冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:復習+α】
(・▽・)<叢雅一門が作った超常兵器である冥刀。

(・▽・)<下記の特徴がある。


・三つの名前を持つ事。

・意志と魂を持つ事。

・能力と代償を持つ事。


(・▽・)<なので、冥刀は武器と生物の中間。


(#ー#)<持っているチカラは三つに分けられる。


・補正:身体や五感の強化。もしくはその延長線上。

・変形:刀身を伸ばす縮める、刃を潰す、二刀にする、違う武器にするなど。

・能力:自然を操る、概念を操作する、術技を使うなど。


(#ー#)<まあ、特化した奴だと、どれかが皆無な物もあるな。

(㈩*㈩)<そして、特殊な金属と、作り手の魂魄を使う。

(㈩*㈩)<そして、製法も口伝で秘伝だったから、もう作れないし、作らせない。

(㈩*㈩)<……まあ、素材とか、作り手のせいで、極稀に近いモノが誕生する事もある。

(㈩*㈩)<まあもっと詳しい話をいずれやるかもしれない。


玖拾壱

 ******

 

 

 目的を果たした一同は外に出る。

 狭い空間に居て、気疲れしたのか、伸びをしたり、体をほぐしたりする。

 

「ふう~」

「コキリ、コキリ」

「んん……」

「フワァ……」

「ござんす……」

「ああああああ」

 

 そして、

 

『久しぶりの外だ……』

 

 メンバーがもう一人追加されていた。

 それは――須臾叢雅。とは言えSDキャラのようになって周囲を浮遊している。

 

『拙はあくまで残滓だ。直に消えるからそれまでは一緒にいるよ』

 

 との事。

 

(一緒にいれば面白そうだし)

 

 と内心思っていた。

 

 そんな中、彼はある事を思い出す。

 

(そういえば、刹那を連れ出した、と言っていたな)

 

 なのでオウカに声を掛ける。

 

『サクヅキ=オウカ』

「何です?」

『刹那はどこだ? 消える前に会っておきたいのだが……』

 

 その言葉は最も。知り合いに会っておきたいというのは当然の事。

 なのだが、今はタイミングが悪かった。

 

 オウカの表情が暗くなる。

 

『?』

 

 疑問に思う須臾。

 

 それに、このままではいけないと、オウカは懐から再び(マユ)を出す。

 それを見た須臾の顔色が変わる。一目で異変に気付く。

 

『……何があった?』

 

 それにオウカは、今までの経緯を説明する。

 それを聞いた須臾の顔は無表情になる。

 

「すいません」

 

 謝るオウカに須臾は無表情を崩し、首を横に振る。

 

『いやいや、君のせいではない。……もしや』

 

 そして、何かを考え始める。

 そんな彼を後目に、他の面々は歩きながらこれからの予定を立て始める。

 因みに、周りに聞かれないよう遮音の結界をマックスが張っている。

 

 ノワールが音頭を取る。

 

「それで、これからどうするのである?」

「カチコミましょう!」

 

 ルラの即答。

 

 実際、黒幕が誰かも見当が付いているうえ、戦力もある。不安材料だった、オウカの武器もどうにかはなった。

 兵は拙速を尊ぶべき。

 

 だがそれに首を横に振るノワール。

 

「まだ早いのである」

「……なぜでしょう?」

「理由は三つ。相手の戦力がどれだけわからない、肝心要、目的である装置の場所も不明」

 

 そして、一拍置いて続ける。

 

「オウカがまだ完全じゃない」

 

 そして捕捉していく。

 

「痛み分けになったような強敵がいる可能性があるのである」

「アレは策略の一つですか?」

「タイミングが良すぎるから、十中八九そうである」

 

 その言葉に、納得する一同。

 オウカはあの相手を思い出す。

 

(かなり強敵だった……)

 

 誰かわからないように、全身に靄を纏っており、それには高位の認識阻害までかけていた。ここまですると、顔見知りですら気づけない。

 

(でも、何か違和感あったんだよな……)

 

 これといった特殊能力は使わず、五体で戦う。硬く、速く、力がある。それが厄介なのだが……。

 

「俺は、アレが誰かを知ってる……?」

 

 ボソリと呟きが漏れた。

 それが聞こえたのか、ノワールが聞いて来た。

 

「戦った相手が知り合いなのであるか?」

「既視感があったんです」

「フム……」

 

 少し考えていたノワールだが、今は考えてもわからないので、話を戻す。

 

「次に装置の場所。全くもって不明である」

「大きさや形は?」

「そういえば言っていないのであるな」

 

 知らない面々に説明する。

 

 大きさは二メートル程。

 形は不定。球体、立方体、三角錐などと、めまぐるしく形を常に変えるオブジェと、それを乗せている(というか浮かせている)台座で構成されているとの事。

 

「強度は?」

「わからん。まあ最悪は吾輩が破壊する」

「場所はわからないんですよね?」

「ああ。でも当てはある」

 

 何でも装置の改変力は強いのだが、範囲がそこまででもないらしい。

 

「だから効いている場所を探ればどこかしらにあるのである」

 

 匣に仕舞ったりしたら装置は働かない。表に出ているのは間違えない。

 

「そして、オウカ」

 

 ノワールの視線が向く。

 

「まだ完全ではないだろう?」

「それは……まあ」

 

 冥刀を手に入れたが、片方は使わない事にして、もう片方は欠点のせいで完全ではない。

 

「それにしても……」

 

 ルラが訊ねた。

 

「何で指輪腕輪にしたのですか? まだランチャーハンマーの方がシンプルでしたのに」

 

 実はオウカは二つの選択肢で、【グウェンゾライ】を選んでいた。【ムジョルニア】は仕舞ってあり、使い手はいない。

 

「そうした方がいいと思ったので」

「……勘ですか?」

「はい」

 

 それにルラは、

 

「なら仕方ないですね」

 

 すんなり納得した。

 それにジョージが問いかけて来る。

 

「良いんですか?」

「勘は大事ですよ。それに……」

「それに?」

 

 オウカを見てから、ルラは続ける。

 

「これはまだ確定ではないので、言わないで置きます」

「「えぇ……」」

 

 勿体ぶるルラに呆れた。

 

 その時だった。

 

「ん……」

 

 最初に気づいたのは、感覚が鋭敏なジョージ。

 

「「ッ!」」

 

 少し遅れて他の面々も気づいた。

 

 それはこちらに近づく人の気配。

 

「相手は一人……だな」

「この面々に挑むって正気でござんすか?」

 

 マックスが呆れるのも当然。ここにいるのは一騎当千の戦士ばかり。死にに来たようなもの。

 そして、全員が警戒する中、その人物が姿を見せた。だが、靄を纏っているせいで、性別どころか、背丈すらわからない。

 鑑定を使える面々が使うが、何もわからない。

 

(駄目か。何もわからない)

 

 シロが思うが、オウカには覚えがある!

 

「お前は!?」

 

 驚くオウカ。

 

「……知り合いですか?」

 

 ルラの疑問に一拍置いて答える。

 

「チカラ奪われる前に痛み分けになった奴です」

「「!」」

 

 全員が驚く。全員が彼の強さを知っている。だからこそ警戒する中、

 

「今回は戦いに来たわけではない」

 

 合成音声のような声が響く。

 そのせいで、男か女かわからない。

 

「では何をしに?」

 

 ルラが前に出て、モップを構える。

 それに指を指し答える靄。

 

「お前に会いに来た」

 

 指はオウカを指している。

 

「俺に? 何で?」

「……」

 

 それに沈黙する。

 暫くして。

 

「わからん」

 

 その答えに全員ズッコケた。

 どうにか起き上がったオウカは問いかける。

 

「わからないって……」

「どうにもお前が気になってしかたないんだ。また会えばわかるかと思ったが……」

 

 わからないままだ、と肩を竦めた靄。

 それにふとノワールは思い出す。

 

「そういえば、オウカも似たような事言っていたであるな。既視感があると」

「お前もか?」

「ああ。どっかで会った事がある気がするんだ」

 

 オウカの言葉に、靄は何か考えるような仕草をする。

 そして、意を決したように発言する。

 

「私には記憶がないんだ」

「「え?」」

「気づいた時には組織にいて殺し屋稼業をしていた」

「「殺し屋!」」

 

 何人かが警戒する中、靄はこう言う。

 

「ああ安心してくれ。もうやめた」

「簡単にやめれるものなの?」

「仕留めきれなかったせいでな」

 

 曰く、失敗には死、と言って襲い掛かって来たので、全滅させて置いたとの事。

 簡単に言うが、簡単な事ではない。

 その言葉に円卓勢は警戒する中、オウカは問いかける。

 

「つまり俺を殺す気はない?」

「ない。なんだったら依頼者について教える」

 

 至れり尽くせりだが、警戒を一同は解かない。

 

「なら姿を見せるべきでは?」

 

 ルラの言葉に靄は少し考えていたが……

 

「そうだな」

 

 そうして靄が消える。

 すると、現れたのはローブ姿の小柄の人物。フードを目深に被っているので、まだ性別や顔はわからないが、この場の面々で一番小柄なオウカより小さい。

 

(女性か?)

 

 シロが思う中、ローブを脱ぐと、現れたのは仮面を被った――女性の肢体。着ている物が全身を覆う顔以外をぴっちりと覆うボディスーツなので、スタイルがまるわかり。

 胸と尻が大きく、腰はくびれている、いわゆるロリ巨乳という奴であろうか。

 

「ナイスバディって奴だね~」

「フン!」

「痛い!?」

 

 ジョージの軽口にルラが足を踏んづける。

 

 そんなコントを無視して、その女性は仮面を脱ぐ。

 そして、素顔が露わになる。

 

「「!?」」

 

 その顔をルラとジョージは知っていた。見覚えがあり過ぎた。

 思わず、オウカを見る。

 彼の顔は驚愕に染まっていた。

 

「な、何で……」

 

 彼は知っている。この人物を知っている。

 

「お前がここにいる! マリア!」

 

 その顔はオウカの親友であった修道女、“ハカイシスター”と呼ばれたマリアだった。

 

 そう呼びかけられた女性は納得したような顔をする。

 

「そうか。お前は私を知っているのか……。私はマリアと言うのか……」

「その言い方からすると、他の名前で呼ばれていたでござんすか?」

 

 マックスが気になったのか訊ねた。

 それにマリアは答える。

 

「名無しと呼ばれていた」

「そのまんまでござんすね」

 

 そんな会話を続ける中、オウカは思考している。

 

(本当にマリアなのか? 他人の空似と言う可能性もある)

 

 どうにか冷静さを取り戻し、オウカは訊ねる事にする。

 

「幾つか質問していいか?」

「構わない」

「じゃあ、一つ目。その左腕は自前の物か?」

「いや冥刀が代わりになっている。最初から無かった」

 

 そう言うと、着ているボディスーツを少しだけ脱ぐ。露わになる胸元。

 

「フン! フン」

「何もしてない!?」

「巻き込まれた!?」

 

 ルラがジョージとマックスの足を踏みつける。

 そんなコントに構わず、マリアは生身の左腕を見せる。

 

「「!」」

 

 そこにあったのは機械腕。義手のようであるが、色が血を染めたような真紅だった。

 

「偶然適合した冥刀――【カズィクル・ベイ】が義手になってくれている」

「なるほど……」

 

 納刀形態で、体の一部に代替する場合は数少ないが確認されている。

 それより気になるのは【カズィクル・ベイ】という冥刀の表銘(ナマエ)

 それはワラキア公国の君主であった、ヴラド三世の異名のトルコ語読み。

 

(これだけじゃどんなのかはわからない……)

 

 納刀では義手だが、抜錨時にはどうなるのだろう。

 とは言え。

 

(それを聞くのはマナー違反だからな……)

 

 普段だったら、マユが教えてくれるのだが、今はいない。

 

「ままならない……」

 

 小声でつぶやいた時だった。

 

「【カズィクル・ベイ】は阿僧祇の作品だよ」

 

 男の声が聞こえた。それは須臾。

 ここにはもう一人叢雅がいる。

 

『パイルバンカーの冥刀だ』

 

 全員の補助をしていたからこそ、ほぼ全てについて知っている│刹那《マユ》に比べれば劣るが、代表作や異色作ならわかる。

 

「「パイルバンカー!!」」

「そんなのもあるんだ……」

「何でもありなんですね」

 

 テンションを上げる男性陣に対し、呆れている性別不詳と女性。

 

『何でもではないがね……』

 

 嘆息する須臾。

 そんな彼にマリカは視線を向ける。

 

「お前は?」

『ああ。ただの残影だ。気にしないでくれ』

「そうか」

 

 マリアはオウカに視線を戻す。

 

((本当に気にしない人初めて見た!?))

 

 内心ツッコミをいれるメンバー。

 

 一方オウカは質問をする。

 

「二つ目。記憶はどこから?」

「春頃からだ」

 

 気づけば、自分が誰かもわからず、記憶もない。知識も穴だらけ虫食い状態。さらに左腕は無く、服もズタボロ、怪我だらけ。

 彷徨っている時に、体に目を付けた奴らに襲われ、返り討ちにしていたが、体力気力の限界が来て倒れたところを、捕まり売られた。そして殺し屋組織に買われたそうだ。

 

「まあ扱いは悪くなかった。衣食住用意してくれたし、冥刀を貰えたし」

 

 その言葉にオウカは内心言う。

 

(そりゃあそうだろう)

 

 マリアはフィジカルが凄まじい。しかも鍛えなくても力強くなっていく。だからこそ、身体スペックだけで大抵の敵は圧倒出来る。

 戦闘を職業にする者なら垂涎ものだ。

 

「一応世話になったから、見逃そうとも思ったが殺しに来たから……」

 

 束になれば勝てると思ったのだろうか。まあ全快じゃなかったからどうにかなると思ったのだろう。結果は御覧の通りだが。

 

「それでこれからどうしようと思った時に、貴方を思い出した」

 

 オウカにマリアは近づき告げる。

 

「だから会いに来た」

「そっか」

 

 オウカは納得した。




【TIPS:雷電系冥刀】
(㈩*㈩)<形状と電気を生み出す方式を違うけど、チラホラある。

(#ー#)<そりゃあな。因みにオレは籠手の【ヤールングレイプル】。自家発電方式で、緊急発電も可能だな。

(㈩*㈩)<同じ籠手でも【イルアン・グライベル】というのもある。こっちは増幅方式で、雷のエナジーブレードを作り出す。

(・▽・)<オーソドックスな【ミョルニル】とかないのですか?

(㈩*㈩)<あるよ。

(#ー#)<オレの持ちネタ!?

(・▽・)<……貴方のではないと思いますけど。

(㈩*㈩)<あ、そうそう。【ムジョルニア】の解説は再登場時……というか使用時に。
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