(・▽・)<冥刀のカタチは様々。
(・▽・)<オーソドックスなのは刀剣型。
(・▽・)<両刃や片刃、切先諸刃も存在する。
(#ー#)<他の形状もある。槍、斧、棍棒。
(#ー#)<盾や鎧と言った防具もあれば、アクセサリーや義肢と言った変わり種も……。
(#ー#)<乗り物、ロボ、銃器火器もあるし、形のないモノまで存在する。
(㈩*㈩)<持ち運びに関しては、使い手を鞘にしたり、亜空間に潜んだり。
(㈩*㈩)<遠くにあってもモノによっては駆け付ける。
(㈩*㈩)<密接に結びついているからこそ。
******
そして……遂に事態が動く。
オウカは、ネットカフェをこの日の寝床と決め。シャワーを浴びてから寝る支度をしていたのだが、端末(一時的に借りた物)に連絡が入る。
[明日集合]
それを見て口元に笑みを浮かべる。
「やっと動けるか……」
そう呟き、毛布を被って寝てしまった。
………………
…………
……
そうして次の日、オウカはネットカフェを出て、前に集まった廃ビルにやって来た。そうして中に入ると、もう全員集合していた。
「遅くなりました」
一応そう言ったオウカへ、ルラが声を掛ける。
「いえ、他の皆が早すぎただけです」
そんな彼女に聞こえないように、ジョージとマックスがコソコソ話し合う。
「こういうのって早く来た人が言うもんだよな……」
「一番遅い奴が偉そうでござんす」
そんな二人。だが、この二人は忘れていた、もしくは知らなかった。
「聞こえてますよ?」
ルラがにっこり微笑んで背後を取る。
そして。
「さあ、地面と合体しましょう」
「ゴベ!」
「ホゲェエエ!」
顔面を掴んで地面に叩きつける。
そのまま追撃をしかけようとしたが。
「ルラ、今はこんな事している場合じゃないのである」
ノワールが止める。
「はあい」
それにルラは追撃を止めた。
「お前達も。余計な事は言わぬが花である」
「はい……」
「身を持って体感したてござんす」
どうにか起き上がった二人を確認したノワール。
そして。
「――では話し合いと行くのである」
そうして話し合いが始まる。
仕切るのはノワール。
「黒白からの情報で、位置が大体掴めたのである」
「どこですか?」
「……」
それに無言で端末を器用に操作するノワール。
そして、全員の端末にデータが送られた。
「「!?」」
全員驚くのも無理はない。
そこは……。
「学校!?」
何と天ノ角高校だった。
それにオウカは驚いていたが、納得する。
「そうか! あそこには色々な物が仕舞ってある倉庫がある!」
貴重なアーティファクトもあれば、ヤバめの妖刀まである。……噂だと冥刀まであるとの事。
「木を隠すなら森の中ですね……。それで?」
「早速打って出るのである」
「兵は神速を貴ぶでござんすか」
「ああ。幸い休日なので、生徒はあんまりいないのである」
そういう訳でカチコミが決まった。
ノワールがオウカに確認する。
「オウカ」
「はい?」
「揃ったか?」
「はい。丁度」
オウカは首にかけていたペンダントを見せる。
実は【グウェンゾライ】の準備が、昨日漸く整った。
小さな黄金の盤のマス目には、クリスタルと銀の丸が、各十六ずつ、合計三十二個付いていた。これが完全体の証。
「苦労しました……」
ため息を吐くオウカの近くにSDキャラ状態の須臾が現れる。
『まさかここまでやるとは驚きだ』
「「お前のせいだろ!?」」
一同ツッコミを入れるが、須臾はハッハッハと笑うだけ。
それにノワールは溜息を吐いて、視線をオウカから移す。
「マリア……で良いのであるか?」
「ああ」
呼び掛けられたマリアは頷く。
「組織だと、名無や│Nameless《ネームレス》と呼ばれてたからな」
「へぇ……」
「まだ自分の名前と言うには違和感があるが構わない」
「ではマリア」
改めて呼びかけたノワール。
「お前は味方……と言う事で良いのであるか?」
これの答えによって色々変わる。だからこその問い。
それにマリアは目を閉じて思考する。
(はっきり言えば付き合う通りは無い。でも……)
目を開け、オウカを見る。そして答える。
「今は特にやる事もないからそれでいい」
「「……」」
その答えに不安そうだったり、警戒する面々。
空気が緊張していく。
それにオウカはフォローを入れる。
「大丈夫です。マリアは誰よりも優しい奴でしたから」
あの世界は、自分の事しか考えられない奴ばかり。
だが、マリアは違った。自分より他人優先だった。
子供達に優しかったが、他の人にも優しかった。
優しいからこそ、あの凶行に走ったのだが。
その言葉に当の本人は――
「……」
何も言えなくなって沈黙する。
反論しようとしたが、何故か出来なかったのだ。
そんな反応を見た円卓は……
(これなら大丈夫そうである)
(オウカさんが信じたのなら信じましょう)
(裏切る事はなさそうだな……)
(安心したでござんす)
少しだけ顔が緩んだ。
空気が弛緩する。
………………
…………
……
ノワールが立ち上がる。
ルラはモップを出してくるくると回す。
ジョージは拳銃を確かめる。
マックスは喧嘩煙管を吹かす。
マリアは指を鳴らす。
オウカは首を横に曲げる。
そうして六人は出陣した。
そして、天ノ角高校にやって来た面々。今いるのは正面……ではなく側面。塀の近く。
マックスがノワールに訊ねる。
「それで? どう侵入するのでござんすか?」
プレイヤー養成高校は警備が結構厳重。門扉には警備員、中には警備ロボット、更には武闘派の教師や生徒など。
下手をしなくても死ぬ。
その問いにノワールは答える。
「吾輩としてはリアやランコに頼むつもりだったのであるが……」
「事情を話せば入れて貰えるでしょうしね。ちょっと待っててください」
「いや待った」
連絡を取ろうとしたルラを止めるジョージ。
「どうしたのですか?」
「黒幕に伝わる可能性がある」
「「あ!?」」
思い至ったオウカと円卓。
今回の黒幕は、オウカの立場すら奪ってある。下手をすれば伝わりかねない。
「ではどうするのですか?」
「う~ん……」
出だしから躓いてしまった。
考える一同……否、一人を除き。
それは――
「まどっろこしいな」
マリア。
「だったら正面から行けばいい」
塀の近くに歩んでいく。
そして。
「刃金の誓い、今此処に」
眼を閉じ、左手を突き出す。
「国を守りし竜の子は、血を啜りて悪鬼となる」
赤い機械義手が変形していく。
「杭を片手に蛮族串刺せ、死体はそのまま晒そうか」
現れたのは巨大な
「光へ堕ちろ、闇を照らせ」
左手を引き絞る。
「
詠唱が終わると、左手――パイルバンカーが付き出された! 着弾と同時、杭が飛び出る!
轟音が響くと同時、壁の一部が崩壊した。
因みにこの壁、特殊な素材で出来ているうえ、結界が張られている。そう簡単には破れないはずだが、【カズィクル・ベイ】は貫通する。
「「……」」
唖然とする一同に、マリアはこう告げる。
「さあ行くぞ。……遅いと置いて行くからな」
そうしてスタスタと奥に入っていく。
「「……」」
まだ唖然とする面々だったが。
「「いやいや、何してんの!?」」
全員がツッコミを入れた。
■□■□
天ノ角高校内部は騒然としていた。
塀をぶち破って侵入者が現れたからだ。
人数は五人と一匹。
一人が校庭で大立ち回りをして、残りが別れて別行動をしている。
警備員、生徒、教員が接敵したらしいが、無傷か意識喪失で済んでいる。
どうやら何か目的があるらしい。
「何が狙いなんだか……」
廊下を移動しながら呟くイオリ。
この日は用事があって学校に来ていたので、迎撃に動いていた。
(よりによって武闘派の面々が少ない時に……!)
舌打ちしそうになるイオリ。
実は今日は休日なうえ、なぜか普段の休日以上に人がいない。
アシヤ=キョウコは所用でおらず、ハナヤマ=ベニバナは山籠もりで最近来てすらない。
とは言え、相手は六手に別れている。
(さて……どうする?)
報告によれば、校庭ではモップを持ったメイドが大立ち回りをしているそうだ。
警備員や警備ロボット、武闘派の教員や生徒が倒そうとしているが、鎧袖一触。ロボットは容赦なくスクラップ。一方、人には死者はいないが、怪我人は出ている。
(でもこれは陽動だよね……。他の面々は何か狙いがあるはず……)
とりあえず、得意の風の術で索敵をおこなう。だが……
(……ダメか)
何もわからない。
どうやら対策をしているらしい。なので、唯一どこにいるかわかる校庭に向かう。
そこには……
「スフレなみに歯ごたえがありませんねぇ!」
メイド――ヤリガサキ=ルラがモップを槍のようにして暴れていた。
今も容赦なく、警備ロボットを潰していた。
当たり一面には、立ち向かって行ったであろう人達が倒れている。
息はあるが、どこかしらに怪我を負い、痛みに呻いている。
「死屍累々だね」
イオリの呟きに、メイドが反応してこちらを向く。
「おや、歯ごたえがありそうなのが来m」
イオリは最後まで言わせず、鎌鼬を飛ばす。それをモップの柄で防ぐが、モップは切られてしまった。
「あらま……」
ルラの加護ノ翅のチカラでこのモップは強化されている。それが切られて事に驚く。
「フ!」
「おっと……」
そのままイオリは得物であるトンファーブレードを出して飛びかかる。それを素手で迎撃するルラ。
体に雷を流し強化し、風で周囲を感知しているイオリ。攻防隙の無い彼の攻撃を、ルラはさばいていく。元々彼女は素手でも十分に強い。更に、全身に付けた装備を強化させているので、身体性能も高い。
だが、このまま彼一人に手こずっていては
なので、彼女は決意する。
「来なさい」
一言告げた。
それに反応するように何かが空から落ちて来た。
風で周囲を感知していたイオリは気づく。
落ちて来たソレはこのままでは直撃する。だからこそ飛び退く。
勘の赴くまま、大きく飛び退いた。
それは正しかった。
轟音と共に粉塵が巻き上がる。
(喰らってたら……不味かった……)
あの衝撃から、普通に避けたくらいでは何かしらダメージを喰らっていた。
ホッとしながら、イオリは行動を開始する。
「鬱陶しい……」
風を巻き上げ、粉塵を巻き上げる。そのおかげでルラの姿が視認可能になる。
そこにはルラが健在。
「久しぶりですね」
彼女は声を掛けた。
「【ブリューナク】」
対象は手に持つ――冥刀。
形状は一言で言うなら――槍、もしくは矛や戟。
長く太い長柄に両刃の巨大な矛が付いている。更に、それを取り囲むように分銅を鎖で繋いでいる月牙(三日月型の刃)を四方に置いている。
その武器をイオリは知っていた。思わず呟いてしまう。
「
「あら、よくご存じで」
フフフと笑うルラ。
混天截。
中国のマイナーな超重量武器。
対峙した場合には、矛先以外にも月牙と分銅を避ければならず、相手に広範囲の回避を要求する。
だが、使い手もこれを操る技量、筋肉、体格が要求されるため、目立った使い手は少ない。
だが、ルラはこれを冥刀のサポートだけで軽々扱う。そして、彼女はこれを持った時が最強。
そして――
「刃金の誓い、今此処に」
詠唱が開始された。
「雲霞の如く、敵は湧く。その数幾千幾万か」
バトントワリングのように混天截を回し始める。
「こちらは一人、相手は大軍。されど負ける道理なし」
重量武器をバトンのように回す。
「得物は槍だけ。それで十分」
加護ノ翅が唸りを上げる。
「一騎当千ここになそう」
発せられる覇気が膨れ上がっていく。
「光へ堕ちろ、闇を照らせ」
両眼が光り輝く。
「
それと同時、ルラが姿が変貌を遂げる。瞳が炎を宿したように光り、髪の毛が銀糸のようになり、更に長く伸びる。
抜錨を果たしたルラを見て、イオリは内心舌打ちする。
(しくじった……。止めるべきだった)
彼は百戦錬磨の猛者。だから分かる。今のこのメイド――ルラは恐ろしく強くなっている。
(冥刀のチカラだけじゃない……。どういう事だ?)
疑問に思うイオリ。
そこへ増援がやって来る。
「遅れました!」
「覚悟しろ! 侵入者」
人とロボの混合軍。
それにルラは獰猛に笑う。
「さあ、ありったけでかかってきなさい!!」
彼女は迎え撃つ。
【TIPS:カズィクル・ベイ】
(㈩*㈩)<パイルバンカーの冥刀。
(㈩*㈩)<杭の射出方式は引っ込んでから突き刺す方式だから連射は効かない。
(㈩*㈩)<その代わり、威力は凄まじいうえ、防御や耐性すら突破。
(㈩*㈩)<勿論補正は高い。しかも使い手がアレだからドエライ事になる。
(・▽・)<アレ……って。
(㈩*㈩)<言い方……。
(㈩*㈩)<更に畢竟がヤバイ。まあそれは追々。