仙台を呪詛が覆いつくし、領域の外殻が形成されていく。
各々が領域への防御手段を取ろうとした瞬間、超重力が領域ごと叩き潰した。羂索が外殻の外から自己の領域である『胎蔵遍野』が展開されたのだ。
高専術師が割れた領域の罅から反叉合掌の掌印を組む羂索を目撃する。『簡易領域』すら展開する暇もなく、地べたに押しつぶされ身動きが取れない状態であった。
___閉じない領域。空間を閉じずに領域を展開する神業が炸裂する。建造物が圧壊し、虎杖たちにその重力を計上した質量が襲い掛かる。
だが、ここで乙骨の類稀なる異能が発揮される。式神『リカ』の5分間の限定解放。この超重力下で召喚されたリカは、即座に身体を圧し潰され、圧殺される運命であったが、領域が適応されるコンマ秒で『簡易領域』を展開し、凡そ3秒の時間を確保した。この少ないインターバルが乙骨の掌印の形成を許した。
「領域展開『真贋相愛』!!」
それは乙骨の心象風景、胎蔵遍野の術者である羂索を含めて包み込んだ。超重力からの解放された七海の十劃呪法が羂索に突き立てられる。
「七海、辞めてくれ。私と君の仲だろう?」
「貴方は夏油さんではない。死体を弄ぶ…寄生虫だ!」
黒い火花が羂索の右腕を破壊する。反転術式の発動、その隙間を埋める猛攻を担当するのは、黒閃の申し子『虎杖悠仁』!彼の正拳突きが羂索の肋骨を粉砕した。喀血が虎杖の頬を汚す。
「お前が俺の母さんだろうと、殴らない理由になるかよ…!」
「酷いな悠仁、私が腹を痛めて産み落としたんだよ?感謝くらいはしてほしいね」
無言。構えるは拳。虎杖の日本武術が、羂索を打貫くために構えられた。しかし、羂索もまた、失った右腕を完全に復元し、中国拳法で相対する。呪力を乗せた
まず先手で動いていたのは、乙骨だ。右手に握りしめた刀を振り下ろし、その刀を破壊して術式が解放される。起動する術式は『爆発』。およその威力は手榴弾程度ではあるが、人体に対しては馬鹿にならないダメージがある。しかし土煙が羂索の視界を覆う。そこへ虎杖の呪力なしでコンクリートすら粉砕する前蹴りが炸裂する。2度目の黒い閃光が煌めく。
「(2回目の黒閃!面白いね、黒閃を出しやすい体質は聞いたことがない)」」
「赤燐躍動・載」
「悠仁に比べて君たちは詰まらないなあ、脹相」
「
頭蓋を潰す打撃を羂索へ放つのは、脹相!彼の赤燐躍動で強化された身体能力は一級術師レベルの体術を発揮する。羂索はこの3人の猛攻を呪霊操術で召喚された呪霊を盾に回避とカウンターを組み合わせる。盾など無駄とばかりにラッシュで呪霊を殴り殺す虎杖のボルテージが上がる。
3回目の肘打ち、4回目の弧拳、5回目の裏拳…黒い火花が弾ける。ここで虎杖の身体に変化が訪れる。特級呪霊レベルの存在…最高硬度を誇る虹龍を上回る硬度を持つ呪霊を殴りつけたときに、その現象は起きた。
切り取り線がその呪霊に刻まれ、文字通りの3枚卸にした。魚が捌かれるかのようにどちゃりと地面に零れ落ち、消失する。羂索は即座にそれが宿儺の指を吞み込んでいた時に刻まれた生得術式であると理解した。「解」がここで使用可能となった。そこからは更なる術師の頂点へと駆け上がっていく。6度目の黒い閃光が輝く。その一撃が地面を割り砕き、羂索の保有していた特級呪霊をものの数発で屠った。残りの呪霊ストックの底が見え始めている。冷汗が流れた瞬間、横なぎに振るわれた刀を呪力を纏った掌で掴み取り、極小の『うずまき』で乙骨の胴体を貫かんとする。しかし、受け止めさせるのが乙骨の狙いだった。
「『解』」
「御厨子か、宿儺の指を食べたんだね」
ピッと羂索の右腕から右半身にかけて、線が奔る。かつて平安時代に身をもって体感した『解』の発露である。破壊された日本刀を離し、自分の右隣に生えている刀を手に取り、羂索の喉元に突き刺す瞬間であった。ガラスの割れる音が世界に響いた。領域の崩壊…そして、超重力が高専術師たちを再度、圧し潰した。
「(領域の破壊が早すぎる!外殻を固めに調整したのにここまで差があるのか!)」
乙骨の結界術より遥かに高度な結界術を構築している羂索は、外殻が固いことを理解していた。内部で解き放った領域を保有する呪霊が外殻で領域を展開したのだ。内部と外部からの圧力で『真贋相愛』は崩された。しかい、そこで拍手が響いた。その音を、彼らは知っている。
真人の無為転変で彼はこの戦闘に参画はできないはずであった。数か月のインターバルがあるならば話は別だが、それができるはずがないと羂索は考えた。鴉との位置を変え、領域外へと誘うのは、『東堂葵』そして
「性根を叩きのめしてやると言ったよね。もう一度聞こう!夏油くんの身体を奪った呪術師!」
二人の男女が声高らかに言い放った。
「「どんな女がタイプだ?」」
「何故、生きている…。九十九由基」
金髪の