貞操観念逆転世界へ変わっていく一般人たちの反応 作:ねこ次郎
近頃よく聞く話だが、「近年の日本の夏は長くなった」と語る人が多いらしい。
6月頃から始まった真夏が9月の半ばまで続いて、ようやっと涼しくなってきたかと思えば、とても暑い日が偶に来て、タンスに仕舞った半袖シャツを急遽取り出す羽目になったりする。
だが、そんな夏の日差しも10月に入ればやっとの思いで収まってくれる。俺、坂上昌は、使わなくなったエアコンのリモコンを見て、日本の季節を実感していた。
『秋と言えば、食欲の秋! 今話題のスイーツ店では、季節限定の新作スイーツが目白押しですよ!』
「限定スイーツか……」
頬杖をつきながら、のほほんとテレビを眺めている俺はひとりごちる。
今日もテレビは元気よく、最新の話題を取り上げていて、女性受けを狙ったか、ファッションコーデやら、新作スイーツや最近のトレンドなど、毎日のことながら話題が尽きない。
以前の俺ならば、こういった話題に興味を持たなかったが、最近は少し耳を傾けることが多くなっていた。特にファッションに関して。
別に、ファッションデザイナーになりたいなんて事ではなく、最近仲良くなった樫涼子さんのデートで着てくる私服が、テレビで紹介されたファッションコーデに近い形が多かったからだ。
俺自身、女性の服がどんなものだったかなんて知る由もなかったし、女性との関わりが薄かった人生だったから、興味を持つこともなかった。
けれども、異性と遊ぶようになってからは、自分の服も気にするようになったし、彼女の服も褒めるようになった。自身の関心が彼女の方に寄っていく心の変化が、俺は嬉しくて、胸の内が暖かくなる気がした。
「よし。そろそろ準備するか」
今日の会社は休みだ。今日も涼子さんを誘ってショッピングにでも行くつもりだ。今日は、なんてことない普通の土日休み。
だけれども、俺は今日を特別な日にしたかった。だから、今日、俺は決めにいく。彼女と俺の関係をもう一歩進めるために。
「髪型、服、……大丈夫だな。よし、行こう」
俺は、朝の星座占いを流していたテレビを切って部屋を出て行った。
ちなみに、俺の星座の順位は4位だった。それくらいが、俺には丁度良いと思った。
……………
【リア充】カップル多過ぎんだろ!?【爆発しろ】
1.名無しの隊員
以外、リア充撲滅部隊から報告せよ
町中、カップルで溢れかえってるんだわ。嫉妬の炎が燃えてんだよ!クソがッ!
2.名無しの隊員
俺、スタバ店員。席の半数が男女1組のカップルで占拠されてる。至急、応援を求む。
3.名無しの隊員
>>2 了解した。至急増援を送る。どこのスターバンクスだ?
4.名無しの隊員
>>3 秋葉原駅から徒歩3分のスタバだ。まずいッ! 敵に見つかった!? くそッ! 控え室の隅ならバレないと思ったのに! あっ、バイトリーダー、これは
5.名無しの隊員
>>4 もう遅いッ! サボりは粛正よぉ!! WREEEEEEY!!!
6.名無しの隊員
最近のカップルの多さは異常。休日に出掛けると高確率で、仲良くおてて繋いだ男女を見かけて、ほんと、お排泄物ですわ。
7.名無しの隊員
10月になって、もうすぐハロウィンやのに、アイツらは我慢できないのか?
8.名無しの隊員
>>7 いや。ハロウィンの日はカップルは出てこないぞ。外は騒がしいから、ほとんどのカップルは家で過ごすんだ。君は知らなかったようだがね。
9.名無しの隊員
あいつら家でトリックorトリートするんや!!
10.名無しの隊員
トリックを選ぶ→どこをイタズラする気なんや!?
トリートを選ぶ→お菓子……
11.名無しの隊員
「おかし(て)くれなきゃイタズラしちゃうぞ♡」ってか!?
はーーー、くそ。ハロウィンなんか日本の文化じゃねぇっての!
12.名無しの主催者
>>11 そう思っているみなさんに朗報です。
来たる10月31日の渋谷では、ハロウィン合コンパーティを開く予定です。様々なコスプレに身を包んだ独身女性が沢山いらっしゃいます。彼女たちは、君たちの来訪を心よりお待ちしております♡
13.名無しの隊員
>>12 合コン……? なにそれ、美味しいの?
14.名無しの隊員
>>12 今はリア充を叩くのに忙しいんや。釣りなら他所でやってくれや。
15.名無しの隊員
>>12 こんな、俺のような非モテ童貞が集まるような場所に、よく投下できたな? いいのか? きっと後悔するぞ?
16.名無しの主催者
>>15 えぇ、ぜひお越しください。実は、生理解消薬が出来てから街コン事情も厳しくなりましてね……。成婚率が上がりすぎて、逆に人が足りなくなってるんですよ。特に男性側が。
17.名無しの隊員
>>16 そんな筈は無いだろッ!! だったら、なんで俺は今でも童貞のままなんだ!!
18.名無しの隊員
>>16 お前らはいつだってそうだ。男性募集と謳いながら、俺らみたいな
19.名無しの隊員
うぅ……、俺も、イケメンに生まれたかった。そしたら、メロン100%みたいな人生だったかもしれないのに……。
20.名無しの隊員
>>19 おじさん。メロン100%は、もう20年くらい前の漫画だぞ。
21.名無しの隊員
>>20 俺の青春……どこ行った?
22.名無しの隊員
>>20 君のような勘のいいガキは嫌いだよ。うぅ……
23.名無しの隊員
>>21 >>22
顔を伏せるな。立って歩け。お前にはまだ立てる足があるだろ。
24.名無しの隊員
>>23 立ってるのは、俺の腰にある肉棒ぐらいなんだがな。
ファーーーww
25.名無しの隊員
>>24 クッソつまんね。一生ROMってろよ。
26.名無しの主催者
色々と言われてますが、ぶっちゃけた話、この掲示板でさえ手を伸ばさざるを得ないくらいなんです。当たり前ですが、こんな怪しいネット掲示板で宣伝した所で、以前なら期待値ゼロです。
ですが、今! 今年のハロウィンは、まさに異常事態になる可能性が高いんです! 結婚適齢期の独身女性が「男狩り」に出てくると僕たちは睨んでいます。
だからこそ、あなた達にとっての最大のチャンスなんです!
来たる10月31日の渋谷。そこで異性の恋人をゲットするチャンスなんです!
27.名無しの隊員
男狩りww エロ同人の見過ぎだってww
28.名無しの隊員
嘘つくなら、もっとマシな嘘を並べろや。
こんなので釣れた俺が、バカじゃねぇか。
29.名無しの隊員
>>28 釣れるんかーいww
30.名無しの隊員
今時、カップルが大量生産されてるのに、まだ童貞と処女拗らせてる奴おりゅ〜?ww ま、俺は非童貞なんだけどなww
童貞と処女が許されるのって、小学生までだよねぇww
31.名無しの隊員
>>30 お前は俺を怒らせた。
32.名無しの隊員
>>31 オラオラオラオラオラオラオラオラァァ!!
33.名無しの隊員
>>30 うぉーーー! 山吹色◯波紋疾走ッ!!
34.名無しの隊員
>>33 ドパドパドパドパドパッ!!
35.名無しの隊員
>>30 (自分を非童貞と言っても、カップルとは言わない。こいつ多分、素人童貞だな)
36.名無しの隊員
>>35 (ななチキください)
37.名無しの隊員
>>36 (こいつッ、直接脳内に!?)
38.名無しの隊員
>>37 (ちくわ大明神)
39.名無しの主催者
スレが荒れそうなので、そろそろ締めましょうか。
今、1人が寂しい方、素人童貞をさっさと卒業させたい方は、ぜひハロウィンパーティにお越しください。
貴方たちの童貞を、心よりお待ちしております。
また、僕は、美人な嫁がいる男なので、ROM専に戻りますねー(^^)
40.名無しの隊員
>>39 リア充氏すべし、慈悲はない。
アイヤーーーーッ!
41.名無しの隊員
>>39 くそぉ! こうなったら釣りでも何でも良い!
俺は、童貞を辞めるぞ! ジョジョーーッ!!
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……………
夕日が沈み、辺りが暗くなってきたころ、俺は涼子さんと並んで歩いていた。
「今日も楽しかったですね、昌さん♪」
ニコニコと朗らかな笑みを浮かべながら、涼子さんは楽しそうに今日の出来事を思い返していた。今日は近所のショッピングモールで、秋物の服や雑貨など、様々な物を見て回ったが、俺も涼子さんも特に疲れた様子はなかった。
やはり、この人と一緒にいると楽しくて、時間があっという間に過ぎてしまう。それが口惜しいと感じるが、それも今日までだ。
俺はやっぱり涼子さんと一緒がいい。その焦がれるような想いを、今日、彼女に伝えるんだ。
「あっ」
涼子さんを最寄りの駅に送るための帰り道。その道中で俺は小さなベンチを見つけた。すぐ側には自販機もある。
「少し、寄っていきませんか?」
「ん? えぇ。良いですよ。」
俺と涼子さんは、自販機で飲み物を買ってから、その2人掛けの小さなベンチに座って、缶ジュースのプルタブを上げた。微糖のコーヒーは冷たく、慌ただしい俺の心も落ち着かせてくれる。
ふと、横を見ると、涼子さんはミルクティーの缶を口に付けている最中だった。自然と、彼女の血色の良い唇と、俺よりも白くて艶やかな喉元に視線が向いてしまう。
「ふぁ……。生き返る気分です」
「まだ日中は暑かったからね。もう10月なんだけどな。」
「でも、これからは一気に寒くなるそうですよ。もうすぐ秋物のお洋服の出番です! 昌さんも期待しててくださいね♪」
「うん。次のデートが今から楽しみだ。」
にへらと笑う彼女に釣られて、俺も自然と笑顔になる。俺と涼子さんの間の空気が弛緩していくのが実感できて、今なら自然と言える気がした。
俺は、手のひらを冷やしている微糖のコーヒーで口を濡らして、涼子さんに声を掛けた。その時の涼子さんはミルクティーを飲んでいる最中だった。
「涼子さん」
「んく、はぁ……はい?」
「伝えたいことがあるんだ」
「………どうぞ」
俺の緊張が伝わったようで、涼子さんは姿勢を正して俺の方をまっすぐに見つめてきてくれた。
あぁ……、だから俺は、素直で素敵な涼子さんのことが
「好きです。涼子さん。」
「………はい」
「だから、俺と……」
彼女が好きだから、俺は『その先』へと進みたかった。
「付き合ってください」
………
…………
頬が熱くなるのを自覚する。涼子さんの返事が怖くて、一瞬、目を逸らしてしまうが、俺はすぐに視線を彼女の方に戻す。
俺の一世一代の告白に、涼子さんは
「………え?」
と、素っ頓狂な表情を浮かべていた。
登場人物
坂上 昌
ついに彼女に告白した。半年くらい一緒に遊んだりしていたが、友達以上恋人未満の関係だと思っていて、今回ついに告白した。だが、目の前の彼女は困惑するばかりで、彼自身も驚いている。
樫 涼子
涼子は激怒した。必ず、あのおとな中高生を分からせなければならぬと。涼子には男心が分からぬ。涼子は生理解消薬を飲んだただの一般人OLだが、今の雰囲気がプロポーズに絶好の機会だと人一倍に理解して期待していた。だが、帰ってきた反応は、まるで中学男子が初恋の女子に告白するような甘酸っぱいものだった。
涼子は失望した。私たちが、この半年間築き上げてきた関係は、既にカップル以上夫婦未満だと自覚していただけに、その失望は深かった。だが、その失望は、かの朴念仁への怒りに変わり、涼子は今夜、あのクソボケを分からせると決意した。
長らくお待たせしました。読んでいただき、ありがとございます。
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