焔の錬金術師と透き通る青い世界   作:dokogumi_3054

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一話 覚えておきたまえ

 

ロイマスタングは訳あって外郭地区にあるシャーレという場所に向かっていた

しかし

シャーレ付近では不良生徒達の暴動を起こし目的地を占領しており

目の前に見えるのは不良と呼ばれた女子が戦車や銃をそこら中へと乱射し罵り合ってる風景だ

「戦場というより これは子供の喧嘩かなにかだろう?」ロイはこの現状をそう評価し 錬成陣の刻まれた手袋をはめて 堂々と前に歩き始める

「ちょっと 先生!?」

それを見たユウカが困惑を孕んだ表情でロイの目の前に止めに入った

「戦うつもりですか? 私達はともかく 先生は銃弾一つで致命傷になります 下がってて下さい!」

「私にただ見ていろと言うのかね?見ている限りただの子供の喧嘩だ 私は余裕と驕りを間違えたりはしないぞ」

ロイの発言はユウカはさらに困惑させるだけでなく

周りにいた生徒達もロイを止めに入る理由付けになり こぞって皆ロイの行動に口を挟む

「先生はギヴォトスの外から来た方です ユウカの言う通り ただの弾丸でさえ貴方には致命傷になりえます」

「ハスミさんの言うとおりです 自分の立場を理解していますか? 後方で待機を」

ハスミやユウカに続いてチナツもロイを止めに入る 

それを見たロイ少し考えるような素振りを見せ 少しづつ自分に歩み寄ってくる生徒達に対し手を挙げ制しながら言った

「そこまで言うのなら良いだろう」

そう言うとそのまま踵を返してその場を去ろうとする それを見たユウカがホッとしたのも束の間 すぐに足を止めてユウカ達の方向を向いて言った

「だが 私が指揮をとらせてもらう」

そう言い放ったロイの目と声にはこれ以上は譲らない有無を言わさぬ強さがあった

「戦術指揮をされるんですか? いや でもそれくらいなら 先生だし」

「生徒が先生に従うのは自然なこと ですね 宜しくお願いします」

「分かりました 先生の指示に従います」

三人とも指揮することには納得したそうだ 

だが

「安全圏で指示するとは言ってないがね」

ロイは口元をニヤリとさせ 懐から自分たちへの連絡手段である無線機を取り出し地面に叩きつけた「さぁ 始めるぞ 準備したまえ」

ロイはそう言って 戦場から対して遠くないそこから動くことなく指揮を取り始める

「えぇ!?」

それを見たユウカは引き気味にロイを見るが それに気づく事はなかった

 

ロイが指揮を取り始めて数分 

「ハスミ 北東の方に4人 銃で牽制し出てきた所を打て」

「チナツ 大通りに9人来ているが戦車持ちはいない 敵車両で瓦礫を作り足止めしてくれ」「ユウカ 君は後に回避しながら遅滞行動をしつつ引き撃ちだ」

戦場慣れしてるとしか言えない指示と空間把握能力 効率的と言えるが可能な動きに生徒達もすぐに慣れ始め戦況は安定してきていた

(変な人だけど指示は的確 やっぱり連邦生徒会長が指名しただけはある)

ユウカは内心でそんなことを思いながらロイの指示に従っていた

しばらくして

不良生徒との戦闘は終わりロイ達は今 目的地目前まで走って向かっていた

「もうシャーレの部室は目の前よ!」

「無駄な戦闘は避けこのまま突入するぞ」

それに皆頷き そのまま突き進もうと言った所 ユウカの無線機に通達の音が鳴り 何もない景色にリンの姿が浮かぶ

『先生 今、この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が判明しました』

「ご苦労」ロイは端的に答えるとリンが続きを話す

「ワカモ 百鬼夜行連合学院で退学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。

似たような前科がいくつもある危険な人物なので 気をつけて下さい」

「分かった」リンが通信を切り ユウカとチナツがまた走り出した瞬間

一つの発砲音が鳴り ユウカの胸に直撃する

「痛ッ! なに!?」

胸の痛みに気取られながらも周りを見渡すと その元凶が堂々と立っているのが見える

「どうやら一筋縄では行かないみたいです」ハスミがそう言って銃を構える

それに続いて皆、同じように銃を構えた

「ほう 随分と辛気臭い面構えじゃないか こうも簡単に遭遇するとは思わなかったが」

「フフ 見えないのに辛気臭いなんてひどいんじゃありませんの? 連邦生徒会の子犬さんたち?」

ユウカの胸を狙った元凶 そこにいたのは和服を基調とした服装 派手に装飾されたライフルを持ち狐面を被った少女

「あいつよ!あいつがワカモ!騒動の原因!」

撃たれた胸を押さえながらユウカがワカモへと指を刺す

その声を聞いたワカモは仮面越しにも顔が分かるほど余裕に満ちた声で笑うが それに負けじとハスミが前に出て戦線を切る

「騒動の中心人物を発見!対処します」

ハスミが銃の引き金を引こうとするが

ロイがハスミの目の前に手をかざし引き金を止めさせる

「目的を間違えるな 私達の目的はあくまでシャーレの部室の奪還 それにおそらく奴は私たちを相手どる気はない」

 

「あら?お見通しでしたか?」

「ですが このまま順調に進まれたら面白くありせんわ なので 代わりに貴方方にはこれの相手をしてもらいます」

「なに?」

ワカモは答えずそのまま後ろへ逃亡

それと同時に後ろから地面を引きづる

地鳴りに近い音が聞こえてきて

それが大きくなるにつれ振動まで伝わってきた

「「なっ!?」」

とユウカが驚愕の声を漏らす

驚くのも無理はない なぜなら振動の正体は...

「クルセイダー1型! 私の学園の制式戦車と同じ型です!」

「不法に武器が流通してたのは知ってたけど こんなものまでここに」

驚いてるのも束の間 

戦車の主砲が火を噴きハスミの真横をかすめ その背後で大きな爆発音が鳴り響く

それを横目に見て

「壊して進むしかありませんね」

ハスミはそう言うと再び引き金に手をかけて戦闘体制に入る

ユウカも自分の銃を構えて反撃に出ようとすると後ろから突如ロイの声が二人へ向けられる

『二人は退避しろ お前達は手を出すな』「先生!?」

ロイの指示にユウカが驚きの声を上げる しかしそれを意に介さずロイは続ける

『あれは私の獲物だ さっさと片付けるぞ』

「は?! 先生 何を言って..!」

先ほどあれほど注意したと言うのに 懲りずに前線出ようとするのか

ユウカはそう思いながらもロイを止めようとするが

気付けばロイは既に戦車の目の前にいた「いつの間に!?」

いつの間に移動したことよりも 自身の立場を理解できてないようなロイの行動に苛立ちを覚える ロイが死んでしまったら 一体誰が代わりを務めると言うのだろうか

「無茶苦茶な...」「先生!早くこちらへ!」

叫ぶチナツとハスミを尻目にロイは戦車との距離が5メートル程度の所で歩みを止める

「悠長に相手取る時間が生憎ないのだよ 邪魔だ どきたまえ」

ロイがそう言った瞬間 戦車の主砲が再び火を噴き ロイの身体目掛けて砲弾を発射する

「先生!!」

 

ハスミが悲痛の声を上げると同時 戦車の砲音が鳴る直前

ユウカの耳が一つの音を拾う 

パチン

何かをすり合わせたような音 指パッチンのようにも聞こえる

それがなんなのか分かりはしないが その次の瞬間 爆発したのは戦車の方であった

「え?」

ユウカの目の前で起きた事に理解が追いつかない なぜ戦車の方が爆発したのか?

呆気に取られていると

自分を呼ぶ声が聞こえて 

ハッ! と正気に戻る

「何を惚けてる 急ぐぞ早く立て」

とロイがユウカの前を走る

「す すみません すぐに追いつきます!」

その後を追い走り出すのであった

 

 

 

 

シャーレ部室にて...

「着いた!」

「ここか」

シャーレの部室を目前にユウカが声を上げる

見上げると高さが数十メートル以上ある建物 (シャーレ)

そして次の行動を催促するかのように

リンからの連絡が入る

「シャーレ部室の奪還完了。 私も、もうすぐ到着予定です 建物の地下で会いましょう」

「分かった すぐに向かう 諸君らは待機だ」

一言 そう言い残して足早と地下へ駆か込んだ

 

 

シャーレの地下にて...

暗い部屋の中 一人の先約

狐面を弄りながら 一つの物をまじまじと見ている狐面の少女ワカモがいた

「うーん これが一体なんなのか、全く分かりませんね。 これでは壊そうも」

何か大切な物を壊して 連邦生徒会への嫌がらせになると思っていたが それがなんなのか分からなければ壊しても楽しくない

…そんなことを考えてると扉を開ける音がして 狐面の内側で目を細める

「何を壊せないのかね?」

振り返るとそこにはロイの姿があった

「あら あららら? 貴方はさっきの..」

「ロイマスタング 焔の錬金術師だ 覚えておきたまえ」

ロイがそう言うと狐面の少女は聞いたことがない単語に少し首を傾げながらも

こちらに敵意を向け始める

「聞いたことありませんわ それにしても こんなに早く来るとは」

「質問に答えろ 何を壊すつもりだった?」

ロイがそういうとワカモは興味なしと言うかの如く ライフルの銃口をロイに向け

「言う必要はないでしょう?邪魔ですわ」

次の瞬間には引き金を手にかけ すぐにでも発砲できる状態ができ

誰もいない地下室に緊張が走る 

ワカモは勝利を確信して心の中ではロイのことを邪魔だから排除するとし脅威としてすら見ていなかった

そしてその排除という考えをすぐさま行動に移そうとし ロイの体目掛けてライフルで風穴を開けようとし...

「愚か者め」

 

ロイが手を前に出した瞬間 自身が引き金を引くより早く

自身の胸に違和感が走る

「は?」

何が起きたか一瞬分からず声を出すも一瞬のうちに掻き消える

それが何か気付いた時には もう遅かった

いつのまに自身を覆い尽くす爆炎が 既にワカモの身体を燃やしていた

「アガッ! なっ! こッ は!、?!?」

熱い 苦しい 痛い それだけが頭を支配する 自身の身体が今どうなっているのか分からない ただ痛くて苦しい 考える

時間さえ与えられないままワカモは後ろに吹き飛ばされ 焔から解放される

急いで身体を見てみると

痛みとは裏腹に表面的な外傷はない しかし 与えたダメージは相当なものであった

(なんだ今のは 分からない 炎?! 痛い!)

そんな思考だけがワカモの中をループする中 目の前にはロイがいつの間にか立っていた

「驚いたな その輪 ヘイローとやらを持つものは尋常じゃない耐久性があることは知っていたが その程度の火傷で済むのか」ロイは静かにしかし隙のない声でワカモへと話しかける

「殺すつもりはない だが 目的を話さないなら後数回 炙らせてもらう」

「ぐっ……」

(遊びのつもりでしたが...ここでやられては下の子もない...!)

 

ワカモは残った気力を注ぎ込み立ち上がり 階段を走り抜けた

「賢明な判断だ 」ロイはそんなことを呟きながらワカモが走りきった階段を見ていた

 

「お待たせしました  ? 何かありましたか?」

地下室には焼けた火薬の臭いが充満しているが

ロイいつも通りの調子で口を開く

「いいや 問題ない」

「そうですか」

ロイの返事を聞きそれ以上の追及はせず リンが本題の話を始める

「ここには 連邦生徒会長の残したものが保管されています 幸い 傷一つなく無事ですね」

そう言ってリンが渡してきたのは見慣れない物だった

「受け取って下さい」

「これは一体...」ロイはそれを見て困惑する 形は四角形の薄い板 中央が鏡でできている

「これが 連邦生徒会長が先生に残した物 シッテムの箱です」

「これを私に?」ロイがそう言うとリンは神妙な顔で頷く

「連邦生徒会長はこのシッテムの箱は先生のもので 先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました」

「私たちでは起動すらできなかった物ですが先生ならこれを起動させられるのでしょうか、それとも」ロイがシッテムの箱を受け取り リンは静かに答える

「では、私はここまでです ここから先は全て先生にかかっています」

リンが頭を下げてから立ち去ると 取り残されたのは自分ただ一人 シッテムの箱と呼ばれた物を見つめながら 

「いいだろう 託された以上はやってやる」

そう宣言したのにも関わらず 起動することにすら格闘するロイであった

 

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