紫電奔る   作:浜騎士

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布瑠部由良由良

「『解』」

 

背後のマンションがその一言だけで解体される。

目の前の怪物ーーー両面宿儺は、顎を摩りながらニヤリと口を歪めた。

宿儺の呪力の波が更に揺らぎ始める。

ガゴン、と渋谷のどこかで聞いた異音が宿儺のハィロゥから聞こえた。

 

如く、彼の料理人を名乗る裏梅という人物はこう答えた。

 

ーーー宿儺の呪力は、相手への興味で大きく変わる。

 

「なかなかやるものだな」

 

「宿儺ァッ!!!」

 

雷獣がアリーナを駆け巡る。その速度は音速を超え、音すらも置き去りにして宿儺へその拳と脚、そして棍を乱打した。

それぞれに込められた呪力が宿儺の身体に叩き込まれる。

暴風が巻き起こり、地面が捲れ上がる。

しかし、目の前の存在はただただそこに在るだけで、彼からのダメージは殆ど受けていないように立っていた。

雷撃を纏った蹴りすらも、児戯!

呪力による膜がその威力を減衰させていたのだ!

しかし、それでもゆっくりと、宿儺の体に打撃と雷撃によるダメージは体に刻まれていく。

 

ガゴンッ!

 

「『円鹿』」

 

「そぉら!耐えれんのか!?」

 

バチリと、空気が弾けた。雷が空を奔る。宿儺の腕をその紫電がジグザグに走り回り、穿った!

電気による肉体の膨張と破裂、二の腕から先が黒焦げに焼き切れ、ぷらりと宿儺の思う通りに動かなくなる。

だがーーー、その腕が鹿の影絵から召喚された存在に癒されていく。

反転術式を扱う式神ーーー『円鹿』ーーーの力により、与えたダメージアドバンテージは失われていく。

ならば、それを上回るほどのスピードで命を刈り取ればいい!

 

ガゴンッ!

 

「飽きたぞ、獣」

 

まるでそこに来るのがわかっていたかのように、宿儺の掌が雷神の胴体に触れた。

 

「『捌』」

 

瞬間、格子状に胴体は切り刻まれた。皮膚は勿論、筋肉、臓物、骨、その全てがバラバラに引き裂かれたのだ。

痛みと衝撃により齎されたコンマ秒の動揺(フリーズ)、宿儺の蹴撃が鹿紫雲の身体に突き刺さり、アリーナの壁を突き破り、ビルのガラスのその先へと吹き飛ばされる。

ボトボトと血が地面へと流れ、ダラリと腸が零れ落ちる。痛みを踏み越えながら、その腸を強引に腹に戻し、雷の熱で蓋をする。

その後、臓物の傷などは反転術式を用いて回復させながら戦局を判断する。

その視界が捉えたのは、掌を合わせ、何かを放つポーズをとった宿儺の姿だった。

渋谷での乙骨が放った『穿血』と同じ構え、違うのは、放たれるものが血ではなく、水であることだけ。

キュインと水圧のカッターが建物を貫通し、横薙ぎに切断される。

足の力を抜いて、コイルのような髪がスパンと切れる。ハラリとアンバランスな髪型になりながらも、ビルから飛び出そうとした瞬間、ビルが大きく崩れ始める。

上層から凄まじい音と共にコンクリートと中にある鉄筋、木材を破壊しながら巨大な異形の象ーーー『万象』が降ってきた。

ビルを駆け出し、空中へと翔ける。

その無防備な姿に、また水圧カッターが放たれた。

しかし、鹿紫雲は破壊されたビルの瓦礫を足場に回避を行い、カッターを躱し、宿儺へ肉薄する。

顎を踵で蹴り、ふらついた体にボクシングの構えでラッシュを行う。

その凄まじい速さで放たれたジャブから、渾身の右ストレートが宿儺の顔面を殴り抜き、地面へと叩きつける。

追撃のように帯電した雷を落とし、宿儺の脳を焼き切ろうとするが、作り出された影絵の式神ーーー『鵺』がその雷を打ち消した。

 

「(同じ体質(タイプ)の式神…、俺には電気は効かねえが、それはあっちも同じか)」

 

奇怪な顔面をした鳥が雷鳴を轟かせ、この仙台に落ちる。

土煙の中、また新たに宿儺が影絵を作り出す。

 

「『脱兎』」

 

兎の式神がさらに視界を覆い尽くしーーー

 

「『貫牛』」

 

その巨体とスピードの複合から放たれた一閃が鹿紫雲の身体を刎ねた。

体制を立て直しながら、直線で動き回る『貫牛』を真正面から角を掴み、対抗する。

ザリザリと地面の摩擦により靴が擦り切れ、裸足になり、足の裏の皮膚が地面を擦る。

舌打ちとともに放たれた雷光の膝蹴りを貫牛の顎に向けて放ち、顎を砕く。

飛び散る血飛沫と歯が目に映り、瞬きの瞬間、どぶんとその影絵は影に消える。

次の芸術を宿儺は作り出そうとする。

しかし、鹿紫雲は即座に術式を用いて、指を犠牲にした制限の解除を行う!

 

「『幻獣琥珀”瞬”』ッ!!!」

 

宿儺の両腕を雷が如く飛びかかり、掴む。そして、その圧倒的な呪力の強化で握り潰し、影絵を作らないように変形させる。

宿儺は即座に反転術式で回復しようと呪力を廻すが、鹿紫雲は更に宿儺に抱きついた。

 

「ん?」

 

宿儺は困惑と共にぐちゃぐちゃの掌を鹿紫雲の右上半身に当て、『捌』を行使しようとした瞬間、豪雷が鹿紫雲の身体から放たれた。

超至近距離から放たれる雷の樹木が宿儺の身体を焼き切っていく。

膨れ上がる皮膚、焼き切れていく筋肉が宿儺を黒く染めていく。

 

「なるほど、即席の縛りで威力を底上げしたのか」

 

黒焦げの体になりながら、ケヒと嗤う。

 

「テメェ…、何を待ってやがる」

 

「答えてやる道理が存在するのか?まぁいい、答えはこうだ」

 

ドプンと、宿儺のハィロゥが影に飲み込まれていく。

 

「『布瑠部由良由良(ふるべゆらゆら)』」

 

ゾワリと、あの時渋谷の外で感じ取ったプレッシャーが皮膚に突き刺さる。

 

「『八握剣異戒神将魔虚羅』」

 

それは、神秘的でありながらも堕落的で、人でありながらも、人ではない、矛盾を内包した存在であった。

あらゆる事象に適応する最強の式神ーーーこれを調伏できたものは、禪院家には存在しないッ!!!

 

「超えられるか?害獣」

 

「舐めんな、最強(宿儺)

 

紫電、迸る。




ペルソナ3Rやってました
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