね?』

 

 その問いにオウカは少し逡巡してから答える。

 

「俺はただの通りすがりです」

「「どこが!?」」

「そして……マユ、刹那叢雅の相棒です」

 

 その言葉に納得した顔をする須臾。

 

『そうか。彼女が居るのか……。もしや君が連れ出したのかね?』

「ええ。ですがご安心を。役目は終わっています」

 

 他の面々には意味不明な会話。

 だが、問いただす間もなく会話は続く。

 

『ほう。もしや神の刃(アレ)を破壊出来たのかね?』

「はい。完膚なきまで。存在の一片すら残さず消しました」

『素晴らしい!』

 

 手をパチパチと慣らす須臾。

 

『良い報告が聞けた。おかげで本体に良い報告が出来そうだ!』

「本体? どういう事か聞いてもいいかい?」

 

 その物言いにシロが訊ねた。

 

『まあ隠す事でもないから……』

 

 説明を始める須臾。

 

 何でも、今ここにいるのは立体映像に、魂の一部と自意識の一部を混ぜた物。【グウェンゾライ・アプ・カイディオ】にそれをセットして置いたらしい。

 

『コレには思い入れがあるからね』

「最高傑作の【ルンペル】よりもですか?」

 

 ルラの問いにそれに少しだけ笑う。そして――告げる。

 

『【ルンペルシュティルツヒェン】が“最高”なら、【グウェンゾライ・アプ・カイディオ】は――“最強”だからね』

 

 その言葉には自信と自負があった。

 

「大きく出たな……」

「そんなに凄いんでござんすか?」

「説明してくれると嬉しいな」

 

 ジョージ、マックス、シロの言葉に待ってましたとばかり、須臾は説明を始める。

 

『良いですとも。まずは……』

 

 その目線はハンマーを見る。

 

『オーソドックスなモノだから【ムジョルニア】の説明からだ』

 

 その言葉にオウカは、このウォーハンマーを見て、早々に思った事を聞いてみる。

 

「瞬息の作品ですか?」

『……よく知っているね』

 

 呆れた目を向けて来るので、オウカは答える。

 

「m……刹那叢雅から色々聞いているので。それに」

 

 言葉を切る。

 

「あの写真も見せて貰ったので」

『マジでか』

「薔薇を咥えてキザなポーズ取ってましたね」

 

 眼を見開く須臾に、他の面々が疑問符を浮かべる。

 なので、二人は説明する。

 

「叢雅一門の集合写真があるんですよ」

『全員が揃った最後の時に撮った物でね』

 

 提案者は無量大数。

 良い機会だし、こんな機会はもう無いから撮ろう、と言い出した。

 反対する人もいたが、創設者権限で無視し、写真撮影を強行した。

 そして、後日全員にその集合写真が配られた。

 

『ギミックを仕込んでいてね、コピーは出来ず、映像を撮る事すら不可能』

「人数分しかないんですよ」

 

 つまりは十三枚しか存在しない。

 それに加え……

 

『恐らく今は刹那叢雅しか持っていないだろうね……』

「あんな事がありましたからね……」

「「あんな事?」」

『言っていないのかい?』

「……言ってないです」

『まあ進んで語りたい事ではないね……』

 

 そういえばまだ言ってなかった、と思い至るオウカ。それに須臾が説明する。

 

『テロを喰らって全滅したんだよ』

 

 そうして、彼が詳細を語る。

 

 その日、写真撮影の数年後。

 

 ほぼ全員が集まり、食事会(飲み会)を開いていた。定期的におこなうのだが、全員揃う事は極めて稀。なのだが、この日はほぼ全員揃った。

 そこを極右組織は狙った。とは言え、護衛や迎撃装置がある中、叢雅一門を殺すのは至難の業。なのでその組織のリーダーは倫理と道徳を度外視した戦法に手を出した。

 それが核爆弾。それにより、食事会の場所どころか、そこに暮らしていた何の罪もない人々が犠牲になった。

 それにより叢雅一門は断絶した。公的には全員死亡となった。

 だが、生き残りが一人だけいた。それが、撮影会以降は異空間に引きこもり、端末で参加していた刹那叢雅である。

 

 一同絶句する。

 言葉も出ない中、須臾は語る。

 

『ここで拙の本体は死んだ訳だが、今はこうしている。他の面々も何かしら遺しているとは思うよ』

 

 だからと続ける。

 

『もう終わった事だから、君達が悲しむ必要はない』

「「……」」

 

 そう言葉を掛けられても、やはり一同黙り込んだまま。

 なので、オウカは須臾に説明を促す。

 

「……さっきの続きお願いします」

『ああ。そうだな。話していれば気が紛れるだろうからね』

 

 ウォーハンマーを細い指先が指す。

 

「【ムジョルニア】はハンマーだが、ミサイルランチャーにもなる」

「「合体武器!」」

「男の子はこういうの好きだね~」

 

 テンションを上げる男勢に、シロがそう言った。

 それにルラが気になったのか訊ねる。

 

「……貴方は男じゃないのですか?」

「さあ?」

 

 フフフと笑うシロ。

 

 説明は続く。

 

『由来のごとく、雷の力を持っている』

「電気を生み出す方式は?」

 

 雷や電気の冥刀はモノによって(大きく分けて)五つの手段で冥刀を生み出す。

 

 

 自家発電。

 電気を吸収。

 雷雲を呼び、それを操る。

 体力、気力、魔力などを、電気に変換。

 生体電流を増幅。

 

 

 このどれかが一般的。かつて出て来た【ヤールングレイプル】は発電方式である。

 ……まあ全部可能な【スル・カイツァキン】(例外)もあるが。

 

 

『増幅と変電』

「……二つあるの?」

『ああ』

 

 説明曰く、本体と薬莢(六発)で電気を生み出す方式が違うとの事。

 

 本体は生体電流を増幅し、蓄電しておく事が可能。

 薬莢は体力、気力、魔力を電気に変換し、圧縮して、蓄電する。

 普段の戦闘時には、本体が発電した蓄電分を使うのだが、強敵との戦闘時は、回転式弾倉に装填されている薬莢を炸裂させる事で、瞬間的な威力底上げが出来るとの事。

 勿論、雷電榴弾による遠距離攻撃も可能。

 

『瞬息の作品は複数の形態を持つからこそ、出来る業だ』

「流石」

 

 パチパチとオウカは手を鳴らす。

 マユから、色々器用な人と聞いていたが、そこまでとは思わなかった。

 

「……代償は?」

『電気を生み出す方式自体がそれだ』

 

 術技や能力を使うのに、制限や条件がある冥刀がある。

 それ自体が代償であり、こういうタイプは那由他の作品で多い。

 

「那由他氏みたいな感じですね」

『よく知ってるね……』

 

 多少マユから聞いているルラの呟きに、半ば呆れ、半ば感心する須臾だった。

 

 こうして【ムジョルニア】の説明が終わる。

 

『では次は拙の最強の冥刀――【グウェンゾライ・アプ・カイディオ】の説明だ』

 

 須臾の目線がペンダントに移る。少しだけ声のトーンが上がっている。

 

((楽しみにしてたんだ……))

 

 そんな事を思った一同。

 

 それを知ってか知らずか、説明が始まる。

 

『まずこのペンダント形態は納刀形態()()()()

 

 つまり抜錨しろという事らしい。

 なのでオウカはペンダントを首に掛け、念じる。

 すると、ペンダントが金色の粒子となり、形を変える。

 

 それにシロが呟く。

 

「指輪と腕輪か……」

 

 次の瞬間、オウカの両手には――指輪と腕輪が付いていた。

 金色の金属に銘のごとく、チェスの駒の意匠が付いている。駒は右手は水晶、左手は銀となっている。

 指輪は、親指から、キング、クイーン、ビショップ、ナイト、ルークとなっており、腕輪はポーン。駒の数まで再現されている。

 

 そのデザインにシロは感心する。

 

「由来通りなんだね……」

『よく知っているね。マイナーなのに』

「「由来?」」

 

 半分以上が首を捻る中、須臾が苦笑して説明する。

 

『ブリテン十三の宝の一つ。自動で駒が動くチェス盤と駒だよ』

「「へえ……」」

 

 補足説明が入れてから、元の説明に戻る。

 

『これの能力は――武器や道具の冥刀化だ』

 

 その言葉にオウカは幾つかの冥刀が思い至る。

 

「【ルンペルシュティルツヒェン】、【アガートラーム】、【アイガイオン】みたいな?」

『近いね』

 

 この二つは直接的な殺傷力や破壊力は低い。その代わり、条件を満たした物の性能を引き上げる。

 そして、一拍置いて須臾は告げる。

 

『【グウェンゾライ・アプ・カイディオ】は冥刀ではない武器や道具を、強化し、能力を付与する事で冥刀に出来る! しかも腕輪と指輪の数……十二本分だ!』

「「おお!!」」

 

 その言葉に驚く一同。つまりは十二本の冥刀を作り出せるという事。

 普通に強い。なのだが……

 

(ん?)

 

 シロはとある事を思い出す。

 それは、この冥刀は最強ではあるが、最高ではない、と言っていた点。

 そして、ソルドアットという人物が出て来るまで仕舞われていた点。

 

(何か致命的な欠点がある?)

 

 そう思っていると、須臾の視線がシロを捉える。

 

『その通り。欠点があるんだよ。致命的な……ね』

「……心を読まないでくれ」

『ハハハ』

 

 シロの言葉に、須臾は笑ってから、欠点を説明をした。




【後書】
(㈩*㈩)<遂に語れた、一門全滅の理由。

(#ー#)<……(絶句)……。

(㈩*㈩)<しかも一発だけじゃなくて、百発近く放ったから、その国の人口九割九分が死んだ。

(・▽・)<よくそんなに持っていましたね。

(㈩*㈩)<組織のメンバーに優秀なハッカーが居て、各国のシステムをハッキングした。それに……

(#ー#)<それに?

(㈩*㈩)<この頃から、人々がおかしくなっていたし、神刃(アレ)の信奉者が各国の中枢に入り込んでいたから。
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