11月2日 9:15
仙台結界 市街区
結界内での闘いは凄まじい戦禍を見せる。
弱小呪霊、
「空」の術式を操り、回避力に長けた平安の術師、烏鷺亨子。
元藤氏直属暗殺部隊日月星進隊隊長の肩書を持つ術師。
その力は主に
その彼女を圧倒する空間ごと喰らい尽くす現代の悪魔、数億年の進化を遂げ、生き延び尚、進化を続ける魔蟲。蜚蠊への嫌悪、恐怖が齎した特級呪霊、黒沐死。
烏鷺の術式とは相性が悪く、その気持ち悪い外見からかの術師は戦う選択をしなかった。その黒漆死にも天敵がいた。自身の呪術によって暴れ狂う蜚蠊を全て圧殺し、斬り刻む結界術と式神術の達人。二度目の受肉を果たし、目覚めた宿老、ドルゥヴ・ラクダワラ。
平安より遥か旧き時代の老獪は、式神の軌跡を己の結界とする特異な術式により、陣地を形成し、支配していた。自分はただそこに座するのみ、
参加
その一撃、正に大砲!!そして圧倒的なタフネスが持ち味の男だが、大砲という名前の通り、その術式は烏鷺との相性が最悪であった。
空間を操作し、彼女への砲撃は別へと飛ばされる。嫌な相手だし、性格も気に入らない。
技能、術式、生き様、渇望、点数、彼らの持つ様々な欲望が渦巻く仙台結界にて、一人の男がその名を刻む。
雷神、鹿紫雲一!!彼らが覚醒するよりも早く、覚醒した羂索にとっても
今ここに、弥生、平安、江戸、現代の術師、呪霊の
結界内へと足を踏み入れ、辺りの探索をしながら出会った交戦的な
仙台結界はまさに地獄の釜の如く惨状であった。
江戸での殺し合いに躍起になっていた時を鹿紫雲は思い出しながら、その匂いに懐かしさを覚える。紫電が鳴いた。
早くやり合いたいと。
瞬間、その呪力に寄せられた無数の蜚蠊が地面を、壁を、空を覆い尽くす。まるで
真っ黒なフードを羽織ったような外見。しかしその顔があるべき場所には異形がギチギチと歯を鳴らしており、その面妖さは酷く不快であった。
人と蟲、それを混ぜ合わせて繋ぎ合わされたその奇怪さ、ゾワゾワとする背中。恐怖ではなく、嫌悪が鹿紫雲を蝕む。
「何見てんだよ、雑魚が」
ただの呪力放出。それだけで蜚蠊たちは焼き切れ、この世から姿を消す。残された塵を踏み締め、鹿紫雲がその場から姿を消した。
「ワタシは!鉄の味が スッーーー」
紫電一閃。雷鳴が結界内に轟いた。
「「「!?」」」
結界内にて、三人の術師がその呪力に反応した。
鹿紫雲の所持
「面白くなるな」
「術式を使ってない…。呪力特性ね…。厄介極まりないわ」
「…、不快じゃ」
石流はニヤリと笑った。デザートがやってきたのだ。その髪を整え、歩きながら戦闘している市街区へと向かう。
烏鷺は驚く、術式を使用せずに雷を操るその男を、呪力特性という寵愛に歯噛みし、空中を浮遊する。座標は同じく市街区。
ドルゥヴは沈黙する。式神をその戦地に向かわせ、その闘いを監視する。いつでもその空間を自己の領域へと掌握できるように。
龍の声が轟く。雷鳴、辺りに散らばる紫電がバチバチと音を立てながら黒漆死に迫っていた。
飛び膝蹴りが黒漆死の顔面に叩き飲まれる。ブチリと潰れる音と紫電が黒漆死を襲う。動けない。筋肉の電気信号のバグが
踵落としにより地面に叩きつけ、呪力を込め踏み潰す。蟲にとってその面での一撃は死を感じさせる。瞬間、羽を進化させ、空を飛ぶ。それにより回復の時間を稼ぎ、そして腕を生やす。
「『爛生刀』」
「で、
黒沐死が取り出すは生と死が混在する魔剣。それに呼応するように、鹿紫雲も如意を構える。
黒沐死が蜚蠊の波に乗りながら魔剣を振り抜く。如意で真正面から受け流し、蜚蠊を雷を纏った脚で旋風を起こしながら蜚蠊呪霊へと潜り込む。閃光の如く拳撃が叩き込まれる。数秒、その時間で叩き込まれた拳の数、100!!内部から黒沐死の身体が弾け飛ぶ。爛生刀を今度は振り下ろし、鹿紫雲はそれをゆるりと回避し、爛生刀を思い切り踏みつける。地面に埋まる武器、如意を空中に放り投げ、アクロバティックに攻める。踵で横に蹴り、胸ぐらを掴み、紫電が爆ぜる。そのまま地面へと叩きつけ、落ちてきた如意を突き刺す。電荷は充分、内側からの圧倒的な呪力放出!!蜚蠊が焼け焦げる。煙が上がり、風が凪いだ。
蜚蠊の殆どが焼け焦げ、満身創痍の黒沐死がキチキチと蟲の反復動作を行いながら喋る。
「何故、邪魔 ヲスル?」
「あ?そうそう、聞きたいことがあんだったわ」
質問に質問で返す愚行、黒沐死が掌印を組む。
「
「大砲って異名の術師知ってるか?」
「『
異様に肥大化した睾丸を持つ醜悪な
彼らはまるで特攻するように鹿紫雲へと向かってくる。
鹿紫雲は冷静にその存在を握り潰し、焼き払う。その体液に気色悪さを感じながら、手をブンブンと振り下ろす。
その行為中に黒沐死もその特攻に混ざる。土虫蠕定の効果は単純、その
魔剣「爛生刀」もまた同じ効果であり、体内から式神に食い破られることから、呪力によるガードは当然不可!!
この式神の理由は目眩しも兼ねている。
鹿紫雲へ爛生刀を横薙ぎで振り払う。やはり鹿紫雲は黒沐死の想定通り、如意で受け止めた。
ドドドッと刀から卵が鹿紫雲の身体にめり込む。瞬間、雄叫びが鹿紫雲の身体を喰らいながら生まれる。
「うぜえ!」
だが、雷神は蜚蠊などという存在を気にかけない。
黒沐死は知る。天敵という存在を。体内の蜚蠊を内部から雷で焼き切る。閃光、黒沐死の首をその圧倒的な腕力を握り潰した。
そして、頭、心臓目掛けて雷が落ちる。如意と掌打、テクニカルな動きが黒漆死の急所を抉る。
「マダッ!食ベテナッ!!」
「ご馳走さんッ!!」
霹靂が空を切った。領域展開する必要もない必中の大気を裂く稲妻が黒沐死を穿つ。
「5
「ったりめぇだろ。殺したんだから」
所持得点が更に上がる。呪霊相手も乙な者だが、やはり肩慣らしにしかならない。
「何処にいる?あと三人、見てんだろ!」
鹿紫雲の目がギョロギョロと空間を見渡す。
三人、石流、烏鷺、ドルゥヴがその戦闘の結果を見ていた。そして、烏鷺、ドルゥヴが疲労した狩人を狩らんと蠢きだす!
鹿紫雲は気がついた。その空間自体が何者かの結界内であることに。
「遅いぞ、童」
宿老が嗤う。
仙台結界大暴れ!!