葬送の魔法使いと創世の魔法使い   作:ぺてんし

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 何かを学ぶのに、
 自分自身で経験する以上に良い方法はない。


             【アインシュタイン】




第5夜 魔力の違い

 

 

 

 何が起こった?なぜだ、なぜ私は地面に倒れている?

 

「ねえ、魔族のお兄さん。一つ質問をしてもいいかい?」

 

 そうか…私は負けたのか。たかが人間ごときに。

 

「……なんだ?」

「どうやってその金属器を手に入れたんだい?」

 

……聞いてどうする。聞いたところで小僧に分かるものか。

 

「……ある男から貰った」

「ある男?それは誰なんだい?」

「……もう、この世にはいない」

「そうかい……じゃあ、質問はこれで終わりだよ。じゃあね、魔族のお兄さん」

 

 そう言ってアラジンは去っていった。

 

 ……なぜだ。なぜ私を殺さない。なぜトドメを刺さない。そうか、小僧には私を殺す意志など端からないのだ。ならば───

 

 リュグナーはアラジンの後ろ姿に腕を伸ばした。残り少ない魔力を使い魔法を唱える。

 

血を操る魔法(バリテーリエ)

 

 鋭い血の塊がアラジンを貫く。その筈だった。だがリュグナーの思惑は外れた。リュグナーの放った魔法は、またもや白い閃光によって打ち砕かれた。

 

 そうか…。あの小娘───

 

魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)

 

「──っ」

 

 声にならない短い呻き声を上げて、リュグナーはどさりと地面に倒れた。彼の胸の真ん中にぽっかりと穴が開いている。即死であった。彼を模る黒いルフ達が分散していく。

 

「どうしてトドメを刺さなかったのですか?」

 

 満月を見つめるアラジンにフェルンは話しかけた。

 

「……どうして…か」

 

 何処か困ったような表情でアラジンは振り返る。

 

「お姉さんも見ただろう。あの金属器を」

 

 アラジンの言葉にフェルンはゆっくりと頷いた。その二人の光景をシュタルクはただ黙って見つめていた。

 

「あの金属器は……危険だ。あれを使ってしまうと、どんな生物でも死んでしまう」

「それは……どういう……」

 

 フェルンはアラジンの言葉の意味が分からず、彼に尋ねた。

 

「言葉通りの意味さ。あの金属器はこの世にあってはならないものなんだ」

 

 アラジンの言葉に黙っていたシュタルクが声を上げた。

 

「なあ、さっきから言ってる金属器ってなんなんだよ。それにあんたは一体何者なんだ?」

 

 シュタルクの疑問はもっともである。あの金属器の危険性や、その能力について知っている者はこの場にいる者の中ではアラジンしかいない。それにいきなり現れたアラジンはシュタルクやフェルンにとって怪しい人物には変わりなかった。それが助けてくれた恩人だったとしてもだ。

 

「その質問に答える前に、まずは自己紹介から始めようよ」

 

アラジンはシュタルクの疑問に答えず、代わりにそう言った。

 

「僕の名はアラジン。通りすがり旅人さ」

 

そう言って、アラジンは清々しい程いい笑顔で笑ったのだった。

 

「俺はシュタルク。それでこっちが……」

「私はフェルンです。助けていただきありがとうございました」

 

シュタルクは自分に続き、フェルンも自己紹介をする。そして、彼女は改めてアラジンに礼を言った。

 

「気にしないでいいよ。困っている人を助けるのは当たり前のことだからね」

 

 アラジンはシュタルクとフェルンにそう言った。三人は満月が浮かぶ夜空の下で、お互いの自己紹介を終えると、シュタルクはアラジンに改めてあの黒い金属器とアラジン自身の事について尋ねた。そして、その問いにアラジンはゆっくりと語り出した。

 

「それじゃ、何も言わずに聞いておくれ───」

 

 

※※※

 

 

 同時刻。断頭台のアウラとフリーレンは激しい交戦を繰り広げていた。

 

 何百もの首を落とされた兵を操る角の生えた大魔族──アウラ。服従の天秤を右手で持ち、腰には八芒星が刻まれた黒い大剣をぶら下げていた。

 

「…リュグナーが死んだわね。魔装までしたと言うのに」

「これで首切り役人は全滅だ。失敗したね」

「そうね。残念だわ」

「ねえ、アウラ」

「何かしら?」

 

 あの大剣……、以前は身に付けてなかったものだ。しかもあの大剣からはアウラとは別の魔力を感じる…。つい先ほど言っていた魔装と首切り役人の一人がいきなり魔力量が増幅した事も関係しているかもしてない。さて、どうしようか。下手に仕掛けるのは……危険かな。

 

「その大剣は何?」

「気になる? ふふ…でも教えてあげない」

「そう。分かった」

「随分と聞き分けがいいじゃない」

「聞かなくてもお前を倒した後に調べるからいい」

「言ってくれるじゃない。いつまでそう息巻いていられるか見ものだわ」

 

 アウラが操る首無し兵がフリーレンに近づき攻撃を仕掛け始める。槍や大剣、他にも様々な武器を持った兵ばかりだ。単調な攻撃を避けながらフリーレンは鎧を一つ一つ見定めながら広範囲に解除魔法かける。

 

「よくもまあこんなに集めたね」

「……褒めてくれるなんて優しいじゃない」

「これほどの数を操るだなんて魔族の魔法はとんでもないね。人類の魔法技術では想像もつかないほどの高みだ」

 

 以前戦った時よりも数が増えている。たった80年で本当によく集めたものだ。正直この数の軍勢を相手にするのは骨が折れる。

 

「でも、最低に悪趣味な魔法だ。反吐が出る」

「酷いじゃない。さっきは褒めてくれたのに」

 

 …驚いたわ。私の掛けた魔法が解除されるなんて。こんなことは初めて。でもこれ程強力な解除魔法、魔力の消費も相当なものになるはず。せっかく集めた鎧達が解除されるのは悲しいけれど、ここでフリーレンを倒せるなら私としては上々。

 

「そういえばフリーレン」

「何?」

「あのマギとは一緒に旅をしているの?」

 

 あのマギ?………ああ、シェヘラザードの事か。それにマギなんて久しぶりに聞いたな。最近の魔法史じゃ、今や御伽話の領域だし。

 

「してないよ。それに彼女は今、王様に仕えているからね」

「そう。ならおかしいわ」

 

 何が?と口にしながらフリーレンはアウラを見据える。

 

「じゃあ、どうしてリュグナーを殺した奴の魔力があのマギと一緒なの?」

 

 

 





 気づけば一カ月放置していました。でも見ている人がいると信じて投下します。



 早く一級魔法使い試験編書きたい……。


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