銀翼の鴉と黒の剣士   作:春華

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災禍の鎧の説明回です

なんか本文が長くてですね…

できるだけ短くカットしたんですけど、変な箇所があるかもです

では、どうぞ!




第十一話:災禍の鎧

「まずはともあれ、自己紹介から始めましょう。ここは貴女から名乗ってもらうのが筋じゃないですか?赤の王」

 

時刻は午後四時。

あれから何もなく――というか直葉自身が気にしている様子もなかったので何もないといえばその通りなのだが――授業を終えたハルユキ達は、まっすぐに彼の家に集まった。

 

タクムだけはハルユキと同じマンションなので、一度荷物を置いてから合流する手筈になったのだが、それまでの短い時間なのに、ハルユキは肝の冷える思いを何度もしていた。

 

まず、家のドアを開けたら赤の王である少女が堂々と家の中に侵入していて、ハルユキの秘蔵ゲームで遊んでいたこと。

次に直葉が赤の王を見て「有田君って妹いたんだね」と間の抜けた言葉を発したため、赤の王が怒って何故かハルユキを踏みつけながらそれを否定。

最後に黒雪姫と赤の王が軽く睨みあい状態になり、このままレベル9同士の対戦が勃発しそうな空気を目の前で放たれて、ビクビクしながら飲み物を用意していたことなどである。

 

遅れてきたタクムは、その状況を察すると黙ってハルユキの肩に手を置いてくれた。

タクムの心遣いに内心泣いたハルユキである。

 

 

そしてそのタクムがまずその場を仕切ることによって、話し合いが始まった。

 

 

「ま、それもそうだな。あたしはユニコ。コウヅキユニコだ。ニコとか、そんなんで呼んでくれ。特にクロウ、ちゃん付けとかしたらぶっ殺すからな」

 

「な、なんで!?」

 

ハルユキの言葉にふん、と鼻を鳴らした彼女が指を鳴らすと、ハルユキの視界に真紅のネームタグが浮かび上がる。

これは軽い自己紹介の時に使う名刺のようなもので、軽い身分証明賞になるものでもある。【上月由仁子】と、可愛らしいフォントで書かれたソレを全員に配り終えたニコは。

 

「次はあんただ。≪シアン・パイル≫」

 

とタクムを見ながら言った。

流石、ハルユキの家に堂々とリアルで潜入してきたこともあり、ネガ・ネビュラスのことも調べているようだ。

 

「…で、あんたが≪リーフ・フェアリー≫か。なんだ、≪あっち≫と全然違うんだな。色々と」

 

「い、色々って何よ…はい、私のタグ」

 

タクムからタグを受け取った後は直葉から、ハルユキも渡したほうが良いのかと問いかけると、何言ってんだみたいな目で見られたので渋々タグを送信した。

三人分のタグを受け取ったニコは、最後に黒雪姫に視線を向ける。

 

「…ン?ああ、私か。黒雪姫だ。よろしくな」

 

「んな名前なわけねえだろうが!!本名だ!本名を教えやがれ!みんなネームタグ渡してんじゃねえか!てめえも渡すんだよ!」

 

即座に喚くニコに、黒雪姫はピンと指を弾いた。

すると二コだけならず、ハルユキ達の前にもタグの情報が現れる。

【黒雪姫】

と堂々と書かれたそのタグには、ちゃんと身分証明の認証マークがついている。

ぐぬぬ…と呻いているニコに、ハルユキは苦笑することしかできなかった。

 

「さて赤の王…こと、ニコ君。本題に入ろう。キミがハルユキ君のリアルを知った経緯と、私に会いたいという真意はなんだ?」

 

「ん、そうだな。初めに言っておくがシルバー・クロウ。あんたのリアルを赤のレギオンで知ってるのはあたしだけだ。これは王の名前にかけて誓う。信じてくれ」

 

その言葉にハルユキはコクリと頷きながらほぅとため息をつく。

≪リアル割れ≫はバーストリンカーにおいて命の危機のようなものだ。

ニコは嘘をつくような少女――実際にハルユキを騙していたが――ではないので、これは本当の事だろう。

 

「で、方法は簡単だ。あんたらの領土は杉並、出現時間の傾向からすると恐らく中学生というところまでは絞り込める。そこまではいいな?」

 

バーストリンカーになるための第一条件は【生まれた時からニューロリンカーを装着していること】なので、現在の最高齢は16歳。つまり高校1年生だ。

そのため、学生のバーストリンカーは大体中学生という推測は成り立つ。

 

「そこでだ、私は小学生という身分を利用して、片っ端から杉並区内の中学校に校舎見学申請を申し込んだってわけよ。見学者用のパスがあれば学内のネットには接続できるからな。あとは教師に案内してもらってる間にちょいと≪加速≫してマッチングリストを見る。その繰り返しだ」

 

「なるほどな、そうすればいつかはシルバー・クロウにたどり着く。しかし、その後はどうする?梅郷中の三百人の中から、どうやってハルユキ君を見つけ出したんだ?」

 

「……根気強く校門をまたぐ生徒を見るたんびに≪加速≫したんだよ。そこまでする理由がコイツにはあるんだ。私の目的に、必要な力が、な」

 

ハルユキをチラっと見たニコは、黒雪姫に体を向けると、なんとその頭を下げた。

 

「頼む黒の王。アンタのレギオンのシルバー・クロウの、その翼を貸してほしい。たった一度だけでいいんだ。≪災禍の鎧≫を破壊するために」

 

 

 

「馬鹿な!あの≪鎧≫は…既に消滅したはずだ!!」

 

聞きなれない単語を前に呆けた顔をしているハルユキ達三人だったが、ただ一人、黒雪姫だけは信じられないという声で大声をあげていた。

 

「消滅してないんだよ!!あの≪鎧≫のせいで…チェリーは…」

 

大声で返すニコだったが、その声は徐々に悔しそうな声音になり、やがて俯いてしまった。

そんな中、話についてこれない三人の代表として、ハルユキが恐る恐る手を挙げる。

 

「あの、何ですかそのサイカのヨロイって…モノ…なんですか?」

 

「…ン、そうだな…バーストリンカーでもあり、あるオブジェクトでもある…といったほうが正しいかな。ハルユキ君、キミが最初に戦った相手―――≪アッシュ・ローラー≫を覚えているな?彼のバイク…あれはライダー本人とは別のオブジェクトだが、アレも含めてアバター本体としてのデュエルアバターを構成しているんだ。ここまではわかるな?」

 

「は、はい。つまり≪アッシュ・ローラー≫のバイクも、あの人の一部になってる…みたいな感じですよね?」

 

「そうだな。そのような外部アイテムは、ブレイン・バースト上で≪強化外装(エンハンスト・アーマメント)≫というんだ。ふむ、そこの赤の王のあの巨大な姿とかがそれにあたる」

 

何かかっこいい名前だなとハルユキは思うが、シルバー・クロウは徒手空拳で何も装備されていないため、しょんぼりと肩を落とす。

 

「そうがっかりするなハルユキ君。強化外装は私も持ってないし、そこまでレアなものじゃない。何せ手に入れる方法が四つあるからな」

 

そんなハルユキに苦笑しながら黒雪姫は人差し指を立てる。

 

「まず一つ目、初期装備として最初から持っていた場合。アッシュ・ローラーのバイクや、タクム君の右腕の≪杭打ち機≫がこれにあたるな」

 

なんだよ、タクムも持ってるのかよ。と言おうとするが、黒雪姫が次の説明を始めたので黙って聞くことにする。

 

「二つ目はレベルアップボーナスで獲得できる場合だ。ボーナスの選択肢に存在しなければ不可能だがな」

 

「…ありませんでした」

 

というかレベルアップボーナスは、目の前の黒雪姫のアドバイスを受けてスピードと飛行時間につぎ込んでいるため、あったとしても選ぶかどうかはわからずじまいであったが。

 

「三つ目。これは≪ショップ≫で買うことだ。これならハルユキ君でも可能性はあるだろうが…ポイントを消費するからあまりお勧めはしないな。そして最後の四つ目だが―――」

 

「≪殺して奪い取る≫、ですよね」

 

黒雪姫が続きを言う前に、直葉が続きを言った。

確か彼女の兄は―――

 

「お兄ちゃんのアバターを殺したアバターが言ったんです。『ドロップしたけどいらないから、形見としてでもやるよ』って」

 

「………そうだ。まだ完全に解明されていない現象だが、強化外装を持ったアバターが戦闘で全損すると、そこの勝者にその強化外装の所有権が譲渡される。といった感じだ」

 

「だけど災禍の鎧は違う。移動率100%、まさしく呪いのアイテムってわけだな」

 

「だが…ありえないことだ。二年半前に私は確かに、≪鎧≫…≪クロム・ディザスター≫を倒したんだ。他の王達と協力してな。……証拠ならある。ハルユキ君、直結用のケーブルを貸してくれないか?三本だ」

 

「は、はい…」

 

黒雪姫の言葉に頷くと、ハルユキは素直にケーブルを取ってくる。

 

「長さは…1メートルが二本に、うへぇ、50センチが一本、です……」

 

「なるほどね…しかたねーからあたしが50センチので我慢してやるよ」

 

「あ、こら!待て!!そっちの短いのは私が使う!」

 

「なにすんだよ!おいコラ!離せ!あんたはあのながーい1メートルでいいだろうが!」

 

ニヤリと笑いながらハルユキのケーブルを取ろうとしたニコの手は、黒雪姫の手に掴まれる。

そこでハルユキはその意味を悟った。黒雪姫は、その≪証拠≫とやらを見せるために、全員のニューロリンカーを数珠繋ぎしようということらしい。

軽量型のニューロリンカーには端子が一つしかないため、タクムとニコは端っこになるしかない。

ハルユキと黒雪姫は端子二つの高機能タイプなので、二人の間に座らなければいけないのだが、短いケーブルを巡って謎の論争が起きたらしい。

どうしようとハルユキが考えているうちに、手に持っていた50センチのケーブルは誰かに取られ、そのままタクムの手元に運ばれたのが見えた。そして1メートルのケーブルが取られたかと思ったら、そのまま反対の端子にケーブルが差し込まれる感覚と、直結警告。

 

「え…えと?」

 

「ん?私も端子二つあるから。黒雪姫先輩と何度も直結してても、女の子と50センチなんて有田君も流石に困るでしょ?」

 

隣に座り込む気配を感じたため、視線を移すと、そこにいたのは直葉だった。

1メートルのケーブルを差しながら当然のように返してきた彼女に、ハルユキは敬意を払わずにいられなかった。

 

 

「ほら二人とも、早くしてください。こっちは準備できましたよ」

 

「な…っ!直葉君!キミまでもか!!」

 

「思わぬ伏兵にやられたな、黒の王!へっ!ざまあみやがれ!!」

 

そんなこんなで黒雪姫も持ってきていた2メートルのケーブルを取り出すと、有無を言わさずニコに突き出した。

 

「…全く、何故私がこいつと…」

 

「それはこっちのセリフだっての」

 

ニコと黒雪姫はぶつぶついいながら2メートルのケーブルを差した後、ギリギリまで距離を離しあっている。それに苦笑しながらタクムが自分のニューロリンカーの端子にケーブルを差す。

五人分のニューロリンカーが接続されたことを確認すると、ハルユキは黒雪姫に問いかける。

 

「それで先輩、これからどうするんですか?」

 

「まあまずは座れ。全感覚モードにした後、表示されたアクセスゲートに飛び込んでくれればいい。では行くぞ、ダイレクト・リンク!」

 

座れと言った黒雪姫がリビングの床に正座。

ニコもちょこんと腰を下ろす。

そして両隣の剣道部員はさすがというか、端然とした姿で正座した。

慌ててハルユキも正座するが、両隣に比べるとやはりぎこちない。

 

…あ、これ別の意味で緊張するわ

 

ふと思いながら、ハルユキも全感覚モードに入るためのコマンドを口にした。

 

たちまち全身の感覚がなくなり、≪完全ダイブ≫の準備が整う。

そのまま待っていれば有田家のホームサーバーにダイブするはずだが、今回はその前にアクセスゲートが浮き上がっていた。

見えない右手を伸ばし、それに触れると、ハルユキの意識はそれに吸い込まれていったのだった。

 

 

 

 

「……せぁっ!!!」

 

気合を込めた声で目の前のNPCを斬り裂く。

NPCはそのまま声を上げずにポリゴンとなって爆散した。

 

学校から戻った俺は、こうしてまたNPCデータの調整に勤しんでいた。

直葉は用事があるので先に帰っていてとの主旨のメールをもらっているので、別段やることもない俺はこのVR空間に来ていたのだ。

 

「…もう少し、重いな」

 

斬り裂いた感覚を感じながら、俺は地面に刺さっている剣のパラメータを調整している。

目の前にあるのは完全に記憶を頼りにポリゴンで複製した≪エリュシデータ≫と≪ダークリパルサー≫。

懐かしの黒コートに身を包んだ俺はこのVR空間でただ闇雲にNPCと戦闘を繰り返していた。

敵についてはどれも剣を使う者。管理者モードで起動しているので俺以外でこのNPCと戦うことはできない。

 

やはり、というべきか。こうして剣を振っている間だけ、全ての事を気にせずに無心でいられる。

今頃、俺の本体ともいえる存在は仲間に囲まれて馬鹿やっているのだろう。

羨ましくない、といえば嘘になる。

俺だってアスナに会いたい。ユイに会いたい。

仲間に、会いたい。

 

 

だが、それは叶わない。

 

平行世界への移動自体、奇跡的な確率で起こった事故なのだ。

しかも自分にはそれを再現させるだけの技術もない。

 

「…しかしこうしてると、SAOを思い出すな…」

 

≪ビーター≫、≪黒の剣士≫と呼ばれていたころ、俺は殆ど一人だった。

ダンジョン内でやむなく野良パーティーを組んでも、それまでだ。

一度見つけた居心地の良い場所も、壊れた。

 

一人にはなれてる。ぼっちだからな。

 

何かが、欠けたようだ。

サチが死んだときも、明日奈が須郷に奪われかけた時も、喪失感こそ浮かんだものの、ここまでではない。

今まで燃えていたモノが無くなったというか…憑き物が落ちたというか……

一瞬、新宿で強盗と対峙した時、戻った気がした。だがその一瞬だけだ。

 

欠けた何かを取り戻したい。こんな仮想の敵じゃない。奴が…奴と戦えるなら…

 

 

「………っ!!」

 

再び出現させたNPCを斬り捨てながら、俺は何とも言えない喪失感に呑まれていたのだった。

 

 

 

 

「……あんたが≪クロム・ディザスター≫と戦って、倒したっていうのはよくわかった。じゃあこの状況を説明してくれよ!!五代目≪クロム・ディザスター≫が現れて、暴れてるって状況を!!」

 

「だから言っただろう!あの後、王達全員で、ストレージに≪鎧≫がないことを確認しあった!≪鎧≫は消えた筈なんだ!…仮にあの時、王の誰かが嘘をついて≪鎧≫を持ち帰ったとしよう!しかしそれでどうする!あれは危険なものなんだ!王達も馬鹿ではない!アレを解き放つことの重大さがわかってるはずだ!」

 

「だが現に解き放たれているんだ!誰かが持ち帰ったにきまってる!!」

 

黒雪姫がハルユキ達に見せたのは、二年半前の≪クロム・ディザスター≫討伐戦のリプレイだった。

破壊の限りを尽くす≪クロム・ディザスター≫に、黒雪姫含む王達が一斉に戦いを挑んでいる光景だ。

そして討伐が終わった後、全員が≪鎧≫を持っていないことを確認したと、黒雪姫が言った時、ニコが前述の言葉で食って掛かったのだ。

そして気が付けばお互いにヒートアップである。

 

ハルユキ達は、おどおどしながらも、この状況を止めることができなかった。

 

「なら誰だ!今の≪鎧≫の持ち主は!たとえ≪鎧≫に浸食されていても、アバターネームは変わらない!教えろスカーレット・レイン、誰なんだ!!」

 

黒雪姫の言葉を聞いたニコは、先ほどまでの威勢はどこにいったのか、消え入る声で。

 

「…うちの、赤のレギオン≪プロミネンス≫のメンバーだ。名前は≪チェリー・ルーク≫。良い奴だったのに………」

 

「ただの、バーストリンカーだと…!?なら…誰か王が持ち帰り、彼に譲渡したということか!?」

 

「あんたの話を聞く限りそうなんだろうな…。先代は違うぜ。あたしは先代にあったこともないし、チェリーだってそうだ。あいつは…今も赤のレギオンに所属しまま、他の王のレギオンメンバーを狩ってるんだ。不可侵条約を破ったあいつは粛清しなきゃいけねえ…。あたしも一度挑んだが、駄目だった。あんたも戦ったならわかるだろ?あいつの機動性の前には、あたしの攻撃も当たらなかったんだ…」

 

そう言って俯いたニコの言葉に黒雪姫はようやく納得がいったと頷く。

 

「そうか、これでやっとキミがハルユキ君のリアルを調べてまで接触した理由がわかったよ。機動力には機動力というわけだな」

 

周りの二人も納得したという風に頷くと、四人の視線がハルユキに注がれた。

 

「え、ええと…つまり、僕が≪クロム・ディザスター≫の足止めを?」

 

恐る恐ると、大体の話の流れから推測したことを言うと、四人ともコクコクと頷いた。

 

「む、むむむむ無理ですよ!王達が苦戦した相手なんですよ!?僕なんて、すぐけちょんけちょんにされちゃいますって!!」

 

「案ずるな、本当に足止めだけだ。メインは私とスカーレット・レインが攻撃して奴を弱らせるよ。そうしたら…」

 

「ああ、私が≪断罪の一撃≫で仕留める」

 

スカーレット・レインの言葉に首を傾げると、タクムが説明してくれた。

 

「≪断罪の一撃≫は、レギオンリーダーのみが扱える権限なんだ。レギオンを裏切ったりするバーストリンカーに使うんだけど、それを受けた者は問答無用でポイント全損、加速世界から永久退場するんだよ」

 

「永久…っ!?」

 

そういえばうちのマスターは黒雪姫だと思い、彼女を見るとものすごい笑顔でこちらを見ていた。

 

…ああ、先輩に逆らうのはやめとこう…いや、逆らうことなんてないけど!!

 

 

「でも、それだとクロム・ディザスター対僕たちっていうことですよね?そんな要求、向こうが呑むわけないじゃないですか!」

 

「いや、それには及ばねえ。あいつが暴れてるのは≪無制限中立フィールド≫だ。なんてことねえよ」

 

「≪無制限中立フィールド≫?」

 

ハルユキはその言葉を聞いて首を傾げる。

どこかで聞いたような響きだ。そう、つい最近、どこかで…

 

「それならなおのこと危険だ!僕やハルたちはまだしも、マスターは特例ルールに縛られてる!もし他のレベル9にあったら…」

 

「私は賛成ですよ、それ」

 

必死にタクムが止める中、直葉がタクムの声を遮った。

 

「他のレベル9に会う可能性があるなら、私は参加します。クロム・ディザスターがあそこにいるなら、好都合です」

 

そうだ、彼女が言っていたんだ。

無制限中立フィールドで兄を亡くしたって

 

「桐ケ谷さん…!………でも危険だ。言わせてもらいます。赤の王がマスターをはめて、大勢で待ってるって可能性もあるんですよ!!」

 

「ぎゃーぎゃー煩い!博士かあんたは!そんなの、あたしがリアル明かして一人で来てるんだから信じろって!それが十分な証拠だろ!!」

 

「タクム君、私のことを考えて言ってくれたのには感謝する。だが、大丈夫だろう。ひとまず彼女の要求を呑むことにする。それでいいな?」

 

「嫌われ役は慣れてます。気にしないでください」

 

眼鏡をクイッとすると、タクムは一転、話し合いの体制になった。

……なんか、タクって凄いな

 

そのまま、無制限中立フィールドのことを知らないハルユキは半ば置いてけぼりをくらいながらも、作戦の結構は明日の放課後となった。

 

一先ず、話し合いはお開きになり、それぞれが帰宅していく。

 

「じゃあなハルユキ君。お邪魔しました。また明日な」

 

「はい、先輩もお気をつけて」

 

「んじゃな黒いの、さーてと、クロウ、一緒にゲームしよーぜー」

 

ニコがのんびりとリビングに歩いていったとき、ぎゅんっといった感じで黒雪姫がこちらを向いた。

 

「おい、赤いの…まさか、ハルユキ君の家に泊まるのか?」

 

「当たり前だろ?帰るのめんどいし、あたしの学校全寮制で外出申請出してるからかえれねーし」

 

そのことばに黒雪姫はぷるぷると震えた後。

 

 

 

「私も!泊まらせてもらうぞ!!ハルユキ君!!!!」

 

 

 

なんてことを仰られた。

 

 

 

 

 

 

 

 




黒雪姫先輩の昔ばなしはまるまるカットさせていただきました

ビデオみたらディザスターと戦闘してたよーだけでいいと思うんだ!(確信)



二コと姫の言い争いが多分滅茶苦茶になってる気がする…


次回で…あれじゃない?うん、あれだよ多分


それでは!また次回!

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