紫電奔る   作:浜騎士

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ピリッとしたな。

ドルゥヴ・ラクダワラの式神の軌跡が領域を作り出す。

その領域にいるものは、呪力で構成された刃に斬り殺される運命にあった。しかし、鹿紫雲はその攻撃に対し領域展延による術式の中和で乗り切る。

倭国大乱を二種の式神で制圧した恐るべき実力、しかし相手は雷神、鹿紫雲は領域を形成した式神を叩き潰し、雷電を辺りに放つ。

領域展延を切り替え(スイッチ)しながら、効率よく呪力を回していく。

式神を吹き飛ばした煙から、知らぬ女ーーー烏鷺が空間を叩く。烏鷺の持つ「空」の拡張術式、宇守羅彈が放たれる。

相手のいる空間ごと面を叩き割り、薄氷を粉砕するイメージの一撃は、空間の捻れを引き起こし、相手の骨肉を捻じ切る技術!!

捻れた空間の衝撃が鹿紫雲を襲い、仙台の荒廃した建物に叩きつける。2棟ほど鹿紫雲の身体が建物を崩壊させ、雷の槍が烏鷺へと投げ込まれる。空間操作、ぐにぃとその空間がカーテンを開くように捲れる。雷の槍はドルゥヴのもう一つの式神へと投げ込まれる。しかし、その巨大な式神は流石に超遠距離の雷撃には狼狽えない。地面を抉り取りながらの進行、鹿紫雲、烏鷺両名を圧殺せんと突進してくる。

その三体を対象とした膨大な呪力が放たれた。

大砲、式神を穿つ。

烏鷺は術式により、その砲撃を鹿紫雲へと投げる。鹿紫雲にその呪砲が二倍襲いかかった。

口笛と共にこの戦場に現れたのは石流龍、仙台結界の覇者が降り立った。

 

「宴に混ぜてくれよ、烏鷺、ドルゥヴ、そしてーーー」

 

「鹿紫雲だ」

 

同じ乾いた存在同士、理解する。彼らは前の人生で何も残せなかった存在たちだと。

言葉は不要、ただ自分の存在を相手に認めさせる!!

 

「カスが!舐めんじゃないわよ石流!!」

 

「黙ってろゲロ女」

 

グラニテブラスト(呪力放出)が放たれる。虚をついた閃光が烏鷺、鹿紫雲に放たれる。

鹿紫雲は自分の戦闘センスでその放出を避け、烏鷺もまた空間を揺らし、鹿紫雲とは反対の位置から石流を攻める。

しかし、その呪力放出量は仙台ーーーいや、過去の術師の中でも最高級(トップクラス)!!全身から迸る呪力による放出であらゆる攻撃を強化(ブースト)していく。

烏鷺は千年前の術師としては平々凡々、忽ち石流の圧倒的なパワーに圧倒される。鹿紫雲は石流の一撃をパシリと掴み、紫電を与える。

だが、俄然目の前の男は立っている。

 

「ピリッとしたな。鹿紫雲。零距離だからって撃たないと思ってんのか?『グラニテブラスト』」

 

ドゴン!!零距離でのグラニテブラストが鹿紫雲を襲う。大砲は鹿紫雲を大きく吹き飛ばしながら、ドルゥヴが領域を築き上げた城へと叩き込んだ。この目的は二つ、ドルゥヴを引き摺り出す事と、バトルロワイヤルで戦闘に参加しなかったドルゥヴに疲弊した所を突かれるのを阻止する為でもあった。

鹿紫雲は両腕を光線の前に翳し、呪力放出で致命傷を逸らす。指が弾け飛び掌が焼け焦げる。呪力放出のエネルギーをなんとか中和し、スタジアムに身体をぶつける。

呪力放出量はかつて戦った戦国の猛者を凌駕するようだ。だが、鹿紫雲が目覚めた場所は既にドルゥヴの城の中、瞑想している眼をゆっくり開き、ドルゥヴは嗤った。

 

「不敬じゃろうが、小童。頭を下げんかい」

 

ドルゥヴは式神を二体しか出せない。それは式神呪法の術式の縛りとして機能していた。

二体しか出せないとは、殺して消失させても呪力がある限り何度でも蘇るということ。

ハダカデバネズミのような式神、そして翼竜が降臨する。

 

「『龍尾(りゅうび)』、『砂状の楼閣(さじょうのろうかく)』『八咫鴉(ヤタガラス)』」

 

呪詞の詠唱、鹿紫雲が阻止するために地面を蹴る。

 

「既にワシの領域じゃ、遅い、遅いぞ雷小僧。『領域展開』」

 

掌印が組まれる。

ドルゥヴの結界術は卓越している。閉じない領域には未だ至ることは無かったが、彼は領域の条件を自在に操ることができた。

飲み込まれる建物、そして、乱戦状態にあった烏鷺、石流を喰らい尽くす。

世界が大和に回帰した。

 

「『夜魔都大国魂神(やまとのおおくにたまのかみ)』」

 

泳者(プレイヤー)中最古の術師、ドルゥヴ・ラクダワラの本気が、仙台を飲み込んだ!!

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