「
必殺必中の領域に、完全なる球体というガード不可の攻撃、あらゆるものを削り取るブラックホールが如き球体が地面、いや空間を削り取りながら鹿紫雲へと迫る!
「『彌虚葛籠』!!」
即座に領域対策を行い、真球の簡単な軌道から回避する。
しかし、両腕が使えないことが原因で鹿紫雲は更なる窮地へと陥っていく。
真球の操作を万は放棄し、彼女が呪力で強化した肉体で殴りかかってきたのだ!
その力はかつて戦った石流にも至るほどの洗礼された呪力強化、しかし『彌虚葛籠』を解けば、真球が殺しにくる!
非常にまずい防戦一方であった。
ここで拍車をかけるのが、自分の領域展開でこの領域を破壊する方法、鹿紫雲の領域『
この領域は一定時間が経過すると自動で崩壊するものであった。
一考するが、まずこの領域勝負では相手が圧倒的有利な点、呪力放出は互角ではあるが、決定的に断絶しているのは、領域展開への慣れ、鹿紫雲は未だ領域展開を習得して二週間も経っていない。
領域勝負はどちらが洗練されているかで勝敗が決まる。負けたものはその生得領域が焼き切れた状態でスタートする。
圧倒的な不利だった。
「さっきの威勢はどうしたの!?ほらほらほらほら!さっさと死になさい!」
真球が、万が迫る。
鹿紫雲は、その掌印をまた違う形に結んだ。
「領域展開『碧輝殺風景』!!!」
外郭が削り合う。しかし、徐々に万の領域がその領域を押し潰していく。
「馬鹿ね!こんなお粗末な領域、粉々にしてーーー」
「馬鹿はそっちだ!展開できた時点で、俺の勝ち筋は見えてんだよ」
万は目を見開く。鹿紫雲の展開した領域が崩壊する。
あくまで、鹿紫雲が狙ったのは領域から脱出する方法、つまり穴を開ける行為だ。
鹿紫雲の領域に付与されたデフォルトの自死による崩壊は、外郭に小さな孔を開けるに至った!
「逃すわけないじゃない!」
真球がその領域の孔めがけて飛来する。
しかし、雷電の如き速さで駆ける鹿紫雲は、真球を引き離し、穴から外の空間への逃亡に成功した。
領域が、崩壊する。
冷や汗が万から流れる。領域展開の後に引き起こされる術式の焼き切れ、目の前の真球が、どろりと解け、地面へと流れ落ちる。
形成逆転、雷獣が地面を蹴り穿つ。
呪力でのガード、先程も述べた通り、彼らの呪力放出は互角。
そう、互角だ。だからこそ、鹿紫雲の拳はーーー
黒閃
ーーー止められない!!!
単純な構えから大きく地面を踏み抜き放たれる一撃、太極拳が炸裂する!呪力のガードに雷が落ちる!万の身体に電撃による衝撃と単純な膂力、そして黒閃のブーストが彼女の両腕をぐちゃぐちゃに破壊した!即座に反転術式に転換する万だが、彼女の膨大な呪力もまた、底を尽きようとしていた。
様々な構築術式による変形、真球の創造、そして決定打となったのは、領域展開!
彼女の再生が、途中で止まるーーー!
「嘘」
印を結ぶことができない両腕、焼き切れた術式に使い果たした体力、呪力に、鹿紫雲のボルテージが跳ね上がった蹴撃が、万の胴体を穿つ。
零れ落ちる臓物、口から吐き出される吐瀉物と血反吐、止まらない流血、既に勝敗は決まった。
「楽しかったよ、オマエ」
「私は、まだ…、私を殺すのはーーー」
「残念だが、俺だ。先に行ってろ」
天空から、大きな落雷が彼女を焼いた。
宿儺を愛した女はここで散った。首を鹿紫雲はポキリと鳴らし、高まる熱を抑えようと地面に座ろうとした時、この結界が大きく揺れた。
膨大なプレッシャー、歩く災害、その台風がいまこの結界にやってきたのだ。
呪いの王、両面宿儺の降臨。そしてここに一人、あの時の少年がベールを開くように虚空から現れた。
「まだ死んでなかった、良かったです」
「テメェ、あん時の女の下っ端」
「お姉様とお呼びなさい!下郎!」
憂憂がその場所に現れた。この長距離のテレポートを可能にする術式、破格の術式であった。
「何のようだ?ここに
「追加して欲しいルールがあります。今、ここで」
鹿紫雲の二百点、二つルールを追加できる。
憂憂が願った追加のルールは二つ
“参加術師の公開及び、その居所の開示”
“結界間の連絡の確立”
「条件だ、俺をーーー」
「宿儺と戦わせる、ですね?分かりました。ご自由にどうぞ」
「ーーー良いのかよ、どうせ受肉体だからあの
「別に彼の意思は呪術界の総意ではありませんから」
鹿紫雲は二つのルールを適応する。どうやら、連絡手段はコガネを使って行えるようになったらしい。
地図機能も追加され、コガネを使用すれば術師がどこにいるかも見当がつく。
良い機能だと密かに鹿紫雲は感心した。
そして、運命の時は訪れようとしていた。
悪意が、脅威が、運命が、迫る、迫る、迫る!
圧倒的な呪力、そして練り上げられたその練度、現代最悪最強最大の魔王が今このアリーナに降りてきた。
「なんだ、万。死んだのか」
「ああ、俺が殺した」
紫電が奔る。江戸最強が、最悪に挑む!