(・▽・)<おさらいです。
(・▽・)<聖霊教の円卓が持つ、特殊な紋章。
(#ー#)<十四つ存在する。
(#ー#)<それぞれ七つの大罪と、七つの美徳の名前が付いている。
(㈩*㈩)<まあ能力は関係ないのが多い。
(㈩*㈩)<しかも使い手によって変わる。
そうして始まったのは……戦いとは呼べぬもの。
手始めに、ルラは口を窄め……
「フッ」
息を吐く。
それだけで、人が吹き飛んだ。
「……は?」
「へ……?」
「な、何が起こった!?」
騒然となる中、イオリは何が起こったか見破っていた。
(息を吐いただけで、空気弾にするとは)
ルラがした事は、ただ息を吐いただけ。だがそれが不可視の魔弾となり、敵を吹き飛ばしたのだ。
今の凄まじい身体性能を持つルラだから出来る技。
いきなり出鼻を挫かれ、一気に殲滅するチャンスになるが、ルラは向かわず、その場に留まり続ける。
「……ウフフ」
笑うルラ。
そんな彼女へ正気を取り戻した教師や生徒が攻撃を仕掛ける。
「喰らえー!」
「これなら防げまい!」
彼らが選択したのは遠距離攻撃。
弾丸、矢、火球、鎌鼬、氷柱、光弾などなど。
それにルラが取った行動は至極単純。
冥刀の石突を右手で掴む……否、右人差し指と右中指で挟み、思いっきり振るう。
その遠心力により生まれた衝撃波で遠距離攻撃は全て吹き飛んだ。
「「……!」」
一同絶句する中、ルラは微笑みながら告げる。
「この程度ですか?」
ルラは当然の如く無傷。
そんな彼女へ、今度は警備ロボットが向かって行く。
だが、それらも鎧袖一触。
武器を持っていない左手や足を振るうだけで、壊されていく。
……人じゃないせいか、心なしか容赦なくスクラップにされた。
そんな彼女の蹂躙を見てイオリは気づいた。
(彼女には自分達を殺すつもりはない……)
ここにいるのは恐らく、戦力の引きつけ。
他の侵入者が目的を果たすための陽動。
「それにしても……」
イオリは戦況を見る。
今ここにはこの学校に存在する戦力の七割方が集合しており、今も増え続けている。
「相手の思惑通りか……」
呟くと、ルラの視線がこちらに向く。
「あらバレてしまいました?」
「だって隠す気ないだろうに……」
「ウフフ」
笑ったルラはこの場の全員に聞こえるように言う。
「さあ皆さん。私は、貴方方を害する気はありません」
そうして冥刀を回す。
「ですが、他の場所へ行こうとしたなら、死にはしないまでも痛めつけさせて貰います」
こちらに向けて声高に告げる。
「ただし、かかってくるなら、多少の怪我で済ませましょう!」
それに怯む者、立ち向かう者が出る。そんな中で、作戦通りとルラは思った。
▼▽▼
時間はマリアが塀をぶち破った所まで戻る。
いつまでも呆然としている訳にはいかないので、中に入る。するとマリアが全員入ったのを確認してから匣から小さな機械を出す。それを作動させると、塀が外見上は元に戻る。
「これで暫く誤魔化せる」
更に、ペンダントを出しそれを起動。すると結界が張られ、周りから見えなくなる。
彼女が使ったのはそれぞれアーティファクト。
何でも所属していた組織のヤサを漁った際に出て来たらしい。これ以外にも色々あるとの事。
使えそうなのを配分し、マリアは告げる。
「さあ作戦会議と行こう」
「「ぶち破る前も出来たよね!?」」
「その前の段階でまごついただろう?」
一理ある。
このままでは収拾がつかないので、咳払いしてからノワールが言う。
「こほん。とにかくこれからどうするかである」
「場所はわからないんですよね?」
「ああ。だがどこかしらにはあるはずである」
「人海戦術でござんすか……」
「六人しかいないけどな」
それにルラが手を上げる。
「何である?」
「私は陽動をします。なので残りで探してください」
「……それは危険じゃないか?」
マリアのもっともな疑問。オウカも顔を顰める。
下手をすれば大多数を相手しなくてはならなくなる。
だが、彼女の事を良く知っている面々――円卓は違った。
「確かに……である」
「姐さん程適任はいねえ」
「最強でござんすからね」
ルラの意見に賛成した。
とは言え、不安そうな二人がいるので、ジョージが説明する。
「姐さんは装備品を強化可能なんだ。だからどんな状況でも対応できるうえ……」
マックスが続けて言う。
「それは冥刀にも適応する。しかも補正が高めだからとんでもない事になるでござんす」
それに納得した顔になる。
「なら平気ですかね。でも……」
「安心してください。殺しません。……まあ手足の五六本は覚悟してもらいますが……」
「なら良かった」
「「何も良くない!?」」
元々根が少し物騒なオウカはほっとするが、他の面々がツッコミを入れる。
人間に手足は四本しかない。……大抵の場合。
「で? 残りの面々で隈なく探すのか……」
「コレがあるであるが……ちょっとキツイでござんすね」
マックスが出したのは腕輪。これには隠密効果が付与されたアーティファクトであり、同じ効果で違うアクセサリーなのが、ルラを除いた全員に配られている。
「どこか心当たりはないのか?」
訊ねるマリアにオウカは考える。
(倉庫……にはないよな)
あそこはそもそも教員ですら気軽に入れない。
(後、誰かしら出入りする教室も除外)
話を聞く限り、かなり目立つので、置けないだろう。
(消去法で……)
残る可能性は……
「人が出入りしない場所……だと思います」
オウカの言葉に他のメンバーも同意する。
「すると、空き教室か……」
「あまり使わない教室にある可能性も」
「虱潰しは手間でござんす」
「まぁ運ばれる心配はなさそうなのが救いであるが」
匣は便利だが、入れた場合、電波などは遮断されてしまう。なので通信機器は入れない。
そういう訳で方針と担当場所も決まったので。
「では各自健闘を祈るのである」
ノワールの言葉に各自散開。
オウカも自分の担当場所には向かおうとした時だった。
「サクヅキ=オウカ!」
声が掛けられる。
自分の事をそう呼ぶのは今は一人しかいない。
「何だ、マリア」
記憶喪失の彼女はフルネームで自分を呼ぶ。
返事に対しマリアは口籠っていたが、少しして口を開く。
「気を付けて」
それにキョトンとしたオウカは、少しだけ笑みを浮かべ、
「ああ。そっちもな」
こう答えた。
そして、二人は場所へ向かった。
■□■□
外では轟音が響く中、校内ではジョージが探索していた。
(姐さん上手くやっているな……。まあ心配するだけ損だしな)
ジョージはルラの強さをよく知っている。というか聖霊教の幹部はその恐ろしさを知っている。
ルラはスキルスロットに〈装備品拡張〉を付けており、通常のプレイヤーを遥かに超えるアクセサリーやその他装備を付けられる。
更にソレらを加護ノ翅の能力で強化している。
普段は対状態異常の装備を付けており、ソレらが凄まじく強化しているからこそ、改竄装置の影響から逃れられたのだ。
そして、コレは冥刀も対象内。だからこそ、冥刀――【ブリューナク】を装備したルラは純粋なステータスは最強。
だからこそ円卓勢は誰も心配しなかったのである。
「ま、今は自分の事だな……」
見つからないように校舎内を駆けながら、感覚を研ぎ澄ます。
これがジョージの加護ノ翅の能力。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感だけでなく、勘……いわゆる第六感も鋭くなる。更に、自由に配分して特定感覚を鋭くする事まで可能。
(今は味覚はいらない……)
強化させた五感の内、必要ない味覚を他の四つの感覚に振り分ける。
今のジョージは――正に生ける探知機。
眼は、天体望遠鏡のように遠くも見え、顕微鏡のように拡大まで可能。更に本来見えない物――赤外線、紫外線、電磁波まで見える。
耳は、数十キロ先のコインが落ちる音すら聞き取れ、対象の呼吸音や脈拍すら聞き取り、生半可な防音処理は無効。
鼻は、犬や象などの獣以上に鋭く、数多の匂いを嗅ぎ分ける。更に、生物の体臭すら察知可能で、体調、居場所、精神状態まで判別可能。
肌は、生けるパッシブ・センサーそのもの。視線を、殺気を、熱を、空気の流れまで感じ取る。
常人なら入って来る情報に発狂してもおかしくはない。
だが、ジョージはそれを平然と耐えるだけでなく、情報を取捨選択していく。
この能力を鑑みて、担当範囲が広めだが、彼は気にした様子はなく、気負う様子もない。
そうして、自身の担当範囲を探っていく。
(違和感はない。というか装置自体がない……?)
首を捻る。
とりあえず違う場所へ行こうとした時だった。
「チッ、気づかれた」
舌打ちしたジョージ。
現れたのは警備ロボ五体。
しかも、ルラがぶっ壊している物より高性能の物。
両手が接近戦にも対応している銃剣となっている。
それにすぐさまジョージは拳銃を早撃ち。
だが、それは張られたバリアにより防がれる。
「あん?」
どうやら普通の警備ロボではない。
改良が加えられているらしい。
今度はロボから攻撃が開始。
弾丸(非殺傷だが、威力は高い)が吐き出されるが、それらを横っ飛びに回避するジョージ。
「このままじゃ手こずりそうだな……」
手に持った拳銃をガンスピン。
そして。
「しゃあねえ……やるか」
眼を閉じ、静かに唱え始める。
「刃金の誓い、今此処に」
拳銃が宙へ放り投げられる。
「一つ。平和を作るには」
先程投げた手とは逆の手でキャッチし、また投げる。
「二つ。仲間を増やそうか」
拳銃でお手玉が始まる。
「三つ。友達守るため」
拳銃が増えていく。
「四つ。敵は撃ち殺せ」
四つの拳銃が宙を舞う。
「光へ堕ちろ、闇を照らせ」
開眼すると同時、拳銃二つを掴み、構える。
「
冥刀が抜錨された。
抜錨された冥刀に警戒するロボ。攻撃を仕掛けずにこちらの様子を伺っている。
その行動と、先程のバリアを見て、ジョージは確信する。
(オートじゃない。誰かがマニュアルで操作してる)
彼の考えは正解。
外ではロボが次々倒されているので、とある部活の生徒達が操作している。ちなみに改良済。
「どうした? 来ないのか?」
拳銃四丁によるジャグリングをおこないながら問いかけるジョージ。
「来ないなら、こっちから行くぜ」
ジャグリングしながら、一気に間合いを潰すジョージ。
ロボは弾丸を放つが……
「《ピースメーカー・グシスナウタル》、《キャバルリー・フレムサ》」
四丁の内、二丁の拳が発砲される。
弾丸は直進する……だけに留まらない。
時に曲がり、時に跳ね、相手の弾丸を撃ち落とす。
全てが撃ち落とされる。しかも相手より少ない弾の量で。
だが、ジョージは止まらない。
「《フロンティア・フラウグ》、《アーティラリー・フィーヴァ》」
滞空する残り二丁を蹴りで発砲。
ロボの銃口に、弾丸を入れ込ませ撃てなくする。
「行こうか……スリマ」
そして、改めて四丁を同時発砲。
カメラ、センサー、関節部にまで弾丸を当てロボの動きを完全に止めた。
「一丁上がりっと」
そうしてその場を離れた。
その直後、ロボが爆発した。
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【オルヴァル=オッド】
ガンスミスである弾指叢雅の作品の一つ。
納刀時はリボルバーなのだが、抜錨すると四丁の拳銃になる。
二丁一対ならぬ、四丁一対という変わり種。
補正は高く、かなり高いステータスバフがかかる。身体能力だけでなく、五感にも強化がかかる。射撃補正としての、〈弾丸作成〉、〈自動装填〉、〈弾道操作〉は持つが、コレらは他の作品も持っている……場合が多い。
変形も高く、色々可変する。バレルが伸び長距離用になったり、サイレンサーが付いて暗殺がしやすくなったりする。そして、四丁小型拳銃から二丁の中型拳銃になったり、一丁の長銃にもなる。
能力はない。銃や自身を空中に留めておける。そして、四つの拳銃にはそれぞれ名前があり、実質四つの冥刀を使っている状態となる。だからこそ、性能は凄まじいのだが、使い手は必然的に、曲芸のような戦闘を強いられる。
だが、器用なジョージにとっては相性抜群だった。
【TIPS:オルヴァル=オッド】
(㈩*㈩)<説明は本文でやっちゃったから捕捉説明。
(㈩*㈩)<裏銘は〖コルト〗。真名は『スリマ』。
(㈩*㈩)< 元ネタは、北欧神話の、
(㈩*㈩)<オルヴァル=オッド(矢のオッド)が操る三本の矢。
(#ー#)<マイナーで誰もわからねえよ。
(・▽・)<代償はもしかして……試練系?
(㈩*㈩)<正解。曲芸みたいな事をさせられる。