銀翼の鴉と黒の剣士   作:春華

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本日三話目の投稿をしています

五十八話から更新分なので、こちらから来た方は気を付けてください


第六十話:再演

 「ーーーーー!!!!」

 

 まるで悲鳴のような声をボスが上げると、フィールドから巨大な樹の根が現れ、キリト達に襲いかかる。

 攻撃に巻き込まれる者、なんとか回避する者もいるなか、攻撃を回避したキリトの元に、エギル、シリカ、リズベットが合流する。

 

 「またアイツか!」

 

 「…上等、また返り討ちにしてやろうじゃない!」

 

 エギルのうんざりとした声にリズベットがそう返すが、声からはやや疲労が見える。

 大ボスの二連戦、しかも今から戦う相手は奇跡が続いて倒せたようなモノだ。

 

 「ーー来ます!!」

 

 シリカの声と共にこちらに振り下ろされる大剣を、エギルは斧を使いながら紙一重で逸らす。

 ギィィィィンッと武器同士が擦れる音を放ちながら、エギルは敵のヘイトを自身に引き付ける。

 

 「スイッチ!!!」

 

 エギルの言葉を背に二刀で斬りかかったキリトの攻撃は、ボスが展開しているバリアに阻まれる。

 激しいスパークを放つバリアを力ずくで引き裂いたキリトは、薙ぎ払うように振られたもう一本の大剣をギリギリで滑り込ませた二刀で受けながら吹き飛ばされてしまう。

 

 「スイッチーーーッ!!」

 

 しかしこれでボスの身を守っていたバリアは一度破壊した。前回の戦いもこのようにしてダメージを与えたのだ。

 それを理解しながら阿吽の呼吸で飛び出してきたシリカとリズベットがその武器を叩きつけようとするが、その瞬間にボスの赤い瞳が輝くのが見えた。

 

 「レーザー攻撃!?不味っ」

 

 「ピナ!!」

 

 思わず目を見開くリズベットと、攻撃を中断してピナを抱き抱えるシリカに向けて凄まじい威力の光線が放たれる。

 

 「シリカ!リズ!!」

 

 「シリカーーー!!」

 

 吹き飛ばされた先で体勢を立て直したキリトは思わず声をあげる。

 せめてシリカだけでもとバックラーを構えるリズベットであるが、防げないことはレーザーの威力を見ていればわかる。

 

 

 しかしここで二人の前に銀の翼が現れる。

 全身を銀色の装甲に包んだ戦士、シルバー・クロウだ。

 

 「う、おおおおおおおっ!!!」

 

 二人の前に現れたシルバー・クロウが雄叫びを上げながら右腕を上空へ突き上げると、その右腕の装甲からロッド部分が展開しはじめる。

 

 「《光学誘導(オプティカル・コンダクション)》!!」

 

 振るわれた右腕がレーザーと衝突。

 まるで受け流すようにして放たれたレーザーを誰もいない方向へ逸らすことに成功したのだった。

 

 「二人とも、大丈夫ですか!?」

 

 「あ、ありがとうございます!クロウさん!」

 

 「い、今のは…」

 

 「僕のアビリティです。放たれた相手の光線系統の攻撃を逸らすことができるんですよ」

 

 間に合ってよかった…と呟くハルユキに続き、クロム・ディザスターと戦っていたバーストリンカーの戦士達も続々と戦線に合流しはじめた。

 

 「ぐ…このぉ…!」

 

 樹の根に拘束されてしまったレインは《鍛治妖精》のスキルを発動することで自分が作り出した剣を取り出すと、その刃で拘束から脱出。

 そのまま無造作に取り出した剣を拘束されている仲間がいる根に投げつけ、切り裂くことで仲間を解放していく。

 

 「ありがとーレイン!」

 

 「流石お姉ちゃん!!」

 

 解放されたストレアは大剣を構えながらボスに向かって駆け出し、セブンはバフを全員に発動していく。

 だがそんなプレイヤーに敵モンスターは苛烈な攻撃を繰り返す。

 地形を破壊するほどの光線や根の攻撃を前に全員攻めあぐねている状況だ。

 

 「ちぃ…!こいつでどうだ!!!」

 

 スカーレット・レインが強化外装を再び展開し、レーザーやミサイルをこれでもかと放つ。

 殆どは根に当たったりビームで破壊されるが、それでもモンスターには命中し、そのHPを確実に減らし始めた。

 

 「ナイス、ニコ!!」

 

 「とはいえこのまま撃ち合いを続ければこっちの負けだ!早く倒しちまーー」

 

 ハルユキの言葉にそう返すレインであるが、その言葉は凄まじい勢いで近づいてきたボスモンスターを前に思わず止まってしまう。

 

 「こいつ動けんのかよーーー!!!」

 

 「ニコ!!」

 

 レパードが彼女の名前を呼ぶ中、振るわれた二本の大剣は彼女の強化外装に突き刺さると激しいスパークを起こす。

 慌てて強化外装を解除したレインは直ぐ様《形体変化》を行い四足歩行になったレパードの背中に乗るとその場から離れる。

 彼女の持ち味である強化外装は大きなダメージを受けてしまった為、少なくとも今はもう使うことはできないだろう。

 

 「この攻撃を掻い潜るのは至難の技だぞ…!」

 

 黒雪姫も必死に迫る根の迎撃と回避を繰り返しながら攻撃のチャンスを狙っているが、中々巡ってこないチャンスに思わず悪態をつく。

 

 しかしエネミーの攻撃は苛烈さを増し、襲いかかる樹の根が更に増えていく。

 一人、また一人と根に飲み込まれるなか、レイカーの悲鳴が黒雪姫の耳に届いた。

 

 「レイカー!!」

 

 そちらに視線を向けると、樹の根に拘束されているレイカーとメイデンの姿が見える。

 助けにいこうとするも、迫り来る攻撃を捌きながらでは到底間に合わない。

 

 「ぁ…!!」

 

 「ういうい…!」

 

 激しい拘束に装甲を軋ませながら悲鳴をあげるメイデンと、彼女を助けようと動こうとするレイカー。

 しかし拘束は緩む気配は無く、そのHPを刻一刻と削っていく。

 

 「メイデン!レイカー!ーーぐぁっ!?」

 

 それを見たキリトが背中の羽を叩きながら助けようと動くが、瞬時に振るわれた大剣に叩き落とされる。

 攻撃自体は剣で防いだようだが、そのまま振り下ろされる剣を受け止めるので精一杯のようで動けそうもない。

 

 「キリトーー!!うぁっ!?」

 

 思わず声をあげる黒雪姫の地面が突然浮き上がると、そのまま同じように浮き上がってきた瓦礫が凄まじい勢いで彼女を挟み込む。

 

 悲鳴をあげる黒雪姫の声を聞きながらもボスはメイデンとレイカーに視線を向けると、その瞳を赤く光らせ光線を放とうとする。

 

 「やめろぉおおお!!」

 

 しかしその攻撃は放たれる前に色とりどりの魔法攻撃がボスの顔面付近で爆発したことでキャンセルされる。

 驚愕の表情を浮かべるボスに向かって、青色の流星が降り注ぐ。

 

 「もらった!!《テュールの隻腕》!!」

 

 ウンディーネ族特有の青い髪をした青年は一瞬の隙を逃さずにその片目にソードスキルを叩き込む。

 続いて聞こえるのは多くの声ーー魔法を詠唱する声だ。

 再び放たれた魔法攻撃が敵の樹の根を破壊し、捉えられていたメンバーを解放する。

 

 「あれって…」

 

 「ALOに残っていたプレイヤー達!?」

 

 ペルソナ・ヴァベルによってALOに異常事態が発生した時、巻き込まれたのはキリト達だけではなかった。

 普通にALOをプレイしていたユーザーもその中にいたのだ。

 政府の指示でログアウトした者もいたが、ログインし続けていた者達。

 彼ら、彼女らがこの場に現れていた。

 その中にはシルフやケットシーの領主でもあるサクヤやアリシャ・ルーも混ざっているのが見える。

 

 そしてその前を先導しているのは漆黒の剣士。

 

 その後ろから同じく漆黒のドレスを来た白い髪の少女がステップを踏みながら現れる。

 

 「各PTは魔法を詠唱しながら黒の剣士達を援護、お互いをフォローしながら陣形を維持するんだ」

 

 「ほう、中々様になってるじゃないか」

 

 「茶化さないでくださいよ、以降の指示は領主様達にお任せします」

 

 ニヤニヤと声をかけるサクヤに苦笑を返す青年は巨大なエネミーを見上げて目を細める。

 ボス戦というボス戦はあまりにも久しぶりで、内心心臓が爆発しそうなくらい緊張しているのがわかる。

 

 そんな手をそっと包む感触。

 そちらに視線を向けると隣にいた白い髪の少女が微笑んでいる。

 

 「大丈夫、エーくんならできるよ」

 

 その少女の姿が幼馴染みと重なる。

 自分の力不足で助けられなかった少女。

 そしてまた失いそうになった少女を、今回は助けることができた。

 重村教授の伝を辿り、事件対策本部まで辿り着き、一人になっていた彼女と合流ができたのだ。

 頷いた少女はくるりと振り返ると、集まったALOプレイヤーに声をかける。

 

 「それじゃあ皆、準備はいーい?スペシャルライブを始めるよ!目的はあのボスを倒すこと!」

 

 少女の言葉に集まったALOプレイヤーはおおおお!と声をあげる。

 

 黒の剣士達がこの事件を追っていることを知った時はなんの因果かと考えもしたが、英雄様なら確かにこの場にいるのは当たり前だろう。

 

 「かのARゲームでトップランカーであった貴様の力、見せてもらうぞ」

 

 ボスに攻撃を与えたウンディーネの青年ーースメラギが声をかけてくる。

 

 「また過去の話を…それに、今の僕にそんな肩書きありませんよ」

 

 「いくよ!ミュージックスタート!」

 

 その言葉と共に彼女の周りを浮かぶデバイスから聞こえる伴奏。

 激しくギターが掻き鳴らされる音から始まる歌は、あの戦いの裏で彼女が歌っていた曲。

 その歌は全員を鼓舞し、それと同時にステータス上昇の効果のバフが展開される。

 

 「僕は《Nautilus(何もできなかった者)》でも《Eiji(英雄)》でもない。…ただのゲームプレイヤーさ」

 

 そう、自嘲するように呟いた青年は大切な者の声援を受けながら駆け出した。

 直ぐにトップスピードに乗ると、迫り来る樹の根をアクロバティックな動きで回避しながら着実に距離を縮めていく。

 

 「お前、何でここに…」

 

 「別に、成り行きですよ。彼女を探しに来て合流したと思ったら、事件を解決するために現在ログインしているプレイヤーを集めたいって言われてね」

 

 「…それでここまでのプレイヤーを…っと、来るぞ!」

 

 再び迫る根を見たキリトは上空へ逃げることで回避。

 対して青年はX字を描くように剣を振るい、根を切り裂く。

 

 「こんなもんですか黒の剣士っていうのは?…大したことないな」

 

 「っ…言ったな!」

 

 茶化すようにそう声をかけると触発されたキリトは二刀を振り回して次の根の攻撃を切り裂く。

 その勢いのまま青年の目の前の根も切り払うと、ふふんと笑みを浮かべた。

 

 「遊んでる場合か!」

 

 思わず眉をひそめる青年だが、ここでスメラギの叱責が飛ぶ。

 彼と合流して駆け出した三人は続いて振られる二本の大剣を見るとアイコンタクトを交わし散開。

 剣がフィールドに叩きつけられたことにより打ち上げられた瓦礫を三角飛びのように蹴飛ばした青年は、そのままの勢いでボスに一太刀を浴びせる。

 

 「スメラギ!!」

 

 「今一度受けてみよ…!《テュールの隻腕》!!」

 

 ソードスキルの光に刀を輝かせたスメラギの一撃はボスに突き刺さり、そのHPを大きく削り取った。

 そこにキリトが雄叫びを上げながら飛びかかる。

 

 「《スターバースト・ストリーム》!!」

 

 ソードスキルではなく自身で再現した二刀流十六連撃技の攻撃を叩き込むことで、大きなダメージを与えることに成功するが、まだボスを倒すには足りない。

 攻撃を受けたボスは即座に後退すると、その背後に巨大樹を産み出す。

 巨大樹から滴り落ちる雫はボスのHPを回復させる力を持つものだ。あれを発動させてしまえば今までの苦労が水の泡になる。

 

 「あれを止めて!」

 

 それを見たアスナはALOプレイヤー達に向けて声をあげる。

 

 「総員、攻撃!!」

 

 サクヤの号令と共に放たれた魔法攻撃がボスのモーションをキャンセルさせると共に、動きを止めさせる。

 

 「アスナ!お待たせ!」

 

 ほっと息をつくアスナに声をかけてきたのはユウキだ。

 めまぐるしい戦況の中でなんとか合流することができたようだ。

 

 「ユウキ!オーブは!?」

 

 アスナの言葉に笑顔で手に入れた黒いオーブを見せるユウキ。

 それに彼女は頷くと持っていたワンドを細剣に持ちかえるとユウキと共に前線に駆け出した。

 

 「皆さん!ユウキ達がオーブを手に入れてくれました!後はこいつを倒すだけです!!」

 

 「なら出し惜しみをしている場合ではないですね、ユージオ!!」

 

 それを聞いたアリスはユージオに声を掛けると《金木犀の剣》を構える。

 あの巨体全体に攻撃をしてもダメージになるかはわからない。

 ここは一点に集中するべきだろう。

 

 「エンハンス・アーマメント!!」

 

 振るわれた大剣に近づいたユージオはその剣に《青薔薇の剣》を突き刺し《武装完全支配術》を発動させる。

 青薔薇が咲き誇ると同時にその剣は凍りつき始める。

 

 「騎士アリス!!」

 

 「吹き荒れろ…花よ!!エンハンス・アーマメント!!」

 

 ユージオの声に頷いたアリスは、その剣に向けて無数の金木犀の刃を叩きつける。

 凍りついた剣はアリスの攻撃を受けてその刀身を真っ二つに叩き割られる。

 

 「私達も続くぞ!《奪命撃》!!」

 

 「『《トリスアギオン》!!』」

 

 バーストリンカー達も各々の遠距離技をもう一本の剣にぶつけ、破壊することに成功。

 これで相手の攻撃手段を封じ込めることができた。

 

 「ーーーーーーー!!!」

 

 怒りの形相を見せる大ボスは残された瞳からレーザーを乱射。

 その攻撃は最後の悪あがきのようで、それでも全プレイヤーを近づけないほどの正確さ、威力は持っていた。

 

 しかしそこに走り込むのは漆黒の影。

 

 「あぁぁぁぁぁっ…!!」

 

 《夜空の剣》を肩に担ぎながら攻撃を紙一重で回避するもう一人の『キリト』だ。

 迸る気迫と共にその剣はクリムゾンレッドのように赤く光り輝く。

 

 そのまま飛び上がった『キリト』は残された瞳に向けて《ヴォーパル・ストライク》を放つ。

 通常その攻撃は刀身二本分程の範囲分の攻撃だ。

 しかし『キリト』が放った一撃はブラック・ロータスの《奪命撃》のように長い飛距離を突き進み、残されたボスの片目を抉りとった。

 

 「アスナ!!一緒にいくよ!!」

 

 「ええ!ユウキ!これで仕留める!!」

 

 示し会わせたように飛び上がった二人は、全く同じ構えを取る。

 するとソードスキルの発動を検知したシステムが二人の武器をシステムエフェクトの光で包み込み、発動準備を終える。

 そのエフェクトは激しく光輝き、まるで剣から翼が生えているようだった。

 

 「「《マザーズ・ロザリオ》!!」」

 

 一言一句、同じ言葉を紡いだ二人の体は競い合うように動きながらXの文字を敵に刻み込む。

 

 「これでーーー」

 

 「終わりよーーー!!」

 

 最後の十一連撃目はボスの体に同時に突き刺さり、残っていたHPバーを吹き飛ばした。

 

 ボスが悲鳴を上げながら結晶となって消えていく。

 そしてそれが終わると、全員の目の前にウィンドウが表示され、《congratulations》の文字が浮かび上がる。

 それと同時に経験値やアイテムが追加されていく表示も現れはじめた。

 

 少しの静寂の後、ボスを倒したことを確信した者達の歓声がフィールドに響き渡った。

 

 「やった…!倒した…!」

 

 「これでやっといけるな…バベルの塔に…」

 

 だがこれで終わりではない。

 バベルの塔に向かうまでの障害がこれでようやく消えただけなのだ。

 

 アスナがユウキから受け取っていた黒いオーブをキリトに渡すと、彼は自分のアイテム欄から他のオーブもオブジェクト化する。

 

 そうして集まった七つのオーブはバベルの塔の扉に向かって飛んでいき、一際大きく光るとその扉をゆっくりと開かせたのであった。

 

 「…どうやら、これからが本番のようで」

 

 共に戦っていた青年ーーエイジは険しい表情をしながらキリトとアスナに近づいてくる。

 その後ろには先ほどまで歌っていた少女ーーユナも一緒だ。

 

 「アスナさん、今日のMVPは貴女ね、おめでとう」

 

 「あ、あはは…」

 

 茶化すように話しかけるユナに困った笑みを浮かべるアスナであるが、はてと首を傾げる。

 

 「そもそもどうして二人がここにいるの?」

 

 「…オーディナルスケール事件の後、コピーされたユナ達のことを知った黒ユナが自己崩壊を起こしかけた事件がありましたよね。それ以降も彼女を助ける為に色々と活動していたんですが…」

 

 アスナの質問にはエイジが説明を始め、その中で一旦言葉を切った後、隣にいる少女を見やりながら言葉を続ける。

 

 「僕に付いていてくれた彼女が突然消えたんです。…色々とまあ、使える手段を取ったことで、ここに来ていたということがわかったのでログインしてきたって訳です」

 

 「菊岡がよく許可してくれたな…」

 

 「そこは色々と。七色博士も助け船をだしてくれまして」

 

 キリトの言葉にエイジはこちらに近づいてくるセブンとスメラギに視線を向ける。

 

 「もう、間に合わないかと思ったじゃない」

 

 「…面目無い」

 

 眉を下げながら謝るスメラギにセブンは困ったように笑うと、エイジに向けて手をあげる。

 

 「無事に合流できたのはスメラギから聞いていたけど、まさか援軍を連れてきてくれるなんてね。ありがとう、エイジさん」

 

 「…ユナの頼みですから」

 

 お礼を言われなれていないのだろう、その言葉にぶっきらぼうに返すエイジであるが、視線を逸らした先に不思議な物を見つけて思わず固まってしまう。

 

 「…エイジ?」

 

 「…疲れているのか?黒の剣士サンが二人いるように見えるんだが……」

 

 小首を傾げるユナに今見た光景を伝えるエイジ。

 言わずもがなその先にいたのはアリスやユージオと話していた『キリト』である。

 こちらに向けられる視線に気づいたのか、こちらも驚きの表情をしながら話の輪に加わりはじめる。

 

 「…あんたは…エイジ?……それにユナも、どこに行ってたのかと思ったらそんなとこにいたのか」

 

 「ハイ、キリト。倒れた時は驚いたけど無事に起きてくれてよかった」

 

 「ゆ、ユナ?どうして、そんな普通に…」

 

 当たり前のように『キリト』に話しかけたユナに驚きの声をあげるエイジ。

 スメラギも目を見開いているのだが、それはそれで面白い表情が見れたとセブンが爆笑している。

 しかしユナは彼が驚いている理由は分からず、ごくごく普通に返答を返す。

 

 「どうしてもなにも、エイジに会うまで一緒にいたし」

 

 「ど、どういうことなんだ…よりにもよって、こいつが二人も……」

 

 エイジ個人としては苦手な顔が二つも並んでいることに色々と思うとこがあるようだ。

 二人のキリトはそんなエイジを見てニヤニヤしながらお互いの顔を見た後、同時に息を吸って。

 

 「「仲良くしようぜ、エイジ」」

 

 「や、やめてくれ…」

 

 頭を抑えながらそう返すエイジと、何故か更に険しい表情になったスメラギにその場にいた者達は笑い声を上げるのであった。

 

 

 




三話分更新しました

アニメでエイジが出てきたと聞いて、丁度こちらでもエイジを出していたことから我慢出来ず更新してしまいました

再演はまさにオーディナル・スケールの再演です
100層ボス相手に苦戦しながら仲間が来て全員でタコ殴りにするっていうのにエイジを参加させたかったので入れました。

OSの小ネタを沢山いれたので、見つけていただければと思います。

ゲーム版ではフェイタルバレットの前にOS事件が起きているらしいので(FBのエイジとキリトの会話曰く色々あったらしい)アクセルソードの前に起きていることにしました。

途中から影も形も無くなっていたユナはキリトが倒れている間にエイジと合流し、一緒に行動していました。

エイジめっちゃ好きなので楽しく書けました。

また次のお話はゆっくりになると思いますが、応援お願いいたします。

それではまた次回!

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