自分の事が大嫌いな少年と彼の事が大好きな皆   作:いもけんぴ。

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tips!
本作の主人公である鳳瑠 マガト。前世ではブルアカプレイヤーだった。原作の記憶は殆ど無い。転生当時は覚えていたが、徐々に記憶が薄れていき、今では朧気に大筋を覚えているだけ


邂逅

 

 

 今日は連邦生徒会本部にまで向かっている。最近不良生徒の銃などの所持率が異様に増えているからだ。いつか声明が出されると思っていたが、一向に無い。今日で何か聞ければと思っているが。

 

 そんな思惑の元、連邦生徒会本部のエントランスまで辿り着いた。そのまま受け付けへと話しかける。

 

「すみません」

 

「はい? あ、マガトさんですか。先日の連絡通りの時間ですね」

 

「うん。リンは居るかな?」

 

「リン首席行政官でしたら……今はロビーでお客人のご案内をしているみたいですね。申し訳ありませんが、レセプションルームでお待ち頂けますか?」

 

「分かった。ありがとうね」

 

 受け付け担当の生徒の言う通りにレセプションルームへと向かう。

 

 部屋の前まで行けば、中から話し声、というより叫び声の様なものも聞こえてくる。その中には、リンの声もあった。

 

(? もう居るのか? お客人の相手は、まあ良いか。本人に聞こう)

 

 ドアノブに手をかけ、その扉を開ける。

 

 中に居たのは、6人の人間。その全員がこちらに目線を向けてきた。

 

 内の、こちらに笑顔を向けてきた5人は知っている。

 だが、だが。見知らぬ大人の女性が居る。……大人の女性だ。

 

 まさか、来たのか? 

 

「はっ……! マガトさん!? っ私とした事が、時間を忘れていた様ですね。申し訳ありません」

 

 6人の内の1人、リンがこちらに向かって頭を下げてくる。

 

「いや、気にしないで良いよ。……それで、そちらの女性は?」

 

 内心の動揺を隠し、あくまで冷静にリンに問いかける

 

「ああ、こちらの方は、本日よりキヴォトスに着任した先生です」

 

 先生。口の中で、何度もその単語を噛み締める。先を生きる者、先へと導く者。数多の生徒たちの味方であり、この世界の主人公。

 

「……マガトさん?」

 

「っ! ……あ、ああ。大丈夫。先生、でしたか。よろしくお願いします。鳳瑠マガトと言います」

 

「うん。よろしくね」

 

 そう、か。彼女が来たという事は、物語が動き出すのだろう。もう十数年前の事で、記憶が朧げになっているが、これだけは直感的に理解した。

 

 ───僕はもうすぐ必要無くなる。

 

 僕は彼女の紛い物。なら、本物の彼女がここに来た瞬間、僕の価値は無い。

 

 そうか、そうか。

 

「───トさん。マガトさん!」

 

「っ……ど、どうかしたかな? ユウカ」

 

 ボーッとしていた様で、僕に話しかけてきたユウカの声で意識が引き戻された。

 

「いえ、その。本当に大丈夫ですか? さっきから調子が良くない様に見えますが」

 

「う、うん。大丈夫大丈夫」

 

「───先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の顧問としてこちらに来ることになりました」

 

「連邦捜査部シャーレ。その部室の地下に、連邦生徒会長の命令で『とある物』を持ち込んでいます。先生を、そこにお連れしなければなりません。……モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……」

 

『シャーレ? ああ、外郭地区の。あそこ今、大騒ぎになっているけど……あ、マガト先輩だ。やっほー』

 

「やあ、モモカ。相変わらずお菓子ばかり食べて、健康にはあまり宜しくないよ?」

 

「やだなー、そんな硬いこと言わないでよ」

 

「……まあ良いよ。それで、シャーレがどうしたって?」

 

「あ、そうそう。あそこ今ね───」

 

 モモカが語るには、シャーレの部室前には、不良生徒が屯しており、とてもじゃないがヘリを出せる状況では無いらしい。しかもその不良生徒達の動きが、まるでシャーレの地下に何か大事な物があると理解している様な動きらしい。

 そこまで伝えたモモカは、デリバリーを取りに通話を切った。相変わらずだなぁ。

 

「……」

 

「リン? 大丈夫?」

 

「ふぅ……。だ、大丈夫です。それに、丁度ここには、各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので。キヴォトスの正常化の為に、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です」

 

 リンは、僕と先生を除く四人を見渡し、そう言った後、僕に視線を向けてくる。

 

「……申し訳ありません。マガトさん。あちらの方々とは違い、しっかりとした手続きをされていた貴方にもご迷惑をおかけして」

 

 申し訳なさそうな態度は崩さずに、他の四人に毒を吐くリン。流石だなと思い、少し苦笑してしまう。

 

「いや、気にしないで良いよ。それより、色々大変そうだし、僕も手伝おうか? 人手は多い方が良いだろう?」

 

「──ありがとうございます」

 

 僕の言葉に、目をパチクリとさせた後、微笑みながらお礼を言ってくるリン。

 ……やめてくれ。その顔は僕に向けて良いものじゃないんだ。君がその感情を見せるべき人間は、既に君の隣に居る。

 

「では、行きましょうか」

 

「え? い、行くって何処に?」

 

 ユウカの言葉を無視し、何処かへと歩いていくリン。残された僕達は、顔を見合せ、一先ず彼女の後を追う事にした。

 

 彼女を追いかけている途中、ハスミがこちらに話しかけてくる。

 

「二ヶ月ぶりですね、マガトさん」

 

「そんなに経ってるっけ? まあ、ハスミも元気そうで良かったよ」

 

「……失礼ですが、何か悩み事でも?」

 

「? いや、特には無いけど」

 

「そうですか。何かあったら相談して下さい。それと、一度トリニティにも来て頂けませんか? ツルギも待っているので」

 

「そっか、うん。近い内に行かせてもらうよ」

 

「ありがとうございます」

 

 ハスミとの話を終えると、他の3人も近付いてきた

 

「あ、あの! ミレニアムにも来てくれませんか? 皆待って───」

 

「ゲヘナにも是非。風紀委員会も歓迎───」

 

「トリニティに来た際には、是非自警団の方にも───」

 

「「「「……」」」」

 

 各々の言いたい事を言おうとした結果、タイミングが完全に被ってしまい、四人は目を合わせ、見つめ合ったまま動かない。……なんか気まずいな。

 

「あ、あー。まあ、とりあえず何処の学園にも顔は出そうかな。最近行けてないし」

 

 と、僕が言うと、四人はこちらを向いた後、もう一度だけ見つめ合い、全員がため息をついて目線を前に向けた。ギリギリセーフ。

 

「ふふ、みんな仲が良さそうだね? 君は特に。色んな子と仲が良さそうだ」

 

 ふと、隣に居た先生が楽しそうに声をかけてきた。

 

「あはは、どうなんでしょうね」

 

「あれ、違うの?」

 

「悪くは無いと思いますが、彼女達がどう思っているかは分かりませんよ」

 

「うーん? そっか?」

 

 先生は頭を捻りながらも前を向いた。まだ何か考えている様だが。

 

 ……まあ良いか。とりあえず今はリンを追おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








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