紫電奔る   作:浜騎士

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よぉ!!俺はコガネ!!

鹿紫雲が乙骨と戦闘を行う2時間ほど前、渋谷駅の瓦礫の下から一人の男とパンダがゆっくりと立ち上がる。

 

「死ぬかと思ったぜ…」

 

「おいーす、日下部、生きてるなー」

 

羂索との絶望的な戦闘からなんとか生還した二人は、渋谷駅跡地をフラフラとしながら歩く。

爆心地の如くクレーターを歩き続け、数時間、補助監督と合流を果たし、家入硝子の治療を受ける。

骨が複数折れ、ヒビが入っており内臓をいくつか破裂寸前、パンダに至っては人間が二回死んだくらいまでのダメージを受けていた。

生きているのもパンダの特異性によるものであった。

 

「伝える事がある。夏油傑…、いや、羂索という男についてだ」

 

 

パチリと目が覚める。乙骨との闘いから数十分が経過していた。

 

「あん?」

 

鹿紫雲が即座に立ち上がり目の前の男を見た。乙骨と目が合う。

想定は当たっていたらしい。やはり殺す気は無かった。あれは模擬戦だ。殺す気でやった模擬戦。鹿紫雲はそう思いながら負けた事実を噛み砕き、飲み込む。

彼は立ち上がり、構えようと震脚した。

 

「ちょっと待って待って」

 

ズンッ!と足で地面を踏みつける。ぎゅむと何かを踏みつけた。

 

「あ?」

 

「い、虎杖くんが…」

 

虎杖悠仁の腹を鹿紫雲の震脚が突き刺さった。

虎杖の二度目の死が目前だったかもしれない。

 

 

腹を抑える虎杖に途中からやってきた伏黒、乙骨を含め3人がウダウダと殺しただの救えなかっただのなんだの言っていた現場を尻目に、カップ焼きそばを啜る。ソースの濃い味とジャンキーさが質素な鹿紫雲の舌を刺激した。

彼らの口論が終わる。

 

「で、どうなってんだよこれは」

 

乙骨へとメンチを切りながら鹿紫雲は現状の説明を求めた。

渋谷での一件が終わり、五条悟の封印による一部の上層部の暴走により、様々な命令が下ったと乙骨は話した。

 

呪術総監部より通達。

一、夏油傑生存の事実を確認。同人に対し再度の死刑を宣告する。

二、五条悟を渋谷事変共同正犯とし、呪術界から永久追放。かつ封印を解く行為も罪と決定する。

三、夜蛾正道を五条悟と夏油傑を唆し、渋谷事変を起こしたとして死罪を認定する。

四、虎杖悠仁の死刑執行猶予を取り消し、速やかな死刑の執行を決定する。

五、虎杖悠仁の死刑執行役として、特級呪術師乙骨憂太を任命する。

 

「そこに色々と追記があってね。鹿紫雲さんや他の五条さんが匿ってた人にも五条悟解放の兆しがあるとして拘束、抵抗する場合は処刑が許可されてたんだ。鹿紫雲さんは別に殺さなくても良かったけどあの戦闘、本気でやり合ったら僕も鹿紫雲さんも下手な体力を使うし、別に戦いは好きじゃないから手っ取り早く騙し討ちさせてもらったんです」

 

乙骨がそう話す。渋谷での一件が終わり、たかだか9時間程度、事態は急変していた。

 

「この通達には矛盾があって、まるで五条さんを悪だと決めつけている派閥…つまり偽物の夏油さんね。それと真っ向から対立してる派閥がある。そこに僕はつけ入って虎杖くんの死刑に挙手したんだ」

 

「成程な。呪術師同士のいざこざね。別にどの時代でもやってるもんだろ?俺が聞きたいのはアレだ」

 

鹿紫雲が指を刺した先は、断絶された黒壁のような結界、伏黒と乙骨はそれを見て二人にその結界の名を告げる。

 

「死滅回游」

 

「加茂憲倫が仕組んだ呪術を与えられた者達の殺し合いのゲームだ」

 

鹿紫雲、虎杖は目を見開く。両者共に、言葉は違えど答えを返した。

 

俺はどうすればいい?(楽しそうじゃねえか)

 

乙骨は好戦的な鹿紫雲にため息を吐き、呟く。

 

「詳しくは伏黒くんにお願いするよ。僕は先にやっておく事があるから」

 

「はい、話は引き継ぎます。俺たちはまず、高専に戻って天元様と接触する。そして彼から情報をーーー」

 

「俺は死滅回游(ゲーム)に先に参加する。別にいいだろ?(ポイント)を稼げばいい」

 

沈黙、伏黒は頭を抱え、悩んだ結果、その提案に許可を出した。

伏黒が出した条件は点数は全て後日参加する高専グループの為に保管しておくこと。

その忠告を鹿紫雲は鼻を鳴らしながら了解の合図を送り、この現場から鹿紫雲は立ち去る。

呪力は満タン、肉体も全回復、術式の理解も進んでいる。

幻獣琥珀の縛りが緩んでいる。アイツの影響だろう。鹿紫雲は悲しそうな笑みを浮かべ空を見る。

最強を見せてやる。俺が狙うは、高得点保持者(ハイポイントプレイヤー)、参加する結界内の泳者(プレイヤー)たちは恐らく、自分と同じ呪物として覚醒した奴らだろう。羂索の狙いはこの戦いによる呪力の渦動を利用した何かだと推察し、東京を横断する。跳躍し、200メートルずつ飛び、風を受けながら一つの結界を目指す。

辿り着いた先は仙台。この場所に来た理由は、羂索が話していた”大砲”と呼ばれる術師が蘇っている可能性を知っていたからだ。

同じ強者なら、飢えてんじゃない?鹿紫雲は同族の気配を察していた。

 

「よぉ!俺はコガネ!!この結界の中では死滅回游って殺し合いのゲームが開催中だ!!一度足を踏み入れたらお前も泳者(プレイヤー)!!それでもオマエは結界(なか)に入るかい!?」

 

「あたりめぇだろ」

 

一、泳者は術式覚醒後 十九日以内に任意の結界にて死滅回游への参加を宣誓しなければならない。

二、前項に違反した泳者からは術式を剥奪する。

三、非泳者は結界に侵入した時点で泳者となり死滅回游への参加を宣誓したものと見做す。

四、泳者は他泳者の生命を絶つことで点を得る。

五、点とは管理者によって泳者の生命に懸けられた価値を指し 原則術師5点、非術師1点とする。

六、泳者は自身に懸けられた点を除いた100得点を消費することで管理者と交渉し 死滅回游に総則を1つ追加できる。

七、管理者は死滅回游の永続に著しく障る場合を除き、前項によるルール追加を認めなければならない。

八、参加または点取得後、十九日以内に得点の変動が見られない場合、その泳者からは術式を剥奪する。

 

11月1日 14:33

 仙台結界(コロニー)

鹿紫雲が舞台に立つ。ざわめく呪力と強者の気配!!

 

雷神、オンステージ!!




かしーも仙台へ参戦!!足でかけたので時間がかかったりコンビニで飯買ったりしてます。
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