魔法少女いろは☆マギカ 第2部 RE:Ms.Pain Planter(休載中 第二章一部完結済)   作:hidon

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FILE-2 #20 水名区新聞記者殺人事件特別捜査本部

 

 

 

 その後。

 水名署から連絡を受けた県警本部より、捜査一課長が事件現場に臨場。

 彼の指揮の下、緊急で特別捜査本部が設置されることとなった。

 

 ――神浜市警察部:水名警察署・大会議室。

 

 『水名区新聞記者殺人事件特別捜査本部』。

 そう名付けられた、体育館程の広さもあるその部屋では既に、所轄の水名署からは当然、市警察署、県警本部から派遣された者を合わせて総勢80名程の捜査員が待機しており、殺気のような空気がピリピリと張り詰めていた。

 その中に、各役所の治安維持部のリーダー達(七海やちよ部長、都ひなの副部長、十咎ももこ、常磐ななか)と、同じく調整課の調整員達(八雲みたま課長、八重いずも、八島さから、八坂おけら)。また、県警本部の要請により、県内の各魔導管理局から派遣されてきた魔法少女達もいた。

 屈強な刑事の群れの中に、可憐な10代半ばの少女達が混じっている構図は、端からみたらかなり違和感を覚える。

 

 捜査員達と魔法少女達の視界の先には、指揮官用の長テーブル。

 総指揮を執る県警捜査一課長を中心として。

 司会進行を務める庶務担当管理官2名、鑑識課主任、県警刑事部長も同席していた。

 だが、ももこ達を驚かせたのが……。

 

(あれって、捜二課長だよな? 多忙じゃなかったのか?)

 

 捜査一課長の隣に座っている、山のような体付きの壮年の大男。

 長年、知能犯グループを追い、時にヤクザ組織とも激しく争ってきた、鬼のような形相の『組織犯罪対策課』・県警捜査二課長の姿が見えた。

 

「疑惑の段階で、組織犯罪対策課がいらっしゃるとは珍しいですね……?」

 

「どうやら事態は、私達が思うよりも深刻のようね……」

 

「特殊詐欺グループの捜査指揮を一旦保留してまで、こちらを優先するほどの、か……」

 

 目を丸くするももこの隣で、ななかが疑問を呟き、やちよが頷き、ひなのが眉間に皺を寄せていた。

 “マギウスの翼のメンバー”を名乗る黒装束の魔法少女と、ジェントルマン風の怪人を見たという“証言”はある。

 だが、“証拠”は何も無い為、捜査二課が動くなど、普通なら有り得ない筈だった。

 

「一課長と二課長に敬礼!!」

 

 庶務担当管理官が声を張り上げ、魔法少女含めた捜査員達が一斉に一礼する。

 

「休め!!」

 

 指示と同時に、全員が一斉に着席。

 

「捜査会議を始めます。ではまず、二課長から、お願い致します!」

 

「…………」

 

 鬼の捜査二課長が、ゆっくり立ち上がり、その重い口を開き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 県警本部は、凶悪犯罪事件が起きた場合、県境を越えて捜査できる。

 つまり、他の県警と連携及び情報共有が可能という訳だ。

 (それでも、管轄が違うとなると、捜査範囲や手柄の問題、責任の押し付け等で揉めることが、度々あるのだが……)

 特に『組織犯罪対策課』こと捜査二課は、特殊詐欺グループを日夜追いかけている都合上、常に他の県警と綿密なコミュニケーションを取り、情報を聞き出すことが重要視されている。 

 

 そのような立場にある、捜査二課長の発言は以下の通りだ。

 

 実は、この一年間、全国でも同様の未解決事件が起きていた。

 北海道・東北・中部・近畿・関西・中部・四国・九州・沖縄……それらの地域の中で、神浜市の特徴(人口過密・区域格差・外国人労働者多数及び不正入国者による軽犯罪多発)と酷似した都市において。

 突然、神隠しにでもあったように、人が蒸発。

 その一週間後に、同一人物が『遺体』となった状態で発見される事件が発生。

 犠牲者数は、各都市毎に老若男女問わず3~5名程で、神浜市と比べると小規模だ。

 調べたところ、犠牲者達には、地域毎に異なる共通点が見られた。

 

 ・中に入っていけない、といわれた場所や建物に、興味本位で入ってしまった。

 ・神事祭の最中、神社の境内に、酔った勢いで嘔吐や放尿などの粗相を致してしまった。

 ・真夜中に、特定の虫を踏み潰したり、動物を轢き殺してしまった。

 ・特定の時間に、坂を昇ったり、下ったり、マンホールの上を歩いたりした。

 ・日中、知らない誰かに呼ばれて、行ったら、そのまま帰って来なかった。

 

 等など……。

 

「まるで、“祟り”ですね……」

 

「“祟り”、“神社”……? 禁忌を犯したら、“神隠し”……?」

 

 ななかがポツリと零し、それを聞いたやちよが何かに勘づいたように、目を細める。

 

 

 二課長の話は続く。

 共通点は、もう一つ。

 

 “マギウスの翼”

 

 秘密結社のメンバーを名乗る者達(黒羽根及び動物・昆虫顔のジェントルマン)が、魔導監理局員達の前に現れ、宣戦布告をしてきたという。

 これらはやはり、ももこ達と同じく、証拠は無いが、“見た”という証言は有った。

 幻覚魔法の類と考えるには、余りにも規模が大きく、前例もない。

 よって。

 以上の経緯から、“組織犯罪の線が濃厚”と見て、捜査二課は今回の捜査本部に臨場。

 二課長は、一課長と共に捜査の指揮をすると決めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 以上を説明した後、二課長は着席。

 続いて、管理官の指示で、県警鑑識課主任が立ち上がり、ディスプレイを使って鑑識の結果を説明する。

 

 ・田中寛治の死亡推定時刻は、遺体発見時間の1時間前(11/10 14:00)。死因は失血死。

 

 ・凶器は、包丁のような鋭利な刃物と推測。

  それで首を斬り落としたと思われるが、断面は真っ平らで、人間個人の力では不可能と思われる。

 

 ・所持していたスマートフォン、パソコンのロックを解除。

  ファイルは行方不明になった日(10/21)から更新されておらず、検索履歴も同様である。

  SNSは行っておらず、最後にLINEで女性とやりとりしていた。

   (※女性とは親しい間柄のようだが、何者かは不明)

 

 ・他の所持品もまた、行方不明になった日から使用されていた形跡は無い。

  よって、所持品は別にされた状態で、誰かに監禁されていたものと思われる。

 

 ・監視カメラでは、10/21 22:00に、行方不明になる直前の田中寛治が、公園のベンチで座って端末を操作している姿が最後の映像記録である。(解析したところ、女性とLINEでやりとりしていた様子)

 

 

「やっぱり、『親しい人と喧嘩して、絶交宣言』してまッスね~……」

 

 ディスプレイに映る田中寛治と女性とのLINEの文面を見て、ママの話を思い出すいずも。

 ママの客で、行方不明になった者達と同じだ。

 県警鑑識課主任は、次に水名署鑑識課の金井巡査に話を振る。

 

 

 ・遺体周辺には誰かと争った形跡は無い。

 

 ・下足痕は滑り台周辺には子供の物しか無く、滑り台に付着していた指紋も同様。

  遺留血鑑定も田中寛治のものしか無い。

  (=着衣に付着していた血痕も、被害者本人のみ)

  よって、目撃者が一様に証言する『空から突然落ちてきた』話は真実。

 

 ・また、所持品のカメラをよく調べた所、別の人間の指紋が付着していた。

  データベースを確認したところ、指紋は『三笠カエレ』のものと一致した。

 

 

「カエレさんが……?」

 

 唖然となるももこ。

 鑑識の報告はこれで終わり、鑑識員達が着席。

 その後、水名署の刑事課によって、捜査の結果が報告された。

 

 田中寛治は、一ヶ月前から。

 (株)カミハマヴィレッジと広域暴力団との繋がりを疑い、執拗に取材を迫っていた。

 行方不明になった日も、盗聴、盗撮まがいの強引なやり方で内部情報を手に入れようとしたところを、社長のカエレに見つかった。

 口論から取っ組み合いに発展し、カメラの指紋はその時に付いたと思われる。

 

 また、カエレは魔法少女であり、武器は両手持ちバトルアックス。

 治安維持部時代は、『首苅り魔(ヘッドハンター)』と呼ばれる戦いぶりであった事から、田中寛治の殺害方法も不可能ではない。

 広域暴力団との関係を知られる前に、彼を殺した可能性も十分考えられる。

 いや、背後にあるのは広域暴力団等ではなく、それこそ“マギウスの翼”かもしれない――

 

 ――両捜査課長が、結論を出す。

 当面の間は、三笠カエレ、蜂貴院優花の両名を捜査対象とする。

 捜査員達には、両名の身辺及び、カミハマヴィレッジに関する捜査を徹底せよ。

 魔法少女達には、犯人特定まで待機、それ以外に要請があれば所轄の捜査に協力せよ、との指示を下した。

 

 これにて、捜査会議は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カエレさん達は、犯人じゃないですよ……っ!」

 

 会議終了後、ももこはいてもたってもいられず、廊下で春川係長達にそう突っかかった。

 田中寛治殺害の犯人は、あのカマキリ男としか思えない。

 

「俺達もそう思っているが……この場合、形式上だな」

 

「え?」

 

「疑いは一つずつ晴らしていくのが、刑事の仕事だ」

 

 春川係長は意味深な事を言って、去っていく。

 

 

 ももこはその後、警察に案内された会議室で、他のチームリーダー達と今後の方針を話し合う事になった。

 調整課の調整員達、市警察署刑事課長・塚内直正警部も参画する形で。

 そこで――

 

 

「ももこ。今すぐ慶治町の都市伝説を調べなさい。なるべく全部!」

 

 

「ええっ!?」

 

 開口一番。

 七海やちよ部長からの突拍子もない指令に、目が飛び出るほど驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




みふゆ
「試験運用も無しに、ウワサをいきなり実戦投入するのは危険過ぎます!」

灯花
「試験運用なんざ一年前にとっくに終わってんだよヴァ――――カ!!www」

 つまり、こういうこと。

※捜査と警察組織の描写は、刑事ドラマを参考にしてます。
 ガバガバですが、雰囲気を楽しんで頂ければ幸いです。
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