貞操観念逆転世界へ変わっていく一般人たちの反応   作:ねこ次郎

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三十一話 娘の検索履歴がヤバすぎた件

 

「あぁ〜。それは駄目ですね」

 

朝の立哨活動から戻ってきた僕、根山健人を職員室前で出待ちしていたのは、隣のクラスを担任している早風杏音先生だった。

早風先生は、どこか上の空だった僕の様子を訝しんで、今朝のことについて相談に乗ってくれたが、開口一番、僕に返ってきた反応は少し呆れを含んだものだった。

 

「先生。以前、私は忠告しましたよね? 女の子の成長は早いって。たとえ、まだ11歳の少女だったとしても、あまり子供扱いしすぎると嫌がられるのは当然の反応です」

 

「そうかな……?」

 

「当然です。頭なでなでで喜ぶのなんて、もっと小さい子か子犬くらいなもの。特に朝の往来で、せっかく整えた髪型を弄り回すなんて、普通は女の子に嫌われてしまいます。そこの所は十分注意してください」

 

「でも、少し前までは、すごく喜んでくれてたんだけどなぁ……」

 

「それでも、です。乙女心は秋の空ですから、そういう気分の時もあります。以前までは良かっても今はダメなんてことは、よくある話です。……まぁ、時と場合を選んでいただければ、私も……」ボソボソ

 

「ん? 何ですか?」

 

「ご、ごほん。……いいえ。何でもありません」

 

一瞬だけ顔を背けてボソボソ呟いていた早風先生に聞き返しても、咳払い一つで誤魔化された。若干頬に朱色が刺していたから、この話題は続けても良くないと僕は判断した。

 

それから、クラスの様子がどうのこうのと情報交換をした後、僕と早風先生は自身の職務に戻って行った。

 

………

 

…………

 

……………

 

僕は、教室へ向かう途中、教科書や出席名簿を片手に思う。

 

それにしても、今朝の出来事は本当に衝撃的だった。

 

ミキちゃんとのスキンシップは、普段の日課と言われてもおかしくないくらいに行われてきた。

 

何度も抱きつかれたせいか、僕は、ミキちゃんの精神状況が朧げに分かるくらいにはなっていて、機嫌が良い時は、楽しかったことや嬉しかったことを共有したくてウズウズしている感情が浮き彫りになって伝わってくるし、逆に辛かったり悲しかったりした時は、慰めてほしそうに額をグリグリと僕のお腹に押し付けてくる。当然、その時は頭を撫でて慰めたり、話を聞いてあげたりもした。

 

けれども、今朝のことは、いつもとは全く異なる、今までに一度も見た事がない反応だった。

 

明らかな拒絶。

でも、その中には羞恥心があって、単に嫌だったからといった理由だけではないと察せられた。

 

だが、その先が分からない。

 

教師になるために短大を卒業して、それから初めて受け持った担任。

まだ7〜8歳だった生徒(あの子)たちと一緒に年を重ねていった僕だが、こうして生徒たちが、大人への第一歩を踏み出し始めていることに、正直僕は戸惑いを感じていた。

 

だが、僕も一端の教師。

もう既に大人になった僕よりも『何も知らない子供たち』の方が、もっと大きな不安に襲われているはず。だからこそ、僕は生徒たちを正しく導き、安心を与えるために堂々としているべきなんだ。

 

パシン! と頬を叩く。

ジンジンと痛む頬が、僕の気を引き締めてくれた。

 

「ッ! ……よしっ」

 

気合いを一つ入れる。今日も今日とて、僕は、生徒たちの『先生』として恥ずかしくないように生きていこうと決めて、生徒たちが待つ教室へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

【ママさんスレ】娘の検索履歴がヤバすぎた件

 

1.スレ主のママさん

助けてクレメンス

 

2.名無しのママさん

>>1 どうしましたか? 詳しく聞かせてください

 

3.名無しのママさん

>>1 たとえ娘とはいえ、検索履歴は地雷なんだが?

 

良い歳した娘のプライベートくらい守ろうよ、お母さん。

 

4.名無しのママさん

>>1 とりま、スペックよろ

 

5.スレ主のママさん

見ててくださりありがとうございます。

とりあえず、スペック貼ります

 

私 29歳 (パート)

夫 31歳 (会社員)

娘  7歳 (小学2年生)

娘  3歳

 

相談したいのは、7歳の娘についてです。

 

6.名無しのママさん

>>5 あらやだ〜! まだお若いのね!!

 

7.名無しのママさん

>>5 小2の子が検索履歴? 妙だな?

 

8.名無しのママさん

最近は、子供にスマホを渡して大人しくさせてるお母さんが多いのよね。いくら、楽が出来るとはいえ、子供の教育に悪いと思いますわ。

 

9.名無しのママさん

>>8 みなさんww 時代錯誤ババアがココにいますよぉww

 

10.名無しのママさん【ID赤】

>>9 このクソビッチ! パコパコするしか能のない繁殖機が、お前らのせいで馬鹿で自制できない子供が増えているんですが!?

 

11.名無しのママさん【ID赤】

>>10 はぁ!? アンタみたいな時代遅れのせいで束縛されすぎた子供のこと、考えたことあるの!? 自制されすぎて自分が無い子がどれだけ悲惨か、考えたことあるの!?

 

てか、お前らの糞クレームのせいで公園が無くなってるんですが、そこらへん気づいてる?

 

12.名無しのママさん

>>10 >>11 喧嘩はスレチなので、別スレでどうぞ。

 

13.スレ主のママさん

>>7 私も、子供にスマホを預けて遊ばせてる時があります。

ですが、どこで覚えたのか、インターネットでポチポチ検索している時がありまして………。うちの娘、『男の人 おちんちん』って検索してたんです。

 

14.名無しのママさん

>>13 『男の人 おちんちん』ッ!?!?

 

 

15.名無しのママさん

>>13 性に関心を持つのは誰だって当然………

 

 

7さい(♀)………だと……?

 

16.名無しのママさん

スレ主「恐ろしく早い目覚め……私じゃなきゃ見逃しちゃうね」

 

17.スレ主のママさん

>>16 私もビックリしました……。

その心は、団長の念魚に全身を喰われた人の気持ちでした……。

 

私もコッソリ検索してみたのですが、学術的な物やぼかした表現の物ばかりで、少しは安心できたのですが、おそらく娘が求めていた物とは違ったようで、もし怪しいサイトなんかに引っ掛かったらどうしよう……って不安になって相談しました。

 

 

18.名無しのママさん

>>17 あぁ……そういえば、そうだね。

 

19.名無しのママさん

>>17 需要に供給が追いついていない例だね。

これからはもっと『そういう画像』が増えると思うから注意してね。

 

20.名無しのママさん

>>19 もっこりブリーフに顔を埋めてクンカクンカしたい人生だった………。

 

ちな、夫には若干引かれたけど、やった後に十歩十歩♡したらたくさんダしてくれました♡ 美味しかったです♡

 

21.名無しのママさん

>>20 嫌味か、貴様ぁぁぁぁぁッ!!!(怒)

 

ウチなんか、ここ最近ずっとレスなんだが!?(怒)

旦那がいるのに、独りで『浄化』する気持ちが、お前に分かるかッ!?

 

 

22.スレ主のママさん

>>21 『浄化』にかまけて自己研鑽を積まなかったからでは?

ボブは訝しんだ。

 

私は夫がスケベすぎるので、ちゃんと継続できてます♡

夫は『次は男の子がいい……』って言ってましたが、多分、次も女の子な気がします。直感ですが。

 

23.名無しのママさん【ID赤】

>>22 『旦那がスケベすぎる』

 

 

羨ま!!!!!! そこ替われよぉ!!!!

 

24.名無しのママさん

2人産んだけど、夫が避妊を徹底しすぎて辛……いや、そんなことないわ。私の『洗浄』に付き合ってくれるだけ、ありがたいね。

 

25.名無しのママさん

ウチたち、ママさんがエッチになってしまった以上、娘にだけは清廉を求めるのは無理があると思うよ。

 

だからスレ主さん。娘には、正しい知識を教えるのが大事なんだよね。

ネットの海は危ない。だったり、児童誘拐犯なんていつ現れてもおかしくない。とか。

 

26.スレ主のママさん

>>25 ありがとうございます。

 

でも、流石にまだ早過ぎるので、ちゃんと家族会議した後、性についてゆっくりと教えていきたいと思います。

 

ご相談に乗っていただき、ありがとうございました。

またROM専に戻ります。

 

27.名無しのママさん

>>26 頑張ってなー。ノシ

 

28.名無しのママさん

7歳ということは……まだ男風呂に乱入してもオッケーってことか?

 

29.名無しのママさん

>>28 小学生以上は、異性の風呂には入れないって決まりが殆どなんだが?

 

30.名無しのママさん

>>29 はっ! 閃いた!

 

ウチが「娘が間違って入っちゃって!」って言いながら男湯に入っちゃっても、何も文句は言われないのでは!?

 

31.名無しのママさん

>>30 お前……天才か?

 

32.名無しのママさん

>>31 お巡りさん。この人です。

 

33.名無しのママさん

7歳の女の子がこうなのか……。

ウチの娘は大丈夫かな? 今年で10歳なんだけど……。

 

 

 

 

 

 

 

授業が終わって放課後。

生徒たちの殆どが家に帰り、残っているのは、グラウンドで遊んでいる子供たちだけになっていた。

 

僕は職員室で、6時間目に授業でやった算数の小テストに赤ペンを滑らせていると、解答用紙が一枚足りないことに気がついた。

 

「あれ? おかしいな……」

 

もう一度数え直しても、やっぱり足りない。教科書や名簿に挟んでいるかもと思ってページをパラパラとめくっても、その解答用紙は出てこなかった。

 

もしかして、教室に忘れたか?

そう思い立って、僕はそそくさと職員室を後にする。

 

コツコツと硬い廊下を歩きながら、僕はなんとなしに窓の外に視線を向けた。

 

その先には、生徒たちがグラウンドで思い思いに遊んでいる光景が映っており、時折、彼らの楽しげな声が聞こえてきた。あっ、男子生徒が早風先生の尻にドッジボールを当てた。すごく怒られてる。

 

いつも通りの光景に視線を外して教室に向かう。

 

すると、その道中で見知った少女に出会った。

 

「あっ! せんせーだ!」

 

「ミキちゃん?」

 

彼女、黒崎未来は、駆け出しそうになった足を止めて、トコトコと僕の方へ歩いてくる。

 

『廊下は走らない』というルールをしっかりと守れて偉いね、と僕は、目の前でニコニコと朗らかな笑みを浮かべるミキちゃんの頭に手を伸ばしかけて、寸での所で止める。

 

代わりに、僕は膝を折って、彼女に目線を合わせた。

 

「どうしたのかな? ミキちゃん。もう下校時間は終わっちゃったと思うんだけど」

 

「えぇ……っとね。ミキ、教室にわすれものをしちゃって……、取りに来たの」

 

僕と目が合うと、恥ずかしげにもじもじと視線を逸らしたミキちゃん。

日が昇っている内は、教室の鍵は開いていて、こうして忘れ物をした生徒が出入りすることは可能だった。

 

「それなら、先生と一緒に行こうか。僕も教室に忘れ物をしちゃってね。探すのを手伝ってくれると、先生嬉しいな〜」

 

「うん! わかった! じゃ、せんせー。いこ!」

 

元気よく返事したミキちゃんは、僕の手を取って5年2組の教室へと引っ張っていった。

 

 

 

………

 

…………

 

……………

 

「♪〜〜」

 

5年2組の教室は校舎の3階にある。今はもう放課後だから、3階の廊下には僕ら以外は誰もいない。とても静かな場所だったが、隣で並ぶミキちゃんのご機嫌な鼻歌と軽快な足音が、静寂に包まれた廊下を彩っていた。

 

「とうちゃ〜く! せんせー、はやく入ろ!」

 

ミキちゃんが率先して教室の扉を開けると、ひんやりとした風が僕を包み込んだ。それは教室内に効いていた冷房の風だった。

 

僕は、あれ? と首を傾げる。

 

「せんせー? どうしたの?」

「いや。なんでもない」

 

先に入ったミキちゃんを追うように、僕も教室に入っていく。

 

今の季節は夏で、生徒たちが健全に勉強へ集中するためには余りにも暑すぎた。だからこそ、各教室にはエアコンが常設されており、設定温度は遠隔で操作されているものの、電源のオンオフは教室ごとにあるスイッチで操作できる。

 

当然、授業が終わり、生徒が下校すれば冷房の必要性はなく、僕も退出時には冷房の切り忘れがないように確認をしていた。

 

今日は偶々忘れただけか?

なら、偶然だけど忘れ物に助けられたな。

教頭先生は、エアコンの付けっぱなしには、かなりうるさい人だから気をつけないと……。

 

 

なんて、そんな役体もない考えをしていたからだろう。

 

 

 

 

カチャリ……

 

 

僕の背後で、ミキちゃんが教室の扉の鍵を閉めたことに、僕は気づけなかった。

 

 






登場人物

根山 健人

ノンデリって何ですか? ドンペリの仲間?


早風 杏音

他の先生では気づけなかったような、些細な変化に気づいた女教師。伊達に3年間、根山先生と同学年を担当していた訳じゃない。職員たちと生徒たちでは態度に大きなギャップがあることで評判の先生だが、根山先生と2人っきりで食事に出掛けた時は、生徒たちに見せる方の甘いモードになる。そっちが素なんですって(n回目)


スレ主のママさん

二児の母(もうすぐ三児)のニューレディ
娘への教育を間違えたかと不安に思ったが、これからゆっくり丁寧に教えていけば大丈夫だと知り、少し安心している。経済的にも多少の余裕があるため、そろそろ三人目が欲しくて夫と夜のプロレスを敢行する予定。

ちなみに、夫は『息子とキャッチボールをすることが夢なんだ……』とベットの上で嘆いている。なお、5年後くらいに、大きくなった娘とキャッチボールした時は、微妙そうな顔な、けれどもどこか満足気な雰囲気を漂わせていたとか。






黒崎 未来

己の抱いた気持ちに、確かな確信を得た。
『分からせ』まで、あと………
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