三者の睨み合い、呪力がぶつかり合う。ドルゥヴが倒れたことにより、領域の均衡が崩れ始める。
ーーーが、ここで鹿雲紫はその領域を自壊させることにした。
鹿雲紫の特性である使えば死ぬというデフォルトの縛りは、領域にも適応されている。
混ざり合った空間、莫大な呪力消費に加えて、領域展開後の術式の焼き切れを鹿紫雲は狙っていた。
カシャンと卵が割れるように世界が割れた。
「「!!」」
領域の自壊によるバフの喪失、術式の焼き切れが烏鷺、石流を襲う。
一足先に駆け出すは雷神、電光石火の如くその拳を石流に叩き込もうとする。
「(術式は焼き切れたッ!呪力もすっからかんだろ!!ここで取る!)」
鹿紫雲の拳が石流の胸板を打ち付けようとした時、ニヤリと石流の口が歪む。嫌な予感を体に感じ、即座に体を捻ろうとしたがーーー
「『グラニテブラスト』」
ポンパドールから放たれた極光が鹿紫雲を照らした。
「(マジかよ!?術式が焼き切れても撃てるのかよ!?!?)」
ジワジワと肌が焼け焦げ捲れる。筋肉すらも黒く染めていき、鹿紫雲は冷や汗をダラダラと流す。
鹿紫雲のアドバンテージはこの呪力特性、術式が焼き切れても問題はないのが一番の利点だ。雷の呪力放出で何とか一命を取り留める。その鹿紫雲を烏鷺の呪力を込めた拳が横腹を貫いた。烏鷺のボルテージは凄まじいほど上がっていた。黒い火花は、烏鷺の呪力のブレを統一し、
両腕の焼き切れ、横腹を殴られたことによる肋骨の骨折、臓器破壊が鹿紫雲の身体を蝕んでいる。
「鹿紫雲、烏鷺、まさかお前らがデザートになるとは思ってもなかった。だから、ここで平らげるぜ」
指を銃の形にして、ポンパドールが輝く。烏鷺もまた、徒手空拳で攻め立てる。鹿紫雲は反転術式による治癒をやめ、その全力の呪力を拳と脚に込めた。『戦国拳』の構えを取る気はない。ただ単純な、我流の構えで烏鷺の攻めを受け流し、石流のポンパドールを烏鷺を盾に防ぐ。
烏鷺が焼け、その痛みに悶えながら膝蹴りを鹿紫雲の顔面に喰らわせ、ドロップキックとともに石流の方へと跳躍する。
石流もまた、呪力放出を散弾方式に変更し、応戦する。回避が難しい乱れた砲撃は、烏鷺の身体を貫こうとしていた…。
「甘ェんだよ!クソ野郎ッ!!!」
“空”が歪んだ。ぐにゃりとその砲撃を回し、跳ね返す。
「術式が回復しやがったな!?だが、それは俺も同じだ!!!『グラニテブラスト』ッ!!!」
自分の呪力を大砲で薙ぎ払い、土煙が舞う。烏鷺が空間を割り、煙を裂いて現れる。
石流と烏鷺の距離、凡そ15m!呪力の放出と空間の”面”の崩壊がぶつかる。
「『グラニテブラスト』!!!」
「『宇守羅彈』!!!」
爆風が散る。どちらも未だ健在!再度呪力を込めて向き合う、そこで鹿紫雲が乱入してきた。
紫電が迸る雷神が、地面を蹴り、神速で烏鷺へと迫っていた。
「(速い!空間を歪めて距離をーーー)」
烏鷺が空間を手で掴もうとした。そこに雷鳴が轟いた。紫電が烏鷺を穿つ。
ぶくりと烏鷺の右腕が膨れ上がり、弾け飛んだ。紫電が彼女を焼き焦がす!
「烏鷺だったか?テメェの名前、覚えておくよ…!」
その言葉を聞いて、烏鷺は何故か、嬉しさを感じながらその蹴撃を受ける。烏鷺の身体が爆ぜ、崩れる。
烏鷺の崩れた先にいた石流がポンパドールを再度灯らせ、光を放とうとしていた。
「『グラニテブラスーーー』」
「遅ェ!!!」
指一本の限定術式解放、幻獣が目覚める。
「『幻獣琥珀”瞬”』ッ!!」
指が雷となり、光の速さで辺りを薙ぎ払う。最強の名の通り、大砲を雷爪が引き裂き、地面と石流を吹き飛ばした。
ビルに叩きつけられ、石流はずるりと地面へと落ちる。
鹿紫雲は自分の使用した指を、なけなしの反転術式で治癒をしながら、石流に近づく。
「最高に楽しかったぜ、『大砲』」
「あぁ、満足だッ!」
男の友情、刻み込む。殴り合うことでしか彼らは分かり合えなかった。
かくして、江戸の猛者である大砲の術師は倒れる。ここに仙台
2018年11月2日 13:44
鹿紫雲一 所持