ハイスクールK×L   作:試験投稿中

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序-1 世界変革の予兆

Other side

 

 

 

 

 

 

 

 

 二十一世紀。世界は大きな混乱に包まれることとなる。

 

 その始まりは2001年。アメリカ合衆国にイスラム原理主義が旅客機を乗っ取って特攻を仕掛けるテロを起こしたことに端を発するだろう。

 

 合計七機の旅客機が乗っ取られ、そのすべてが目標に激突。時の合衆国大統領が死亡する未曽有のテロとなった。

 

 さらに同様のテロが日をまたぐことなく続けて置き、日本でも小型機が皇居に激突する事態が発生。さらにこの連続国際テロが強国の抑えを緩めたのか、世界各地でテロや暴動、クーデターは反乱が頻発し、世界でトップクラスの人口を誇る中国とインドは分裂。合衆国もそこからくる歪みを抑えきれず、遅れること数年で内乱が起き、これまた分裂することとなる。

 

 さらに合衆国の分裂が抑えを緩めたのか、ロシアが隣国を強引に併合しようと侵略を開始し、欧州各国がそれに対して軍事的に対抗。加速度的に報復の連鎖が起き、ユーラシア大陸北部では各報復すら行われ、多大な被害が出た。

 

 この被害もあってロシアもまた分裂。欧州は欧州でいくつもテロやゲリラが頻発する政情不安定地帯となり、和平を目指し折衝役となっていたことから被害を避けれた英国が筆頭となる形で、何とか復興を進めようとしている真っ最中だ。

 

 西暦2014年。地球人口は60億人。超大国、そして超大国を目指せた国家を失い、日英の準超大国が周囲をそれなりにまとめる程度の寒い時代となっている。

 

 ではなぜそうなったのかといえば、第二次世界大戦にさかのぼる。

 

 ドイツ第三帝国総統、アドルフ・ヒトラー。前人未到の傑物だったといわれている。

 

 彼は人間世界において、オカルトについて集めていたといわれているが実際は違う。

 

 奴は知っていたのだ。大半のオカルトはその根幹が実在するという、その事実に。

 

 キリスト教に代表される、聖書の教え。さらにギリシャ神話、北欧神話、各種大規模宗教。吸血鬼に妖怪妖精、さらには龍も。

 

 それらを知っていたヒトラーは、とてもやばい力を持っていた。

 

 聖書の神が作りだした、人々に宿る力、神器(セイクリッド・ギア)。その中でも、理論上は神や魔王すら殺せるとされる神滅具(ロンギヌス)

 

 その中でも最強とされる、黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)を奴は宿した。そこに宿主を渡り歩く紫炎祭主の磔台(インシネレート・アンセム)が彼を選び、あろうことか幽世の聖杯(セフィロト・グラール)を宿主から授けられる。

 

 聖遺物に由来する三つの神滅具。それはあまりに効果的で、時のローマ教皇猊下がヒトラーを肯定するような意見を出したのはそれが理由とすら言われている。

 

 ……そして、そこからのヒトラーは大躍進しすぎたのだ。

 

 ナチス・ドイツは人材を集め、異能にたけたものたちが多く来訪。

 

 魔剣や聖剣は作る。魔法を機械的に再現する技術を作る。とどめに神器がもつ大いなる最終形態、禁手の到達を人工的に獲得するべく試みる。

 

 ……結果として奴らが至ったのは、死亡率36パーセント、さらに成功者の大半が半身不随クラスの後遺症を患う、リスクが多すぎる代物だった。

 

 だが、後遺症を負うことを覚悟のうえで、神器の力で神器の量産を試みるものが発生。それによって、疑似的な神器が大量に出現して、さらに強化されていった。

 

 結果として、連合国軍は第反攻作戦であるノルマンディー上陸作戦を大敗。ソ連はモスクワに進軍される事態となった。業を煮やした米国は、試験段階だった原爆を大量生産してナチスの勢力圏に多数投下。同時タイミングで危険視した各異形勢力による奇襲もあり、第二次世界大戦は周旋する。

 

 だがこれが尾を引き、冷戦は東西米の三つ巴。それが影響した結果、ソ連は無理をしながらも長続きし、二十一世紀に入ってようやく崩れ落ちた。

 

 ……教会ですら、異能の存在を公表し、神器によって主の威光を示して世を正すべきという意見がある。最も、秘匿し続けてきた影響で犯罪者が使うことも間々あるため、それはリスクが大きいとされているが。

 

 かつての超大国は崩れ去り、日本と英国はおこぼれにあずかる形で準超大国と呼ばれながらも、おこぼれのおかげという自覚から近隣での活動に終始。さらにナチス・ドイツの負の遺産により、テロも頻発。世界各地では民間軍事会社が乱立し、権限はどんどん国際的に拡大化し続けている。

 

 そんな世界で俺は、それを思い返しながらふと思うときがある。

 

 もし、ナチスにあそこまで優秀な人材が集まらなかったら、世界はもっとましになったのだろうか? それとも、別の意味で不安に覚えることが多数存在していたのだろうか?

 

 そんなことを思いながら、俺は空を見上げる。

 

 俺は波柴ロミオ。十六歳。

 

 本当なら日本の駒王町で高校二年生になるころ、俺はイタリアの片隅でPMCの一員になっている。

 

 そしてそんな俺は、正直に言うと現実逃避をしたくてたまらなく、仕方ないので頭の片隅でこんなことを考えている。

 

 だってそうだろう?

 

「……では、話をまとめましょう」

 

 と、俺の視線の先、ストレートの黒いロングが見目麗しい女性が、ちょっと疲れた様子で話を進めている。

 

 俺たちは今、上級悪魔と交渉をしている形だ。

 

 まとめると、上級悪魔と俺たちが別の勢力と乱戦をすることになり、その過程でそもそもの原因がその連中だということが発覚。

 

 現況を倒した以上余計な死人を出したくないという意見に従い、交渉をしてそれが終わろうという形だ。

 

「いいだろう。俺たちは領地替えも踏まえ、このあたりから撤退する。代わりに奴らがもっている資産の内、純粋な金品類の八割をもらっていく。……それでいいな?」

 

「……とのことですが、よろしいですか?」

 

 と、その女性が振り返って声をかける。

 

 その対象に対し、俺ともう一人も視線を向ける。

 

「もぐもぐ……うん、いいんじゃない?」

 

 ……ドーナツを食べている二十歳ぐらいの青年。

 

 名をデュリオ・ジュズアルド。教会が誇る最強クラスの悪魔祓い(エクソシスト)。そして()()()()()の事実上のボス。

 

 ついでに言うと、正式な聖職者はこの場で彼一人だったりする。

 

「デュリオ。もっとまじめにやってください」

 

「え~? でも俺がやるより真澄姐さんがやったほうがよくない?」

 

「いや、言い出しっぺがやってくださいよ」

 

「いやいや。でも俺、そういうの苦手なんだよ、空子姐さん」

 

「だからって俺たちに任せてどうすんですか。相手もあきれてますよ、あれ」

 

「ロミオきゅんもきっついねー。……え、そんなにダメ?」

 

 俺たち全員から走力ツッコミをうけ、デュリオも軽くダメージが入っているらしい。

 

 というか、悪魔の女性たちが結構みんなしてうなづいているし。

 

「……お前たちも大変なんだな。転生悪魔にでもなってみるか? 俺から言づければ待遇もましになるぞ?」

 

 主の男も同情的な視線だった。

 

 そこに関しては丁重にお断りしつつ、とりあえず話はまとまった。

 

 どうやら、政治的な取引でこのあたりの地区を捨てる可能性がもともとあったらしい。今回の件でいろいろと面倒事もあるだろうということで、まぁ小さな町ぐらいならいいだろうという判断だったのだろう。

 

 そんなことを思いながら帰路につきつつ、俺はデュリオにジト目を向けた。

 

「ライザー・フェニックスさんでしたっけ? 彼が意外と話の分かる方でよかったですよ。気遣ってくれましたしね」

 

「え~? できる人に任せたほうがいいじゃん? ま、今日も明日からも忙しいから、ごちそう作るし勘弁してよ」

 

 デュリオがそう返すけど、そこを突かれるとちょっと許していい気になってしまう。

 

 ……うまいからなぁ、デュリオの飯。うまいもの巡りが趣味というだけでなく、それを子供に御馳走したるする程度には料理ができる。

 

 それも、外に食べに行けない子供たちに作ってあげられる奴だしな。俺たちが世話になる流れでも本当に親身になってくれたし、強く出づらいところではある。

 

「じゃ、真澄の好物でもつくってください。一番働いてるものね?」

 

「そうね……。久しぶりに日本食が食べたいわ、半年ぐらい帰ってないし」

 

 そうぼやく女性陣に、俺は言っておいたほうがいいことを言っとくべきか。

 

「……いや、俺たち明日から日本戻るんだけど?」

 

 そう、俺たちは明日から日本に向かう。

 

 ……俺の故郷、日本で三番目に原爆が落ちた地。関東、駒王町に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 悪魔、天使、堕天使。

 

 そんな存在がいると知ってから、まだ少し。

 

 俺は兵藤一誠! スケベ根性ならだれにも負けない高校二年生!

 

 いま、俺は悪魔をやってます!

 

 ……自分で言うのもなんだけど、こんなことを言ったら頭がおかしい奴扱いされるだろう。両親にも言えてないし、ダチの松田や元浜にも言えてないし。

 

 でも本当だ。俺は死に、そしてハーレムを作れる可能性がある、悪魔へと生まれ変わった。

 

 きっかけは、聖書の神様が作ったという神器(セイクリッド・ギア)

 

 俺にもそれが宿ってるんだけど、使いこなせなくて暴走してしまうと判断されたらしい。そのせいで、危険な神器保有者を各勢力から黙認されたうえで殺している堕天使に殺された。

 

 納得いかないけど、それは俺を悪魔にした主にしてオカルト研究部部長のリアス部長も納得していたから仕方ない。でも、デートに誘ってそのあとに殺すって、ちょっとひどくない? プラトニックで終わってるんだけど、ベッドインとまではいわなくて生乳ぐらいもませてくれよ……。

 

 しかも悪魔になったはいいけれど、なんかめちゃくちゃ弱いみたいだし。悪魔稼業で使う転移魔方陣、子供の悪魔でも使えるってのに俺は使えないし。だからチャリだし。

 

 にしても、ミルたんは怖かった。魔法少女の格好をした、ボディビルダーもびっくりな筋骨隆々の漢の娘。アニメは面白かったけど、結局依頼はこなせなかったし。

 

 ……ただ、その後が怖かったな。

 

 朝までアニメを見て帰った時、シスターを見つけて近くの教会まで送ってあげたけど、寒気を感じたよ。

 

 ま、冷静に考えると悪魔が教会に入るとかアレだしな。お礼をしたがっていたけど、さすがにそこは断ったし。

 

 しっかし教会かぁ。そういや、知り合いに昔クリスチャンがいたような気がするなぁ。

 

 そう思っていると、前から三人ぐらいの男女が歩いていた。

 

 二十歳前半ぐらいのお姉さんが二人に、俺と同じぐらいの男が一人。

 

 両手に花かよ。ケッ! モテる男はうらやましいねぇ!

 

 俺が不機嫌になってると、その男は俺のほうを見てなんか首をかしげてきた。

 

 あ、敵意が見え見えだったか? 変に揉めると、リアス部長に迷惑がかかるし―

 

「なぁ、あんたどっかであったことないか?」

 

 ―と、そいつが俺に妙なことを言ってきた。

 

 ん、ん~?

 

「両手に花の恨めしい奴なんかに心当たりないけど?」

 

「煩悩にまみれすぎだろ。いや、そうじゃなくてな」

 

 と、そいつはちょっと首をひねりながら、言葉を選んでる感じだった。

 

「実は小学二年の夏に入る前に、ここを離れててな。幼稚園か小学校で縁がなかったか?」

 

 小学二年に転校した奴……あ。

 

 思い出した。そういえば、ものすごく印象に残ってるやつが一人いた。

 

「えっと、お前もしかして、波柴か?」

 

 一人いたんだ。ちょうどそのころに転校していった、クラスメイトが。

 

 確か、波柴ロミオ。お母さんが医者だったって話だっけ?

 

「そうか波柴か! 俺だよ、兵藤一誠!」

 

「兵藤か! あの時は本当に世話になったなぁ!」

 

 思わずちょっとはしゃぐけど、そっか……帰ってきたのか。

 

「……お友達なの?」

 

「ああ、ある意味で恩人だな」

 

 後ろのお姉さんにそう答えた後、波柴は俺のほうを見ると両手で手を握ってきた。

 

「……本当に、ありがとう。あの頃は俺も結構キツかったけど、周りのうっさいのが本当に嫌だったからな。一発かましてくれて助かったよ」

 

「あれはひどかったよなぁ。お母さんを亡くしたばかりの奴に、よくあんなこと言えたもんだぜ」

 

 引っ越した理由が装かは知らないけど、波柴は一年の冬にお母さんを亡くしている。

 

 確か殺されたとかって話だと思うけど、その辺はあいまいだ。ただ、そのあと嫌がらせを受けたりしてたんだよなぁ。

 

 ……隣の席だったから、我慢できずにそいつらに怒鳴ったんだよ。思えば、あれが生まれて初めての喧嘩かもな。

 

 ま、そいつらも家族にこっぴどく怒られたり、友人の家族が動いたりですぐ収まったけど。だからまぁ、大したことはしてないしな。

 

 ま、そんな短い間だけど俺たちはちょっと友達だった。

 

 友達だったけど……。

 

「にしてもなぁ? お前、こんな時間にきれいなお姉さんを二人も覇ベラ貸すとか言いご身分だなぁ、おい?」

 

「まて兵藤。割とマジでいたい」

 

 おっと。悪魔の高い身体能力がもれちまったぜ。

 

「けっ! モテない男にモテモテな姿を見せたお前が悪いっての。……ま、変な奴に付きまとわれるよりはましだろうけどさ?」

 

「……最後のところだけ見せとけばいいだろうに。ま、それはともかく紹介する―」

 

 と、波柴が俺にお姉さんたちを紹介しようとした時だった。

 

「……あれ? 兵藤君に……どこかであったような……?」

 

 素っ頓狂な声がしたので、俺たちはそっちに視線を向けてしまう。

 

 そこにいたのは、黒髪をツインテールにした女の子。

 

 都市は俺と同じぐらいだけど、ちょっとしゃれたデザインの青が多い制服を着て……あ!

 

明士(あかし)じゃん!」

 

 俺は久々に見た顔に、大きな声をあげちゃったよ。

 

 と、波柴も俺の言葉で思い出した感じに目を開いている。

 

 そっか。むしろ波柴のほうが付き合いはあったよな。

 

「……明士って、明士龍華(あかし りゅうか)か!?」

 

「え、もしかして……波柴くん!? 嘘、え、本当に!?」

 

 明士龍華。俺や波柴と同じ小学校だった女の子だ。

 

 ちょっと離れたところの道場を経営している親がいて、小さいころから強かったなぁ。

 

 俺は中学までは一緒だったけど、確か高校は全寮制のはずなのに、なんでここにいるんだろ?

 

「お前、高校はどうしたんだよ? 俺と違って遠いだろ?」

 

「あ……まぁ、ちょっと会って休校中というかなんというか」

 

 なんか妙な感じで龍華は視線をそらしたけど、なんかあったのかな?

 

 ……ま、俺もそんなことは言えないんだけど。

 

 っていうか、そろそろ遅刻するぞコレ。

 

「悪い! 俺もそろそろ遅刻しそうだから……」

 

「あ、そっか。確か兵藤君って駒王学園だったよね。結構離れてるけど、大丈夫? 連れに頼んで車出してもらおっか?」

 

 龍華が気を使ってくれるけど、さすがにそんなことしてもらうわけにはいかないな。

 

 悪魔になって身体能力も高くなってるし、ま、間に合うだろ。

 

「大丈夫、いろいろあって鍛えてるんでな。……ま、もうちょっと話したかったけどよ」

 

「……そうか。俺もちょっと、移動しないといけない用事があるしちょうどいいのか?」

 

 波柴もそういうけど、さすがにちょっと名残惜しそうだ。

 

 明士とも疎遠だったし、波柴に至っては何年も帰ってなかったろうし……あ!

 

「じゃ、とりあえず電話番号だけ交換しようぜ? それなら数分もかからねえだろ?」

 

「あ、いいねそれ! ほら、波柴君も」

 

「ん~……ま、それぐらいなら大丈夫か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして電話番号だけ交換して、俺たちはお互いの用事でいったん分かれた。

 

 いやぁ、こんなタイミングじゃなかったら、一緒のハンバーガーでも食べながら話した感だけどなぁ。

 

 ま、仕方ないか!

 

 電話番号も交換したし、まぁ何とかなるだろ!

 

 週末ぐらいに電話して、久しぶりにちょっとだべるか。松田や元浜も呼ぶとするかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兵藤一誠や波柴ロミオと別れ、明士龍華は小さくため息をつく。

 

 ……数か月ぶりにこの町に戻ってきた。いな、戻ってきてしまったというべきか。

 

 本来なら、彼女はもうこの町に戻ってくることはなかった。()()がそれを避けるしかない。

 

 だが、生まれ故郷がこの町であるがゆえに、自分はこの町に派遣された。

 

 ……警戒するべき内情を探るため、そして問題を解決するため。

 

 それを思い起こし、彼女は教会へと足を踏み入れる。

 

 そのうえで出てきた者たちに、龍華は小さく微笑んだ。

 

「レイナーレ様はおられますか? 私は————から代理として派遣された、明士龍華というものです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、小さな出来事に留まらない。

 

 聖書に深くかかわる三大勢力。

 

 天使・悪魔・堕天使。その三大勢力が……いな、世界全土の異形勢力が和平を推し進めることになる、小さなきっかけ。

 

 そして、世界の命運を左右する大きな戦いの小さな予兆が始まろうとしていた。

 

 

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