Fate/Desire Grand Prix 作:水無月 驟雨
ある日、何気ない日常を過ごす少年少女たちの脳内に溢れ出した存在しない記憶…………
『始まるぞ。──新しい世界が』
『さぁ、ここからがハイライトだ』
『俺は、トップオブザスターズ・オブザスターズだ』
『こんな世界……俺が終わらせる!』
『何度でも、俺が勝つさ』
『この世界は終わらない!』
『叶えよう、俺たちの願いを!』
『……幸せになれよ』
「「これって……」」
『バッファにだってあるはずだ。理想の世界が』
『ナーゴの気持ちを踏み躙ったお前を許さない!!』
『今は待つんだ。俺たちはタイクーンを信じよう』
『やっと名前で呼んでくれたな、姉さん』
『お前が、俺のサポーター第1号だ』
「「いや、知ってる……!」」
『年越しと言えば、きつねうどんだろ』
『やっぱり肉は牛だな』
『だってお前、最強なんだろ?(発砲音)』
『今、絵上手いなって思っただろ』
『姉さん出してくれるよね? 俺お金持ってないんだ』
『俺以外、全員女の世界』
『ポピー(オカリナの音)』
「「……やっぱり知らない。こんな
『ガッチャァァァァ!!!』
『ホッパァァァァ!!!⤴』
「いや無理に思い出させなくていいって! 分かった! 分かったから!!!」
◇
街のはずれの、ある神社。
絵馬に書いた願いが叶うと噂される、どの街にもありそうなありふれた神社で。
「お待ちしておりました。皆さん」
集まった景和、祢音、道長の3人を迎えたのは、巫女──ではなく、黒と白を基調とした衣装に身を包むナビゲーター、ツムリ。
「なんというかさ、その、色々言いたいことはあるんだけど」
「あの、皆様の気持ちは、えぇ、とても理解しております」
「あぁ、ツムリさんにも聞こえたんだ、アレ……」
景和がそうこぼす。突然脳内であんなに叫ばれれば、創世の力うんぬん関係なしに思い出していたことだろう。
脳内に流れ出す簡秀吉ボイスに口頭でツッコんでしまうと、街中で突如叫び出すヤベーイ人間の出来上がりである。
意地が悪い。というか、キャラが濃すぎる。
横に立つ道長なんかは作業着を着ているし、多分急に現場で叫び出すヤベーイ人間になったことだろう。気持ちグッタリしているので間違いない。
「それで簡ひd……じゃなくて、英寿はどこ?」
「ここだ、佐藤瑠雅」
「おい」
一同の振り返った先、鳥居の上に英寿が座っていた。
「人が名字だけで思い留まったのにフルネーム言わないでよ」
「ツッコミに瑠雅が出てたぞ」
「うるさいなぁ」
いつものスターの服装で鳥居の端へ腰掛けて足をプラつかせる英寿。
軽く笑ったのち飛び降り、思いの外慎重に石畳へ着地した。
「鳥居に座るなんてお行儀悪いんじゃない?」
「ここの神は俺だ。自分の家でただ座ってるだけさ」
祢音はたまたま配信中ではなかったから、配信中に突如ツッコミ出すヤベーイ人間にはならずに済んだらしかった。以前から英寿のビックリ言動にも慣れていた側なので、色々な方面で気持ち余裕があるようだ。
「相変わらずの態度だな、ギーツ」
「そっちこそ、相変わらずの仏頂面で何よりだ」
「イラつく返しも相変わらずかよ」
ヤベーイ現場作業員こと道長と軽口を交わし合いながら、英寿がツムリの横に立つ。
「さて、プレイヤーは揃ったな。あとは……」
片手をポケットへ入れたまま、英寿が指を鳴らす。
荘厳な鐘の音が響き、境内に新たに4つの人影が現れた。
その所作で、英寿が本当に創世の神になったのだということを実感する。
それと同時に、どうして記憶から消えていたのか、どうしてまた思いださせられたのか、と。
「さぁ、未来人もご招待だ」
青白き光に包まれながら現れた人影。その光が薄れていくと、景和たちにも見慣れた顔ぶれだった。
「やぁ英寿、ツムリ。それに、仲間の皆も」
「俺はギーツのお仲間じゃねぇ」
「すまないね吾妻道長、あの時は」
真っ先に口を開いたのはジーン。そしてその両サイドに並ぶ、キューン、ギロリ、ニラム。
「ベロバとケケラは? まぁ呼んだところで余計なことしそうだけど」
「今の俺なら対処は容易だが、あの2人はそもそもバッファとタイクーンが倒しているからな。呼ぶも何も、そもそも未来に居ない」
「……いや、ニラムさんだってそうなんじゃ?」
スエルに楯突き、サマスによって撃たれたはずのニラム。その理論だと彼もまた呼ぶことは不可能に思えるが──
「まぁ、神様だからな」
「えっ、」
たったひとこと。それだけで理解できてしまった。
「そんなことまで……って、世界を創り替えれるんだから当たり前か」
「『
「んな無茶苦茶な……」
道長が嘆息する。やはり疲れが溜まっているのかもしれない。
「てかどうしてゲームマスター2人まで? サポーター2人は分かるけど」
「私はゲーム
そう言い肩をすくめるニラム。その横で無言のギロリ。
「この2人はあの時助けてくれた『こっち側』だからさ。な、父さん?」
「父になった覚えはない」
ほらなんか喋れよと言わんばかりの英寿に、さしものギロリもしぶしぶ口を開いた。
プレイヤー3人からしてみれば、ニラムもギロリも敵というイメージしか無いのだが……まぁ英寿が味方だと言うのならばそうなのだろう。と勝手に納得しておく。
文字通り顔に泥を塗っただけでゲイザーに完封され死ぬほどボッコボコにされた道長も、まあ、味方ということで一応納得しておいた。
なんと心の広い俺。
「ちなみに、君の父になったつもりもない」
「私だって、娘にも姉にもなっていません」
そして浮世家は今日も険悪なようだった。
「僕も英寿の弟になりたいんだけど」
「おっ、ジーンもか、いいぞ」
「だめだ」「だめです」
浮世家は今日も仲良しのようだった。
「兄さん、いや、英寿呼びのままでもいいかもなぁ」
「でもな、姉さんって呼んでいいのは俺だけだからな」
「何のこだわりですか……」
「“ツムリ”って呼び捨てなんだよね今」
「5つ上の姉さんを呼び捨てってのもな?」
「よろしくね、ツムリ改め、心さん」
「絶対言うと思いました! この似た者兄弟!!」
ほらそこの仲良し三
「見てないが」
「俺何も言ってねぇよ」
オチ担当の道長はさておき……ちょい、祢音とキューンが2人の世界を構築しようとしているがそれもさておき。
改めて、英寿、ツムリ、景和、祢音、道長、ジーン、キューン、ギロリ、ニラムの9人が場に揃った。
「でさ英寿。僕たちを呼んだ理由、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「そうだよ。しかも勝手に記憶から消えちゃうなんて、英寿のばか」
問い詰められそうな雰囲気を察してか英寿が身なりを直す。
それを見て自然と顔の引き締まる未来勢。どうやら彼らは理由を知っているらしい。
「まずはそこを教えよう、俺がみんなを集めた理由を。ちょっと長くなるんだが……」
英寿が指を鳴らす。ギロリが相変わらず便利な舞台装置だなと思いつつ集まる光を見ると、数直線のような図が空中へ浮かび上がった。
「俺たちは『今』を生きている。未来の人間からすれば『過去』だが、『過去』と『未来』は
タヌキ、黒猫、水牛の絵が集まって光点となり、線の片端で留まった。サポーターや運営の人間たち『未来』を表す光が線の先の方へいくつも生まれるが、『今』が線上を進むにつれ、他の光点をどんどん取り込んで進んでいく。
すると静観を守っていたツムリがタブレット端末を空中へ投影させ、スライドを追加する。
「英寿様たちは様々なゲームマスターの運営するゲームへ参加なされました。ギロリ様、コラス様、ジット様というように」
ツムリの手が示すスライド。それを見れば、これまでのゲームマスターのデフォルメイラストが時系列順に並べられていた。
そしてまた、手ぶりで英寿の出した直線を指す。
「ゲームマスターは大勢存在しますが、これらのゲームは全て、あちらの線の上にあったという訳ですね」
「さり気なくチラミの存在が消されてる」
「何のことだか分かりかねますね」
まぁ、ツムリのチラミへの当たりの強さは相当だったし……。
と、ともかく。
ゲームマスターが複数人いるのは決して補佐や控えではなく、未来で様々なオーディエンスが観戦する為に、各々数々の時間軸へ赴いて複数同時運行する為の存在なのだ。
テレビのチャンネルという概念の必要性を思えば当然である。視聴者は年齢層もニーズもバラバラ故に。
たまたまここの時間軸ではギロリ→(コラス?)→チラミ→(道長?)→ジット→(スエル?)の様にコロコロ変わっただけである。
ここイレギュラー多すぎね?
「その証拠に、『ゲームがグランドエンドしたのち世界に残されたジャマトが怪異や神話となった場合がある』と運営の奴は言っていた。ビッグフットやネッシーも似たような物だろうな」
「へぇ〜、あ、UFOは?」
「それは多分ケミーモンスターだな」
「なにそれ知らない」
「ホッパァァァァァァァァァァァ!!!⤴
これ↑だ」
「うぉっビックリした」
「だからソレ何なんだよ」
「ハクロウを助けてくれたんだぞ」
「私たちの知らないところで何があったの……」
「なんか会話が渋滞してる*1*2が、そのジャマトも同じ時間軸で過去に行われたデザグラの証拠だ」
本っ当に会話が渋滞していたが、とにかく、そういうことらしい。
まぁ英寿だけに限っては輪廻転生してきた2000年分の記憶がうっすらでもあるので、同じ時間軸の過去にデザグラが行われていることも当然知っている。
とはいえ、2023年のデザグラと2000年前のデザグラも、ジーンたちの未来ではだいたい同じ時期に行われたのだろうが。ズレて数ヶ月だろう。
「そういうことです。──ですが、ここで1つ、問題がありました」
「問題?」
「はい。たとえば祢音様のような個人の創造、英寿様の輪廻転生、景和様の全被害者の蘇生など、創世の神/女神の力を用いて大きく世界を創り替えた際に、その問題が発生します」
「景和のは何となく分かるけど……1人くらい良いんじゃないの?」
「事実、英寿様が2000年前に生を終えていれば、現在こうした平和な世界は訪れず、なんでしたら去年にはメラとメロによって地球ごと滅んでいました。祢音様についても同様です」
「同じく私が生きていれば、スエルめのデザロワによる被害者ももっと減ったかもしれない、ということだ。別に私は創世の女神の願いに殺された訳ではないがね」
「被害者全復活が無ければ、ブジンソードも生まれなかっただろうしね」
なるほど……という顔をする景和と道長の横で、シンプル疑問顔の祢音が首を傾げた。
「えぇ、
「役に立つさ。……君よりは、ね(ちょっと思った)」
「はー? 私だって
「? あぁ、ファンタジーで打ち止めかと(苦笑)」
「はぁ〜〜??? 反対のスロット空いてるから拡張性ありますぅ〜〜〜」
「ブジンソードに比べれば誤差だろう?」
「ゾンビジャマトだってブジンソードから見たら誤差なんだから! しかも道長はスロット両方埋まってるしやっぱり成長の余地で言えb」
「あぁ、俺Vシネクストで新強化フォーム貰ったから」
「なんで???????????」
閑話休題(n回目)。
「と・に・か・く・ですね! そうした大きな改変が世界に為されると、『可能性の分岐』が起こるのです」
「「可能性の分岐?」」
「はい、いわゆる
「しょ、消滅……?」
「そうだ。グランドエンドが完遂されても多少の誤差はあれど元の世界に戻るし、地球ごと無くなれば可能性が潰える。だから、たとえ並行世界の存在を知っていようがいまいが関係ないんだ」
光点の進む直線が無数に枝分かれしていく。そのほとんどは分岐して数秒で本肢に合流するか、急に止まって枝の部分全てが消えて無かったことになった。
「元は同じ世界だからな、ある程度は創世の影響を受けるらしい。グランドエンドが完遂されてしまった世界なのに、俺の創った世界に戻ってくることもある」
「それって、良いことなんじゃないの?」
「もちろん良いことだ。問題は、その世界が本当に独立したとき、ってことでな」
「?」
祢音の言う通り、『英寿がいなくても』『祢音が生まれなくても』『ブジンソードが無くても』、英寿が神で、祢音が家族と暮らす世界に戻ってこれるということだ。
言い方は冷たいかもしれないが、滅んでしまえば無かったことと同じだ。
そして必然的に、本肢に合流したもの以外の現在残っている世界は、全て『何らかの形でスエルの企みから抜け出すことのできた世界』と言える。
可能性が独立してしまえば合流や合体してしまうことも無くなるだろうし、この世界には関係が無いのでは……?と。
創世パワポの光の中。ほとんどは合流か消滅した線の中で、数本だけは消えぬままに直進を続け、本肢からどんどんと離れていく。
恐らくはこれが独立したということなのだろう。
「その世界に興味があってな……良くないのは俺の都合なんだ」
「とゆーと?」
英寿が手を空へかざす。
そしていつものフィンガースナップ。
「さて、ここからは未来の奴らにも初めて話す、いや
その言葉に、2度目ゆえ多少余裕のあった未来勢5人も居住まいを直し清聴の姿勢へ。
合成を疑うくらいバカみたいに音が響くフィンガースナップを受けて空中にあった直線やら諸々が全て消え、1枚の街の風景が浮かび上がる。
それは街角カメラのようなもの、街並みを映した小窓だ。
街並みや建造物はどう見ても今と同じ──いや何となく高層ビルや前衛的な建物が多いがやっぱり日本に違いなくて、ちょっとカメラの位置が高いから街行く人々の様子こそ窺えないものの、紛れもなく日本。
ただし絶対に
「なんだこのバカでかいタワーは……」
「なにこれ、ジャマト世界樹……?」
「てかなんで浮いてんだこれ……」
高すぎてはっきりとは分からないが、あのスカイツリーにも引けを取らない高さ。もっとあるかもしれない。
タワーとは言うが単純な直方体や錐ではなく、縦長の四角錐の上に逆さ四角錐が乗った、砂時計のような形状をしている。
そして最も目を引くのが、砂時計の繋ぎ目部分を覆う、天使の輪のように
いやホント、アレはなんで浮いているんだろうねマジ意味分かんない、とばかりに未来勢からの賛同のうなずきが止まらない。
デフォルトで壁や天井に立ったりするジーンとて、常時浮遊する摩訶不思議建造物には驚きを隠せないようだ。
「そもそも、僕のだって重力操作ではなくベクトル操作だ。緩和や無視も出来なくはないけど、どうしたって消費エネルギーが多すぎる。いくらなんでも常時、それも建物に使用するなんて無意味すぎるさ」
ジーンのお墨付きを受けながら、英寿も補足する。
「あくまで可能性の世界、時間の進み方は当然ここと同じ。つまり2023年だ」
「えっ、本当に!?」
「同じ西暦なのにこの発展の差、ますますありえないね……」
しれっと祢音の横に立つキューンも、お手上げのジェスチャーをして首を振った。
進歩しすぎてそもそも人類の寿命すらバグってそうな(実際ベロバは350歳なのd)少なくともタイムマシンが作られていて学園都市1位の能力がゲームマスターでもない
「ここが、分岐した先で『こことは違う理由で平和になった世界』? ってこと?」
「あぁ。いつ可能性が分岐したかは俺にも分からない。少なくとも母さんが創世の女神だった頃、としか言えないな」
そうこう言い合っていると、聞き慣れた(慣れて良いのかは分からないが)荘厳な鐘の音が聞こえてきた。景和がチラと英寿を見るが、彼が神の力を使った様子はない。いやそれも分からないが、多分。
「おい、見ろ!」
突然道長が叫ぶ。視線は並行世界の画面に釘付け。
英寿や未来勢も含めて全員が街角カメラに注目する中、並行世界に異変が生じる。
「空が……世界が割れて……」
世界にヒビが入っていく。地面が、建物が、そして空が。
世界の破片が空へ昇っていき、光と共に形を少し変えてまた街に降り注ぐ。
鳴り続ける鐘の音と共に、世界の破片が、巨大なジグソーパズルのようにひとつ、またひとつと、ゆっくり街を組み立てていく。
「世界が……私を忘れて……(?)」
果たして、出来上がった街はまたしても、ぱっと見はそこまで現在と違いはないようだ。
組み直されて出来たのは、ビルが高くなったり全体的に無機質さが増して『少しだけ近代的になった』街並みと、昼なのにたくさんの星々が瞬く『少しだけ幻想的になった』空。
「なぁ、これって」
「うん、だよね……」
起きた事自体は目を瞠るべき異常で、普通の世界ならまずありえない現象。
だがしかし、この場にいる9人に限っては。
それは、口に出す必要すらなく明らかで、
そして、答えを求めるべき相手が誰なのかもまた。
「あぁ」
同じことに思い当たったのであろう8つの視線を受けて、英寿はただ、小窓に目を向けたままゆっくりと頷いた。
「始まったんだ。──新しい世界が」
◇
「デザイアグランプリが残ったまま平和になった世界……?」
誰が呟いたのかは分からない。
だが、スエルの引き起こした惨劇を、生み出した世界を決して忘れていない彼らは、『デザイアグランプリ=悪』の図式がもう出来てしまっている。彼らの胸中は揃って同じで。
『願い』という言葉で人々を煽り、闘争を起こし、堕落させ、たった1回のゲームで被害者を何千何万も生み出すデザイアグランプリ。
──そして、それを外野から眺めて楽しんでいた僕たちもまた同罪であると。
……まぁ早い話、『デザイアグランプリが存続したまま平和になれるわけがない』とか『絶対こっちの世界の方が遥かに平和だろ』とか、ちょっと穿って『戦争下に技術がクソ進歩する理論……?』とかそう思っているわけで。
平和になってるとか言われても、そりゃあ脳が理解を拒むだろうよと。
「いや、いやいやいや」
わざわざ口に出す必要がギリギリ有るか無いかの疑問を、一応道長が拾い上げる。
さすがオチ担当、硬直した雰囲気を動かすのはいつだって道長か、いいとこ英寿だろう。
「デザイアグランプリが無くなったから俺たちの世界は平和を取り戻したんじゃなかったのか?」
プレイヤーやジャマトによって脅かされる人命、ギラギラの総量による問題で必ず誰かが不幸になる世界。
他にも細かな問題はあるものの、最低でもこの2つをクリアしなければ平和は訪れないはずで。
「……いやそもそも、創世の女神はどうするんだ?」
デザイアグランプリが続いているということは創世の女神は未だ稼働しており、あの世界のツムリか英寿が運営の思惑通りに創世の力を受け継いでしまったことは想像に難くない。だが、そのはずなのに
これが道長の思い当たった矛盾であり、もちろん少し考えれば他の面々も当然思い当たるものだ。
英寿もその意見を受けて初めて硬直から動き、今日何度目か、8人をグルッと見渡した。
「その疑問も当然だ。というか、それ以外の疑問は些事すぎて俺が封殺する」
しれっと暴君を発揮した神様はさておき、まぁやっぱり本題はそこなのだろうなと察する一同。
返事を期待されてるのだと理解している英寿だが、今度のその視線には肩をすくめるのみ。
「と言っても正直、俺も何も分かっちゃいない。だからこそ皆を集めたんだ」
言ってることは投げやりながら、いつもの不敵な笑みを浮かべる英寿。
なんとなくいつもの浮世節を感じる流れに露骨にワクワクしだすジーンと、ちょっとえぇ…? みたいな感じのギロリ。
「それは……これだけ関係者を集めれば1人くらいはあの世界のことを知ってる人がいるかもしれないな、という集合知的な願望のことか?」
「いやまさか。もっと
突如境内、賽銭箱の前に神々しく現れる観音開きの大扉。
透明感と重厚感を併せ持った不思議な大扉がゆっくりと開き、どことも知れぬビルの屋上がその向こうに広がっていた。それはさながらどこで○ドアで。
それで英寿の意図を察したジーンが真っ先に歩を進め、英寿を追い越しその扉を抜けようと──
──したところで、地面に大量に転がる宝石で盛大に足を捻った。
「……な、なんで、宝石ぃ?」
そう遺言を残し、無言でジーンは痛みに蹲る。当然次の言葉は継げない。
もはや何も言えないギロリと、片手で目を覆い空を仰ぐ道長。
一周回って何も思ってなさそうな祢音とニラムが怖い。
「せっかくの『黄金の観音開きの扉』だから
「何の演出……? てか大丈夫?」
「あゝ嗚呼ぁぁぁアアアあああああァァ………」
「ダメそう」
少し見ない間に変な知識を色々取り入れたらしい英寿の謎演出によって生み出された宝石が、ギロリと道長によって、グラウンドの白線を消すような雑さで足で払われていく。
恐らく某ケミーライズのつもりだろう。
やっぱりど○でもドアにしか見えないが。
「でしたらオーロラカーテンの方がそれっぽかったのでは?」
「それは言わないお約束だ。個人的に、向こうの景色が見えた方が安心して通れる」
「一理ありますね」
「ねぇよ」
そうして、シリアスパートに入るか戦闘シーンに入らないとずっとグダりがちになってしまう簡秀吉御一行は、終始緊張感の無いまま並行世界──後々出会う者に『
ジーンは痛みに喘ぎ、英寿の肩に抱えられて。
「お、推しに運んで貰えて嬉しい…」
「無敵かよこのギーツオタク」
「祢音も抱えてあげようか」
「結構です!!!」
型月厨の方々に後ろから刺されないよう設定に凝ってみましたが、なんか気になるところあったら刺してください。よっぽど致命傷じゃなきゃ直します。
ギーツ厨の方々はかかってこいやガシャッ\ハイパームテキー‼/