魔法少女いろは☆マギカ 第2部 RE:Ms.Pain Planter(休載中 第二章一部完結済) 作:hidon
秘密結社・マギウスの翼が放った刺客……
黒羽根達の襲撃を、命からがら退けたいろはとフェリシア。
二人はその後、十咎ももこ達<チーム・イザナミ>と合流。
調整員・八重いずもの元でソウルジェムを覗いてもらうが、やはり、黒羽根とカマキリ男<パブロ・ディエゴ>の姿は確認できず……
水名警察署の捜査係長・春川俊樹巡査部長と鑑識課の金井友子巡査達も、ももこの要請で事件現場を調査するが、彼らに関わる証拠は見つからなかった、といわれてしまう。
事件性が無ければ、警察の協力を得ることはできない。
ももこ達は、諦めて通常の公務員業務に従事するしか無く……
――だが、暫くして。
水名区内に怪死事件が発生。
『首狩り遺体』が発見されたのだ。
特定の条件を満たすと、突然姿が消滅し……数日後に、頭部を失った状態で発見される。
警察の見立てでは、明らかに人間業では無い、という事で、魔法少女の協力が必要となり、ももこ達にも要請が来た。
その後、県警捜査一課長と二課長指揮の下、特別捜査本部が、水名署に設置される。
警察からの要請を受け、七海やちよ他治安維持部の各チームリーダーと、八雲みたま他調整員達も会議に招集されるのだった。
そこで、衝撃の情報が捜二課長から語られる。
一年前から全国でも、同様の怪死事件が各地で発生し、同時に、マギウスの翼を名乗る者達が現れた、という。
七海やちよは、それらの事件が“祟り”を模倣したものであると判断。
同時に、各事件には、いろはの旧友である里見灯花が関わっていると考えた。
彼女は『不可能を可能にする天才』と呼ばれた科学者……。
灯花なら人間を黒羽根やカマキリ男へ改造することも、祟りを現実にすることも可能ではないか?
と……
そして、各チームリーダー達に、管轄下の町の“祟り”の調査を指示するのであった。
ももこらチーム・イザナミと八重いずも達も、人脈を利用して熱心に調査していくが、
一向に“祟り”の原因は掴めない……その間に犠牲者は続出していく。
しかも、その間に水波レナと秋野かえでが、異性を巡って喧嘩をし、絶交。
条件を満たしたかえでが、“祟り”に遭い、消息不明となってしまう。
だが、警察の綿密な捜査と、ももこ達の努力が実を結び、“祟り”の全容を掴む事ができた。
その名は<絶交階段>……
『大切な人と喧嘩をし、絶交。片方が謝罪に向かう時、階段を昇降する』と、
土地神の怒りを買い、“祟り”が執行されるという……
その後、ももこは、かえでを見つける為・真犯人を見つける為に、警察と捜索することに。
県警捜査二課・広域サイバー捜査係の川原巡査長から情報を得て、
ももこと春川係長達は、旧神浜煉瓦製作所へ捜査に向かうのだった。
――水名区・旧神浜煉瓦製作所。
水名署の春川捜査係長は、スーツ姿の十咎ももこと八重いずも、他に鑑識課含めた10名程の捜査員を連れて現場調査を行っていた。
「下足痕は複数確認できましたが、我々が特に気になったのがこちらの3種類です。内2つはサイズから見て中学から高校生ぐらいの少女のもののようで、片方は水名女学園指定のローファーの靴底とよく似ています。残り一つは大人の男性のものと見受けられますが、見回りに来る管理会社の担当者に確認を取ったところ、普段履かれているものとサイズと靴底の形状が異なっております」
工房の周辺を複数人で調査していた鑑識員の内、金井友子巡査が地面にうっすらと残るそれらの下足痕を前に、春川係長達にそう説明する。
「他には?」
「現在、指紋、体液等は見つかっておりません」
他にも、敷地内及び周辺の監視カメラも、映像データを回収している最中だ。
彼と、いずも、ももこの3名は、しゃがみこんで、入口から出入りしたと思われる3種の下足痕をじっと見つめていた。
「2つは双子ちゃんのものかもッスね」
「後で天音月咲、明槻月夜両名に確認を取るぞ。これらと両者の下足痕の照合を図る」
「はいっ!」
いずもの推測を聞いて、春川係長は、金井巡査にそう指示を下す。
「……と、なると、残り一つは……!」
ももこの視線に、春川係長はうんと頷く。
「君たちの言っていた、“カマキリ男”のものかもしれんな……。よし!」
彼はそこで立ち上がり、指示を出した。
「内部を調べてみるぞ。金井巡査、十咎くん、同行を」
「「はい!」」
☆
煉瓦工房は、普段は固く施錠されており、管理会社に申請しなければ見学はできない。
だが、天音月咲・明槻月夜姉妹が堂々と入口から侵入していたと考えると、何らかの手段で合鍵を入手していた可能性が高い。
そして、カマキリ男もいたとなると、“マギウスの翼”の集会所にされていた可能性も考えられる。
「十咎くん、何か魔力的な反応は?」
「いえ……何も」
つまり、敵の根城であった場合、足を踏み入れれば、襲われる危険性があった。
春川係長が少人数で且つ魔法少女のももこを伴ったのは、安全確保の為の合理的判断であった。
「そっちは、何か見つかったか?」
そして奥の方で壁や地面、使われてない旧い機械にALSライトを照射して調べている金井巡査に声を掛ける。
「う~ん、指紋や体液とかはまだ見当たりませんね……」
彼女は振り返り、渋い顔をして答える。
ももこはぐっと拳を握り締めて、独りごちる。
「時間が無い……! 望みはここしか無いんだ、なんとしても手掛かりを見つけないと……! っ!?」
「どうした、十咎くん?」
突然、反射的に自分の手をパチンッと叩くももこに、春川係長が何事かと振り向く。
「いえ、季節外れの蚊です……。くっそ~、血を吸われたぁ~!」
ただでさえイライラしてるのに、泣きっ面に
そう悔しがるももこの手の甲には、血塗れで潰れている蚊の死骸があった。
「……!」
――が、それを見て、春川係長の脳裏に電流が走る!!
「金井巡査!
彼の指示に、ピンと来た金井巡査も力強く頷く!
「!! はい!!」
「えっ……?」
「失礼します!」
突然張り切り出す警察官二人を前に、素人のももこはきょとんとなる。
入口の開かれた扉付近には、“季節外れの蚊”が数匹集まって来ていた。
工房内は暗く、光が差し込む入口付近に虫が集まりやすいようだ。
金井巡査は扉付近に立つももこ達を退かせ、壁をALSライトで調べ始める。
すると――
「っ! 春川係長……“当たり”です」
青く輝く“反応アリ”――――
ALSライトの照射先の壁には、蚊の潰れた死骸が張り付いてた。
『誰か』から吸ったであろう、血液に塗れて。
☆
――一方、水波レナの方は。
相変わらず『カミハマン』として、ヒーローショーに励んでいた。
「今日も十分カミハマンだったよ、レナちゃん」
北養区のある公民館の一室。
午前の部が終わり、休憩を取っていたカミハマンスタッフ達―その内、主演のレナは脚本兼演出兼カミハマン演技指導担当の向井 翔からスポーツドリンクを受け取っていた。
「ありがとう……」
褒められてるのに暗い顔を浮かべてるレナ。向井は気づかず続ける。
「今日は珍しくカミハマンが悩む物語にしたんだが、表現力が最高だった! 特に後半、子供を助けるか、魔女を倒すか、どちらを優先させるべきか選択する場面! あれは本当に悩んでるみたいで……と、ごめんっ、軽率だった!」
そこで、レナの表情に気づき、慌てて謝罪する向井。完全に浮かれていた。
レナは、ううん、と首を振る。
「いいの。自分で決めたことだから……」
自分が今できる最善手を考えた結果、レナは残る事を決めた。
前例なき無差別殺人事件。
これ以上、町の雰囲気が、特に子供達の気持ちが暗くなるのを見過ごす訳にはいかなかった。
だって、レナは“ヒーロー”なんだから。
「でも、本当はももこちゃん達と一緒に、かえでちゃんを探しに行きたかったんだろう?」
「かえでのことはもちろん心配。だって、レナのせいだし……でも」
本心は探しにいきたかった。
かえでは、ももこにも、レナにとっても大切なチームメイトで、親友だから。
そもそも親友でなければ、本気で喧嘩しない。
だが、レナはももことは違って、お子様だ。わがままでせっかちで人見知り、しかも口が悪い。
「レナが警察と一緒にいたところで、テンパるだけで何もできないから……ももこといずもさんならその辺うまいし、二人に任せた方がいいと思って」
「そうか……辛くは無いのか?」
もちろん辛い。
だが、レナは精悍な瞳で見つめる向井の顔をしっかりと見据えて、答える。
「レナ、ずっと向井さんの代役だと思ってた。けど……」
脳裏に過る――
『だって、水波さんが演じるカミハマン、本物のヒーローみたいでしたから!』
「
ヒーローという役目。
正直、荷が重いと感じていた。
町の人々の称賛も、本来向井が受け取る筈で、レナのものではないと思っていた。
けれど……
『アンタ、お父さん?を追う時、落としたでしょ。レナが拾ってあげたんだから、感謝しなさいよっ』
『あっ……』
『ちょっ……!? アンタ、何泣いてんのよ!?』
『ありがとう、ありがとう……っ!!』
あの時。
本気で泣きじゃくって、レナに何度も感謝したいろはの顔が忘れられない。
だから……
「こんなレナでも、誰かにとってのヒーローになれるんだって、気づけたから……」
「そうか……」
「向井さん、あのっ」「ごめん、レナちゃんっ!!」
「ッッ!?!?」
――ガンッ!!
突然テーブルに頭を叩きつけて謝る向井に、レナはビックリ仰天!!
「今の俺は、君とかえでちゃんの気持ちに応えることはできないっ! 本当に、申し訳ない!!」
「ちょ、向井さん、周りにスタッフが……!?」
顔を真赤にして、わたわたと慌てるレナだが、こうなった向井は誰にも止められない。
「今の俺は、カミハマンに夢中なんだ!! 四六時中あいつのことばっかり頭に浮かぶんだ!! あいつは神浜市の全てを救うべきヒーローとしての使命を背負って生まれてきた!! あいつを理想のヒーローに育て上げるまでは!! 俺にとっての……いや、全人類に認められる完璧なヒーローにするまでは……まだ……!!」
「いや……それって、いつまでかかるのよ……」
「多分、俺の一生を掛けて……!」
「はあ~……」
呆れてしまった。
聞いてて、レナは彼に対する感情が急激に冷めていくのを感じた。
向井は拳をぐぅっと握り締めて、虚空を見上げて力強く応えた。
恐らく、彼の目に映っているのは、宇宙の英雄にでもなったカミハマンだろう。夢は遠い。果てしなく。
「なんだか、かえでと向井さんのことで喧嘩したの、馬鹿らしくなってきちゃった……」
「いや、本当に、ごめん……俺の軽率な態度が原因で、君たちに余計な気を遣わせてしまって……」
「いいのよ。だってレナ達が勝手に向井さん巻き込んで喧嘩したんだし……」
そもそも、カミハマン意外の事を気にしたら、それはもう向井ではない。
レナとかえでにとって、彼を振り向かせる事は、最初っから無理ゲーみたいなものだった。
「だが、俺のせいであることには違いない。だから、けじめを付けさせて欲しい」
向井は再び、レナに深く頭を下げる。
「けじめ……?」
向井は顔を上げて、応える。
「“祟り”に敵う、唯一の方法だ。先代カミハマンとして、レナちゃんに伝授しようと思う」
「……っ!!」
ごくりと、レナは息を飲む。
顔を上げた向井の瞳には、今まで以上に無い“情熱”が込められているように見えた。
パソコンの調子が悪いので(10年目)
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