仙台は、数十人の術師たちの戦場になっていた。
地上150mでは、秤金次の領域『
これは、裏梅を宿儺に合流させないためという作戦であった。
スロットの音とパチンコ玉の擦れ合う音、二人の特級クラスの術師たちが駅のホームで対峙していたーーー。
地上では、二つの乱戦エリアが形成されている。
五条、宿儺、鹿紫雲の3人の特級術師の暴れる仙台駅周辺、もう一つは、そこから凡そ700m先、愛宕上杉通りに憂憂の術式による場所の入れ替えにより、羂索は宿儺と完全に分断されている。
羂索の相手になるのは、元宿儺の器虎杖悠仁、現代の異能乙骨憂太、堕ちた裁判官日車寛見、一級最強日下部篤也と七海建人、脹相…、高専術師に加えて死滅回游覚醒者、そしてお兄ちゃんが打って出る。
羂索の特徴は、呪霊操術による無数の手数と手札、もう一つの術式の重力操作による使い勝手が悪いが決定的な一撃を与えることができる
「なるほどね、6人で私を相手か…、まあ、一気に潰すのがセオリーだ」
羂索はそう呟きながらも、他の存在がいないことに疑念を抱いていた。
「(恐らく、冥冥、憂憂は参戦してこないかな。冥冥はカラスによる監視がメインで、途中途中で
「(ま、取り敢えず)」
先手を取ったのは、高専側、日下部の神速の斬撃が六閃、羂索の身体を襲った。それは全て、首、頭部、胸部、手首、足首、鳩尾に振るわれた。
しかし、一級呪霊の盾により、それが祓われるのみで終わる。
祓われた反応による煙が辺りを包み込み、乙骨憂太、七海建人の連撃が羂索を狙う。
無表情、しかし激情を激らせた二者は、首と腹をそれぞれ狙い、その腕力を叩きつける。
メシメシと骨が軋む音と、肉が潰れる音が耳に残るが、乙骨、七海はそれが人間の肉体ではないことに気がつく。
それには、芋虫のような呪霊であった。そしてその口には、パイナップルのような形をしたものが、ピンを抜かれて詰め込まれていた。
「アメリカ軍の奴らからくすねてきたんだ。現代科学と呪術の融合ってやつかな」
煙を利用したのは、彼らだけではない。羂索も同様に、煙に隠れ、これを仕込んだのだ。
大爆発が起こり、爆風が辺りを揺らす。呪力によるガードは強固だが、超至近距離で食らった七海は、両腕に火傷を負って、特徴的なサングラスが割れていた。
その七海の顔の真横に、紅い光線が放たれる。それは血流の圧縮による血の閃光!
羂索はイナバウアーのようにそれを紙一重で躱す。
「いい加減しつこいよ、脹相。君に興味はないんだって」
「俺は興味がある。お前の最後の姿にな!」
血が円を描くように羂索の足場を抉り抜いた。バグンという音が、地盤の崩壊を伝え、羂索を地下へと落とす。
それに特攻をするのはーーー虎杖悠仁!
一級呪具『鬼手袋』をその身に宿し、渾身の一撃を放つ。
その一撃、ビルを破壊する一撃也!
羂索も堪らず両腕をクロスさせ、威力を逃すが、右腕があらぬ方向へと曲がっていた。
「悠仁、酷いよ。母親にこんなことするなんて。誰が育てたのかな?」
「はあ?何言ってんだよ、お前…」
「言葉の通りだよ。悠二」
羂索が笑う。まるで井戸端で世間話をするように。
「私が君のお母さんだよ?」
「はあ!?」
虎杖悠仁に衝撃が走るーーー!
虎杖悠仁はルカの兄だし、東堂の兄弟で、脹相の弟で羂索の息子で、宿儺の甥なんだよ!