ジョウ100〜成仏するために消したい100の未練〜 作:リビングデッドの歌声
「──いやー、最高だなぁベランピンク!」
翌朝。
三人は某ビルの屋上を魔改造し、プチキャンプを楽しんでいた。
「まさかこんなお手軽に、殺風景だった屋上が豪勢な装いに変わるとは……感服しました、ケンチョさん」
「あー、その言葉はもうちっと待ってもらっていいか?」
「……?」
「──ほい。クオン、
「…………」
『鳩が豆鉄砲を食ったような顔』とは、このことだろうか。パエリアが乗った平皿を前に、
彼女は見た目こそ、生存者とほぼ変わらないが……紛れもない
「……まだ具体的に、どの程度味覚が薄くなってんのか分かんねえし……とりま『少し濃いめ』の味付けにしてみた」
「…………」
「……いくら『食わなくても平気』つったって……お前だけ何もなしってワケには、いかねぇだろ?」
「……私に陶器の皿を使わせるとは、いい度胸ですね」
「へ?」
予想外の
「……私が食べ終えた後、その食器はどうするおつもりで?」
「普通に洗って再使用する予定だったが……?」
「……ケンチョさんは、『狂犬病』についてご存知ですか?」
「…………発症すれば
「コレ、
「────。
言われてみれば……そうだな」
「えっ? ごめん二人共、どゆこと?」
「先程ケンチョさんが仰ったように、狂犬病は致死率100%。人も犬も、それ以外の動物も、発症したら助からないと言われています」
「犬だけが罹る病気じゃないんだな……」
「はい。狂犬病は哺乳類全般に感染するらしいです。
そしてこの病に罹った生物は、興奮・錯乱・意識障害を引き起こして
「…………ゾンビと、ほとんど同じ」
「えぇ。そして私は、人間以外のゾンビを複数種確認していますが……。狂犬病と同じく、どうやら
「……危なかったな。鳥もゾンビになるなら、俺達は詰んでた」
「制空権取られたらどうしようもないもんな……」
「私としては、どう対策したって室内にも侵入してくる虫の方が怖かったですがね。虫がゾンビになるなら、私は全てを諦めるしかありませんでした。実験に協力してくれた
──まぁ実験のことはさておき、重要なことは……これだけ似ているとなれば、ゾンビ化は狂犬病と同じく『
ここまではいいですか?」
「お、おう」
「あぁ」
「そして問題は、我々がゾンビウイルスを
ちなみに狂犬病のウイルスは粘膜からも感染するので、無害化できないままゾンビウイルスが口に入ったらアウトだと思ってください」
「……それこそ『狂犬病のウイルスと同じ方法』で……つってダメだったら、一発アウトだもんな。たしかにコレは『いい度胸』だわ」
「そもそも『同じ方法』が実行可能かも分からねえしな」
「『同じ方法』自体は簡単ですよ。狂犬病のウイルスは体内に侵入さえさせなければ弱いので、市販の石鹸やアルコールなどの消毒液で瞬殺できますし、紫外線でも死にます」
「…………随分と詳しいみたいだけど、クオンってお医者さんか化学者さんだったりしたのか?」
「いいえ? ただ昔『犬を飼いたい』と思っていた時期があって、飼育に必要な情報を頭に叩き込んでいただけです。
日本において『飼い犬に狂犬病の予防注射をさせること』は義務ですので」
「…………にしても、詳し過ぎねえか?」
「無知故に愛犬を喪った、なんてことになったら嫌でしょう? 気になったことは徹底的に調べ上げる
……まぁとにかくそういうワケですので、折角ですが食事はご一緒できません」
「うーーん。でも、食器だけ完全に分けて管理すればイケるんじゃね? クオンも別に『嫌』ではないんだろ?」
「……それは、そうですが」
「なら決まりだな。──ほれ」
「…………本当に『いい度胸』ですね、お二人は」