家入の元に補助監督達を届け、夏油はすぐに渋谷駅へ向かう。
強大な呪力の迸り。大技を繰り出す時特有の術の『起こり』に間違いないはずだ。五条がいない今、それだけの技を繰り出せるのは、敵側の特級呪霊の可能性が高い。急がなければ。
広がった空間にはどこか潮の香りが漂っていた。その中に、丸い外殻で区切られた領域が鎮座している。
見知らぬ呪力、間違いなく味方の領域ではないだろう。
その目の前に生徒の姿を見つけ、夏油は声を掛ける。
「恵!」
「夏油先生……!」
多少擦り傷などはあるものの、大きく負傷した様子のない伏黒の姿に夏油は胸を撫で下ろす。
そして、眼前に広がる黒い塊に目を向ける。伏黒も横目でそれを見た。
「誰が中に?」
「分かりません……でも、確かこの辺は真希さん達の班が近かったはずです」
「まずいな……」
御三家当主である直毘人はともかく、真希は領域に対抗する術を持たない。
覚悟を決めたように、伏黒は呪力を練り始める。
「俺が中に入って、領域の押し合いをします。まだどれだけ強敵がいるかわからない。夏油先生は温存するべきです」
「恵、それもいいけど……悠仁が死んだフリをしていた頃の話は聞いたかい?」
「え? いえ、あまり詳しくは……」
急に話題が飛んだことに伏黒は一瞬気が散り、練っていた呪力が霧散した。
「領域というのは、閉じ込めた者を逃さないために内側からの攻撃にすこぶる強い。その代わりに、外側からの攻撃には弱いんだ。だから──」
夏油は武器庫呪霊からあるものを取り出し、構える。
──特級呪具『游雲』。本来なら禪院家に所有権があるが、夏油は上に報告せずにこっそり懐に入れていた。
特級にも関わらず、何の特殊効果も持たない游雲の威力は振るうものの膂力に大きく左右される。
夏油の鍛えられた肉体と呪力効果により振るわれた三節棍が結界の縁にぶつかると、その表面に微かなヒビが入った。
「結界を維持できなくなるまで、外側から力を加え続けるのも、また有効な手段の1つだよ」
夏油は何度も游雲を叩き込む。まるで鍛冶場にいるように、硬いもの同士がぶつかり合う音が響く。微量な亀裂は広がっていき、やがて全体へと至る。
その隙間から漏れた光はどんどんと増していき──音を立てて結界は崩れ落ちた。中にいたものは問答無用で外の世界へと吐き出される。
比較的軽症の真希、片腕を失った直毘人、血塗れで左半身を負傷した七海。
「げえっ、傑!」
「人の顔を見てそれかい。これだから困るよ」
「助かりました、夏油さん」
「で、まだアレは生きているぞ」
そして、領域の主であろう真っ赤な体色のタコのような特級呪霊──陀艮。
術式が一時的に焼き切れているが、それまでに出していた式神は未だ存在しており、術師たちに牙を向く。
だが、間に立つ夏油と伏黒によって、必中効果の失われた怪魚たちはあっという間に祓われていった。
「貴様が……夏油傑か」
「私の名前を知っているのかい? 光栄だね」
「花御を……花御を返せ!!」
脳裏によぎるは花の香り。生命を感じるその芳香が好きだった。心優しい呪霊は、今もこの男に囚われたままだ。
漏瑚がその激情を発露させるように頭の噴火口からも、耳からも火を噴いた。
真人が薄ら笑いを浮かべながらも、その瞳の奥は少しも笑っていなかった。
那由多が泣いていた。お互いを慰めるように、くっつきあって2人で涙を零した。
呪霊には名前がある。感情もある。悲しみ、楽しみ、怒り。そして、仲間を思う気持ちもあるのだ。
それを踏み躙るように、夏油は笑う。
「返すことはできないね。だけど、そんなに会いたいのなら──会わせてあげようじゃないか」
手を翳す。空間が黒く歪み、そこから這い出してきたのは、紛れもなく陀艮の仲間だ。
「花御!!」
「やれ」
「──領域展開『朶頤光海』」
3人だけを包み込む結界。
残された者達は、怪我の具合を確かめて応急処置を始める。
「おいジジイ、どうすんだよ。腕取れちまってんじゃねえか」
「俺もそろそろ引退するかな。五条悟が封印されてるなら丁度良い」
「すみません七海さん。『円鹿』を調伏できていれば治療ができたのに……」
「ないものねだりをしたって仕方がありません。命に関わるものではありませんので、早く地下に向かいましょう」
「…………いや、結構な怪我に見えますけど……」
誰もが、その存在に気付かない。暴力の化身は音もなく、気配もなく、忍び寄る。
すぐ側に男が近付いたとき、ようやくそこに誰かが立っていることに気付いた。
「は、新手!?」
「その顔……甚爾か!!」
男の目には理性というものが欠如しているように見えた。獰猛な獣のように、1人ずつその場の術師を眺める。
敵か、味方か。どちらとも判断できず、警戒体制を解けない。
自身のなり損ない、片腕のない爺、傷だらけの男。一瞬それらに視線を向けたあと、すぐに外す。
男は音もなく伏黒の前に立ち──消えた。遅れて、ガラスの砕け散る音が鳴り響く。
「恵!!」
身体能力に優れた真希でさえも、一切男の動きを追うことが出来なかった。
そして、彼女らの元に新たな敵が迫りつつあった。
花御の領域の中。花が咲き乱れ、雲ひとつない青空が広がっている。暖かな陽の光を受けて、花びらについた露が光り輝いた。
戦意を削ぐ美しい光景に、陀艮は手を強く握り締め、正気を保とうとする。
「どれだけ、我らを愚弄すれば気がすむのだ……!」
「陀艮、陀艮……」
「中途半端に意思が残っているのも考えものだね。これじゃあ私が悪役みたいじゃないか」
やれやれ、とおどけるように肩を竦める夏油。彼目掛けて陀艮は怒りのまま、式神を吐き出す。それは全て、伸びてきた木の根に貫かれた。
ここはもう陀艮の領域内ではない。無尽蔵の式神の必中効果は切れている。呪力も先程かなり消費した。
どう足掻いても、目の前の男の命に手を掛けられるビジョンが浮かばない。だが、呪いとしての矜恃が彼を奮い立たせる。
四方から迫り来る木が陀艮を串刺しにする。避ける間もない、領域に付与された術式は
陀艮は無理矢理それを引っこ抜く。花畑に鮮血が散る。傷口を呪力で塞ぎ、海水を呼び出す。
水は渦巻き、陀艮を守るように周囲を囲う。襲い来る植物はこれで対応出来る。
わざわざ領域内に入ってきたのだ。陀艮が狙うのは花御ではなく夏油。
陀艮が掌を動かすと、周りに浮いていた水球が形を変え、夏油へと襲いかかる。
低級呪霊を盾にすれば、それは真っ二つに切り裂かれる。貫通して彼の頬に赤い一線が走った。
「……ウォーターカッターのようなものか」
指で垂れる血を拭い、夏油は飛んでくる水飛沫を游雲で打ち消す。甲高い金属音が自然溢れる領域に何度も反響する。
水の刃による猛攻が途切れると同時に陀艮は飛び上がり、巨大な水の塊を呼び、地へ放つ。花も木も、等しく海の底へと沈んでいく。
夏油は飛行できる呪霊に飛び乗り、水面から尖った歯を剥き出しにして喰らいつく怪魚をひたすら避ける。
そして、滞空したままの陀艮に三節棍を振り下ろした。地面へと落ちていく陀艮。
──重い! だが、耐えられないほどでは────
「花御、しっかり狙うんだよ」
「……く、避けてください!」
海水は植物たちに吸い上げられすでに潮は引いている。剥き出しになった地の底には──枯れ果てた花の残骸。その生命力は、すでに花御の肩に咲く『供花』へと吸い取られていた。
太陽の恵を一身に受けたような暖かな光が収束し、陀艮の急所へと狙いを定める。生命を生み出すその胎に、生命を呪力に変換した光の柱が突き立てられた。まさしく──必中必殺の一撃。
「ま、まだ……だ……」
「いいや、終わりだよ」
陀艮の上半身と下半身は分たれ、辺りには焼き焦げた匂いが立ち込める。ずる、と腕だけで這ってでも進もうとする呪霊に、夏油は一歩近付いた。
その手を掲げれば、満身創痍の呪霊は掌へ引き摺り込まれていく。
何故自身も危険を冒してまで領域内に入ったのか。その答え合わせが始まっていた。
「やめ──」
腕が、ちぎれた下半身が、頭が、無理矢理折り畳まれるようにぐちゃぐちゃに丸められる。夏油は丹精込めて特級呪霊を捏ね、一つの黒い球体を作り上げた。
満ちる呪力が怪しげに光る呪霊玉を、口に押し込み、喉へと通す。磯臭さと吐瀉物のような風味が混じり合い、その味は筆舌に尽くしがたい。
「……久々に口にしたけど、あいかわらず酷い味だ」
夏油は袂から小さな飴玉を取り出して、口内で転がす。そして、花御に領域を解除させて外へ出た。
煤けた壁や床、人の焼けた嫌な匂い、床に崩れ落ちる3つの肉塊。中心に立つ呪力の塊。
「……報告にあった火山頭、だね」
「貴様が夏油傑だな。花御、……陀艮もか。待っておれ、すぐに解放してやる」
その光景を、極小の下級呪霊が見ていた。
今日はタコパの日。一昨日テレビで見たたこ焼きが食べたくなった五条が本家に連絡したらしく、すぐにあっち側からクソデカいホットプレートと、たこ焼きなんかに使っていいのか分からない高級そうな蛸が送られてきた。
この中に関西出身の人間はいないけど、私はなんとなく作り方が分かるので、キリを器用に動かして真ん丸のたこ焼きをひたすら生産する。
「なんでそんなに上手いの? 実は関西出身だったり?」
「違うよ。でもなんか出来るわ……」
真ん丸のたこ焼きを皿に盛ると、重力に負けて少しずつ楕円状に歪んでいく。外側には香ばしい焼き目が、内部は糊化してとろとろアツアツのたこ焼きの出来上がり。
私は山のように積み上がったたこ焼きの一角を崩すように爪楊枝でひとつ刺す。夏油と硝子も同じく。
「…………」
湯気が立つ粉物を、なぜか私は口に入れることができずに固まっていた。
「おい、食わねぇなら俺がもらうぞ」
「え? ……あっ」
五条は私の腕を掴んで、爪楊枝の先に刺さったまま空に浮いていたたこ焼きを口に入れた。
多分まだ中めちゃくちゃ熱いと思うけど。
「〜〜ッ!!」
「流石に食べ物には自慢の無下限も形無しだね。悟、ほら水飲んで」
「もう、人のもの勝手に食べるからだよ」
口内を思い切り火傷したらしく悶絶する五条に、夏油は呆れながらもその辺にあった氷をたっぷり入れたグラスを差し出す。受け取って五条は一息でそれを飲み干した。
「あれ? ここに置いてた私のグラスは?」
「……げ、アレ硝子のだったのかい。中身は……」
「芋の水割り」
恐る恐る、隣に座っていた五条を見る。
あ、だめだ。完全に目が据わっているし、顔も全体的に真っ赤だ。終わった。
ああ、とかうう、とか言葉にならない呻き声をあげながら、奴はこちらに凭れかかってくる。
「重い!!」
「うわ……」
硝子の引き気味な声が聞こえた。
190cmもあって、筋肉もついた男が重くないわけがない。このままだと押しつぶされる!
肘で胸板をどついても、全く退く気配がない。というか無下限はどうした無下限は。
「ちょ、夏油! この馬鹿さっさとどかせ!」
「……あとでね」
「はああぁぁ!?」
夏油は携帯を構え、あろうことか写真を撮り始めた。類は友を呼ぶ。クズの親友はクズなのだ。
乗っかってきた五条は腕を動かし、私の顔をベタベタと触る。アルコールが回って体温も上がっているらしく、肌を這う掌は熱を持っていた。
「オマエ、つめたいな……きもち……」
「冷え性で悪かったな!」
「まじでつめたすぎねぇ? 死体みてぇ……」
「デリカシーッ!!」
「あれって酔っ払いを言い訳にやりたいことやってるだけなんじゃね?」
「いや、どうかな……流石に……」
ぎゃあぎゃあと騒いでいるうちに満足したのか、ようやく夏油が五条を引き剥がしてくれた。
暴れ回っているうちに酔いが悪い方向に向かったようで、五条の顔色は赤から青に変わっている。これ、吐くんじゃないか?
「部屋に連行してくるよ。いやぁ、悪いね」
「思ってないでしょ。硝子、飲み直そ」
「いいよ〜」
硝子としばらく2人で飲み続けて、その日は解散。夏油は五条の介抱でもしてるのか、戻ってこなかった。
軽い酩酊状態のまま後片付けをして、2人で女子寮まで帰る。たこ焼きは余ったので冷蔵庫に突っ込んでおく。
風呂に入る気力も湧かなくて、そのまんま布団に飛び込んだ。瞼が重い。数分も経たないうちに私は寝入ってしまった。
夢の中で、私は高専じゃない別の場所にいた。
美しい花畑にいると思ったら、大海原に立っていたり、山の中の温泉に浸かってると思ったら、人混みに放り出されたり。
どうしてだろう。見たことのない景色のはずなのに、酷く懐かしい気がした。
目を覚ます。酒のせいで眠りが浅かったみたいで、窓の外はまだ真っ暗だ。
口を開けたまま寝ていたのか、喉が酷く渇いていた。冷蔵庫の水はタイミング悪く切れていた。手間だが、共同キッチンまで行かなくては。
こんな時間だ。誰もいない、静寂に包まれた寮には私がペタペタとスリッパで歩く足音しか聞こえない。
キッチンの冷蔵庫を開けて、新品のミネラルウォーターをコップに注いで喉を潤す。
心臓が痛い。夢のせいだろうか。少しも怖くない、悪夢なんかじゃなかったのに、あれは私の心を掻き乱していた。
──いかなくては。どこに? 分からない。
でも、私の居場所はここではないはずだ。
行き先の検討もつかないまま、外へと向かう。足に張り付く薄いスリッパが鬱陶しくて、その辺に放り捨てた。
コンクリートの冷たい感覚がむき出しになった足裏を襲う。それでも、私は駆け出していた。
寮の玄関をくぐろうとしたところで、腕を強く引かれて、身体が後ろへと傾きそうになる。
「おい、こんな時間にどこいくんだよ」
「五条?」
顔を後ろに向ける。酔いは冷めたのか、平時と変わらない顔色の男が私の腕を掴んでいた。
「ごめん、私……いかなくちゃ」
「は? どこに?」
「……分かん、ない」
五条の腕を解こうとすると、奴はもう片方の腕も伸ばして私を後ろから抱きしめた。熱い。彼の体温が、冷たい私の身体に流れ込んでくるようだ。
「いくな」
「い、いかなくちゃだめなの!」
もがけばもがくほど、彼は私の胴体に回す腕の力を強める。
「頼む、いくな。──
「──やめろっ!」
私は力を込めて五条の腕を振り払う。
刹那? いや、違う。私はそうじゃない。
一対の青い瞳が私を見据える。内臓を暴かれているような不快感に襲われて、寒気がする。
気付けば、逃げていた。
綺麗に整備された人工的な地面じゃない、自然の大地に足をつける。砂利や小石が足裏を傷つけ、伸びた木の根や草が足首を切り裂く。
息が上がる。必死に走る。ただただ、当てもなくどこかへ向かう。
「っ! ……い、た……え?」
急に足に鈍い痛みが走って、私は崩れ落ちた。下半身に目を向ければ、何かに押し潰されたように足がひしゃげている。血が滲み、骨が砕け、一部が肌を裂いて露出していた。
こんなんじゃ立てない。それでも、私は進もうと、腕で匍匐前進のようにして進む。
「う゛……ぁ、ああ……なん、で……?」
そうすると、腕も、足と同じようにぐちゃぐちゃになっていく。血に染まり、形の歪んだ手足はもう私の思う通りには動かない。
痛い。痛い。身体を捻って、私は必死に進もうとする。いかなくては。いかなくては。
だら、と頭から血が流れる。締め付けられるように、頭蓋骨が軋む。痛い、頭が痛い。視界が赤に満ちていく。
「さて、もういいかな?」
頭上から落ちてきた声。私はこの声を知っている。
頭を上げて、その声の主を見上げた。
「……けん、じゃく」
「──
私よりも年嵩の女。その額に伸びる傷。
彼女はこちらに手を伸ばす。その前に、私の身体がひとりでに動き、小刀で喉を引き裂いた。
どくどくと流れていく血が、地面と身体を汚していく。
彼女は頭の縫合を解き、脳を露出させる。私の頭も開き、そこにあったはずの肉塊を捨て、自身のものを移植した。
視界が歪み、私は何もない空間に1人立っていた。
流れ込んできた暖かな青い春と、鮮烈な今際の記憶が私の心を侵していく。
そうか、私が失っていた記憶はこれだったのか。
──虚枝刹那。それが元の名前。
「ふ、……あは、あははっ」
でも、もうそんなの必要ないよね。だって私は新しい名を手に入れたんだから。
『呪術において、名前というのは非常に重要な意味を持つ』
身体を乗っ取ったくせに妙に親切な態度だった人間の言葉を思い出す。
真人から与えられた『那由多』という名前。あの時からすでに、私は元の形から変容していたのだ。
本来の肉体から流れ込む記憶を基にして、虚枝刹那の欠片は完全な姿──生前と同じ形へ戻ろうとする。
彼女は人間側に立ちたいんだから、呪いの本能なんて邪魔だろう。だから、私を押さえこもうと躍起になっていた。
「記憶を取り戻せば、私がオマエに負けるとでも思ってたの? 見当違いだね、考えが甘いんだよ!」
この肉体の中には今、
もしかすると、真人と会う前や順平を殺す前ならあるいは、とは思わないこともないけれど。
暗闇の床から、魂の残り滓が這い上がってくる。傷ひとつないその細い首を思い切り締め上げた。
「私は紛れもなくオマエから生まれた。それは認めてあげる」
手の中の命は苦しそうに喘ぐ。それすらも、呪いの本能が強く疼くきっかけにしかならない。
「でも、親から一人立ちするのも必要なことじゃない? だからさあ、私にもう干渉しないでね。大人しく死んどいてよ、死人らしくさぁ!」
それの顔は赤くなったと思ったら、少しずつ暗い赤紫色に鬱血していく。手に込める力は絶対に緩めない。
「……私、オマエの言うことなんて聞いてあげないよ。羂索は殺さないし、夏油傑は殺してみせるんだから」
「……っ!!」
「あ、嫌だった? でもオマエが悪いんだよ? 呪術師のくせに、呪いになんて縋るから!」
私の言葉を聞いて、首を絞められたままの女はジタバタと抵抗し始める。その姿に、どうしようもなく笑いが込み上げてくる。
「それじゃあ……さようなら」
骨の折れる感覚が手に響く。ああ、これで2回目だ。困ったな、すごく楽しい。
虚枝刹那の残滓は魂の底の底へ沈んでいく。
私は今、本当の意味で目を覚ました。自分を縛る理性を断ち切って、この世に生み直されたのだ。
さあ、仲間の元へいかなくては。
・しめりけ√
本能と理性が拮抗中。
人にも呪いにもなれないままずっと燻り続ける。
夏油に「花御と陀艮を解放してください」と土下座する那由多が見れるのはここだけ!
・だいばくはつ√
本能が理性を飲み込み大暴走中。
どけ!!!私は呪いだぞ!!!!!
・理性が本能を抑え込む√
そこになければないですね。
那由多の明日はどっちだ
-
しめりけ
-
だいばくはつ