銀翼の鴉と黒の剣士   作:春華

44 / 78
やりたいこと書いていたらいつもより長くなりました

それではどうぞ!!


第四十三話:鴉と絆

 「ルルルオオオオ!!!」

 

 力を全身で感じるように雄叫びを上げたハルユキは、その衝動のままキリトに飛びかかる。

 凪ぎ払うように振るわれた爪はキリトの体を大きく吹き飛ばし、背後の氷の塊を粉砕した。

 隙間は存在しているとはいえ、ジグソーが発動した渦はかなりの大きさだ。

 つまりそれを凍らせた場合、それなりの足場ができあがる。

 ヘルメス・コードを大きな一本の木に例えた場合、現在ハルユキ達が立っている場所は途中に生えている枝のようなものだ。

 

 氷の足場の上に降り立ったハルユキは、先に体勢を立て直したキリトを視界に捉える。

 

 「ぐっ…クロウ!いきなり何を!!」

 

 必要性のない会話に付き合う理由はない。

 戸惑いの声を上げるキリトに向かって爪を振るうが、今度はしっかりと透き通るような青い剣に阻まれた。

 その刀身に映った自身の姿に一瞬眉を潜めたハルユキだが、アバターから生えている尻尾がダァンッと氷の地面を叩いたことで思考を中断する。

 

 「く……そっ!!」

 

 グッと力を込めて爪を弾いたキリトは、バックステップとパリィを駆使しながら巧みにハルユキの攻撃を避ける。

 あと少しが届かないことにハルユキは仮面の中で舌打ちをする。

 

ーー何か…何かないのか、アイツを倒す方法は。

 

 攻撃を回避して距離を取ったキリトにダッシュしながら思考したハルユキの頭に、ある言葉が浮かぶ。

 

 「……《フラッシュ・ブリンク》」

 

 「なっーーーー!?」

 

 電撃的に脳裏をよぎった単語を口にすると、《シルバー・クロウ》、いや《クロム・ディザスター》の姿がかき消えた。

 驚きの声を上げたキリトの背後に実体化したハルユキは、その右腕に一振りの長剣を携え、凪ぎ払うように剣を振り抜いた。

 《スター・キャスター》と呼ばれていたその剣はキリトの剣を弾き飛ばし、その体を大きく吹き飛ばした。

 

 あの生意気な奴を吹っ飛ばしてやったとばかりにハルユキの中の《獣》が喜びの声をあげる。

 

 クロム・ディザスターの鎧と深く適合したバーストリンカーは、過去の装着者のアビリティや技術を使うことができる。

 成る程実に強力だ。

 使い方や効果は実際にハルユキは知らない。だがそんなこと考えなくても《わかる》のだ。

 なら効率的に使い、ただ殺戮の限りを尽くすだけだ。

 

 「…この感じ…どこかで……っ」

 

 「ルルルオオオオ!!!」

 

 追撃とばかりに振り下ろされた剣は、電光のような早さで抜き放たれた漆黒の剣で防がれる。

 同時にキリトの剣にライトエフェクトがかかる。

 例えヘルメス・コードのルールでHPがロックされたとしても必殺技を受ければアバターにはダメージが通るだろう。

 

 シルバー・クロウのヘルメットを覆うように現れたバイザーに、瞬時に放たれる攻撃に対する予測表示が現れる。

 膨大な戦闘経験によるクロム・ディザスターの攻撃予測は、正に未来予知。

 後は表示された位置に剣を合わせれば良いだけだ。

 

 「《バーチカルーーー」

 

 単発の上段斬り下ろし技である。

 剣を擦り合わせるようにして回避してそのまま攻撃に転じようとしたディザスターの体を、次々と衝撃が走った。

 

 「ーーースクエア》!!!」

 

 単発ではない、連続技(・・・)だ!!

 普段のハルユキであればまだ対処できたかもしれない。

 キリトの必殺技は何度も見ているし、似たような挙動からの攻撃があるのも知っているからだ。

 しかし今回は殆ど《獣》に呑まれかけていることもあり、ディザスターの能力である攻撃予測に頼り過ぎていたという部分もあった。

 

 だが予測不可能な事態に陥ったからと言って易々とやられては加速世界を震え上がらせた存在としての名が廃る。

 

 「ルルルオオオオッ!!!」

 

 「ぐあっーーーー!?」

 

 尻尾を地面に突き刺して吹き飛ばされるのを堪えたディザスターは、必殺技後の硬直で動けないキリトに技も何もない、ただ力を込めた剣を振り下ろした。

 

 ボールのように吹き飛ばされたキリトの体に五代目ディザスターが使ったワイヤーフックをかけたディザスターは、その剣に心意光を宿らせて一気に引き寄せる。

 

 今度こそこの手で奴を倒せる。

 前回彼を喰い殺そうとした際に手痛い一撃を受けた《獣》は、シルバー・クロウの中で今か今かと待ち続けていた。

 

 「ルルルオオオオ!!!!」

 

 歓喜の雄叫びを上げながらキリトを引き寄せて振り下ろされたディザスターの剣はしかし、先程吹き飛ばされた筈の青薔薇の剣に防がれていた。

 驚愕に目を見開いたハルユキと《獣》の目に、青薔薇の剣を握った少年が見えたーーー気がした。

 次いでキリトの体を漆黒の心意光が包む。

 だが同じ黒でもテイカーのような負の心意ではない、全てを優しく包み込むような正の心意だ。

 

 

ーーこの人はどこまでーーっ!!!

 

 

 「《エンハンス・アーマメント》!!!」

 

 そして絶叫と共に放たれたキリトの心意技がディザスターの体に大きな衝撃を与えた。

 漆黒の剣から打ち出された漆黒のエネルギーはディザスターをどんどん後退させる。

 

 

 「うおおおおおおお!!!」

 

 「グル……ルルルオオオオ!!!」

 

 左腕に心意光を宿したディザスターは、渾身の力を込めてキリトの攻撃を押し退けるように防ごうと試みる。

 

 激しい衝撃がディザスターの左腕に襲いかかり、心意光を纏っていたとしても防ぎきれないダメージがディザスターの鎧を破壊し、シルバー・クロウの装甲を露にし始めた。

 

 幾ら最強の鎧だとしても、攻撃を反射するなんて芸当出来るはずもない。

 それに左腕は既にシルバー・クロウの姿だ。

 今心意のオーラを切らせばたちまち破壊されてしまうだろうと、左腕に反射する自身の姿を見ながらハルユキはそう考える。

 

 

 防ぎきれなくても良い、この攻撃を受け流しさえすればーーーーー。

 

 無意識だったのかもしれない。

 《獣》に支配されかけながらもハルユキは自身が思い描く最強のバーストリンカーの動きを思い起こしていた。

 顔も名前も今の状態では正確に思い起こせないけれど、あの流れるような美しい動きを、あれはたしかーー。

 

 

 『柔法、と言ってな』

 

 

 そのフレーズが頭に響いた時、キリトにも、《獣》にも、そしてハルユキにすら予想出来なかった出来事が起きた。

 

 

 「なにっ…!!」

 

 

 突然、心意光に包まれたシルバー・クロウの左腕のグリーン色のロット部分が変形すると、まるで受け流すようにキリトの心意技を弾いたのだ。

 

 「ぐっ………」

 

 丁度その辺りでキリトにも限界が来たのか、彼が膝を付くと共に攻撃は収まる。

 瞬時に再生されていく左腕の装甲を見ながらハルユキは先程の現象は何だったのかと考えるが、些細なことだと目の前の敵を倒すことに意識を戻す。

 

 「クロウ!!駄目だ戻ってこい!!」

 

 キリトが必死に声をあげるが、クロム・ディザスターの衝動に呑まれているハルユキには、あまり反応が見られない。

 ハルユキにとってキリトは尊敬と嫉妬の対象でもあること、ディザスターがキリトに激しい怒りを覚えていたことも関係しているのだろうか。

 

 「ハル!!!」

 

 しかし、そんなハルユキの耳に別の声が届いた。

 視線を向けると、そこに立っていたのはライム・ベルと、シアン・パイル。

 そして彼らを運んできたであろうスカイ・レイカーが其処にいた。

 

 「タク……チユ……」

 

 思わず幼馴染み二人の名前を口に出したハルユキの思考は、その瞬間正常に戻った。

 自分が何をしたか、そして今何をしようとしていたのか。

 しかし思考できたのはそこまでだった。

 再びハルユキの思考を《獣》が侵食し始める。

 

 「ぐっ……ぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 「待ってなさいハル!直ぐに私が!!」

 

 その様子を見たベルは、その鐘をリンゴンと鳴らし始める。

 あれは不味いと《獣》が叫びを上げた。

 

 「ルルルオオオオ!!!!!」

 

 大きな雄叫びと共に、《獣》は小さな新緑色のアバターに飛びかかる。

 しかし目の前に青色のアバターが立ち塞がった。

 

 「ハルーーー!!!」

 

 負けじと雄叫びをあげながらディザスターに組み付いたシアン・パイルは、その杭をディザスターの鎧に突き付けた。

 ライム・ベルを優先的に倒すことに意識を割いていた《獣》は、その状態に遅まきながら気づく。

 

 「《フラッシュ・ブリーーー」

 

 「《ライトニング・シアン・スパイク》!!!」

 

 回避運動を取るよりも早く放たれたシアン・パイルの必殺技は、激しい衝撃と共にディザスターの体をヘルメス・コードに縫い付ける。

 

 「ハル!!目を覚ますんだ!!」

 

 必死に呼び掛けるシアン・パイルの声を《獣》は鼻を鳴らしながら馬鹿にする。

 

ーー無駄ダ。コイツハ既ニ我ト深ク繋ガッテイル。

ーー全テヲ破壊スル圧倒的ナ能力ヲ求メ、我ノ力ヲ欲シタノダ。

 

 ディザスターは自身を拘束する杭を砕こうとその手に心意光を展開し、杭を握りしめる。

 力を込めれば容易く粉砕される筈だったそれは、シアン・パイルが杭に込めた心意によって防がれていた。

 

 「君はそんな誘惑に負けるような奴じゃない!!どんなときだって、諦めれば良いのに何度も立ち上がって、立ち向かったじゃないか!!テイカーの時だけじゃない、僕と戦った時だってそうさ!!」

 

 しかしディザスターの心意とタクムの心意では力が違い過ぎた。

 シアン・パイルの杭は半ばで折られ、ディザスターはその体を自由にし、怒りの咆哮を上げてシアン・パイルに襲いかかる。

 

 「君はそんな弱い奴じゃない!!」

 

 しかしパイルは臆することなくそう叫ぶと、自身の強化外装から心意の剣を抜き放つ。

 

 「《蒼刃剣(シアンブレード)》!!!」

 

 心意の剣を構えたパイルをバイザーの下から睨み付けたディザスターは瞬時に彼の構え、癖を捉えて大剣を振りかざす。

 青型アバターとはいえ、ディザスターが扱える剣技と比べれば彼の攻撃など雑魚同然。

 剣道が加速世界で培われた剣術に敵う道理などない!!

 

 「うおおおおおおおおお!!!!!」

 

 思考が加速し、全てがゆっくりに見える。

 剣道の技である面も、胴も、籠手も、どれも円の動きである。

 初動を読めれば十分に対応可能だ。

 

 そう考えていたからなのか、自然と選択肢から外していたのだと思う。

 バイザーの攻撃予測が映し出したのは《点》。

 同じように踏み込んだシアン・パイルの剣が強く突き出された(・・・・・・)ことに気づいたのは、いくら《獣》でも反応しきれない距離であった。

 

 「ハルぅぅぅ!!!!!!」

 

 パイルの剣はディザスター喉の下、丁度胸に向かうように突き刺さり、更にその体を貫こうとパイルは力を込める。

 

 「グル……ルルルオオオオオオオ!!!!」

 

 しかし、カウンターの突き技がクロムの鎧を貫くより先に凄まじい速さで動いたディザスターの腕がタクムの剣を掴む。

 まるで肉を切らせて骨を断つように、勢いよく振りおろされた剣が激しい衝撃と共にシアン・パイルを弾き飛ばした。

 

 「うああああああああっ!!!」

 

 心意光も纏っていない普通の攻撃であったが、パイルは声をあげながら吹き飛ばされていく。

 浅くであるが胸に突き刺さったパイルの剣を抜いたディザスターの傷は、やや時間を置いて修復される。

 

 邪魔者はすべて消えた、後はあの新緑色のアバターだけだと思考した《獣》であるが、胸の部分に違和感を覚えて立ち止まる。

 その場所は先程シアン・パイルの剣が突き刺さった場所だ。傷も修復したはずなのに胸はズキズキと痛む。

 

ーー知っている、この暖かさは、この痛みは。

 

 ディザスターの嫌う正の心意。

 その暖かな心意が、意識のそこに押し込められていたモノを呼び覚ます。

 

 「《シトロン・コーーーーーーール》!!!!」

 

 ついに放たれるライム・ベルの必殺技。

 ディザスターはそれを回避しようとするが、思うように体が動かない。

 

ーー……め…ろ。

 

 困惑した《獣》が聞いたのは、最早自分と同調して破壊の衝動に染まっていた筈の声。

 

ーー僕の、ーーーーにーーー。

 

 光が近づく。

 なんとしても回避しなければならないのにこの体は動かない。

 

ーー僕の、仲間にーーーー。

 

 「手、を……出すなぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 雄叫びを上げながらディザスター…いや、シルバー・クロウはライム・ベルが放った必殺技の光に突っ込んだ。

 アバターの状態を巻き戻すその力は、強化外装であるクロム・ディザスターの鎧の装着を解除し始めた。

 

ーー何故ダ、何故我ヲ拒ム!!

ーー先程マデノ戦イノヨウニ、我ヲ受ケ入レヨ!!

ーーオ前ダッテ理解シタ筈ダ、我ノ力ヲ!!

 

 「ああそうだ、理解したさ!確かに僕は弱い、でも、でも仲間を、皆を傷つけて手に入れる強さなんてーー」

 

 力の本流の中で膝を付くキリトを見る。

 氷の地面の上で立ち上がりこちらに駆け寄ってくる親友を見る。

 とてつもない罪悪感がハルユキの胸を襲う。

 

ーーごめんなさい、キリトさん、ごめん、タク。

ーー僕が弱いから二人を傷つけてしまった。

 

 「お前と融合して、何となくだけど、わかった。お前は確かに凄いと思う。ほんと、呪いさえなかったら喉から手が出るほど欲しいよ」

 

 これはハルユキの本心でもある。

 圧倒的な防御力、強力なアビリティや、攻撃予測。

 それらがあればきっとバトルも簡単に勝てるのだろう。

 

ーーナラ!!

 

 「でもさ」

 

 唸り声を上げる《獣》に声を被せるようにハルユキは話す。

 

 「そんなの、初めからチートプレイして無双してるだけじゃないか。僕も否定はしないけど、そんなのつまらない」

 

ーーツマラナイ…ダト?

 

 《獣》も絶句である。

 いつの間にか加速世界の怪物と普通に会話している自分が馬鹿らしくなるが、それでもハルユキは言葉を続ける。

 

 「お前キリトさんと戦ってどうだったよ。やることなす事防がれて、手痛い一撃くらってさ。しかも最後のアレ、びっくりしたよな。シルバー・クロウの装甲が攻撃を受け流したんだぜ?」

 

ーールル、アノ黒イ奴ハ気ニ入ラナイガ、貴様ノヨウナ存在ニ、アノヨウナ能力ガ存在シテイタコトニハ少シ驚イタ。

 

 何だよ、結構饒舌じゃないかと軽口を叩くと、抗議の唸り声。

 

 「だからその、僕にも、シルバー・クロウにも、まだまだ強くなれる可能性があったんだ。だから、お前の力はいらない」

 

ーーグルル、貴様ノ妄言ニハ付キ合イキレヌ。

ーーコンナニモ我ト深ク繋ガッテイルトイウノニ。

ーーダガ、貴様ハ必ズ我ノ力ヲ求メル。必ズダ。

 

 その時を楽しみにしていると、最後に《獣》はそう言い残し、シルバー・クロウの奥深くに消えていく。

 

 その気配を感じながら、復讐ですべてを破壊するだけの存在である《獣》にも、戦いを楽しむ感情があるのではないかとハルユキは思っていた。

 

 《獣》は否定するだろうけれど、キリトと戦っているときの感情も、彼を倒せると思ったときの叫びも、何処となく復讐以外の感情も感じとることができたのだから。

 いつか《獣》とも手を取り合えるときがあるかもしれない。

 それはとても、低い可能性のことだろうけれど。

 

 でも、それでも今は。

 

 

 「僕は、シルバー・クロウだ……」

 

 

 力なくその場に座り込んだハルユキは、小さくそう呟いた。

 

 

 

 

 

 力なく座り込んだシルバー・クロウを見た俺は、ふぅ、と息を付くと、氷の地面に座り込む。

 青薔薇の剣による《記憶解放術》と、夜空の剣の《武装支配術》を立て続けに使ったのはやはり無理が祟ったようで、また動くには少し休まないといけないようだ。

 

 「さっきの…《クロム・ディザスター》……」

 

 口に出しながら先程相対していた怪物を思い起こす。

 剣を交える度に感じ取れた強い感情は、ただの怒りなどではない。

 あれは世界の悪意そのものと言った感じだ。

 

 どこか、そう。

 

 アンダーワールドで死闘を繰り広げた《ガブリエル・ミラー》までとはいかないが、奴のような深い、どこまでも続くような闇、消えることのない、浸かったら戻れないような底知れないものを感じた。

 

 俺がハルユキに戻ってこいと声をかけたのも、彼がその闇に呑まれていくのを感じたからだ。

 

 ただ、あの大剣と激突した際に一瞬だけ別のナニカを感じた気もしたが、それがなんなのかは知るよしもない。

 

 

 ……ユージオに助けられたな。

 

 

 キラリと光る青薔薇の剣を撫でていると、キィッという音とともに、視界の端に車輪が見えた。

 顔を上げると、車椅子型の強化外装に搭乗した《スカイ・レイカー》が心配そうな顔で俺を見ていた。

 

 「剣士さん、あの心意技は……いえ、それよりも大丈夫ですか?」

 

 「…怪我という怪我は負ってないし、大規模な心意技を使って疲れただけです。ありがとう、助けに来てくれて」

 

 よくよく考えれば俺のような最近現れたバーストリンカーがあんな強力な心意技を発動できる時点で問題である。

 それこそ、王に目を付けられてしまっただろう。

 

 ミッドナイト・フェンサーの二の舞になって、再び直葉を悲しませるような目には遭わないように気を付けなければ…。

 

 「シィィィィット!!!」

 

 そう考えていると、一際大きな声と共に骸骨男ーー《アッシュ・ローラー》が氷の足場に降り立った。

 よくよく見ると《プロミネンス》の《ブラッド・レパード》や、リーファ達も後から続いてきたようだ。

 

 ポカンとその光景を見ていると、アッシュがずんずんと大股でこちらに歩いてくる。

 

 「ヘイ!真っ黒野郎!!お前がこのよくわかんねぇアイスマウンテン作っちまったせいで、俺様のシャトルが止まっちまったじゃねぇか!!」

 

 「え"」

 

 そう言われて氷の足場から下を見ると、氷に邪魔されてこれ以上進めないシャトルが四台、取り残されていた。

 

 「アッシュ、言葉遣いが汚いですよ」

 

 「し、師匠!?いやあの、これは…」

 

 やりすぎたと心の中で冷や汗をかく俺を他所に、レイカーが彼に言葉遣いを注意していた。

 しかしこれでは俺もレースを壊したようなものだ。

 

 「NP、どうせシャトルは壊れてた」

 

 そう考えていた矢先にかかる声は、ブラッド・レパードだ。

 そうなの?とアッシュに視線を向けると、彼はあー…と唸り。

 

 「…わりぃ、俺様も気が立っちまってよ。だからその…あの渦を止めてくれたことには感謝してんだ」

 

 すまねぇ。と謝るアッシュに頭を下げなくていいと声を掛けながら、彼の気持ちは最もだと考える。

 常日頃バイクに乗っている彼からしたら今回のレースをかなり楽しみにしていたに違いない。

 そういう部分も含めて、今回の事件はかなり大きな影響を及ぼしてしまったと思う。

 

 「っと、そんなことよりお前らに話したいことがあってよ」

 

 「提案、聞いて欲しい」

 

 そう言った二人は全員を集めると、ヘルメス・コードのレースを再開させたいと言うことを話した。

 シャトルはもう動かないが、ジグソーの心意技を受けた二人は必殺技ゲージが溜まっており、それを消費することで発動できる《壁面走行アビリティ》を使うことで、ヘルメス・コードを登ると言うものであった。

 どうやらやれることを全部して、このレースに区切りをつけたいらしい。

 

 「そんで鴉野郎と師匠の協力を仰ぎたくてこうして話をしたって訳よぉ!!」

 

 「なるほど」

 

 二人のアビリティで限界までヘルメス・コードを登り、そこからシルバー・クロウの翼、スカイ・レイカーの《ゲイルスラスター》でゴールまでたどり着こうとする作戦。

 なるほど試してみる価値はありそうだ。

 アンダーワールドでカセドラルの外壁を登った俺としても登ってみたい気はするが、ゴールまで一体どれくらいの時間がかかるかわからない。

 非常に、非常に残念だが俺は参加を諦めることにした。

 

 あとは二人の意思なのだが。

 

 「私はやります」

 

 レイカーは話を聞くと、力強く頷いた。

 次いでシルバー・クロウへと視線が移るのだが、先程から俯いている彼は力無く首を横に振ると。

 

 

 「ごめんなさい、僕は……できません」

 

 

 掠れた声でそう言ったのだった。

 

 




最近何か事件が起きても次の話で終息してまた別の事件が始まるって言うのが続いてるイメージ

シルバー・クロウの可能性として、先にチラッと顔見せさせたアビリティ君
心意の光を纏っていれば、同じように出来ないかなってこう…思ったんです(言い訳)
今のまま再現しようとしたらそらレインのレーザーでジュッとなりますけども


タクムにも活躍させたかったんです
彼がトラウマになっていた突き技を使ったっていうのが個人的に推していきたいところです(語彙力)
あとシアン・ディザスターなるものが最近気になってます

ディザスターを自在に使えるハルユキってチートですよね
メタトロンさんもしもべのハルユキに既に契約者的なのがいたらもう嫉妬であの極太ビーム連射ですよ連射

最後の言葉はハルユキ君のメンタル的にあそこまで暴れたら僕は参加したくないですって言うと思うんです

今回は無くなったと思っても人との絆、関わりは残っているというのをイメージしました
あれ、前々回の夜空の剣士と同じ……??

言いたいこと言ってたら何時もより喋ってました

それではまた次回!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。