冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【前書】
(・▽・)<二日連続更新です♪

(#ー#)<この感じだと月初に二日更新になるのか?

(㈩*㈩)<状況によって変わるから、まだ何とも言えない。


玖拾玖

 ◇◆◇◆

 

 

 ベニバナとヒナタの助けで何とか逃れ、担当場所の捜索をしているオウカ。

 

「見つからない……」

 

 だが、肝心の装置が見つからない。

 

「どうなっている?」

 

 そんな事を思っていると、端末が震える。定期連絡の時間だった。

 端末でメッセージのやりとり可能状態にする。

 

 ちなみに端末には色々機能があり、手で言葉を打ち込まなくても、思っただけで打ち込め、読み上げ機能もある。

 

[どうですか?]

[ダメである]

[見つからねえ]

[右に同じでござんす]

 

 男勢は全滅。

 それにオウカは考える。

 

(いくら何でもおかしい。虱潰ししているのに……)

 

 ここにあるのは間違えないのだが……

 その時、オウカはふと思い出す。

 

[じゃあワクイ=サクタは?]

 

 今回の黒幕。

 彼の捜索もおこなわれているのだが……

 

[同じくである]

[いるのか本当に?]

[それな……でござんす]

 

 こっちも芳しくない。

 

 そんな時だった。

 マリアからのメッセージが来た。

 

[妙な物を見つけた]

[何?]

[空間の裂け目]

 

 一同沈黙。

 そして。

 

[[それだ!?]]

 

 メッセージの言葉が重なる。

 

[どこにあったであるか?]

[多目的教室。そこの掃除用具入れの裏に]

[それじゃ見つからねえ訳だ……]

[普段使いの教室よりは使われず、空き教室よりは使う。なるほどでござんす]

[感心している場合ですか。今からそっちへ行く。座標送ってくれ]

[わかった]

 

 

 ………………

 …………

 ……

 

 

 そして、どうにか五人が集合する。

 因みにルラは戦闘中。

 増援を一人で引き受けている。

 メッセージを見る限り楽しそうなのだが……

 

「Dクルセイダー、ノーブル、デュナミストが増援で来てる……」

「時間が余り無さそうである」

 

 それでもいずれかは潰れるだろう。

 そんな中でふとマックスは思う。

 

(そういえば……、増援が遅いでござんすな)

 

 それどころか、そもそもこれほどの事態になったなら、もっと早く来てもおかしくない。

 

(どうなっているんでござんしょう?)

 

 内心で、首を捻ったマックスだったが……

 

「マックス。置いていくであるぞ」

 

 ノワールに声を掛けられたので、考えを一旦脇に置き、返事をする。

 因みに、他の面々は既に突入済み。

 

「ごめんなすって」

 

 空間の裂け目にマックスは突入した。

 

 そうして全員が集まったタイミングでノワールが一同に言う。

 

「では進むのである!」

 

 そういう訳で進む五人。

 そうしている内に、ふとオウカは気になった事を訊ねる。

 

「そういえば、あんな見つかりにくい場所よく見つけたな」

「確かにな」

 

 ジョージが同意する。

 

「アレかなり上手く隠してあったからな」

 

 それにマリアは答える。

 

「私が見つけた訳じゃない」

「「は!?」」

 

 聞き捨てならない言葉に聞き返す一同。

 

「どういう事でござんすか?」

「探している時に――」

 

 何でも折紙の蝶が案内してくれたとの事。

 それに心当たりがあるのは、その人物とこの間共闘した面々。

 

「あの人ではござんすか」

「そのようであるが……。改竄受けてないのであるか?」

「そういえば、逃れた人もいるようですけど」

 

 オウカの問いにノワールが答える。

 

「強力な何かしらがあれば防げるのである」

 

 ルラは装備強化、ジョージはユニークスキル、マックスは術技強化で逃れた。

 

「じゃあノワールさんは?」

「吾輩は……」

 

 答えようとした時だった。

 異変に気づいたのは、一際感覚が鋭い者。

 

「来る!!」

 

 ジョージの警告。一丁拳銃にしていた冥刀を二丁にして構える

 それに他の面々も戦闘態勢を取る。

 

「話はお預けですね」

「で、あるな」

 

 そう会話する一人と一匹。

 そこに現れたのは――ローブを目深に被った四人組。

 

「人間? じゃねえな。外れてる。でも強そうだ。気をつけろ」

 

 ジョージのは分析に、残りの面々は頷く。

 

「四天王でござんすな」

「なら噛ませだな」

「油断大敵だ」

 

 その会話を聞いていたノワールはある事を決断する。

 

「オウカ! ここは吾輩達に任せて行くのである」

「え、でも……」

 

 躊躇うオウカ。それに、

 

「向こうは四人だからな。丁度いい」

「元を正せばこっちの不手際でござんすから……」

 

 ジョージとマックスが告げた。

 そしてマリアは言う。

 

「ここまで付き合ったからな。最後までだ」

 

 その言葉にオウカは頷く。

 

「わかった。ありがとう!」

 

 そして、一気に駆け抜けようとする。

 だがローブは道を塞ごうとする。

 

「させるかよ」

「同じく」

 

 動いたのはジョージとマックス。弾丸と匕首が飛来し、ローブを妨害し、

 

「こういうのは行かせるのがスジである」

「その通り」

 

 ノワールとマリアが間合いを詰め、ローブを攻撃。だが、爪牙と杭は届かない。

 

「防がれたである」

「こちらは上手く受け流された」

 

 体勢を立て直す二人に、残り二人も合流。

 

「結構やるねえ」

「そうでござんすな」

「関心してる場合か?」

「取りあえず始末してオウカに追い付くである」

 

 こうして戦いが幕開けた。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 オウカは走る、奔る、疾る。

 その胸中を満たすのは、二つの感情。

 それは、ここまで自分を助けてくれた人への感謝。

 そして、この事態を引き起こした奴への憤怒。

 

 そして、遂に足を止める。

 

「こういう時は何て言うんだっけ?」

 

 空間の果てに到達。

 

「ああそうだ……」

 

 だが、この瞬間大きく占める感情はやはり怒り。

 

「どうも。怒り狂う魔王です」

 

 足を止め、静かに告げた。

 

 告げられた人物がこちらを向く。

 特にこれと言って特質すべき特徴はない、地味な少年。

 よく言えば、凡庸、悪く言えば、地味。

 

 この人物がワクイ=サクタ。全ての元凶。

 その視線がオウカを捉え、口を開く。

 

「仲間を見捨てて来たのか? お前をここまで連れて来てくれたのに」

 

 それは嘲り。

 だが、そんな口撃が、オウカに通じるはずもない。

 もっと凄まじい毒舌を浴びせかける人をオウカは知っている。

 なので、こう返す。

 

「黙れ、もう囀るな」

 

 それは完全な拒絶。

 友達の教えにより、どんな相手とでも問答を交わすオウカとしてはかなり異例。

 それほどまでに怒りが深い。

 

 そんな彼に肩を竦めるワクイ。

 

「やれやれ、これだから野蛮人は……」

 

 そしてふと気になったのかオウカに訊ねる。

 

「それにしてもよくここがわかったな。上手く隠していたんだが……」

「……」

 

 それに対してオウカは答えない。

 いつもだったら、相手の問いかけには答えたりするのだが……。

 

「無視か……。まあいい。お前を殺して、他の面々も殺せば完璧だ」

 

 それに対してのオウカの対応は単純。

 首からネックレスを出す。

 ソレを見たワクイの顔が変わる。

 

「!?」

 

 だが、オウカはそれに構わず……唱える。

 

「刃金の誓い、今此処に」

 

 彼が思い返すのは、ここに来るまでの日々。

 

「その者全てを失い、奈落の底へ堕ちて行く」

 

 一度同じ事を体験していたからこそ耐性があった。

 

「立ち上がれず、進む事など出来はしない」

 

 それでも……辛いものは辛い。

 

「されど、手を伸ばす者、引き上げる者あり」

 

 一度は崩れかけ、くじけそうになった。

 

「託された神宝を手に、もう一度立ち上がり進め!」

 

 だが、こんな状況でも助けてくれた人はいた。

 

「覚悟しろ。お前に十度の死を与えよう」

 

 そして、覚えてくれていた人がいた。

 

「光へ堕ちろ、闇を照らせ」

 

 だからこそ、ここで勝たなきゃ男じゃない。

 

剣轟抜錨(デュナミス)――《輝く黄金、煌く銀水晶・天璽瑞宝十種(アマツシルシ・アプ・カイディオ)》」

 

 そして、首にかかっていたネックレスの形が変わる

 次の瞬間、腕輪と指輪に変わっていた。

 オウカは感触を確かめるように、指をコキコキと鳴らす。

 

「ここはソルドアット(アイツ)に習おうか……」

 

 こう呟く。

 そもそも彼女の助けも結構大きいのだから。

 

 そんな彼にワクイは警戒する。

 すぐさま迎撃の得物を出す。

 

 

 浮遊し砲台にもなる、複数の盾。

 巨大な刃で構成された、鋼の蛇。

 感覚を鋭くする、双剣。

 

 

(さあ来い!)

 

 だが、次の瞬間、その場所から、コマ落としのようにオウカが消える。

 盾と蛇を擦り抜けたように掻い潜り、ワクイの目の前にいた。

 

「!?」

食前酒(アペリティフ)

 

 無手だった手にはドスが握られていた。柄尻は銀色のチェスの駒(ポーン)の形状をしている。

 それが一気に振り下ろされる。

 

 響くのは金属音。

 オウカの一撃をワクイは双剣を交差させて受け止めた。

 だが……

 

(お、重い!?)

 

 片手での一撃とは思えない。

 気を抜けば潰されるか、押し斬られる。

 

「何、ドス(こっち)にだけ集中してんだ?」

「ゴボ!?」

 

 師匠直伝のヤクザキックがワクイの腹部に突き刺さる。

 だが、彼は吹き飛ばず、どうにかその場に留まる。

 

「ありゃ……」

 

 少し予想外だったのか、眉を顰めるオウカだったが、すぐに原因を思い出す。

 

(そういえば靴に金属仕込んでいないな……)

 

 オウカは普段使いの靴には底、爪先、踵に金属を仕込んである。

 だからこそ蹴りの威力が上がるのだが、この靴は頑丈なだけの市販品。

 仕込みはない。

 

 そして、ワクイは反転攻勢に出る。

 

「舐めるな!」

 

 今の距離では使えないと、盾と蛇を消し、代わりに幾つかの武器を周囲に浮かべる。それは大剣、太刀、十文字槍、戦斧、円月輪、大鉈。

 それらがオウカ目がけて襲い掛かる。

 双剣も含めれば八刀流とでも言うべき攻撃。

 生半可な相手にはひとたまりもない。

 

 だが、

 

「その程度?」

 

 ここにいるのは生半可な相手ではない。

 

 オウカは手に握ったドスと同じ形のドスを七つ展開、それを空いた手だけでなく、体の各所に挟み持ち、迎撃する。

 あっという間に数の有利は覆される。

 

 それどころか……

 

おつまみ(アミューズ)

「くぅうう……」

 

 八本のドスによる連続攻撃は、ワクイの体を浅いながらも刻んでいく。

 ふざけているとしか思えない戦法だが、これの仮想敵はソルドアット。

 彼女は二十の刃を変幻自在に操る。それと比べれば半分以下。

 

「同じ条件なら、テメエが俺に勝てる訳ねえだろう」

 

 斬り刻まれていくワクイだが、怯まない。

 背から更に腕を生やし、そこにも武器――西洋東洋の刀剣類を持って対抗する。

 強化補正が掛かっているのか、徐々にオウカとの差が埋まる。

 

(コイツ……痛覚切ってるのか?)

 

 分析するオウカ。

 痛みに怯む様子がないので、そう思った。

 

(だったら行動不能になるまで斬り刻むまで)

 

 そして、オウカは攻め方を変える。

 

「ここからが本番だ。前菜(オードブル)、〈プロモーション〉」

 

 その言葉と同時、手に持ったドスの形が変わる。

 右手のは奇妙な形のメリケンサック、左手のは奇妙な形の斧……のような武器。

 

(何だ? あの武器?)

 

 ワクイはそこまで武器には詳しくない。なのでわからなかったが、ここにルラがいたなら一目で見破っただろう。

 

 

 右手の武器はアパッチ・ピストル。

 三つの形態を持つ拳銃。ダガーで突き、ナックルで殴り、勿論発砲もできるマルチウェポン。実用性は低いのだが、その辺は疑似的とは言え冥刀なので、欠点を補えている。

 

 左手の武器はガンストックウォークラブ。

 くの字型で曲折部の頂点に三角の刃が付いている棍棒。打撃、刺突、投擲が可能。ただし彼が使っているのは改良品であり、内側が斧のようになっている。

 

 

「行くぞ」

「(さっきより早い)!?」

 

 オウカは先程とは比べ物にならない速さで一気に間合いを潰す。

 繰り出すのはジャブの連打。

 それを幾つもの腕に持った武器でどうにか迎撃するワクイ。

 

(おかしいだろう!?)

 

 内心は焦り、疑問符で一杯だった。

 

(何でアッチは片手なのに防戦一方なんだよ!?)

 

 実は今のオウカは右手……メリケンサック状態のアパッチ・ピストルしか使っていない。

 なのだが、その威力と速度は凄まじく、ワクイは手に持つ武器と、浮遊する武器の両方を使ってどうにか抑え込んでいる。

 だが、彼は忘れていた。

 

「ノロマ」

「グブ!」

 

 今までのはトップスピードではなかった。オウカは更に加速させ、防御を掻い潜り、顔面を殴りつける。

 そして、左手のガンストックウォークラブを振りかぶる。

 

「さあ中身出せ! 腐れ外道」

「!?」

 

 オウカには左手が残っている事を。

 そして、その一撃はワクイを深く斬る。

 だが、直前にバックステップされたせいで内臓には届かない。

 

「悪い浅かった。次は真っ二つにする」

 

 オウカは静かに告げた。




【コソコソ話】
(・▽・)<……。フン。

(#ー#)<どうした?

(・▽・)<順当な結果だな……と思いまして。

(#ー#)<ああ。確かにアイツ押してるな。予想していたのか?

(・▽・)<ええ。そもそもあの屑はサクの強さを理解していないし、

(・▽・)<ディアンのアレを完全に奪えていない。

(#ー#)<そういや残っているモノあったよな?

(・▽・)<奪えなかったチカラがある。経験と技量は奪えなかった。そして……

(#ー#)<何だその言い方?

(・▽・)<これは追々。
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