今月は雨がずっと続いていた気がします
思ったより文字が多くなりました!
それではどうぞ!
「ーーーーー、ーー」
意識が覚醒する。
目の前に見えるのは見知らぬ天井と、背中に当たる柔らかい感触。
周囲の情報を読み取りながら、俺はゆっくりと思考を巡らせた。
どうやら俺はベッドの中にいるようだ。
「…どうやら目が覚めたようですね」
視線を動かすと、青色の瞳をこちらに向ける金髪の少女が椅子に座っていた。
その髪と同じ色の鎧は着ておらず、比較的ラフな服装に身を包んでいる彼女は展開していたディスプレイを操作し始める。
「…アリス、?」
「このめっせーじと言うものは便利ですね。遠く離れた人物に文を迅速に送ることができる」
「…どのくらい」
「そこまで時間は経っていませんよ。…状況は大きく変わりましたが」
どういうことだと問いかけようとした声は、部屋のドアが勢いよく開けられたことで遮られる。
そちらに視線を向けた先には、息を切らしたユージオが立っていた。
「キリト!!大丈夫なのかい!?」
部屋に入るなり近づいてきたユージオは俺の手を取ると不安そうに問いかけてくる。
「ユージオ…」
「急に倒れるから心配したんだぞ?揺すっても反応がないし…」
でも、本当に目が覚めて良かったと安心そうに微笑む彼に、俺の胸はチクリと痛む。
それは心配をかけたからだろうか、それとも彼に全てを話していないことによる罪悪感だからだろうか。
「でも聞いてくれよ、あれから色々わかったことがあったんだ。ペルソナ・ヴァベルと戦ってる人が沢山いたんだよキリト!やっぱり君の言ったことは間違いじゃなかったんだ!」
「…ユージオ」
「面白い姿の人もいてね、ダークテリトリーのゴブリンともまた違って、不思議なんだよ!さっきも挨拶をしたばかりでーーー、「ユージオ」
俺の言葉に口を止めたユージオに視線を向けることができない。
アンダーワールドで俺がユージオに全てを話さなかったのは、《ベクタの迷子》という肩書きがあの世界で生きていく上で都合のいい部分が多かったということもあるが、話すことでユージオとの関係が壊れることを恐れたからだ。
だからアドミニストレータとの戦いで彼女に看破されるまで話すことはしなかったし、氷の大地で再会した時も、断片的に嘘をついてしまったのだ。
だが流石に限界だ。
この場は誤魔化すことはできるのかもしれない。
しかしアスナ達がいることは明らかで、彼女達と接してしまえばボロが出てしまうのは明らかである。
…いや、そう言う風に理由をつけて逃げているだけなのだろう。
一度失ってしまった親友をまた失うのが何よりも怖かったのだ。
「全部、思い出した」
だからこの言葉を言った俺は、ユージオの顔を見ることができなかった。
「……そっか」
シンとした部屋の中でポツリとユージオの声が響く。
何を話せば良いのだろうか。
考えれば考えるほど言葉が見つからない。
「…ああもう焦れったい!」
そんな空気を打ち破ったのはアリスの声であった。
驚いた顔でアリスを見る俺たちに、彼女は凛とした表情で言葉を続ける。
「記憶が戻ったから何だと言うのですか!あなた達の関係はそれで変わる物なのですか!?」
彼女のことを完全に忘れていた俺はともかく、ユージオも彼女の剣幕に圧されてしまったようで「い、いや…」とか細く答えるしかできない。
「二人は親友でしょう?なら、きちんと話すべきでしょう!」
腰に手を当てながらそう言ったアリスの姿が一瞬、青いワンピースを着た小さな少女と重なる。
…いや目の前のユージオの姿も大人しめな少年の姿に、彼の瞳の中に写る生意気そうな少年が俺を見つめ返していた。
「…………」
もう一度瞬きをすると、目の前には俺の見知っているユージオ、視線を動かすとアリスが立っている。
「な、何ですか」
俺と目があったアリスはムッとした表情で口を開く。
「…いや、整合騎士ってもっと毅然としている人かと思ってたから、そう言われるの何か不思議で」
「…別に、あなた達が黙りこくって話が進まなさそうだったからです。それに、何故かそう言わなければいけないと思って…何故でしょう」
肩を竦めながらそう返した俺にアリスはそう言うと、口許に手を当てている。
そんな彼女はやっぱり俺の知っているアリスなんだなと納得しながら、ユージオを見返す。
彼は苦笑いしながらも、その翡翠の瞳で俺と視線を合わせる。
「ユージオ」
「うん」
「もう一度約束するよ。記憶が戻ったとしても俺はお前との約束を守る。絶対だ。だからその…」
一度言葉を切る。
そうしてあの木の下で彼が俺に手を差し出してくれたように、今度は俺から手を差し出す。
「だからその、これからもよろしく」
ユージオは俺の手を握り返すと、ゆっくりと頷き返したのだった。
「…さて、それではそろそろ良いでしょうか?」
そんな俺達を見ていたアリスの言葉に、俺は首を傾げる。
「貴方が寝ている間に、色々と事態が進展したのです。そのことも含めて話を詰めていかなくてはいけません」
トントン、と部屋にノックの音が響く。
アリスがどうぞ、と返すとゆっくりとドアが開く。
そこにいたのはやはりというか、アスナであった。
「…目が覚めたってアリスさんに聞いて…その…」
その声は俺の胸にスッと入り込んでくる。
懐かしさに胸の奥が熱くなるのを感じながら、俺の口は自然と動いていた。
「やあ、アスナ。おはよう」
その言葉を聞いた彼女の目は見開かれ、続いてくしゃりと顔を歪めてしまう。
ああ、泣かせてしまう。
俺の大切な人。
俺のすべて。
「ごめんなさい、ごめんなさい…一緒に居てあげられなくて…っ」
「違うんだアスナ、それは違うよ」
恐らくユージオ達から軽く話は聞いているのだろう。
記憶喪失として別のVR世界で生きてきた俺の隣に自分がいなかったことを責めているのだ。
もし彼女が同じVR世界にいれば共に此処に来ている筈なのだから。
彼女は、そういう子だ。
「…全部、全部話すよ。…だから皆を集めてほしい」
ベッドから立ち上がった俺は彼女の涙を拭うとその肩に手を起きながらそう伝えたのだった。
◆
空都ラインの一角にある場所。
またの名を《ダイシーカフェ・ライン支店》
《ペルソナ・ヴァベル》と戦う者達が拠点にしているその場所には現在、激震が走っていた。
「う、うそだろ…」
「キリトよぉ…お前さん、いつの間に分裂したんだよ…」
褐色肌の大男エギルと、サラマンダーの侍クラインはこの場にいる全員の気持ちを代弁するように口を開けていた。
「…俺も驚いてるよ、アスナから詳しいことは聞いてないし…」
そう声をかけられたスプリガンの少年ーーーキリトもまた、頭をかきながら自分の隣に立っている少年に視線を向ける。
どことなく現実世界の自分に似ていて、しかし少し違う容姿の少年はどこか泣きそうな顔をしながら集まっている面子を見渡し、口を開く。
「皆、集まってくれてありがとう」
「アスナが大事な話があるからって言うから来たけど…」
「どこからどうみてもキリトさんです…」
「…話の流れはアスナから聞いてる。ペルソナ・ヴァベルが《ALO》になんらかの介入をした結果、今まで見たことのないワールドが出てきたり、異変が起きはじめた…。その過程でユイが連れ去られた…ってことであってるよな?」
リズベットとシリカが話すなか、『キリト』は現状を確認するようにアスナに問いかける。
「うん、その中で私たちALOプレイヤー以外にも別のVRMMO、《ブレイン・バースト》をプレイしていたプレイヤー達もこの場所に現れたの。最初は敵かと思って警戒してたんだけど…」
「実はヴァベルに騙されていたことがわかってな。こうしてアスナ達と協力して奴を打倒しようとしているわけだ」
ここでアスナが答えているのは《血盟騎士団》の副団長を経験していることから話を円滑に進めるためでもあるが、同じ顔をした者同士が話すことによる混乱を防ぐためでもある。
彼女の説明に捕捉するように黒いドレスを着た少女ーー黒雪姫が口を開く。
「まさかこんなとこでも会うとは…」
黒雪姫達を見た『キリト』の呟きは誰にも聞こえることはなく、彼は思案するように顎に手を当てる。
「《ブレイン・バースト》のプレイヤーと会ったのはここの場所が初めてか?」
「…ああ、うん。それがどうかしたのか?」
質問されたスプリガンのキリトが首を傾げながらそう答えると、『キリト』はそうかと返しながら一人のバーストリンカーに視線を向ける。
「ーーなあ、あんた。シルバー・クロウ」
「は、はひ!?ななな、何でしょうか!?」
突然名指しをされた銀色の戦士は驚きの声をあげてしまう。
頭の中の《仲間》に、なに慌てているのですか…との呆れ声にしょうがないだろ、話しかけられると思ってなかったんだから!と返しながら『キリト』に言葉を返す。
「ええと、変なこと聞くんだけど…前に俺とデュエルしたことってないか?」
「ええっ!?そ、そんなことあるわけないですよ!!だって僕たちと生きてる時代も違ーーー」
果たしてそうだろうか?
誰にも話していなかったが、《kirito》と言う名前はハルユキの中でどこか見覚えがあったのだ。
スプリガンの少年と、こちらに話しかけてきた少年に視線を向け、デュエル、デュエルと呟く。
「……前に…黒い、剣士型アバターとデュエルしました。決着はつかなかったんですけど、剣を二本使ってて…確かその人の名前は…あっ!!!」
「…ハルユキくん?」
「《kirito》!!《kirito》です!!先輩!前に黒いアバターと戦ったって話覚えていませんか!?デュエルアバターの黒にはどんな意味があるのかって話した時です!」
「…覚えているぞ。確か…そうだ。君が黒色は寂しい色ではなくて、どんな色よりも大きくてあったかい色だと言ってくれた時のことだ。…まさか、いやそうなるともう一人のキリトは…」
何人か今までの会話で察しがついた者もいたようだ。
『キリト』はコクリと頷くと全員を見渡し、口を開く。
「俺は確かにキリトだ。ただ、厳密には隣にいる俺と同じ存在じゃないんだよ。別の異なる歴史を生きている…平行世界の同一人物って言うのが一番しっくりくるかな」
「へ、平行世界……」
中々理解の及びにくい話をしているからか、その場の空気はどこか混乱していた。
クラインに至っては目を丸くしながら固まっている。
「黒雪達はアバターの系統が違うから想像しやすかったけど、俺だからなぁ…あまり実感がわかないな」
「と、とある学者の間では平行世界論は存在しているらしいぞ…」
「で、でも僕とデュエルしたことを知っているキリトさんがいるってことは…そう言うことじゃないでしょうか?」
「エギルよぉ、俺には理解がしきれねぇからよ…何か飲み物くれ」
「お前なぁ…金は払えよ?」
困惑を隠せない者、何とか話についていこうとする者、理解を放棄したもの等、様々な反応を見せるプレイヤー達。
「そもそも私からしたら、未来のゲームをしている黒雪姫さん達が来ていること自体が平行世界論の証明に繋がることだけどね」
「え、せ、セブン!?」
そんな空気を壊したのはプーカ族の少女ーーセブン。
彼女の名前を呼んだのはレプラコーンのレインであり、キリトが
ダイシーカフェの入口から入ってきた彼女は手を上げながら話の場に近づいてくる。
「現実世界で事件解決のために動いてるんじゃなかったのか?スメラギもいないみたいだけど」
「そうだったんだけど色々事情があってね…ログインすることにしたんだ。スメラギはその……ちょっと別行動をしてもらってて」
天才科学者でもあるセブンはヴァベルによる事件が引き起こされた当初はALOにログインしておらず、現実世界で事態の解明に尽力していたのだ。
それが気になったキリトの言葉にセブンはそう返すと、うん、とブレイン・バーストのプレイヤーと『キリト』に視線を向ける。
「プリヴィエート、『キリト』くん。その反応からすると私とは初対面かしら?」
「あ、ああ…。ただ君だけじゃなくて、そこにいるノームやスプリガンの女の子だったり、会ったことない人もいるんだ」
「えぇー!?そうなのキリトー!」
「知ってる顔から知らないって言われると何かモヤモヤするわね」
文句の声をあげるのはストレアとフィリアである。
ストレアはかつての
フィリアも同じく
《ホロウ・エリア》と呼ばれるSAOに存在している開発テスト用の秘匿エリアに迷いこんだ彼女は、同じく迷いこんだキリトと協力して戦ったことがある。
そんな二人を知らないとなるとなるほど、平行世界の自分ということに説得力が出てくる。
平行世界の存在というのが珍しいのか、やいのやいのと問いかけられる質問に困った顔をしながら返事する自分を見ながら、一人納得しているスプリガンのキリトであった。
「と、とにかく、ユージオと一緒に修行をしていた俺は突然現れた黒い穴に飲み込まれたんだ。それで気づいたらこの場所に…。だからここから出るためにはペルソナ・ヴァベルを止めなきゃいけないみたいだし、手伝うよ」
そう説明した『キリト』に続きユージオとアリスも頷くことで話が一旦終わりを見せる。
中々に濃い話ではあるが、ここに来て強力な味方ができたのは嬉しいことである。
「それじゃあ、今までの確認もこめてこれからの方針を明確にしていこうと思う」
◆
そう言ったスプリガンの俺はストレージを操作すると、数色のオーブを取り出してテーブルに置きはじめる。
「皆で攻略を進めることで七王のゴーストのうち六人までは倒すことができた。あと一つオーブがあればバベルの塔への道が拓ける…筈だ」
「七王…?」
「簡単に説明するが、我々のゲームで限られたプレイヤーにつけられる称号みたいなものだ。ペルソナ・ヴァベルはその王の姿を模したエネミーを生み出して我々と戦わせてきていたんだ」
聞き覚えのある言葉に思わず声をあげた俺に、黒雪姫は簡単に説明をしてくれる。
簡潔に話すにはぴったりだろう。
それよりもここにきて《ブレイン・バースト》のプレイヤー達と出会うとは思わなかった。
恐らく俺と同じように影を調査して吸い込まれてしまったのだろう。
…そして多分、目の前の黒雪姫達は俺の知っている人物ではないだろう。
見知らぬ仲間が増えていることや、《リーフ・フェアリー》としてのスグがいないことも確かだが、何より俺を見た反応は『キリトに似た奴』だったからだ。
「異変が起きたALOは転移門での移動が制限されたり、《異界ゲート》っていうBBの人達のVR世界のような場所に繋がる場所が現れたりしたの。だから私達は攻略できる場所から進んで、そこにいる王のゴーストを倒すことで行動範囲を広げてきたんだ」
「僕達も戦ったんだよキリト、緑色の大盾を使う敵だったんだけど、中々手強くてさ。騎士アリスは青色の大剣を扱う相手だったと聞いてますが…」
「…ええ、強敵でした。私一人では勝つことは難しかったでしょう」
アスナが話してくれた内容を必死に頭のなかで状況を整理していると、ユージオ達が話しかけてくる。
緑の大盾となると《グリーン・グランデ》だろう。
ここにいるのはSAO、ALO、GGOのトッププレイヤーとBBのハイレベルプレイヤー達だ。
…流石に王達も数には勝てなかったようだ。
しかし、青色の大剣使いである《ブルー・ナイト》含め王達の強さは嫌というほど理解しているので、彼らを駒として利用することができるのであれば強力な戦士になるだろう。
…しかしわざわざキーアイテムを用意してまで王のゴーストを仕向けるのは何か理由があるのだろうか?
『だからどうか邪魔をしないでーーーー』
ヴァベルに遭遇したときに聞いた言葉を思い返す。
今になって思えば奴は自分から攻撃という攻撃はしていない。
仮に俺をスプリガンのキリトと見間違えていたとしたら、邪魔者の一人の筈だ。
何故あそこで俺を倒すなりしなかったのだろうか?
「…ていうかいつの間に戦ってたんだ?」
思考しながらもユージオとアリスの言葉が気になった俺はふと気になったことを訪ねる。
俺が意識を失っている間に交流していたみたいだし、気がつけば問題解決までもう少しではないだろうか?
「だから状況が大きく変わったと言ったのです。あなたが倒れている間に私達は彼らと協力し、ペルソナ・ヴァベルへの道を切り開いていたのですから」
ムッと眉をひそめならそう言うアリスに感謝しながら、俺はテーブルに置いてあるオーブを眺める。
黄、緑、青、赤、紫、白
六色並んでいるオーブであるが、七王のゴーストということは残っている色は…。
「もう一色は…うん、私のゴーストだろうな」
その視線に気づいたのだろう。
黒雪姫は自分が黒の王と呼ばれていることを話すと、困ったように両腕を組む。
「私のデュエルアバターは完全近接型でな。自分で言うのもあれだが攻撃力はとてつもないんだ。生半可な防御では抜かれるだろう」
「とは言え遠距離が得意なメンバーだけじゃ倒すのも一苦労だと思います。相手が先輩なら尚更…」
「そうなると近接系に押さえてもらいつつ…」
「私が仕留めるのが定石ってところかしら」
スプリガンの俺の言葉を引き継いだのはシノンである。
しかしALOのシノンの武器は弓の筈だ。彼女の長距離射撃の腕は把握しているが、ヘカートⅡを装備しているGGOならまだしも弓では……。
「…弓じゃ倒しきれないんじゃないかって思ってるんでしょ」
「「ぜ、全然!!」」
シノンに考えを見透かされたことと、声が被ったことで二重に驚く俺たちを見たシノンはジト目になるもはぁ、と溜め息をつく。
「秘策があるのよ、任せてちょうだい」
「まあ、そう言うこった。一緒に特訓した私が太鼓判押してやるよ」
本人や、赤の王にそう言われてしまえばこちらも頷くしかない。
慎重な彼女がそう言うのだろう。それだけで信じるに値する言葉だ。
「じゃあ黒雪さんのゴーストと戦う人だけど…」
「はいはーい!僕がやるよ!!」
アスナの言葉に元気よく手をあげたのはユウキである。
彼女が生きていることに驚きはあったが、こうして共に戦ってくれるほど心強いことはない。
「バベルの塔を守るエネミーはかなりの強さだろうから、戦力はなるべく残しておきたいな…」
「だとすればまあ、俺も出るかな。ロッタのゴーストなんだろう?そこそこやれると思うぜ」
「お、お前はまた神出鬼没に…」
いやあ悪い悪いと言いながら現れたのは俺も見覚えがある男、《グラファイト・エッジ》だ。
…そう言えば共に巻き込まれた筈の彼は何処にいったのだろうか?
この場にいるのは恐らく黒雪姫達の世界の存在だと思うのだが…。
「でもサッちゃんが相手なら確かに…」
「これ以上なくぴったりなの」
「それしか役に立たないのです」
「で、デンデンは容赦がないなぁ…」
《スカイ・レイカー》、《
「あとそうだ、そっちのキリト。お前さんもこっちにこい」
「お、俺か?」
「ロッタの攻撃を掻い潜るには相応の戦力がいるからな。二人いるなら一人貸してほしいワケだ。お連れの二人はすまんがボス討伐に参加してくれないか?」
思わず聞き返す俺にそう言った彼はユージオとアリスにもそう声をかける。
二人とも困惑しながらも断る理由があまり見つからないため、了承の返事を返していた。
「最後に倒した白の王がいた場所のコンソールを起動したことで《ニーベルハイム》への道は開かれてる。皆、あと少しだ」
「ユウキ達が黒雪さんのゴーストと戦っている間に、私達は《バベルの塔》を守っているエネミーを倒す。そして手にいれた最後のオーブを持って塔に突入して、ペルソナ・ヴァベルを止める…作戦は以上です。皆さん、勝ちましょう!」
最後にスプリガンの俺とアスナが話を総括し、少し時間を置いたあと全員で突入することになったのだった。
「それにしてもキリト、ほんと変わらないんだね。ねえ、君の世界の僕はどんな感じなの?」
「そ、それは…」
同じパーティに入ったユウキの問いかけに、俺は言葉を詰まらせてしまう。
俺の知っている彼女は既にこの世を去っている。
それを言うのは酷なのではないのだろうか?
「ちょいすまん、コイツ借りてくぞ」
「え、あっおい」
俺が口を開こうとすると、グラファイト・エッジが肩を組みながら俺を何処かへと連れ出し始める。
ユウキは頬を膨らませながらも、後で話してね!と見送ってくれたようだ。
「いやぁやっと見つけたぜキリト…お前さん、上手く乗り切ってたんだなぁ…」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!乗り切ったってなんだよ…!」
物陰に連れてきた途端、俺の肩をつかんで感嘆の声を出す黒い戦士に、俺は驚きながらもそう返事を返す。
ここの彼とは初対面の筈だ。
なのにこちらを知っているかのような態度。
そしてやっと見つけたという言葉…。
「あ、あんたまさか…」
「何だよ気づくのが遅いぞ、俺の弟子ならすぐに気づきたまえ!!」
俺の疑問の声を聞いた男はおいおい、と肩を竦めたあとグッと親指を立て、そう返事をしたのだった。
簡単に整理するとこのVR世界にいるのは
ゲーム版SAOの面子
原作AWの面子
ユージオ、アリス
キリト、グラファイトになっています
ゲーム版SAOのキリトをハルユキと戦っていないことにして、世界が違うんですよって説明することにしました
ユージオもアリスも自分がいる世界とは別のところで、キリトもその世界の外から来たという風に裏で説明されています
うちのキリトを気絶させることで青の王と緑の王、白の王を倒したことにするという大胆な短縮に走りました
ゲーム的には白の王を倒してニーベルハイムへの場所を解放した後、一度ラインに戻っている感じです
冷静に考えて事態が発生して、収束する短い時間でここまでの攻略をやるなんてヤバいなって思いました
セブンが(あと別行動のスメラギ)ここに来ているのが大きな違いかなと思います
あとグラフはそもそもこっちのグラフということになっています。DLCキャラで話という話ないから入れ換えました
やりたいことに近づいてきているので筆が乗っています
次の更新はもう少し早いと思います
今後ともよろしくお願いいたします
それではまた次回!