だいぶ時間がたってしまいましたがようやく投稿できるようになりましたので投稿します。
内容的にはNOSで上げていたものを若干リメイクしたものとなっています。
プロローグ
新暦75年 ミッドチルダ・クラナガン沖
日は高く上り世界を照らしていた。
眼前に広がる異世界の海原はもといた世界のどこよりも美しく澄み渡っていた。
だがこの穏やかな海も多くの争いという歴史の一ページを見てきた。そしてまたそこに新たな一ページが書きこまれようとしていた。
黒鋼の鎧をまとった海神とそれを統べる者達の手によって。
(まさか、また戦場の海に飛び込むことになろうとはな……なぁ、『大和』よ?)
戦艦『大和』———来たるべき対米戦の切り札として計画、建造された彼女は他のいかなる艦をも凌ぐ装甲を身にまとい、史上最大最強の艦砲、四五口径四六センチ砲を搭載した史上最強の艦として生を受けた。だがその力を活かす場面もなく坊の岬に沈んだ悲劇の艦———そのはずだった。
だが神の悪戯か。はたまた悪魔の意志か時空の海を渡った『大和』は二一世紀の未来の日本に辿り着いた。そこで彼女は新たなる牙を手に日本とその同胞を守るため戦火をかけぬけその雄姿を世界に見せ付けた。
そして今度は別世界を救うために今一度『大和』は戦場にその身を投じる。
「撃ち方用意!撃ぇーーい!!」
あの時と同じように『大和』艦長茂木史郎中佐の号令が走る。
両舷最上甲板に備え付けられた
随伴するやはぎ型ミサイル巡洋艦「やはぎ」、あきづき型ミサイル駆逐艦「すずつき」、「ふゆづき」、そしてゆきかぜ型汎用駆逐艦「ゆきかぜ」、「いそかぜ」、「はまかぜ」もそれに続いてSMPM-10Aを撃ちだす。
SMPM-10Aは今までの艦対空ミサイルとは違うコンセプトで設計されている。その開発コンセプトは以下の通りだ。いくら威力が高くても命中しなければその威力を発揮することはできない。その為に日本も含めた各国はシーカーと近接信管の改良に日々努めてきた。だがそれでもやはり限界があった。
そこで開発陣は発想の転換を行った。
「いっそ思いっきり、吹き飛ばしてしまえ」と。
その結果SMPM-10Aは開発された。
このミサイルは小型爆弾と低粘度で引火性の強い燃料、数千のスチールボールを内蔵し目標点にてそれらを散布、そして燃料に点火し大爆発を引き起こす。その大爆発が生み出す強力な衝撃波と爆風によって加速したにスチールボールと小型爆弾で広範囲を一気に殲滅するというものである。
余談だが……このミサイルの開発者はとあるフライトシュミレーションゲームのマニアらしい。
空を埋め尽くすガジェットの大編隊のなかへ14発のSMPM-10Aが指定された座標に真っすぐに突っ込んでいく。
「トラックナンバー20まで距離40000。弾頭、炸裂まで30秒……」
レーダーを通して見た敵とミサイルの位置から予測着弾時間を索敵と電子兵装を司るディアーチェがつげる。
SMPM-10Aに搭載されたカメラから流れてくる映像からガジェットが散開しようとする様子が見えた。だがそれらの回避行動はあまりにもお粗末なものだった。
ミサイルは寸分たがわず編隊密度が最も濃いところに向かい飛翔を続ける。
(コバエどもがその程度で避けられるとでも?その過信の代償は高くつくぞ……さぁ……消し飛べ!!!)
「炸裂まで5秒、4、3、2、1……炸裂、今!!」
画面が爆発の閃光で真っ白に染まる。砲術長はレーダーマップの反応を確認する。輝点の数は先刻の半分程度になっていた。デコイもまとめて吹き飛ばしたようだ。
「敵勢力の二分の一を撃破!」
「続いて第二派、第三派も炸裂!敵航空隊の残存勢力は二十パーセントに低下!!」
その報告にCICがさらに沸き立った。
(……一気に打ち落とせるのはいいが……やはり砲撃でないと手応えがな……)
そんな広瀬の胸中を知ってかディアーチェが広瀬の背中をたたいた。
「ええい!?なーにをボケっとしとるか!?此度の戦はまだ始まったばかり。うぬも男ならどんと構えてもっと大きな獲物を待っておれ!」
そのことばを裏付けるように、新たな報告が飛び込んできた。
「敵、増援を確認しました。「ゆりかご」より発艦の航空型ガジェット百。並びに艦艇型ガジェット大型一、小型八……接近中。距離一〇〇万」
「リヒト、艦艇型ガジェットの詳しいデータを頼む」
「はい……大型は戦艦クラス、小型は駆逐艦クラスです……さらに解析……?……戦艦クラスの方はジェーン年鑑のデータベースに該当データが……!」
『ユニゾンシステム』を統括する管制人格『リヒト』が敵艦データの解析結果を見て愕然とした。
「どうした?」
その反応に砲雷長の伊藤真司二等海佐がリヒトに声をかける。
「ガジェット艦隊の中に質量兵器が混じっています……この世界の物ではありません……ガジェットですらありません。第九十七管理外世界の質量兵器、戦艦です……!!」
「確かか!?」
「はいっ……間違いありません……3Dスキャンデータ解析完了。敵艦はアイオワ級戦艦、三番艦、ミズーリ!」
「艦長!」
静かに茂木は頷く。
「もしかしたら彼女が『大和』を呼んだのかも知れませんね……主・茂木?」
そうかもしれない、ただの偶然かもしれない……どちらにせよ挑まれたからには闘いそして勝利するまでだ。これ以上、奴らの好きにはさせない!そして異世界よ、刮目せよ!!これが我々の世界の闘いだ!!!
「方位〇一〇へ針路をとれ。随伴艦も遅れないようについてこいと伝えろ。砲戦並びにミサイル戦用意!!ECMも起動!ならびにECCMもスタンバイ。手癖の悪い奴に目と耳を奪われないよう注意しろ!目標、ミズーリ、ならびにガジェット艦隊!!!」
「方位〇一〇、両舷増速。ようそろう。我らに勝利を…あだなすものに絶望を…」
シュテルが静かに応じ。
「了~解!!ジェネレーター出力アップ!レールガンに回すよ!空気中に漂う魔力素も吸収!変換開始!!エネルギーチャージ!!一気にぶっ飛ばすよ!!!」
レビィが元気な声で応え。
「まかされよ!ECMスタート!ECCMスタンバイ!此度の戦に決して水を差すような真似はさせん! !」
ディアーチェが尊大な態度をとりながら命令を受ける。
彼女らの意志に応えるように大和もまた動き始める。
増速を開始し砲塔に動力が伝達され、敵ガジェット艦隊に向けて旋回をはじめる。砲身も同時に仰角をあげる。
今、ここに次元世界の命運をかけて因縁の対決が火蓋を切って落とされた。
この物語の歯車はあの日から回りはじめたのだった。そう……すべてはあの日から……
以上となります。今後も亀更新ですが何とか完結まで頑張らせていただきます。