貞操観念逆転世界へ変わっていく一般人たちの反応   作:ねこ次郎

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二話 女の子の日が消える新薬が今日発売!

 

【速報】女の子の日が消える新薬が今日発売!

 

1.名無しの女の子

先月から発表されていた○○社の新薬が本日、全国の薬局にて販売。世間からは、喜びの声が上がる一方、戸惑いの声も相次いでいます。

 

MMMニュース 抜粋

 

祭りだぁぁぁぁ!

 

2.名無しの女の子

キタァアアアアアア!

 

3.名無しの女の子

シャァァァァァァァァァァァ!

 

4.名無しの女の子

>>1>>2 >>3

皆様、はしたないですわよ。

 

5.名無しの女の子

アタシらがどれだけ、生理痛に悩まされたと思ってるん?

痛いし、苦しいし、マジぴえんだし

 

6.名無しの女の子

生理痛用のピルも飲んでたけど、多少マシになるだけで大したことないんだよな。

 

7.名無しの女の子

そもそも、コレって効果ある?

わたちぃあたまよわいからわかんなぁ〜い

 

8.名無しの女の子

ぶりクソ乙

なんでも、この薬を飲むと生理自体が無くなるらしい。なのに健康被害ナシ。こりゃ、世界変わったわ。

 

9.名無しの女の子

しかも、臨床試験という名のサンプルで数ヶ月試した人がメチャクチャ美人になってて草

 

当人も『あの薬のおかげで綺麗になれたんですッ!』って今どきテレビショッピングでも言わないこと言わされてるしww

 

10.名無しの女の子

美人になれるかはともかくとして、あのぽんぽんペインが無くなってくれるなら、飲まない選択肢はないわな

 

11.名無しの女の子

近くの薬局に並びに来たワイ、開店1時間前なのに行列できてて草

 

12.名無しの女の子

>>11 ワイ同。大体どこも並んでいるから、今の日本にまだこんなにおんにゃの子がいたのかとビックリしてる

 

13.名無しの女の子

おんにゃの子(27歳)

 

14.名無しの女の子

おんにゃの子(39さい)

 

15.名無しの女の子

おんにゃの子(58さい)

 

16.名無しの女の子

>>15 閉経済みのババァはお帰りください

 

17.名無しの女の子

>>16 娘に頼まれて買いに来ました。わたしは悪くない

 

18.名無しの女の子

まだ密林では売られていないみたいだけど、今後ネット販売にも広げていくみたいやで

 

『バスケ選手が「まだ慌てる時間じゃない」と言ってる画像』

 

19.名無しの女の子

>>18 安西先生……ぽんぺが……怖いです……。

 

 

20.名無しの女の子

>>19 今、買いに行けば、そこで試合終了だよ。

 

21.名無しの女の子

これで、ぽんぺともおさらばじゃああああ!

やっふぅううううううううう!

 

 

 

 

……………

 

計画は進んでいる。

 

件の薬を開発した男は、パソコンの前でほくそ笑んでいた。

 

……………

 

 

今日も今日とて、いつも通りの仕事が待っている。

俺、坂上昌は今日も会社へ行く準備をしていた。

 

テレビでは、つい先月に発表されたらしい新薬の紹介が連日のように流され、街中には、生理解消薬を飲んでは生き生きとした姿を見せる女性が増えているらしい。

 

テレビの中の男性リポーターが、30歳くらいの女性に声を掛けていた。

ピッチリとしたレディーススーツに身を包むその女性は、柔和な笑みを浮かべながら、リポーターの質問に答えていく。

 

〜〜先月発売された新薬について、どう思いますか?〜〜

 

『あの薬ですか? えぇ、私も飲んでます。もう、飲んでからカラダが軽くってですね! いつもなら、そろそろ体調が悪くなるんですけど、もう、そんな素振りはないんですよ!』

 

その女性は朗らかに笑う。その笑顔は歳の割に可愛く見えた。

 

〜〜周りの人はどう言ってますか?〜〜

 

『どうって、皆んな好評ですよ。飲んでない友達の方が少ないみたいで、皆んな明るくてキレイになってて、今度、皆んなで一緒にプールに行こうって話してたんです』

 

〜〜とてもお綺麗ですから、男性にさぞモテるんじゃないんですか?〜〜

 

『まぁ♡ ありがとうございます。こんなオバさんに口説いても、何にも出ないよ♡ ふふっ♡』

 

〜〜オバさんなんて、まだまだお若いじゃないですか〜〜

 

『私、今年でもう41なんですよ♡』

 

〜〜えっ!?〜〜

 

「えっ!!?」

 

テレビの男性リポーターと同じ反応をしてしまった。

テレビに映っている女性は、どう見ても30代前半の女性で、化粧も別段濃くはない。画質が悪いテレビだから俺には分からないが、テレビのリポーターの驚き様なら、肌艶も40を過ぎた中年女性には見えないのだろう。

 

テレビのインタビューは続いていく。リポーターは動揺を隠さずにいるが、プロらしくインタビューを続けていた。

 

〜〜へ、へぇ〜、それほど綺麗ならご結婚はなされているのですか?〜〜

 

『それが……この年になっても、良いご縁がなくって……、なので、今度皆んなで行くプールで、男の子でも引っ掛けようかな♡って思ってたんです』

 

ふふっ♡ と笑う姿はとても妖艶で、見ているコッチがドキリとしてしまう。

 

それは、インタビューしているリポーターも同じだったのだろう。

 

〜〜な、なら、僕が立候補しても?〜〜

 

『まぁ♡

 

ここでスタジオに戻った。流石にお茶の間に流すには不適切だと判断されたのだろう、スタジオのMCが苦笑いを浮かべながら、さっさと次の話題へと進めていった。

 

その後、医学的な専門家の方が色々と新薬について詳しい説明を行なっているが、専門家本人も新薬については、大まかな効果などしか理解していないようだった。

 

人体の仕組みがウンタラカンタラ、女性ホルモンがウンタラカンタラと、自称専門家が、とりあえず尺を伸ばすような長さの説明を続けていて、俺は辟易してしまう。

 

俺はさっさとテレビを切って出勤していった。

 

 

…………

 

………………

 

 

俺の職場は徒歩15分のオフィスだ。いつもの通勤の時には気が付かなかったが、今朝のテレビを見て改めて周りの変化に気づいた。

 

すぐ側で、タイトなパンプスを履いている20代半ばくらいの女性が歩いている。彼女の表情は明るく、今から仕事に向かうというのに、とても表情が生き生きとしていた。

 

道路の向かい側で女子高生が2人、談笑しながら登校しているのだろう、彼女たちも若々しい雰囲気を醸し出しながら楽しく笑い合っていた。

 

道路脇で地味な作業服を着込んだ4〜50のオバちゃんも生き生きとした表情で働いており、せっせと床に落ちているゴミを集めていた。

 

周りにいる女性たちは、ほぼ全員が、とても調子が良さそうな雰囲気を漂わせている。これは、ちょっとした変化なのだろう、テレビで言っていた『生理解消薬』が本当に効果のある薬なんだって、俺は辺りの空気感で理解できた。

 

「この薬はダメじゃ!!」

 

「ん?」

 

通勤途中の道路で、なにやら老婆が大きなプラカードを掲げて叫んでいた。プラカードには、人体を破壊する薬は反対! とデカデカと書かれていて、気になった俺は足を止めていた。

 

「せいりは! 人にとって当たり前のものじゃ! これを無くそうなんて、神様仏様を侮辱する行為じゃ! 絶対にあってはならん!」

 

老婆は唾を吐き飛ばしながら、道行く女性に向けて怒声を上げている。腰が曲がり皺くちゃの顔を更に歪めて叫ぶ様は、あまりにも哀れに見えた。

 

「血が出るくらい、なんじゃ! 子供を産むために必要なら我慢するのが当たり前じゃ! 生理が無くなってしもうたら、子供も出来なくなるぞ!」

 

ざわ……

 

偶々通りかかった若い女性の集団が、少し戸惑った様子を見せた。おそらく、子供が出来ない、と脅されたことで薬の危険性に気づきかけたのだろう。老婆も、彼女たちの様子に気分が乗ったのか、口上を続ける。

 

「そうじゃ! 何事も自然のまま、人はそのように作られた存在じゃから、人の在り方を変えるような薬が身体に良い訳がないじゃろ。ならば、今すぐ、あの忌々しい毒物の販売を中止させるべき」

 

「ちょっと」

 

と、その時、老婆の前に1人の若い女性が堂々とした様子で出てきた。若い女性は、老婆の前に立つと老婆を見下ろして話しかける。

 

「生理が無くなっても子供が出来ることは、専門家含め、様々な方が証明しています。勝手な憶測で嘘をつかないでください」

 

「ふん! なんだぃ? あんた。あんたもあの毒物を擁護するのかい? 自分の体が変になることが、そんなにも嬉しいのかい?」

 

「えぇ。生理痛なんて無くなってしまえって何度も何度も思っていた身ですから、いざ無くなってみたら、嬉しさで小躍りしたい気分です。それに、あの薬を飲んでから肌艶も良くなったんですよ」

 

にこにこと余裕の笑みを浮かべている若い女性に、老婆は不機嫌さを隠さずに更に悪態をつく

 

「はん、せっかく親から貰った大事な体を粗末にして、綺麗になった? そりゃ外見だけで、あんたの腹ん中はドロドロに腐ってゆくよ、あの毒物で生理が無くなったせいでね」

 

「それは違いますよ。むしろ、子供ができやすくなって万々歳です」

 

若い女性は下っ腹を撫でて柔らかな笑みを浮かべながら言った。

 

「私、この前、妊娠したんですよ。薬を飲んでから身体が若返ったみたいで、夫とも毎晩致していたら、つい先日デキちゃって」

 

「は……?」

 

若い女性の発言に老婆は唖然としていた。若い女性はおめでたでした。妊娠したばかりで見た目の変化がないから知りようがない。

ただ、さっきの老婆の発言で不安に思っていた女性たちが、ホッと安心したらしく、周囲の空気が柔らかいものに変わっていた。

 

だが、老婆に向けられる視線は、だんだんと冷めたものになっていき、老婆は居心地が悪そうに身じろぎしている。

 

「自分が生理痛に苦しんだからって、他人に当たるのは良くないですよ。それに悩んでいた女性が多かったのは事実ですが、これからは必要なくなったんです」

 

「っ!」

 

唖然としている老婆に、妊娠中の女性は落ち着いた声色で話しかけていた。周りでは野次馬がヒソヒソと話している声がしていて、老婆は、羞恥で顔を真っ赤にしながら、一つ舌打ちをしてその場からそそくさと立ち去っていった。

 

その後、迷惑な老婆を退けた女性は、周囲の人から拍手されると、自身も恥ずかしそうにはにかみながら、その場を立ち去り、いつもの風景に戻っていった。

 

 

俺も拍手に参加していたが、ふと腕時計を見れば、始業まであと数分と無いことに気がつき、駆け足で会社へと向かうのであった。

 

 








登場人物

インタビューされた美魔女さん

街角インタビューを受けた41歳のおばさま。年齢に合わない妖艶さと年齢相当のお淑やかさに心を奪われたインタビュアーの男性をお持ち帰りしたとか。


インタビュアーの男性

我慢できなかった男性は、あのあとプロデューサーさんに大目玉を食らった。でも良い思いができてホクホク顔の青年だった。


老婆

うるさいババァ。だが彼女は、また別の場所で同じように叫び続けている。


妊娠中の女性

生理解消薬を飲んでからは、肌艶が良くなり、夫からの催促が増えた結果のおめでた。その後、七難八苦ありながらも元気な女の子を産みました。
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