紫電奔る   作:浜騎士

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生前葬だ!!!音量上げろォ!!!

「領域展開ーーー『夜魔都大国魂神(やまとのおおくにたまのかみ)』!」

 

「領域展開!!『釁隙虚空海(きんげきこくうかい)』!!」

 

「領ォ域展開!!!『砂原鷹銃躙(さはらおうじゅうりん)』!!!」

 

「領域展ッ開!!!『碧輝殺風景(へきこうさっぷうけい)』!!!」

 

 

 

 

四者同時の領域展開ーーー、領域展開同士は、領域の外郭での勝負となる。即ち、結界術が巧みであれば巧みであるほど、その卓越した領域は相手の領域ごと塗りつぶすことができるのだ。

烏鷺、石流、ドルゥヴ、鹿雲紫四者とも、結界術の素養、呪力操作の熟達、呪力放出量、現在の呪力などを鑑みて、奇跡的に四者の領域は拮抗していた…!!

 

「(馬鹿な…!?儂が領域展開で押し返せぬだと…!?!?確かに侵蝕領域は破壊されたが、他の童どもが儂以上に卓越しているはずがなかろう!!卑弥呼ですら儂には領域勝負では勝てんと言うのに…!?)」

 

ドルゥヴは確かにこの四者の中では結界術の素養、熟練度は最高級、死滅回游という舞台の中でも羂索、宿儺を除けばトップ層ではあるだろう。しかし、ドルゥヴは既に一度広めた領域を削られ、更に実質的に二度目の領域展開という異常事態(イレギュラー)が重なっている。消費された呪力は莫大であり、それ故に、他者の領域への対抗する外郭が脆くなっていたのだ。

更には二人ならまだしも、今回の戦闘では四者、対抗する外郭も多い。想定以上のギリギリ感でこの戦場は成り立っていた。必中効果は混ざり合った領域により失われ、この場に存在するのは唯の呪力強化(バフ)、各々の心臓が高鳴っていく。

 

「(この(テーブル)、食い放題かよ…。腹一杯にさせてくれ!!ダラダラやるつもりはねえ!甘い決着をつけようぜ!)」

 

「(領域展開、それに伴う呪力消費、領域終了後の術式の焼き切れ、今!この場で主導権(イニシアチブ)を取る!私が、歴史に名を刻む!!)」

 

「本気で()るぜ、楽しませろよ!」

 

ドルゥヴの焦りが、石流、烏鷺の欲望が、そして鹿雲紫の高鳴りが、この領域自体のボルテージを上げていく。

この世界は太陽が翳っている。ドルゥヴの卑弥呼への嫌悪感が世界を蝕む。彼の領域「夜魔都大国魂神(やまとのおおくにたまのかみ)」の効果は光の剥奪!先程の結界でも太陽が殆ど見えなかったのはドルゥヴ自身の領域の効果であった。そして、歪む空間、辺りが漣のように揺らめき、歪む。烏鷺の領域「釁隙虚空海(きんげきこくうかい)」による空間操作による弾みが、領域自体が地震のように揺れる。そして石流を除く三者がまるで狙いをつけられるかのように、彼らの急所に印が浮かび上がる。石流を中心に砂漠がこの世界を侵蝕していた。石流の領域「砂原鷹銃躙(さはらおうじゅうりん)」の効果は、世界の俯瞰!!そして、その砂漠を湿った土と草が呑み込んでいく。鹿雲紫の領域「碧輝殺風景(あおきさっぷうけい)」による何もない石と草木、そして蒼天の空が太陽の翳る空、砂上に混ざり合う。そして、その空間の中心点には、鹿雲紫の領域に付随して現れた神々しい巨大な大木が鎮座していた。パチリと紫電が木から奔る。

 

「お前もいるんだろ?相棒(ガキ)!!!」

 

雷神が笑う。同時にドルゥヴが式神の大群を展開、烏鷺の拍手による空間の漣が津波となり、世界を襲う。そして石流の瞬い閃光がこの領域を覆った。

必中効果は無いが、世界全体を襲う式神の海、空間振動、閃光を避けるのは難しいが、鹿雲紫の領域は、自分の『幻獣琥珀』と同じく、雷の術式が刻まれている。数百万の電圧が式神を焼き焦がす。その式神を盾に閃光を防ぎ切り、空間震動は気合いで耐える。全身が割れるかのような痛みをノリで踏み越え、瞬転。ドルゥヴの後頭部を思い切り蹴り飛ばす。背骨ごとぶっこぬかれると錯覚するほどの痛み、ビリビリと鹿雲紫の雷による麻痺がドルゥヴを襲った。

 

「〜〜〜ッ!?!?!!」

 

「生前葬だ!!!音量上げろォ!!!」

 

雷の呪力が付与された如意(ドラムスティック)ドルゥヴ(ドラム)を叩く。まるで激しい音楽を演奏するかのように、そのビートが刻まれていく。ドルゥヴもまた、呪力でガードを行いながら、式神の海の半数を鹿雲紫に向かわせる。しかし、烏鷺が虚無に拳を振るう。その瞬間、空間自体が歪み、揺らいだ。その衝撃はドルゥヴの式神を大きく破壊する!石流もそれに乗ずるように、閃光を無数に展開する。

 

「消えろボケ老人!!!」

 

「二人で宴を始めんなよ!!俺も席に座らせろ!!!」

 

三者の狙いはドルゥヴ、彼は結界術の達人、このまま生き延びさせればその時間でより洗礼された領域で塗り潰しかねないからだ。その前に、『叩く』!!

 

「ぐおおおお、舐めるなよ童どもッ!!!」

 

ずちゅと、ドルゥヴを中心に式神が集まる。鹿雲紫、烏鷺、石流が目を見開く。式神たちが押し潰れ、ドルゥヴに纏わりつく。

現れたのは、異形の戦士、式神でできた甲冑、式神でできた槍、宿老の本質は術師であり、『戦士』!!!式神を自在に操り、地面を足で破壊しながら、槍を投げる。その矛先は烏鷺、烏鷺はその槍をぐにゃりと曲げ、勢いを逸らそうとするが、式神操作の権限はドルゥヴにある。そのまま一閃、烏鷺の肉体を大きく吹き飛ばし、烏鷺の絶叫が領域に響く。しかし、投げられた槍は空中で反転し、今度は石流へと向かうが、石流は世界の俯瞰による死角への対応により、その槍を殴り、矛先を逸らす。槍は空中でクルクルと反転しながら、ドルゥヴの手元へと戻る。

烏鷺は反転術式で治癒を施すが、壊れた内臓まで治すには、時間も呪力も足りていない!応急処置として破壊された場所から血が出ないように傷だけは塞ぎ、構えを取る。

 

「まだまだ皆、食べ盛りだなぁ!?」

 

呪力放出が奔る。雷鳴が地面を跳躍し、ドルゥヴを踵で蹴りながら、老人を足蹴にまた跳躍、雷狼が大砲に迫る。

ドルゥヴは式神甲冑により増強された脚力で地面を翔け、槍を巨大化させ、鹿雲紫、石流に振り下ろした。面積は先程の式神の凡そ三倍!!世界を影が包む。避ける術はない…、雷神と大砲を叩き潰したと宿老は確信した。

がーーー、ドルゥヴは自分の体を見上げていた。理解ができない。何が起こったと混乱する頭で辺りを見渡す。

 

「爺さん、アンタは食い放題の(テーブル)にはお粗末だぜ」

 

「あぁ、用済みだ」

 

ドルゥヴの頭と体が離れた理由、それは、烏鷺の術式による空間の弾み、術式や攻撃や威力が強ければ強いほど、反発力は強くなる。

 

「私の術式は、『空間反発』。言ってなかったわよね?簡単よ、掌握した『空』の反発する方向をクソジジイ(ドルゥヴ)に向けただけ、だって私の領域でもあるのよ?なんで、この空間が私の掌握した場所じゃ無いと思ってたのよ」

 

「卑弥呼にも劣るカスが…、儂はまだ、負けてーーー」

 

「死ね、ドブ老人ーーー『宇守羅彈』ッ!!」

 

術式の開示と共に放たれた宇守羅彈が、『黒い火花』と共に弾けた。ドルゥヴの体を、頭を押し潰した。初戦敗退は”宿老”ドルゥヴ・ワクダワラ、弥生という古代の術師は、才能と慢心、そして買いすぎたヘイトが負けを導いた。

残るは、三人!

 

「さぁ、卓に着こうぜ。烏鷺、鹿雲紫」

 

三者の欲望が、仙台にてぶつかる。まだ宴は半ば




夜魔都大国魂神(やまとのおおくにたまのかみ)
ドルゥヴの領域、効果は光の剥奪のよる視界の不調、更に式神召喚の制限解除
元ネタ やまとのおおくにたまのかみはそのまま、天照のこと、大和=夜麻登なので、それ。もじって夜の王みたいな感じに夜魔都にしました。
ちな、視界不良効果はあるけど烏鷺は能力的に空間ソナーできるから意味ないし、石流はその圧倒的物量で範囲攻撃するから意味ないし、鹿雲紫も電気ソナーできるから意味ないらしいっすよ?つまり、相性ってこと

釁隙虚空海(きんげきこくうかい)
烏鷺の領域、空間内を掌握し、術式の対象にする。そのため、領域内ではかなりの立ち位置に着ける。
元ネタ 釁隙(空間を意味する)+虚空+空海みたいな文字パズル

砂原鷹銃躙(さはらおうじゅうりん)
石流の領域、世界を俯瞰し、狙撃を行えるようになる。また、放出力もかなり強化されている。
元ネタ デザートイーグルをそのまま和訳して類語をぶち込んだ。銃躙はシノビガミ
あとデザート(お菓子)とデザート(砂漠)をかけた、彼の渇きの表現でもある。

碧輝殺風景(へきこうさっぷうけい)
鹿雲紫の領域、殺風景な草木の世界(鹿雲紫の精神世界と同じ)を展開する。大木が領域に付随しており、そこから雷を放射することができる。
元ネタ Fate/Apocryphaのブランデッドツリー、あとモンハンのジンオウガ

烏鷺が思ったより強くなってたり、でもただずっと勝ってるだけじゃ…飽きるだろ
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