九十九が使用した
「九十九…」
「ちょっと前ぶりだね、脹相。まあ私にとっては数世紀くらい経っているような気がするが。やっぱりいい男だね。私の
「ああ、お前が
「待て、お前は悠仁のなんだ!九十九、生きて___!」
藤堂の術式、
「さて、ここで授業だ。夏油くん。いや、羂索と呼ぼうか。私の術式、
「(術式の開示!)」
羂索は呪霊を放つ。既にここは呪霊の巣窟だが、1級にも満たない呪霊が九十九へ吸い寄せられ、突如として圧壊した。近づくだけで空間が歪むほどの質量を彼女が纏っている証拠であった。恐らくは特級クラスすら、彼女の一撃で術式関係なく潰されるであろうことは予測がついていた。
九十九は呪霊の消失反応による白煙を掻き分けながら、羂索の前へ立つ。夏油傑の体躯と同じ程度の九十九の身長は、術式と合わせて圧倒的な存在感を醸し出していた。
「さて、私が何故ここに生きているのか?答えは単純だ」
「『私』は、君の知っている『私』ではない」
その一言は、羂索に答えを与えるも同然であった。
彼女の言葉の意味、なぜ生きているのか、そしてあの激戦で分断された胴体が何故治癒しているのか…!
彼女の身体にはあの激戦での傷が残されている。死亡した後の反転術式を思考するが不可能だと理解した。首と同じく、完全に分かれた肉体に反転術式は無意味!
ただ一つ、羂索は彼女の術式であり得る事象を思いついた。考えたくはないが…、理論物理学者のアルベルト・アインシュタインが発表した一般相対性理論では、巨大な物体ほど周囲の空間が引き伸ばされ、曲げられるとされている。巨大な物体は空間に谷のようなものを形成すると考えられており、そのため、別の物体が近づくと、その物体は空間の谷に落ちてしまう。
ブラックホールの重力は非常に強く、光でさえも脱出が不可能!
光でさえも抜け出せなくなるほどの急勾配になる点を「
「
「正ッ解!」
指を鳴らし、傷のついた腹筋を撫でる。その傷は異様に引き延ばされたように見えた。
「どうやらブラックホール研究者の仮説は正解だった。一度は私も原子の列になって狭間に落ちると思ったよ。ブラックホールの環境下ではスパゲッティ化するって話は正しかった。ただ私は特別でね」
「星漿体の体質…か」
羂索は呟き、九十九は頷いた。
「私の身体は天元と同化できる特別体質だ。同化というのを理論化するとまあ難しいんだが…ただ一つ分かったのは、今、私は術式と同化した。意味は分かるかな?」
「術式だけが歩く…まるで魂が肉体を持ったということか!」
九十九由基という個人は死んだ。だが
九十九由基の存在は羂索の想定を遥かに上回った。その結果、羂索は___。
「ははは!はーっはっはっは!ンフ…、面白いね!真人の談義していた魂と肉体、それに新しい解釈ができたよ!そうか、魂だけの存在。本来それを幽霊などと呼ばれる呪霊だろうが、それに肉体が付随した!しかも呪霊特有のマイナスの肉体ではなく、プラスの肉体!」
「じゃあ講義は終了だ。次こそ、叩き直してやる。(私好みに!)」
彼女が掌印を組んだ。羂索の術式は面倒で、戦い辛い。加えて事前に聞いていた神業とも呼べる閉じない領域、一時は空性結界ごとの解体で応戦を考えたが、羂索の卓越した結界術と反重力の術式に彼女は一度敗退した。
今度は出し惜しみをしない。
「それに、いいとこ魅せなきゃね」
彼女の領域を表す掌印は施無畏印!右手を肩の高さまで上げ、手のひらを外側を向け、指は上へと向け、対する羂索は反叉合掌を結び、互いに領域が形成されていく。
「「領域展開」」
特級術師、九十九由基の領域が仙台の一角を包み込む。
彼女の呪術の真髄が今、仙台を星を墜とす!
あけおめで~~~~す。2月には完結させたいですね