「(鹿紫雲一、五条がどっかから連れてきた奴だ…、遠目で見たことはあるが、コイツ強すぎる!)」
日下部篤也、ニヤついてしまう。
この男から離れなければ、恐らくは死ぬことはないだろう。
自分は自分の身を守っておけばいい。
パンダは…、まぁパンダだから大丈夫だろう。
「
「頂くぜ」
パンダは鹿紫雲から魚肉ソーセージを受け取り、頬張りながら日下部に話した。
記録ーーー2018年10月31日19:00
東急百貨店、東急東横店を中心に、半径およそ400mの”帳”が降ろされる。
「俺たち、中に行かなくていいのか?」
「行けるわけねえだろ。それに、補助監督からも規制が入ってる」
鹿紫雲は二人の会話を聞き流しながら如意で肩をトントンと叩きながらウズウズしていた。
燻った戦意が足に出て、ふらふらと帳に入るか入らないかを繰り返していた。
入りそうになったところを日下部が待て待てと止めることを何度も続けていた。
「高度な結界術に、五条悟の指名だ。お上はこれを交流会襲撃の犯人グループだと考え、被害を最小限に抑えるために五条悟単独の渋谷平定を決定したっちゅーわけだ」
棒付きの
パンダは、一般人への被害へ苦言を呈したが、日下部はそれを仕方がないことと制止する。
「去年の
「中は見たのか?」
鹿紫雲は日下部にそう問いかける。日下部は頷き、棒付きキャンディをタバコを持つように人差し指と中指で持つ。
帳の内側は平和なものだったらしい。一般人のパニックはあるが、呪霊や呪詛師が暴れ、殺し回っているわけでもない。現状、只々一般人を閉じ込めているだけの結界なのだと言う。
ただ日下部は首をボリボリと掻き、嫌そうな顔をしながら帳をチラと見た。
「俺は正直、中に入るのはごめんだね。ヒカリエの方面だったか?」
「おそらく地下に特級レベルがゴロゴロいる」
鹿紫雲、帳の単独突入を決意。
「待て待て待て待て、鹿紫雲ぉ〜!?」
日下部は離れたくない一心で鹿紫雲の背中を追う。パンダも同様に、帳の中へと潜入した。
五条悟が帳を通過し、ヒカリエへと向かってから凡そ2分、20:40に日下部班は渋谷を目の当たりにする。
地面が揺れた。丁度この時間帯は、特級呪霊”漏瑚”と受肉した九相図”脹相”が戦闘を行っている時間帯だ。
鹿紫雲は新南口入り口から渋谷駅地下五階へと向かう。
日下部は停止しかける。地上にいればもしかしたら生きてられる。地下に行けば、死地が待っている。
「(死にたくねえ〜!でも離れたくもねえ〜!)」
凄まじい呪力が地下にて明滅する。
特級呪霊、その中でもかなりの上澄みだ。日下部は思考する。
だが、その日下部の身体を持ち上げ、地下へと降りる
「待て待て待て待てパンダァ!」
「鹿紫雲を見失うぞ!止まってる暇なんてないだろー!」
ドタドタ、一般人はそのプリティーな仮装だと思いながら、おっさんを持ち上げたパンダを見ている。
ハロウィンという日は、人の武装を仮装だと認識させ、どのコスプレだとかの話になっていた。
渋谷駅 地下2階
20:42 日下部班、六人の呪詛師(階級不明)と交戦。
交戦時間 4:26
一般人を殺さない縛りを持つ鹿紫雲が邪魔な一般人を逃しながら、戦闘を行う。
後ろから現れたパンダと日下部の協力により、制圧。
渋谷駅 地下3階
20:48 日下部班、袈裟姿の男と邂逅
パンダと日下部はその目を見開く。
去年のクリスマスに乙骨憂太によって撃退され、五条悟が殺害したはずの存在。
特級呪詛師、夏油傑が目の前に現れたのだ。
「なんで生きているんだよ。『夏油傑』ッ!」
「酷いじゃないですか、日下部さん。ここから先は行ってほしくないんでね。死んで貰いますよ」
夏油傑の生存を確認。交戦ーーー
「まぁ相手にするのは私じゃない。それに、まさか早めに目覚めるとはね」
夏油は鹿紫雲へと目を向ける。
鹿紫雲はその男を真正面から見て、その傷跡に目を止めた。
「お前かよ…、
「「(誰!?)」」
ゾブゾブと夏油が召喚したのは、3メートルを超える巨躯、顔には、目玉が四つ散りばめられており、黒い三本角を生やしていた。
そしてその丸太のような巨碗で持たれたこれまた巨大な斧、そこにいるだけで死を感じさせるほどの存在感。
「特級叛霊『悪路王大嶽』」
「(呪霊操術、マジで夏油か?いや、鹿紫雲が羂索と言ってたな…。中身が違うのか!?それはともかく帰りてえ〜!)」
居合の構えを日下部は取る。それに追従する形でパンダも構えた。出し惜しみはしない。ゴリラモードへとその身を変化させる!
特級の悪意が日下部班へと襲いかかる!
「いいんじゃない?」
鹿紫雲の紫電が、戦意と共に弾けた。