銀翼の鴉と黒の剣士   作:春華

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第七十五話:戦いを終えて/帰ろう①

 

 どうして俺がこの世界に辿り着くことができたのか。

 

 何故ディザスターの攻撃を受けた時に出血をしたのか。

 

 二本あった《夜空の剣》は何なのか。

 

 「…つまりその…三人目(・・・)ってことか?」

 

 「キリトがいっぱいだね!!」

 

 無邪気に話すストレアと曖昧な表情で頷くヴァベルに、俺はぐぬぬと唸り声をあげたあと、考えるのを辞めたのだった。

 

 

 

 

◆

 

 

 

 ヴァベルが放ったリニアーはボスとして配置されていたクロム・ディザスターを貫き、その身体はデータの粒子となってゆっくり消えていった。

 

 つまるところ勝ったのである。

 

 ハイテンションで喜びながらヴァベルに抱きつくストレアを見ながら、俺は深くため息をついた。

 

 《スターバースト・ストリーム》が防がれた俺は、硬直した身体を心意で無理矢理動かしながらも次に発動する技を決めかねていた。

 もう一度同じ技を放っても防がれるのは目に見えている。

 かといって《ダブルサーキュラー》では手数が足りないし、剣技連携をしようにもスキルとスキルを繋げることがうまくできなければまた硬直してしまう。

 

 刻一刻と迫る時間、高速回転する思考の中脳裏を過ったのは先程の俺を庇おうとしたヴァベルがアスナと重なった瞬間であった。

 あの時、ヒースクリフに負けた俺が放ったのは16連撃を越える27連撃のソードスキルだった。

 

 求められるのは手数であり、欠点でもある発動中の姿勢変更はバランスを崩している相手には問題がないだろう。

 

 そして何より奴にとっては初見になる攻撃だ。

 

 放たれた《ジ・イクリプス》は二刀流最上位ソードスキルの名前の通りに相手の防御を抜き去り、ラストアタックへのきっかけを作ることに成功した。

 

 そして戦いに勝利した俺達の前に現れたのはまるでGMコンソールとでもいいたげなオブジェクトであった。

 ユイとGMコンソールには深い関係があるような気もするので、あれが脱出の手段でもあるのだろう。

 

 ストレアはアバターとの接続を切れば元の仮想世界で目覚めるらしく、ヴァベル自身もこのあとの処理を終えれば目を覚ますとのことのようだ。

 

 「そういえばキリトってどうやって戻るの?」

 

 「え?」

 

 「…ふむ」

 

 ストレアの何気ない言葉に俺はヴァベルに視線を向ける。

 彼女の話ではヴァベルを目覚めさせればこことの接続も切れて、自動的にあの塔の中に戻ると思っていたからだ。

 

 「少なくともダンジョンクリアが条件と言っただけです」

 

 「た、確かに」

 

 少し待ってくださいと言いながらヴァベルはコンソールを操作する。

 後ろからストレアが作業を覗き込んでいるが、ウィンドウが開いたり閉じたりする度に「えぇ!?」とか「わぉ!」など驚きの声をあげ続けているのはどうしたのだろうか。

 比例してヴァベルの表情はどんどん固くなっているのがわかる。

 

 「…はぁ」

 

 ため息をついた後、ヴァベルは頭を抱えながら一歩下がる。

 

 「パパ、ユージオさん…ご存知ですよね?」

 

 「え、ああ」

 

 「私がパパと初めて会った時に一緒にいたと思うのですが、どこでお会いしたか覚えてますか?」

 

 「えっと…雪山みたいなステージだったな。ユージオの方から俺を見つけて声をかけてくれたんだ」

 

 あの時は驚いたと思い返しながら当時を振り返る。

 ユージオが言うには《アンダーワールド》で俺と稽古していた時に、謎の黒い渦に飲み込まれたらしい。

 

 「その時あいつは一緒に飲み込まれた俺を探して…俺に会ったんだけど…ちょっと待て」

 

 今の言葉に何か違和感を感じた俺は、口に出した言葉を振り返る。

 黒い渦に飲み込まれた者は紆余曲折あってALOに辿り着くことになったわけで、その紆余曲折で別の現象が発生したとすると…

 

 「…つまりその…三人目(・・・)ってことか?」

 

 「キリトがいっぱいだね!!」

 

 冒頭の会話が発生したわけである。

 

 

 

◆

 

 

 「アンダーワールドでユージオさんと共にいたパパ…便宜上パパ3とでも呼んだ方が良いですかね。彼は私が作った心意による道を通ってALOではなく、こちらに来てしまいました」

 

 ちなみにALOにいるのがパパ2で、目の前にいるパパはパパ1ですと補足を加えながら、ヴァベルは俺に説明する。

 

 「STLを使用しているとは言えパパ3は体をデータで構成されたアバターです。本来なら私やストレアがいる場所で目を覚ましたりする筈なのですが、幸か不幸かこの場所に入り込んでしまったのでしょう」

 

 「そして気を失っているパパ3の体にデータとして飛んできたパパ1の意識が入り込んでしまった…それがパパがこの時代に来れた理由だと思います」

 

 「私も過去のストレアと同期したり、干渉したこともあったけど、それと同じ感じだね!」

 

 「気絶してた俺3に俺1が入り込んで動いてたのか…なるほど」

 

 と言うことはこの身体ごと過去に戻らないと、俺3は永遠に未来に取り残されることになるわけだ。

 

 「まあそこは私が一緒に戻りますので平気だと思います」

 

 「平気なのか…」

 

 「それじゃあストレア、あとはよろしくお願いします」

 

 「オッケー!キリト、ユイのことよろしく!」

 

 ストレアの言葉に手をあげて答えた俺は、コンソールを操作し終えたヴァベルから差し出された手を握る。

 

 「それではパパを過去の時間に送ります。一緒にパパ3の身体も送られますので、目が覚めたら皆さんへの説明もしないとですね」

 

 「ううん…皆驚くだろうな…」

 

 

 

◆

 

 

 

 結果として俺は過去ーーヴァベルを起こすために彼女を囲んでいた時間に戻ることができた。

 心配そうにこちらを見つめるアスナが言うには、突然周囲が光ったと思ったら俺が倒れたらしい。

 少し遅れて黒い渦がその場に現れると、気を失っている俺(3人目)に肩を貸しながらヴァベルが登場。

 皆のおかげで目覚めることができたとお礼を言った後、倒れているヴァベルに触れ、溶けるように消えていったとのことだ。

 

 「キリトよぉ…お前さん、バンドでもするのか?」

 

 「ブラッキーズとか良いんじゃない?」

 

 更に一人増えた俺を見たクラインとシノンにそう言われたスプリガンの俺は、流石にげんなりとしていた。

 

 とはいえ、ペルソナ・ヴァベル…ユイが起こしてしまったこの事件は一応の解決を迎えることになった。

 無事に目を覚ましたヴァベルが言うには、時間の歪みは徐々に修正され、元いた場所に戻れるらしい。

 

 「なのでパパ…パパ1と一緒に来ていた方も戻れます」

 

 「そっか」

 

 「なら一安心だ」

 

 記憶の同期を済ませていたらしいヴァベルは、全員にそう説明をしていた。

 うんうんと頷いたグラファイト・エッジは別の時間軸から来ていたことを知った黒雪姫達と一悶着があったらしいが、上手く切り抜けたらしい。

 曰く、「あとはあっちの俺に任せた」とのことで随分とまあ適当である。

 戻れる算段もついたところで、俺はヴァベルにある提案をする。

 

 「なあユイ、ユイが良かったら…一緒に来るか?」

 

 「え?」

 

 俺が目を覚ました世界はSAOがクリアされなかったという、ある意味歪んだ世界だ。

 同一存在であるユイは存在しないし、俺だけではあるが彼女を知っている存在もいる。

 …もし彼女が良ければ一緒に過ごすこともできるのではないかと、そう考えていたのだ。

 

 俺の言葉を受けたヴァベルは目をパチクリとさせた後、一度その言葉を噛み締めるように目蓋を閉じる。

 

 「とても嬉しい提案、です。でも……私は行けません。私にも待ってる妹や、仲間がいますから」

 

 「…わかった」

 

 彼女の返事に頷いた俺は、ゆっくりとその頭を撫でる。

 例え成長したとしても、その手触りは記憶にあるものと変わらない。

 俺もここに残りたい気持ちがないと言ったら嘘になるが、俺の世界の仲間達が待っているのだ。

 

 「キリト」

 

 「ユージオ」

 

 戻れることがわかり、最初に歩き出したのはユージオとアリスであった。

 二人はアンダーワールドから来ている。特にアリスは整合騎士でもあるので、一刻も早くアドミニストレータのもとに戻りたいのだろう。

 

 「あなた達のような戦士に会えて良かった。私も整合騎士として人界を守るためにより腕を磨きます」

 

 まだ整合騎士であるアリスは俺達にそう告げる。ユージオと共に帰るのだろう。俺3も一緒に帰るのを知った時は眉をひそめていたのが印象的であった。

 

 理由を聞くと向こうでもあなたの顔を見なければならないのは少し…いえ、何でもないですとのことだった。

 

ーー何でもあるやつの言葉だぞそれ

 

 未だに意識を失っている俺3を支えているユージオは、俺に何かを差し出してきた。

 それは二本目の《青薔薇の剣》。俺の腰から消えていた方の剣だ。

 

 「そっちも大変だろうけどさ。…俺のこと、頼むよ」

 

 「…他の道も探してみるよ。僕達三人は、ずっと一緒だったんだから」

 

 恐らくユージオはこの後俺達の身に起こることを知っているのだろう。

 アドミニストレータとの戦いを思い返すと身が引き裂かれそうになるが、きっと大丈夫だろう。

 

 「ステイ・クール、キリト」

 

 「ああ。……ステイ、クール」

 

 最後に拳を打ち付けた俺達は笑いながら別れを告げる。

 どこかの世界でも良いから、親友が生きていてくれればそれでいい。

 きっと色々と問題が起きるだろうけど、そこはそこの俺や仲間達何とかするだろう。

 

 恐らくゲートとして存在しているのだろう。

 ヴァベルが出てきたという黒い渦の中に三人は入り、もとの世界に帰ったのだった。

 

 

◆

 

 黒い渦の中。

 恐らくアンダーワールドに戻ることになるゲートを歩く。

 

 相棒を背負いながら、浅草色の髪の少年、ユージオは目の前を歩く黄金の騎士の後ろ姿を見つめる。

 

 彼女は《アリス・ツーベルク》。

 最高司祭アドミニストレータの手によって整合騎士となり、自分達との記憶を失ってしまった幼馴染みだ。

 それは何があっても変わらない。

 

 「ねえ、アリス」

 

 「なんですか?ユージオ。…というか、敬語はやめたのですね」

 

 「…駄目かな」

 

 「……いえ、そのままで構いません」

 

 続きを促すようにこちらを向いた彼女に、ユージオはふぅ、と息を吐く。

 

 偶然とはいえ、自分は未来のことを知った。

 そして目の前の少女とは罪人としてではなく、一人の剣士として交流し、話すことができた。

 彼に…キリトに話したことは嘘ではない。

 きっと、別の道だって見つけることができる筈だ。

 

 「このまま戻った後も…また会えないかな。跳ね鹿亭のはちみつパイとか、君に紹介したいんだ」

 

 「…………整合騎士は、人界の守護を担う騎士。人界の者とはむやみに会うわけにはいきません」

 

 長い沈黙の後、彼女はそう答えた。

 

 「そう…だよね」

 

 「ですがユージオ、貴方と私は共に死線をくぐり抜けた。貴方は守護されるものではなく、共に戦う剣士だ」

 

 だからその…と言葉が堅苦しくなったのはわかったのだろう。

 やや気恥ずかしそうにユージオを見つめたアリスは、口角をあげながら彼の言葉に返答する。

 

 「はちみつパイ、食べに行きましょう」

 

 その笑顔は彼の記憶の中の少女とそっくりでーーー

 

◆

 

 

 

 「ーージオ、ユージオ」

 

 体を揺さぶられながら自分を呼ぶ声に目が覚める。

 視線を動かすとそこにいたのは見間違えるはずがない、自分の相棒であった。

 

 「大丈夫か?修練場で倒れてたってアズリカ先生から聞いてさ」

 

 まあ、俺も倒れてたらしくて今さっき起きたんだけどと言葉を追加しながらキリトは外を見つめる。

 つられて視線を移すと窓から見える空は真っ暗であった。

 

 「もう夕食の時間も過ぎてるっぽいな。ロニエとティーゼも心配してたろうし、明日謝らないとなぁ…」

 

 困った声をあげるキリトを見ながら、ユージオは記憶の隅に何かが引っ掛かっている違和感を覚える。

 その何かを思い出すように、ユージオはゆっくりと話し始める。

 

 「何か、長い夢を見ていた気がするんだ」

 

 とても長い夢で、何か大きな出来事を体験した…気がする。思い返そうとしても思い出すことはできないのだがーーー。

 

 

ーーーユージオ。

 

 

 いや、覚えている。

 

 

ーーーはちみつパイ、食べに行きましょう。

 

 「おい、ユージオ?」

 

 そうだ、約束した。

 全部思い出した。

 黒いもやに飲み込まれたその後のことを。

 

ーーーそして僕は。

 

 「ごめんキリト、行かなきゃ」

 

 「行かなきゃって…もう門限過ぎてるぞ?アズリカ先生にバレたら怒られる」

 

 いつもとは逆の立場じゃないかと珍しく注意するキリトであるが、ユージオの揺るがない決意を秘めた瞳を見た彼は、真剣な表情で彼を見つめ返す。

 

 「…いつも俺が抜け道に使ってる場所がある。そこからならバレずに外に出られる筈だ」

 

 「…!ありがとうキリト!」

 

 根負けしたのか肩を落としながら抜け道を伝えるキリト。

 笑顔になるユージオにただし、と付け加える。

 

 「俺も一緒に行くからな」

 

 「…勿論、そのつもりだったよ相棒」

 

 お互いの剣を腰の留め金に括った後、空いていた窓から慎重に飛び出すユージオ達。

 宵闇の中を駆け抜け、二人は気がつけば森の中に着いていた。

 

 「…ここ、前に何度かピクニックで来てる森だよな?途中ではちみつパイも買ってたし…。ユージオ?」

 

 訝しげに首を傾げるキリトにユージオは言葉を返す時間も惜しいとばかりに奥へ奥へと進んでいく。

 少しすると道が拓き、小さな湖畔がある平地が現れた。

 

 「…!」

 

 いつもと変わらない風景、湖畔は静かに波打ち、その水面には月が反射している。

 右へ、左へと視線を向けるユージオであるが、そこには何も無い。

 

 「どうしたんだよユージオ、お前少し変だぞ」

 

 「ここで!……ここで、待ち合わせていたんだよキリト…ここで……」

 

 心配げな表情を見せるキリトに思わず声を荒げるユージオであるが、その声は徐々にか細くなっていく。

 何か、大切なことがあったのだろう。

 普段冷静な相棒が取り乱すくらいには。

 

 ユージオに声をかけようとしたキリトの耳に、何か風を切るような音が聞こえた。

 多くのVR世界で研ぎ澄まされた第六感のようなものが、何かを捉えたのだ。

 慌てて視線を違和感の方向ーー上空に向けたキリトは、信じられないモノを見つけた。

 

 「…おい、あれって……」

 

 キリトのかすれ声を聞いたユージオも同じ方向に視線を向けると、そこにいたのは飛竜であった。

 すごい勢いで此方に向かってくる。

 

 「ーーーあ」

 

 そして、その飛竜の背に乗る人物を目に捉える。

 

 「あぁーーー」

 

 飛竜は凄まじい勢いで地面に着陸、激しい風圧で吹き飛ばされそうになるが、ユージオはお構い無くその飛竜に向けて駆け出していく。

 

 後ろから相棒の声が聞こえるが今の彼には聞こえていなかった。

 同じように飛竜の背から透き通るような金髪の女性が飛び降り、こちらに駆け寄ってきた。

 

 「ーーーアリス(・・・)!!」

 

 ユージオは彼女の名前を呼ぶと、彼女に駆け寄る。

 忘れるはずがない、彼女のことを。

 

 「ーーああ、ユージオ…よかった……」

 

 「…泣いているの?」

 

 「…、私だって泣いたり怒ったりしますよ」

 

 お互いの顔を見つめ合う。

 

 「それに、約束したでしょう?」

 

 「…うん、はちみつパイを食べよう」

 

 間違えない。

 再び会うことができた。

 

 「…ど、どういうことか説明してくれないか…?」

 

 遠慮がちに声をかけるキリトを見て、アリスは目を見開き、再びユージオに視線を向ける。

 ユージオが首を横に振るのを見て、アリスも小さく「そうですか」と呟く。

 その動きで理解した。

 自分と共に戦った『キリト』は自分の居場所に帰ったと言うことなのだろう。

 なら改めてーーー。

 

 「…初めまして、私はーーー」

 

 「ーーやっと見つけた!!アリス!あんた何やってんの!!」

 

 しかしアリスの声は突然近くに着陸した別の飛竜が引き起こした風圧でかき消される。

 それと同時に聞こえる女性の声。

 

 整合騎士の鎧に体を包み、その腰に漆黒の刀を吊るす女性は灰色の髪をぴょんぴょん跳ねさせながらアリスの体をぺたぺたと触る。

 

 「い、イーディス殿!?」

 

 「いきなり飛び出して…!あんたさっきまで倒れてたんだから無理しないの!ああもう鎧も着ずにこんな薄着で外にでて…!怪我はない?熱は?」

 

 マシンガンのように話す女性は《イーディス・シンセシス・テン》。

 アリスと同じく整合騎士で、整合騎士として新人でもある彼女を何かと気にかけてくれる女性であった。

 

 「いきなり飛竜に乗って飛びたくなる気持ちはわかる、わかるよ。でもこんなところ人界の人に見られたら…」

 

 うんうん、と頷きながら視線を左右に向けたイーディスは、キリトとユージオ(人界の人)を視界に捉え動きを止める。

 ユージオ、キリト、アリスの順番に視線を向け、もう一度三人を見た後、すぅ、と息を吸ったイーディスはビシッとキリトとユージオに向けて指を指し。

 

 「あんた達!!何者ッ!?」

 

 「お、俺が聞きたいぞ!!」

 

 「質問してるのはこっちよ!!…まさかアリスを闇の手先にしようと現れた悪魔ね!!」

 

 「あ、悪魔ぁ!?そんなわけ無いだろ!」

 

 「どーだか。悪魔は皆そう言うのよ!」

 

 「…ぷっ」

 

 ギャーギャーと喚く二人を見たユージオとアリスはお互いに視線を向け合うと、思わずこの状況に笑いだしてしまった。

 こうしてまた会うことができたのだ。

 ゆっくりと、お互いに歩み寄っていこう。

 

 腰に吊るした《青薔薇の剣》がキラリと光る。

 もう剣からは何も感じないけれど、『彼』もきっと自分の相棒を支えてくれていることだろう。

 

 「…キリト」

 

 ユージオが彼の名前を呼ぶと、イーディスと言葉の応酬をしていた彼は、疲れたようにこちらに視線を向ける。

 

 「彼女はアリス。整合騎士で、僕のーー僕達のアリスの行方を知っているかもしれない人なんだ」

 

 「アリス…?それに整合騎士ってお前いつのまにそんなコネを…」

 

 彼がどんな思いで自分に隠し事をしているのかはわからないけれど。

 それでも、彼のことを知ることができた自分だから。

 今度は自分が相棒をーー親友を助けよう。

 

 「ちょっとね」

 

 そう言いながらユージオはここに来るまでに買ってきていた紙袋を開ける。

 閉店ギリギリに購入した、跳ね鹿亭のはちみつパイだ。

 

 

 「何があったのか、話すよ。これでも食べながらゆっくりと」

 

 夜空に浮かぶ星たちは、静かに煌めきながら彼らを見守っているのだった。

 

 




大変お待たせしました

前回から半年過ぎてましたね

夜空の剣が二本あった理由はユージオと一緒にいたキリトがそこにいたからでした
公式が触れなかったキリトの行方はそんな感じにして、一緒に戻ってもらうことにしました

記憶を持ったままアンダーワールドに戻ったユージオ、ALO共に戦った記憶があるアリス。何も知らないキリトとイーディスがいるこの状況、一体どんな世界線を辿るのでしょうか…
か、書きてぇ~~

この最後の部分だけかなり前にストックしてたんてすが、2020年って書いてありました
今何年よ

皆帰って大団円だけど、このあと災禍の鎧が待ってるんだよね…

ゆっくり更新で申し訳ありませんが、お、更新してんなって感じで呼んでいただければと思います
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