衝撃と雷鳴、巨大な人型の式神と鬼神、雷神がこの仙台結界を駆け抜けていた。
「『鵺』」
目眩しの閃光が地面を穿ち、鹿紫雲の目を焼き切ろうとする。
凡そ0.8秒の不可視状態の悪環境に陥った隙を宿儺はその圧倒的な呪力をこめた蹴撃を行う。
風を置き去りにした蹴りは空を切り、カウンターと言わんばかりに顎を鹿紫雲の踵が掠める。
目を反転術式で治癒し、辺りを呪力によるソナーで神の視界を得ている鹿紫雲は、後ろから大きな刃が振り下ろされるのを確認し、回避する。
宿儺は掌を鹿紫雲に向け、術式を放つ。
「『解』」
後ろのビルが真っ二つにされる。
射線から逃れた鹿紫雲は、即座にビルの残骸を宿儺にむけて蹴り飛ばしながら宙を翔け、思考する。
「(呪力総量、練度、そして影を媒介にしたポテンシャルの高い術式にあらゆるものを切断する術式…、最強って言葉は確かに宿儺の為に作られたようなもんだな…)」
蹴り、肘打ち、裏拳ーーー様々な部位が互いの身体を撃ち抜き、呪力によるピンポイントでのガードや回避で凌ぎ合う。
宿儺もまた、鹿紫雲を相手に攻めあぐねていた。
「(特殊体質の呪力…、殴った時に感じた痺れは俺にはあまり意味のないものだが、ピンポイントでガードされた時、少しだが反射的に筋肉が反応した…。なるほど、ジャストガードされた場合、俺の呪力の膜を抜くほどの呪力の針を通されるのか…)」
宿儺の連撃と魔虚羅の乱撃は鹿紫雲のスピードについていけなかった。
まるで電光!そのスピードで魔虚羅を掻い潜り、宿儺に笏を突き刺す。突き刺す予備動作を宿儺は確認し、パシッと笏を掴み、地面へと鹿紫雲を叩きつけようとその膂力を腕と腰に集中させる。
しかし、鹿紫雲はここで呪力による電撃を宿儺の身体を弾けさせるため放った。
轟音が仙台に轟き、宿儺の身体が焼け焦げる。表面だけでなく、内部も焼け焦げた宿儺は即座に反転術式で身体を治癒し、体勢を整えようとしていた。
それを見逃す鹿紫雲ではない。地面を蹴り、空間を蹴り最大スピードで宿儺を穿たんと脚に呪力を集中させ、宿儺の顔面めがけて放たれた。
ーーーしかし、その蹴りは白き異形の巨人に阻まれることになる。
『ガゴンッ』
宿儺が笑う。
「
雷に、打撃に、鹿紫雲に魔虚羅が適応する。
魔虚羅のスピードが、雷神に迫る。
「(速ーーー)」
風船が割れるような音がまたも仙台に響き渡る。
人体が風に打たれる音を聞くものは多くはないだろう。
無数のビルを半壊させながら、鹿紫雲は宙を回転しながら死を感じていた。
「(強すぎるーーーッ!宿儺一人ならまだ善戦できてたはずだ…!あの
磁力操作で壁に張り付き、ダクダクと流れる血液を電気で焼いて塞ぐ。
崩落するビルから飛び降りながら、数百メートル先の宿儺とその後ろに立つ魔虚羅を見据えた。
「第二ラウンドだぞ、雷神。そんな程度か?」
「なめんな、最強」
鹿紫雲が血を舐め、地面を駆け抜ける!
「(俺がまず倒さなければならないのは、あの巨人!だが俺の雷も打撃も効かなくなっている…!俺に攻め手がなさすぎるな…!領域展開も無効化されてるのか?どう攻める!?いーや!)」
掌印が組まれる。
「攻めるね!」
領域展開「
荒れた野原に巨木が立つ領域が宿儺と魔虚羅を呑み込んだ。
雷が轟く世界の中、その雷が鹿紫雲を穿ち、宿儺たちの周囲の泥沼にも突き刺さる。
「(直接、雷を落とさない…?何を考えている…)」
宿儺は彌虚葛籠で領域の対策をし、魔虚羅に適応させるための時間稼ぎを行い始める。
それが一番の悪手でもあった。
「考えても分からねえよ!お前は絶対知らねえからなァ!」
拡張術式!『
鹿紫雲が、雷の穿たれた地点に複数人現れた。
「何ーーー」
驚愕する宿儺を六体の鹿紫雲が閃光と化して襲いかかる。
「俺は増えるぜ!」
雷神!パーティタイム!!!