銀翼の鴉と黒の剣士   作:春華

49 / 73
大変長らくお待たせしました

社会人1年生になってこうも時間がとれないとは思わなんだ

今回は短めです

感想返しもぼちぼちやらせていただきます
いつもありがとうございます


第四十八話:影の噂

 「噂?」

 

 「そうだ噂だ。俺達がダイブする世界の上空に正体不明の大きな影が浮かんでいるっていうな」

 

 俺のことを《グラファイト・エッジ》の弟子だと信用したという《ブルー・ナイト》の言葉で一先ずその場を切り抜けた俺であったが、何もこのままで終わりという訳ではなかった。

 

 俺に命じられたのは《ブレイン・バースト》の世界の上空に突然現れたらしい謎の影の調査。

 この任務を完遂することで他のバーストリンカー達にグラファイト・エッジの弟子であることを認めさせるらしい。

 

 「アイツならそう言うことの調査も率先して行いそうだからな」

 

 「はぁ…」

 

 うんうんと頷くブルー・ナイトの言葉に困った声を上げる俺だが、紫の王がふん、と声をあげる。

 

 「あんたがアイツの関係者ってことを説明するには何か突拍子もないことをやっておかないと納得しない人もいるのよ。バーストリンカーは七王会議にいる奴等だけじゃないの」

 

 「そう言うことだな。せめてグラフを知ってる他の奴等にもキミのことを説明することができれば、あの自由人の弟子なら仕方ないと言う空気にすることができる」

 

 《パープル・ソーン》の言葉に頷いた《ブラック・ロータス》に俺は曖昧な顔をしながら納得する。

 七王会議の場で俺と言う存在の結論が出たとしても、『ブルー・ナイトが認めたグラファイト・エッジの弟子』と言うことがわかっただけで、あのブルー・ナイトが認めたならまあ…と言う空気にはなるだろう。

 ここで最近噂になっているらしい場所の調査もしたと言う触れ込みをプラスさせることにより、この弟子あってあの師匠ありと言う形に持っていこうと言うのだ。

 

 「…逆に俺を常識人枠として持ってけないんでしょうか」

 

 「別にそれでも良いんだが…お前さん噂とか未開拓の場所とか見つけたら率先して行くタイプだろう?ゲーマータイプだ」

 

 「…仰る通りです」

 

 案外俺のことをわかってる青の王。

 俺ってそんな単純そうなんだろうか。

 こんな無茶ぶりをさせられるなんて一体グラファイト・エッジはどんなとんでもないことをする奴なんだと心の中で悪態をつく。

 

 「まあ勿論一人では行かせないさ、ウチのコバルとマーガを………」

 

 「ーーー待て」

 

 と、ブルー・ナイトの言葉を重々しい声で遮ったのは緑の王《グリーン・グランデ》だった。

 会議が始まってからずっと沈黙を続けていたグランデにハルユキ含めた彼が喋るのを初めて聞いた俺たちは思わず目を見開く。

 

 「その者の同行者は此方が出そう」

 

 「いや、それはありがたいけど一応未開拓エリアだからさ…」

 

 グランデの言葉に困ったように言葉をかけるブルー・ナイトだが、それっきり喋らなくなった緑の王にはぁ、とため息をつくと。

 

 「…だってさキリト、すまんがそれで納得してくれるか?ほんと、形だけの調査だけでいいから。俺たちとしても結果としてあの砂嵐の被害を防いだバーストリンカーが無限EKにでもなったら心苦しいからさ。通常対戦フィールドでも出現してるのを見たってやつもいるし大丈夫だとは思うから」

 

 「あ、ああ…」

 

 「んじゃまあキリトについてはこんな感じ…んで、シルバー・クロウの《災禍の鎧》についてなんだが…」

 

 「それに関しては我々ネガ・ネビュラスから提案を出させてもらう」

 

 次の議題……シルバー・クロウが持つ《クロム・ディザスター》についての話に移った瞬間、いの一番に声を上げたのは黒雪姫だ。

 先に自分達の要望を伝えることで話し合いの場を有利に進めたいのだろう。

 

 「その発言は却下です。大体、鎧を持っている陣営が一体何を言おうと言うんですか?どうせ出任せに決まってる。シルバー・クロウは即刻《断罪の一撃》で始末するべきだ」

 

 その言葉を遮るように声を上げたのは黄の王《イエロー・レディオ》だ。

 

 「アイツ…どの口が言うんだ…!」

 

 ハルユキが体を乗り出した瞬間、違う方向からおいおいという声。

 

 「それはあまりにも早計すぎるんじゃねーか?現に鎧の所有者であるシルバー・クロウはまあ普通そうにしている。レースでの功績も考えると話を聞くくらいなら許してやってくれよ」

 

 赤の王である《スカーレット・レイン》だ。

 その小さな体から負けず劣らずの威圧感を出す彼女だが、どこか不安の気配を感じる。

 

 「は、やっと喋ったかと思えば裏切り者の黒の王を庇う台詞とは、純色でない人は違いますね」

 

 「言ってろバナナ。何て言われようとおあいにく様、意見を出す権利はあるんだ。それになんだ?純色の王様は他人の意見すら聞けねえのか?」

 

 直ぐ様レインを煽る黄の王だったが、彼女のまさかの返しにバナ…と狼狽える。

 このやり取りでレインもいつもの調子を取り戻したのか、ふんっと鼻を鳴らした。

 

 「まあ、二人の意見も真っ当だと思う。けどまあ俺的には話を聞いても良いかなとは思うぞ。じゃないと会議じゃないだろ。王である俺達が私欲で動いたらそれこそ加速世界の終わりだ」

 

 「私はそこの黒い…ああ、弟子じゃないほう。めんどくさいわね…黒の王が苦しめばなんだって良いけど、それは私自身の手でやりたいから別に好きにすれば?」

 

 「そうですね、意見交換をするのは大切だと思います」

 

 話を纏めようとする青の王に、達観の意思を示す紫の王と相変わらず喋らない緑の王。

 そして白の王代理の《アイボリー・タワー》は黒の王の話を聞くのに賛成の言葉を放ったため、黒雪姫はん、と頷くと話を続ける。

 

 「提案と言うのはうちの《アーダー・メイデン》の力を借りることで災禍の鎧を浄化、無力化するということだ」

 

 「なるほど……ん?でも確かお前さん達四元素は…まあ、そう言うなら何か策があるんだろうけどさ」

 

 「私に思うところがあるのはわかっている。だが災禍の鎧の脅威を無くすことができる可能性があるなら試させてもらいたい。これは加速世界全体の問題でもある」

 

 「んー……確かにそうだな。だけど所有者がいつ暴走するかわからないことも考えると…」

 

 黒雪姫の言葉に青の王は腕を組みながら考え込むとうし、と頷き。

 

 「一週間だ。一週間後にもう一度七王会議を開く。それまでの間にシルバー・クロウの災禍の鎧を取り除け。それができなければ…」

 

 「わかってる。その時は責任を持って私が《断罪の一撃》でクロウを加速世界から退場させる」

 

 青の王はしばらく黒の王を見つめていたが、やがて了承の頷きを返した。

 

 「んじゃあそう言うことで。キリトの報告も次の七王会議でいいぞ」

 

 はいお疲れ様ーと各陣営が解散を始めるなか、俺は座っている緑の王に近づき声をかけた。

 

 「なああんた…グリーン・グランデ」

 

 「…」

 

 「…その……調査手伝ってくれるのは助かるけど、どうすれば良いんだ?待ち合わせとか…そう言うの」

 

 「…」

 

 「…」

 

 喋らんのかい!と心の中で呟きながらも、俺は相手の返事を待つ。

 黒雪姫達はこちらの用事が済むまで待っていてくれているようで、先程から視線が痛い。まだかなーといった感じの視線だから悪気がないのはわかっているが、どことなくいたたまれない気持ちになる。

 

 「………と、とりあえずカウントももう少ないし、連絡先は渡しておくから、その…色々決まったら教えてくれよ…?」

 

 そう言いながら連絡先を押し付けるように渡した俺は、黒雪姫達のいるところに向かう。

 三人とも困ったように肩を竦めるが、グランデがあまり喋らない奴と言うのはわかっていたため、何も言わないようだ。

 

 俺がグランデとの会話を終えたと判断した青の女侍達はお互いに頷くとインストを操作し、ドロー申請の処理を行った。

 

 

 

 

 「とまあそう言うことだな。我々の当面の動きはメイデンを救出し、クロウの鎧を浄化する」

 

 「すみません、僕のせいで……」

 

 楓子の車のなかで意識を取り戻した俺達にそう告げる黒雪姫と、しょんぼりと項垂れるハルユキ。

 

 「それで俺は謎の影の調査…か」

 

 「そこは…そうだな、彼を頼ってみるか。何か知ってるかもしれん」

 

 俺の言葉に反応した黒雪姫はどこかにチャットを送り、数回ほどやり取りをし始めた。

 彼女の情報網の広さには毎度驚かされるが、一応指名手配に似た扱いを受けてた過去があるのにも関わらずこうも堂々と昔の知り合いに連絡を取ったり、加速世界でまた暴れることができるのには驚きを隠せない。

 そう言う自分もSAOでビーターと呼ばれていた時にアルゴに頼ってたこともあり、彼女にも理解者がいるんだなと考える。

 

 「…ん、桐ヶ谷君、連絡がついたぞ。向こうも都合が良いみたいだから今から《無制限中立フィールド》にいこう」

 

 「わ、わかった」

 

 とんとんと決まっていく段取りに目をぱちくりしながら返した俺は、無制限中立フィールドにダイブするための言葉を紡いだ。

 

 

 

 

「やあ、来たね」

 

指定された場所に着いた俺たちを待っていたのは明らかに戦闘型には見えないアバターに身を包んだ男であった。

メタルカラーだろうか。どことなく沖縄で見たクリキンに似ている姿形だ。

座りながらパソコンのようなものを弄っていた彼は俺達に気がつくと立ち上がり近づいてくる。

 

「いきなり呼びつけてすまない」

 

「何、こちらも原稿作業が一段落したからね。息抜きに誰かと話したいと思っていたところだ。さて…」

 

そのアバターが俺の方を一瞥してきたので思わずたじろいでしまうが、彼はそのまま俺に手を差し出してきた。

 

「《ブリキ・ライター》だ。君の噂は良く聞いてるよ。よろしく」

 




影の正体知ってる人からしたらタイミングおかしくね?ってなるのは通りですよね

ですがここはそう、MCやDCと同じような平行世界なんです!!!(ゴリ押し
許してください何でもしますから!!

こっちのキリトが介入ならではの展開を考えてますので、どうか首を長くしてお待ちください…

某矛盾存在も作者さんも飛べないのにどうやってあそこ行ったんだろうね

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。